国際学どうでしょう

私が気にしている情報のメモ

期待を裏切らない松岡農相

2006-09-30 15:57:03 | 時事問題
吉本新喜劇では辻本さん扮するお爺さんが、ちゃかす台詞を連発し、劇の流れをかき回し、観客の期待を裏切らない。松岡利勝農相も、いきなりパーティー券処理をめぐってマスコミをにぎわせ、皆の期待を裏切らなかった。松岡農相は、昨年12月、出資法違反の嫌疑を受けている関連企業から100万円のパーティ券を購入してもらったが、それをきちんと公表していなかったのである(9月26日に修正報告ずみ)。政治資金規正法によれば、年間20万円を越えるパーティー券を購入したものは、名前と金額を公表することになっている。

政治資金パーティーとは、政治家を激励するために、支持者が集まり、政治資金を寄付するもの。かつて、団体献金の弊害が指摘されたとき、その弊害を是正するために、市民が主体的に参加し、献金するパーティが提案されたこともあったと聞いている。しかし日本では、市民が主体に参加と言うより、企業が、政治献金の抜け道として、多人数のパーティ券をまとめ買いすることとなり、最近では上記のように規制されている。

ところで、週刊文春は6月21日に「安倍晋三の足を引っ張る?「九州のムネオ」松岡利勝」という記事を書いていた(http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20060622-01-0702.html)。さすが文春だ!安倍氏の自民党総裁選をにらんで作られた「再チャレンジ支援議員連盟」に関して、自民党中堅議員の懸念が引用されている。

「松岡さんは正直な人というか、猟官運動の臭いをぷんぷんとさせている。安倍さんとさほど親しい関係でもないのに、昔からの盟友のような顔をして『ああしろ、こうしろ』と議連を仕切ろうとする。あれでは議連が盛り上がらないし、ひいては、ひいきの引き倒しになってしまう」

また同記事では、松岡農相の兄貴分として二人の名前が挙げられている。郵政問題で自民党を除名された亀井静香国民新党代表代行と、斡旋収賄で公判中の鈴木宗男新党大地代表である。

「松岡氏はある意味でこの二人より典型的な族議員だった。ムネオ氏が主導した過去の北朝鮮へのコメ支援問題でも、農林族の松岡氏は安価な外米ではなく国産米を利用するよう主張し、部会で大暴れした。大声で反対者を恫喝する姿が兄貴分とよく似ていることから、付いたあだ名が「九州のムネオ」。」

「族議員」とは、官庁や業界団体の代弁者として働く中堅議員のこと。ここでは松岡氏は、農業団体のために、割高な国産米を北朝鮮に援助するよう強引にねじ込んだということである。また「部会」とは、自民党政務調査会農林部会のことで、自民党内にある政策を議論する機関である。自民党が国会で多数を占めている現状では(参院では公明党の支持が必要だが)、自民党内で議論をまとめれば、案件の国会通過の可能性は極めて高くなる。それゆえに、国会の本会議や委員会の議論よりも、場合によっては自民党内の部会での議論の方が重要になったりする場合がままあるのだ。松岡氏の兄貴分のムネオ氏が、外交問題で極めて大きな影響力を占めていた一つの要因は、自民党の部会を牛耳っていたことが挙げられる。

文春の記事は最後は次のようなオチで括られている。

「ちなみに安倍氏は「拉致問題の解決なくして支援なし」と、これらのコメ支援に猛反対していた。安倍氏がそのことをどう思っているか、などと気に病むほど松岡センセイはナイーブではないようだ。」
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九重佑三子のコメットさん

2006-09-28 20:32:02 | 雑談
Gooから記憶に残るテレビ番組はと聞かれている。テレビとともに育った私としては書きたいことがある。しかしあまりにも記憶が漠然としている。

