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致命的な悪循環-イスラエルとパレスチナ

2006-07-14 00:11:32 | 時事問題
エコノミスト誌7月8日記事「致命的な悪循環、イスラエルとパレスチナの双方とも事態を悪化させている」。イスラエルとパレスチナの両方に事態悪化の責任ありという論調である。事態沈静化の後に、1967年国境を前提としたイスラエルとパレスチナ国家の共存と対話を提言している。学習のために要旨を記録する。

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パレスチナ人が2週間ほど前にイスラエル人兵士を誘拐して以来、イスラエルは兵士を救うために大胆な行動をしている。彼らの行動はますます度を過ごすようになり、ジラド・シャリト伍長の釈放を勝ち取るようにも思えない。イスラエルは、ガザ全体を占領して、惨めな140万の住民をますます悲惨としている。作戦は誰にとっても益をもたらしていない。

不均衡は明白だ。あるイスラエルの人権団体によれば、先月イスラエル軍は42人のパレスチナ人を殺害した。他方パレスチナ人は2人の兵士と1人の植民者を殺害した。イスラエル人は、一年前ガザ撤退以来、パレスチナ人が南部イスラエルにロケット砲を発射し続けているという事実を引き合いに出す。このミサイルは、過去5年間で8人のイスラエル人を殺害した。イスラエルが敵を空から攻撃するとき、パレスチナ人が被る害とは比べものにならない。

パレスチナ人の目には、囚人問題に対するイスラエルの態度も同様に均衡を失している。誘拐された伍長はパレスチナ唯一の囚人である。イスラエルの獄中には8200人ほどのパレスチナ武闘派がいる。犯罪者もいるが、パレスチナ領土を占領したイスラエル軍と戦ったものもいるとパレスチナ人は強調する。

イスラエルは、先週、パレスチナ政府の閣僚などを逮捕したが、これは誤りだ。イスラエルが、パレスチナ政府をつぶそうとしているとのイメージを強めたのだ。このことはさらにパレスチナ人を硬化させている。

確かにハマスは、嘆かわしいほど、誘拐者奪回に関するイスラエルの感受性を理解できなかった。ハマスの指導者は、イスラエルの暗黙の承認に向かっているが、あまりにもあいまいな話しかしない。誘拐された伍長の扱いに関する柔軟性のなさは、イスラエルをして、ハマスを対話者として受け入れにくくしている。

長期的な問題が重要だ。最近の対決が、行き詰まりの口実にされるべきではない。イスラエルとパレスチナ国家がどこにあるべきかを記すことが重要なのだ。誘拐された若者が無事に帰れば、イスラエル首相は、来年か再来年に西岸の大部分から撤収するという約束の実施を始めなければならない。両国は1967年境界のそれぞれの場所にあるべきである。

イスラエルは、「パレスチナにパートナーがいない」ことを証明しようとしている。ハマスはその主張を裏付けることを助けてきた。しかし長期的にはそうはいかない。オルメルト氏でも他の首相でも、いつかはパレスチナ人と交渉を始めなければならないであろう。ほかに方法はないのだ。
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7月12日に、レバノンのイスラム教シーア派武装組織が、イスラエル北部のレバノン国境地域でイスラエル軍兵士を襲撃して2人を拉致した。これに対してイスラエルは、レバノンに対して強硬な措置をとっている。陸、海、空からレバノンへの攻撃を開始している。
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