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選挙前に増税を口にするのは愚策(暫定税率)

2008-03-29 13:19:15 | 時事問題
27日、福田首相は、道路特定財源問題で譲歩を行った。おおよそ次のような内容である。

「特定財源は08年度をもって廃止し、09年度からは一般財源とする。「10年、59兆円」という道路整備の中期計画は、5年計画として新たに作り直す。与野党協議会を設け、一般財源としての使い道などを話し合う――。」(「朝日新聞」3月28日社説「首相の決断―小沢代表が応える番だ」)

ここには、ガソリン税の暫定税率について明確な指示がない。だが道路特定財源の一般財源化は、大手新聞社説が異口同音に主張してきたことである。それゆえに社説では一定の評価が行われる。

しかし民主党は、これを受け入れないようだ。「小沢三原則」をたてに、福田首相の妥協を拒否するようだ。

「小沢三原則」とは「道路特定財源は08年度から完全一般財源化させる。暫定税率は即時廃止し、年2兆6000億円の減税を実施する。官僚の天下りは完全廃止する――。」ということである。(「読売新聞」3月29日付社説「ガソリン税 最後まで混乱回避に努めよ」)

29日付の大手各紙は、このような民主党に対して、ニュアンスの差があるが、求めるところが多かった。

前掲読売社説は「小沢三原則」を「自らの主張が100%通らない限り、与党とは合意しない。民主党は、そんな政局一辺倒の姿勢で良いのか。」と厳しく批判する。

29日付の朝日社説「首相の決断―小沢代表が応える番だ」、日経社説「税制つなぎ法案だけで終わっては困る」、毎日社説「民主党 改革とは何かの原点に戻れ」では、それぞれ道路特定財源の一般財源化を確実にするために、小沢民主党に妥協を求める。

では、なぜ小沢民主党は妥協を拒んでいるのか。第一に、すでに読売社説が指摘しているように、福田内閣を追いつめようとする政局的判断である。

第二に、国民のガソリン値下げに対する期待に応えようとする意思である。毎日社説は、選挙を睨んで、このような小市民的意識を重視する小沢民主党をちくりと批判する。

「民主党は05年の衆院選マニフェストで「年金目的消費税」を導入する事実上の消費税引き上げ策を掲げていた。改革のためには増税も堂々と提示する姿勢が看板の一つだったのだ。

 その姿勢は小沢代表が就任してから一変した。暫定税率廃止を重視し始めたのも小沢体制になってからだ。小沢氏は選挙前に増税を口にするのは愚策というのだろう。だが、国民の意識はそんなに単純だろうか。」

4月にはガソリンが値下げされそうだが、それ以降の民主党支持率を見れば、国民の意識が分かるであろう。
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よく言った!上原

2008-03-23 17:42:19 | 雑談
プロ野球のスピードアップこそがファンサービスである。23日付読売社説「プロ野球 テンポの良い試合が見たい」は、そのように主張した。過去10年間の平均試合時間は3時間18分であるが、今年、日本プロ野球組織は、平均試合時間を3時間6分にまで短縮する目標を打ち出したという。

結構であり、全く異論はない。しかし社説は途中で迷走し、自社が関わる興業の宣伝に堕してしまった。

「米・大リーグの日本人選手は、マイナー契約を含め、約20人に上る。松坂大輔、岡島秀樹両投手が所属するレッドソックスの開幕戦は25、26日に東京ドームで行われる。身近になった大リーグで、日本人選手が活躍すれば、野球ファンのすそ野が広がるだろう。」

すでにパリーグが開催されている時期に、大リーグの試合を日本で開くとは!読売は、巨人とセリーグだけが栄えればよいと考えているのだろう。これに関して上原浩治が適切に批判している。彼の勇気を高く評価したい。