何を書きたいのかというと、九重佑三子「コメットさん」の中の一話なのである。「コメットさん」とは、どこかの星からやって来た女の子が、人間世界でお手伝いさんとして修行をするというたわいのないお話である。ネットには放映リストもある。放映期間は、1967/ 7/ 3~1968/12/30放送 全79話、TBS系 毎週月曜日19:30~20:00

基本的には、たわいのないホームコメディなんだが、毒を含んでいるものがあった。私の記憶に残っているのは次のような話しだ(残念ながらサブタイトル一覧があるが、どれなのか特定できない。ただパパ役が伊丹十三であったように思うので、第49話以降であるようだ)。

優等生コメットさんが、非常に正直にかつまじめに行動するがために、コメットさんが住み込んでいる家の人々が、次々と様々なトラブルに見舞われるという不条理なストーリーだ。再度言って置くが、コメットさんには何の非もない。しかしコメットさんの行動がきっかけになり、次々と災難がやって来るのだ。ついには死者さえ出てしまう。

もちろん「コメットさん」は、不条理劇ではなくコメディーである。最後にはコメットさんの先生が出てきて、事態を元通りにリセットしてくれて、死んだ家族も生き返る。そして先生は、コメットさんに、正直に誠実に生きるだけが良いのではなく、ときには嘘も方便だと教えるのである。そしてコメットさんは、もう一度やり直し、いい加減に振る舞い、事態は悪化せずに、うまく進むのである。

文字で書くと理屈っぽくなる。しかし、見ていた私にとっては、ビックリだ。パブリックなテレビで、嘘も方便だなんて教えたのであるから。あまりにもビックリしたのでいまだに覚えているが、寄る年波には勝てないので、ひょっとしたら話が他のドラマと混線しているかもしれない。

コメットさん(九重佑三子版)のあしあと

九重佑三子のコメットさん
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尾身じい

2006-09-28 18:58:02 | 時事問題
安倍内閣に対して新聞の評価は辛口であるが、世論調査の支持率は60パーセント半ばから70パーセントと高い。安倍首相や塩崎官房長官の、清新さに対する評価なのだろう。人は見かけが大切なのだ。

ところで安倍内閣の閣僚名簿を見て、よく分からなかったのは財務相「尾身じい」だ。もっとも「尾身じい」(73歳)などと言っても、ちんぷんかんぷんかもしれない。グーグルで探してもあまりヒットしない。中川幹事長が安倍内閣について「塩じい(塩川正十郎元財務相)に代わり、尾身じい(尾身幸次財務相)だな」と戯れに述べたという毎日新聞の記事が検索されるくらいである(安倍政権:「挙党体制」…「仲良し内閣」 もろさ内包、http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060927k0000m010137000c.html)。

さてその尾身財務相の意味なのだが、ニュースが解説してくれている。尾身財務相は、いわゆる商工族であり、安倍内閣が目指す経済成長戦略を体現しているのであるという(経済閣僚は商工族中心の「成長戦略」シフト、増税色を排除、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060926-00000828-reu-bus_all)。総裁選で敗れた谷垣前財務相が、主張していたような、消費税増税を前面に掲げて、厳格に財政再建を主張することよりも、増税を前に出さずに、経済成長をさせる(そして結果として税収の増大をはかる)政策を優先させると言うことなのであろう。

私は経済はド素人である。昔々橋本内閣の行った財政再建政策を熱烈に支持して、同僚の先生から大蔵省の回し者と罵られたトラウマがある。さらに橋本内閣の財政再建政策の結果は惨憺たるものであった。それゆえに「成長戦略」シフトがうまく行けばいいですねと言うしかないのである(総裁選では谷垣氏の主張が、説得的に聞こえたのだが…)。
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派閥均衡の無視

2006-09-27 00:09:39 | 時事問題
小泉内閣以前においては、閣僚任命にあたり派閥均衡の論理が重視された。派閥の大きさと派閥出身閣僚の数を大体において比例させるということである。さらに、閣僚任命にあたっては、各派閥は推薦するべき人物のリストを提示し、首相はそれを基本的に尊重するというルールも存在した。小泉前首相はこのルールを無視した。

安倍首相も閣僚任命にあたり、小泉前首相流を貫いた。すなわち派閥の均衡を重視しない、派閥の意向は聞かないということである。たとえば、津島派は派閥から閣僚推薦候補者を4人提示した。しかし結果として津島派は、閣僚ポストを2つ得ただけであり、かつ推薦候補者のうち結果として受け入れられたのは佐田玄一郎氏だけであった。

確かに派閥均衡はあまり重視されていないようである。派閥の規模と閣僚数の関係は以下の通りである。(括弧内が閣僚数)

森派     85(4)
津島派    75(2)
丹羽古賀派  48(4)
山崎派    36(1)
伊吹派    32(2)
高村派    15(1)
谷垣派    15(0)
河野G    11(1)
二階派    14(0)
無派閥    72(0)

閣僚選定の基準は何かということになるが、公式には適所適材であるらしい。だが総裁選挙の論功行賞の色彩が強いとか、首相と親しい仲間が集まったとか言われている。確かにその通りである。

私が一番「おやっ」と思ったのは、麻生太郎氏が外相に留任していることである。任期満了して退陣する内閣の外相を結果として引き継ぐことになるのだが、このような例はなかった(病気でやむなく退陣の場合、そのまま閣僚を引き継ぐことはあった)。総裁選で第二位を獲得した麻生氏に対する敬意を表するとの意味あいがあるのだろうが、他の重要ポストで処遇することが普通のように感じる。中韓外交の改善を狙うならば、小泉内閣とは異なる人物(かつ中韓に人的なネットワークを持った人物)を外相に据えた方が良いのではと思ってしまう。もっとも中川幹事長が中国共産党とのネットワークを持っているから、それでよしとしているのであろうか?
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朝日記事「ワシントン・ポスト紙社説、安倍氏の歴史認識に苦言」に苦言

2006-09-26 17:06:07 | 時事問題
朝日新聞がワシントンポスト社説を紹介して、「ワシントン・ポスト紙社説、安倍氏の歴史認識に苦言」という記事を書いている(http://www.asahi.com/politics/update/0926/002.html)。

「米ワシントン・ポスト紙は25日、日本の歴史認識の問題について「新しい首相は歴史に誠実でなければならない」と題する社説を掲載した。新首相となる自民党の安倍晋三総裁に対し、「現在の政策は、過去への率直な誠実さに裏打ちされていなければならないことを認識する必要がある」として、その歴史認識に苦言を呈した。
 社説は、小泉首相の靖国神社参拝が「中国など隣国の反日感情を無用に刺激した」と指摘。安倍氏について、東京裁判の正当性に疑問を呈している、戦後50年の村山首相談話(95年)を踏襲していない――ことを例に挙げ、「安倍氏は過去を美化することでは小泉首相を上回る」と懸念を示した。
 そのうえで「安倍氏は日本のプライドを主張することに政治的な利点を見いだしている」とも言及した。日本が南京大虐殺などの過去に誤りがないと公言すれば、近隣諸国との緊張が生じ、「地域の安全保障をむしばむだろう」としている。」
 
 ワシントンポストのウェッブを見ると、該当する記事は"Japan's Future -- and Past
The new prime minister must be honest about history."(http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/24/AR2006092400774_pf.html)であることが分かる。

この記事を読むと、朝日記事はワシントンポストの言いたかったことの半分しか伝えていないことが分かる。

ワシントンポストの記事は、戦後の日本は二つの過ちの間を揺れていたとする。

「日本の左派は過去には誠実であったが、現在には無責任であった。左派は1930年代と40年代の東アジアにおける日本軍が冒した残虐行為に遺憾の意を表明するが、日本が平和主義の殻から出て、国際的安全保障に貢献するのを見るを嫌がってきた。他方右派は、反対の過ちを冒した。右派は日本が防衛のために大きな責任をとることを推進したが、日本の戦争犯罪については美化していた。2001年に首相になってから、小泉首相は右派的過ちを冒す傾向があった。新しく選ばれた彼の後継者、安倍晋三氏は同じ過ちを、さらに劇的に冒そうとしている」