「22日に行われるアスレチックスとのオープン戦に先発する巨人上原浩治投手(32)が21日、日本プロ野球界を思っての提言をした。「日程的に問題がある。パが始まったばかりの、なぜこの時期にメジャーとやるのか」と話し、同じ時間帯に行われるパ・リーグ公式戦の真剣勝負に水を差すと指摘した。自身にとっても、4月1日の中日戦先発に向け、最終調整を行う大切な登板になる。複雑な思いを胸に抱きマウンドに立つ。」(上原ア軍とOP戦に苦言「なぜこの時期」http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20080322-338591.html)

上原は、FAの権利をを取得して、来年メジャーに行ってしまうのだろう。
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日経のオヤジギャク

2008-03-16 16:19:33 | 時事問題
16日付、日本経済新聞社説「証券会社を救済したFRB」は、ニューヨーク連銀が、大手投資銀行ベアー・スターンズ救済に動いたことに関して、アメリカの金融危機の深さを指摘して、このような措置では不十分であると説いている。

「経営責任をはっきりさせたうえで、自己資本不足に陥った金融機関に対し公的資金を投入することが必要になってこよう。」

このように、米連邦政府が公的資金の投入による解決策を打ち出す必要性を提案している。ここで終わっても良かったのだが、蛇足として次のような一文をつけた。

「このままではベアー【The Bear Stearns】を助けても、投資家や経営者のベア(弱気)【bear】心理は晴れない。」

思わず笑ってしまったが、社説の内容の品位を下げた気がしないでもない。
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「銀と道の取引」?

2008-03-14 23:46:46 | 時事問題
テレビでは、最近外貨預金をする人が急激に増えたと伝えていた。折から1ドル100円を切って円高が進行していることに関係している。この円高は一時的なもので、そのうち円安になると見込んでの行動である。頭のいい人が多い。

14日付毎日新聞社説「円急伸99円台 過度の不安にかられるな」では、この見込みをもっと丁寧に説明していた。

この社説は、通貨当局が、為替相場を円安に誘導するオペレーションを行うことに対する戒めをといている。なぜならば、欧米中央銀行が相場介入に懐疑的なとき、日本が単独で円売り・ドル売りに出れば、投機筋に円の買い場を与えるだけであるからだ。

それを補強して、
「急速な円高が経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)からかけ離れていることは、2月の月例経済報告で景気の基調判断が下方修正されたことでも明らかだ。米政府が抜本的なサブプライム対策を出せない中、世界を駆け巡っている投機的資金が円を買っているのだ。」

と、円高が経済の基礎的条件からはずれた一時的なものにすぎないことを説明している。

ところで、14日付日経社説では、このような国際的な市場の動揺に関して「今こそ与野党は事態打開に動け」と主張する。日銀総裁人事が念頭にあることはすぐに理解できる。

「世界的に市場が動揺し、円相場は一時、12年ぶりに1ドル=99円台をつけた。日経平均株価も昨年来安値を更新するなど不安定な現状をみれば、日銀総裁空席の事態は絶対に避けなければならない。」

「総裁代行ではいざというときに決断をためらうこともありうるし、国際的な発言力にも陰りが出よう。日本の国際的な信認にかかわる問題である。与野党とも空席回避に向けて真剣な努力を傾けてもらいたい。」

何が起こるか分からないから、とりあえず果断な決断(利下げか?)のために、総裁を早く決めろと言うことなのだろう。

興味深いのは、日銀総裁問題を道路特定財源と抱き合わせで、与野党に妥協しろと言っている点だ。前者では、民主党に妥協を促し、与党の候補者を受け入れ、後者では、与党に妥協を促し、暫定税率を維持したまま道路特定財源を一般財源化することを説いているからだ。

「道路財源問題はすでに衆院の審議段階で国土交通省の関連団体による無駄遣いの実態が次々と明るみに出た。10年間で59兆円とする中期道路整備計画の積算根拠についてもあいまいさが指摘されてきた。こうした議論も踏まえて与党は大胆な修正案を提示して事態を打開すべきである。厳しい財政状況を考えれば、現在の税率は維持しつつ一般財源化を図ることが望ましい。」

「日銀人事と道路財源問題は本来絡ませるべき問題ではないが、現実の問題として政治的には絡み合う展開になりつつある。道路財源問題で大幅な譲歩をして、日銀人事では民主党の軟化を促すような政治判断があってもいいはずである。民主党も混乱回避へ参院第一党にふさわしい責任を果たすべきである。」

「銀と道の取引」ってことになるのでしょう。果たしてこれで決着がつくのでしょうか?
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国際責務としての日銀総裁人事という論調

2008-03-13 12:08:26 | 時事問題
世界の金融市場が緊張した状態にあることへの注意がたりない!