朝日新聞は、ワシントンポストの言うところの右の過ちについて言及しているが、左の過ちについては黙っていることが分かる。ワシントンポストの視点としては、左右の過ちを冒さない日本、すなわち軍国主義の過去を素直に認めて、なおかつ国際的安全保障に積極的な日本を望ましいとするのである。

したがって小泉政権の日米同盟を強化しようとした努力、すなわちミサイル防衛参加、イラクへの自衛隊派遣、北朝鮮への強硬路線は、親米的なものと評価される。その反面朝日の記事に書かれているような、靖国問題や教科書問題が、中国や近隣諸国の反感を不必要に起こしてしまったとするのである。

朝日新聞が安倍晋三首相の歴史認識に疑問を呈するのは理解できるが、外国の権威をご都合主義的に借りてきて、批判するのは良くないのではないか?
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総幹分離

2006-09-26 00:53:40 | 時事問題
昨日25日のお昼のNHKニュースで、「ソウカンブンリ」という言葉を聞いた。すぐに漢字が出てこなかった。自民党三役が決定され、幹事長に中川秀直(森派)、政調会長中川昭一(伊吹派)、総務会長丹羽雄哉(丹羽古賀派)という人事のニュースの中の話である。

よくよく考えれば「総幹分離」という用語を思い出した。自民党内派閥のパワーバランスに配慮して、自民党ナンバーツーとされる幹事長は、総裁派閥から出さないということである。1970年代半ばの三木武夫内閣から始まったと聞いたことがある。

ところが安倍総裁は、今回「総幹分離」に従わなかったということである。中川幹事長は、総裁と同じく森派出身である(もっとも小泉内閣も、安倍氏を幹事長に任命して、「総幹分離」のルールをすでに破っているのだが)。ニュースでは、中川秀直氏が政調会長として改革路線の旗振りを行ってきたことを踏まえて、今後も改革が継続されるということを示すため。さらには中川氏が党内外にもっている太いパイプのためであると解説をしていた。

さらにかつては党内のパワーバランスを配慮して、党三役は大規模派閥の有力者に割り振られるのが常であった。派閥の一覧は次のようであるとされる。無派閥が増え、派閥が拡散されたという感想を持たざるを得ない。(自由民主党・派閥名簿2006)

森派     85
津島派    75
丹羽古賀派  48
山崎派    36
伊吹派    32
高村派    15
谷垣派    15
河野G    11
二階派    14
無派閥    72

今回の党三役では大規模派閥では津島派、山崎派が無視されている。この理由は、総裁でこの二つの派閥が、自主投票とであったことが関係しているという(中川秀氏の人脈に期待…「安倍自民」三役決定, http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060925-00000005-yom-pol)。閣僚人事はどうなるのであろうか?
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派閥と人事

2006-09-25 01:40:07 | 時事問題
小泉内閣が皆を驚かせたのは、閣僚人事で派閥の推薦を無視し、派閥均衡という常識を打破したことであった。今回安倍内閣が出発するに際して、人事における派閥無視という原則を貫けるかということが注目されざるを得ない。

もっとも参議院は派閥ではないということで、青木参議院会長は、安倍総裁に対して、閣僚2人枠の確保の約束を取り付けた(さらに参院枠として副大臣4人、政務官8人)。もちろん具体的に誰を閣僚にするかという話は、なかった。しかしマスコミでは、参院の意向として、若林正俊参院政審会長(森派)と溝手顕正参院議院運営委員長(丹羽・古賀派)の名前が出ている。
(参院の若林・溝手氏入閣へ…2ポスト維持で一致、http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060922it06.htm)

この時点で名前が出るということは、この二人にとって有利なのであろうか、不利なのであろうかよく分からない。この関連で「安倍政権「参院選負ければ死に体」 自民・青木氏」という記事を読めば、閣僚人事などで参院の意向がばっちり通らなければ、来年の参院選に関してどうなっても知りませんよと軽く脅しているように読めなくはない。

「自民党の青木幹雄参院議員会長は22日夕、高知市で講演し、来年夏の参院選について「自民、公明両党で過半数を割れば、せっかく誕生した安倍晋三総裁も死に体の内閣になる。自民党も完全に政権与党として死に体となる」と述べ、安倍氏は参院選の勝利を最優先すべきだとの考えを強調した。」(http://www.sankei.co.jp/news/060922/sei012.htm)

ところで派閥だが、津島派では、閣僚の派閥推薦を復活させたらしい。

「津島派幹部会では、佐田玄一郎衆院議運委員長ら4人を閣僚候補として推すほか、党三役の一角を占めたいとの要望を安倍氏側に伝えたことが報告された。閣僚候補は佐田氏のほか、仲村正治、鴨下一郎、三原朝彦の各氏で、従来型の「派閥推薦」方式を復活させた形だ。」

こちらは参院とは事情が少し違うようだ。

「ただ、安倍氏は人事で派閥の意向を受け付けない方針を明確にしている。特に津島派は自主投票だった上、「7割以上を目指した安倍氏の得票が予想を下回った原因は参院津島派だ」(閣僚経験者)と冷ややかな声もある。」(安倍総裁誕生から一夜 生き残りへもがく派閥 http://www.sankei.co.jp/news/060922/sei002.htm)

ここに名前が挙がった人物には不利になるかもしれない。
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靖国カードの封印

2006-09-20 21:21:50 | 時事問題
読売新聞のウェッブによれば、米紙ワシントンポストは安倍官房長官を、「あからさまなナショナリスト」と論評する記事を掲載したと報じている。(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060919i211.htm)

「同紙は、日本が北朝鮮の核問題や中国の成長などの「脅威」に直面したことが、国家主義的な安倍氏の台頭につながった、と指摘。安倍氏の人気は、北朝鮮問題などで「非常にタカ派的な立場」を取ってきたことに起因するとした。」

読売が指摘している記事とたぶん同じと思われる、"Japan's Abe, Poised to Lead, Offers Nation Vision of Pride"(http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/18/AR2006091801312_pf.html)という記事がワシントンポストのウェッブ版で読める。そこでは、安倍氏が「非常にタカ派的な立場」をとることが支持される根底にある、日本社会の変化が語られている。

安倍氏が北朝鮮のミサイル実験について、基地攻撃論を述べたことに対して、「10年前あれば、このような大胆さは安倍氏の辞職を求める公的な大騒ぎを引き起こしたろう。今日は、そのことが彼の選挙の勝利を保障するのである。サムライが戻ってきたとされるのである。」

その安倍氏が自民党総裁、首相となるわけだが、人気が高いだけに、人気を維持するのは大変だ。小泉首相の靖国参拝も、自分の人気を維持するためのカードの側面があった。国内問題に干渉する中国に敢然と立ち向かうというナショナリズムをくすぐり、国民の半分から支持されることが、靖国に行くだけで実現されるのだから、ある意味効率的であった(もちろん副作用も大きかったのだが)。

しかし安倍氏は、靖国に関しては小泉氏とは異なるスタンスをとるようだ。安倍氏がサプライズの訪中・訪韓をする準備が進行しているということが報じられている。これだけ報じられれば、サブライズでも何でもないし、外交的には喜ばしいことであるが、安倍氏が対中・対韓靖国カードを封印するのは、人気を維持する上では大変なことかもしれない。
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随身听