13日付の日経・読売・毎日の三紙の社説では、日銀総裁人事案が参院で否決されたことに関して、このような論調の批判が行われた。

日経社説は、そのタイトル「日銀総裁の空席回避が日本の責務」がすべてを物語っている。

「世界の金融が不安の連鎖の瀬戸際にあるのに、日本の参議院は政府の提示した武藤敏郎日銀総裁案を否決した。米欧の主要中央銀行が緊急の資金供給策を発表したとはいえ、米国発の国際金融危機は深刻だ。日銀総裁の後任人事を早急に決めることは、日本の国際的な責務である。」

「日本はサブプライム問題の直接の影響は小さいとはいえ、ねじれ国会の下で福井俊彦日銀総裁の後任人事が暗礁に乗り上げている。危機の歯止め役になるどころか、余計な不安材料を加えるようなありさまだ。政治は金融危機の実態を見据え、国際的な責任を果たすよう動くべきだ。」

このように日本の政治に対して、国際的責任感の欠如が指摘されているのである。

読売も社説「米欧中銀連携 市場の動揺を阻止できるか」において、同様の議論を行う。

「世界的な金融不安に対処するには、主要中銀の連携が重要だ。非常時に、なぜ、日銀総裁が空席になりかねない事態を招くのか。日本に対する市場の眼は厳しい。」

ただしその批判の矛先は、どちらかといえば民主党に向いている。読売の13日付のもう一つの社説「日銀総裁不同意 民主党は責任ある対応を」では、「日本銀行の総裁が空席となる恐れが、一段と現実味を増した。政府が提示した日銀の正副総裁人事案への民主党の対応は、とても責任ある政党のものとは言えない」と指摘される。

「大連立」構想失敗の絡みから、読売が民主党に厳しいのは、そんなものだろうというくらいの感想しか湧かない。一般的に、話がこじれる場合、当事者の一方にだけ問題があるという場合はまれである。

しかしながら、民主党に比較的好意的な毎日新聞が、社説「武藤氏不同意 空席回避へ知恵をしぼれ」において、次のように書かざるを得なかったのは、注目に値する。

「金融市場が緊迫した状態にある中で、日本では中央銀行のトップが不在というのは、海外からは奇異に映るだろう。また、正副総裁人事が与野党のせめぎ合いの中で揺れること自体、日銀の信認にマイナスに作用する。」

「日本に対する信頼が損なわれないようにするためにも、与野党に責任ある対応を求めたい。とりわけ民主党は、「空席は与党のせい」という理屈が通用しないことを自覚すべきだ。」

国際的な金融危機を認識して、与野党は歩み寄れというのが共通の論調である。では妥協案として、誰を総裁とするのか?与党が固執している武藤氏を、民主党は認めろとまでは各紙とも書いていない。とすると別の総裁候補が浮上するのであろうか?

それはともかく、日本が世界の金融危機に対して何か具体的な施策を打ち出せということではなく、世界の金融危機に際して、とりあえず総裁だけは決めて格好をつけておけという論調が主流なのは、寂しい限りである。
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日銀総裁人事案否決

2008-03-12 12:56:19 | 時事問題
12日、参院本会議は、政府が提出した日銀総裁人事案を否決した。野党民主党などが、政府案に反対したためである。この民主党の反対理由は、総裁候補として示された武藤俊郎氏が、「財務省エース」であったことから、日銀の独立性が保たれないかもしれないということである。