2006-09-19 00:53:34 | 雑談
昨日は、1931年9月18日に柳条湖事件が起きてから75年目であった。中国・瀋陽では記念行事があり、中国各地では「空襲警報」のサイレンが鳴らされたと報道がされている(例えばhttp://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060918id22.htm)。

中国のヤフーではどうなっているのか見に行った。だが長沙の結婚式場で、9月18日国恥日に全従業員が業務を謝絶した(愛国を口実にして仕事をサボった?)という記事を見つけることができただけであった(http://cn.news.yahoo.com/060917/706/2htjt.html)。記事を見つけられないのは、もちろん私の中国語能力が低いということが原因なのであろう。

そのついでに見た「雅虎(ヤフー)知識堂」の「カラオケはどこの国発祥なのか?」という質問に対する、ネチズン(古い?)からの回答が面白かった。一番良い回答は「日本はストレスが非常に強いので、ストレスを解消する必要があり、それゆえにカラオケがあるのだ」であった。中国でもカラオケは、日本発祥と認められているのを見て安心した。

もちろん回答の中には、受けねらいと思われる、「韓国」「鬼子」「アメリカ」「中国日本矮人特別行政区」などがあった。さらに回答の中には「日本人が自分のものとする発明は、カラオケ、「随身听」、インスタントラーメンである」というのがあった。「随身听」ってなんだろう。検索エンジンで探すと、どうもウォークマンの類(含むiPod)のようである。よくよく考えれば「随身听」とは、身につけて聞くものという位の意味なのだろう。この漢字の使い方にひどく感心した。
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松花江上

2006-09-18 00:12:13 | 歴史
中国の検索サイト百度についての記事をネットで読んだ。百度は中国人の李彦宏さんらが始めたベンチャーであり、中国ではグーグルやヤフーを押しのける勢いがあるという趣旨であった。

もっとも批判もないわけではない。(検閲の問題はさておき)百度は、広告と検索が一体化していて、検索の結果として上位に広告料を支払ったサイトが来る場合がある。例えば「癌」という言葉で検索をすると、百度では癌治療の病院のサイトが上位に来るということである。私の中国語は吹けば飛ぶようなものだが、確かに検索してみるとその通りであった。

百度には「MP3」検索というのもある。これに関しては、訴訟を起こされている。百度自身は著作権を侵しているのではなく、単にリンクを貼っているだけだと抗弁しているという。昔々、中国人の友人に聞いた「九一八」の歌でも検索してみようと思った。(ちなみに九一八は、1931年に柳条湖事件の起きた日であり、日本では満州事変と呼びならわされているものである。中国では満州は禁句なので日付で呼ぶと聞いた)

検索の二番目に出てくる曲は、確かに「九一八、九一八」と歌っている。これはどこかで聴いた覚えのある曲だ。よく考えると「私の家は山の向こう」に似ている。有田芳生さんが書いたテレサテンの評伝『私の家は山の向こう』付録のCDに収録されている、1989年5月、香港での中国民主化運動支持集会ライブで彼女が唄っていた曲だ。

だが相当異なっている。いろいろ調べた結果(といっても私の中国語は吹けば飛ぶようなものなのだが)、これは「私の家は山の向こう」の元歌であり、「松花江上」という題名のものである。松花江はいうまでもなく、満州(中国東北)を流れる大河である。張学良軍が満州事変のため満州を撤退したとき、故郷を思って歌ったものらしい。もちろんその主題は、いつになれば日本帝国主義を追い出して故郷に帰り、家族が一堂に会することができるだろうかということである。いろいろとややこしいことはあるが(「松花江上」が「私の家は山の向こう」になった経緯などはややこしそうだ)本日の分かったことはこれだけである。

The Rise of Baidu (That’s Chinese for Google)
百度に関するニューヨークタイムズの記事

松花江上
ここに歌詞が掲載されている。またリンクをたどって歌のMP3ファイルが得られる。
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