大手マスコミでは、この民主党の主張に対して批判が強い。民主党に好意的と考えられる朝日新聞も、12日付社説で「日銀総裁人事-腑に落ちぬ不同意の理由」を掲げている。日経新聞も「「不同意ありき」の民主党は無責任だ」と指摘している。

朝日新聞社説では、これが政局がらみのチキンゲームでもあることを批判している。

「さらに腑に落ちないのは、今回の不同意方針に福田首相を追い詰めようとの政局絡みの思惑が感じられることだ。」

これに対して12日付、毎日新聞社説「日銀総裁人事 「採決棄権」も民主の選択だ」では、このチキンゲームは、むしろ民主党の不統一の表れでもあることを指摘している。

「実は民主党も一枚岩ではない。当初、小沢一郎代表は武藤氏昇格容認で意見集約しようとしていたと思われる。ところが、小沢氏に元々批判的な議員らが異論を唱え、まとめ切れなくなったのが実情だろう。」

そのうえでこの社説がユニークなのは、「採決棄権」というヘンテコな手を使うことを民主に提案していることである。

「いずれにせよ日銀総裁がなかなか決まらない事態は避けるべきであり、ここは民主党の自重を求めたい。例えば本会議に欠席、あるいは採決を棄権する方法もある。棄権・欠席すれば参院も与党が多数となり、同意案は可決する一方、民主党が今回の人事に反対したと国民はきちんと認識するはずだ。欠席や棄権はまったく邪道だが、人事の仕組みが不備な中、緊急避難措置として検討してもよいと思われる。」

民主党のメンツだけを立てたような奇策ではあるが、当の民主党はこの親切な毎日新聞のアドバイスを聞き入れなかった。党内の反小沢派を納得させるためには、参院での政府案否決と日銀総裁の少しの空白期間が必要ということなのであろう。これでは民主党の支持率が下がることはあっても、上がるはずはないと思うのだが。
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ギョーザ事件に関する大手紙の社説

2008-03-01 12:26:02 | 時事問題
3月1日付、大手四紙はすべてギョーザ事件を取り上げた。
「ギョーザ事件 これで幕引きなら納得できぬ」(毎日)、日中は冷静に捜査進めよ(日経)、ギョーザ事件 中国は真相解明から逃げたのか(読売)、ギョーザ事件―冷静に対立を解きほぐせ(朝日)である。

それぞれの主張は、微妙な違いはあるが、いずれも中国側公安側発表に何らかの疑問を示している。この観点では毎日が、簡潔に網羅的に整理している。

「日本ではメタミドホスなどを入手できないし、密封状態で輸入された冷凍ギョーザに何カ所かで混入されたとは考えにくい。中国側が正常な製造ラインでの混入はあり得ないと強調することは理解できる。だが、自国での事件、事故の可能性を一方的に否定するのは説得力に乏しい。包装袋に水溶液が浸透するかどうかはデータを提供し合い、科学的に実証すべきだ。」

そして各紙ともおおむね次のように断じる。「不透明な決着では日中関係がこじれるだけでなく、中国の「食の安全」に関する国際的な信頼も回復できない」(日経)
 全くその通りである。

読売社説では「中国側では捜査当局を超える高いレベルでの政治的判断が下されたのではないか、との見方もある」というかたちで、今回の公安発表には、中国側のハイレベルの政治判断があったことを示唆している。

毎日はそれを補っている。日中間の警察関係は従来極めて良好であったっというのだ。

「暴力団対策や覚せい剤密輸の捜査を通じて、日中の警察の関係は極めて良好で、実務者同士が電話で情報を交換するほどだったという。警察庁側はさらに協力関係を深めようとしたのだろうが、胡錦濤国家主席の来日や北京五輪を控える時期だけに、中国側には政治的な思惑が入り乱れ、覚せい剤の捜査のようには両国の利害が一致しなくなったらしい。」

中国側のトップは、我々日本人は、騒ぎのほとぼりが冷めれば、問題の解決が曖昧でも、また中国製の食品を食べるに違いないと考えているのであろうか。
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