国際学どうでしょう

私が気にしている情報のメモ

再チャレンジ支援

2006-08-31 01:07:09 | 時事問題
2007年度予算概算要求がほぼ出そろったらしい。財政再建のためのケチケチ路線が基本である。それだけでなく、安倍晋三官房長官が掲げる「再チャレンジ支援」に絡める項目も目立つという。役人の世界も安倍政権が前提なんでしょう。

人事院では、国家公務員にフリーター中途採用枠を新設するとのこと。バブル崩壊後の不景気で就職機会を逸した30から40代のフリーター、子育てが一段落した主婦が対象。国家III種程度の試験内容で、採用約100人らしい。

この話は切実だ。私のゼミ卒業生でも、ちょっとしたボタンの掛け違えでこの時期に就職できず、今も苦労している連中がいる。具体的に顔と名前が出てくる。

もちろん国家公務員だけでは、フリーター対策は焼け石に水である。安倍氏が議長を務める「再チャレンジ推進会議」では、2010年までにフリーターの40万人削減を掲げている。安倍氏は経団連にも再チャレンジ枠を要請しているようだ。しかしなかなか難しい。

その証拠として「フリーター雇用消極的 経団連調査企業の8割」という記事を目にした。(http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060830&j=0024&k=200608297316)

「企業の約8割が35歳以下の社員の不足を感じながらも、フリーターの採用には大半が消極的であることが、日本経団連の調査で明らかになった。調査は6月、会員企業など2149社を対象に実施し、560社から回答を得た。…

フリーター採用については「積極的に採用したい」は1・6%にとどまり、「採用しない」が24・3%、「採用には消極的だが経験・能力次第で採用したい」が64・0%と、消極的な姿勢が八割以上に上った。」

このような数字が出る背景には、経団連の御手洗富士夫会長が語る事情がある。「就職氷河期の中でやむなくフリーターという人もいる。素質のある人材は採用も検討しなければならない」

フリーターと言っても様々で、その中から人材を発掘するのは手間暇かかって困難であるということだ。要は中途採用のノウハウを高めるということに尽きるわけだから、そして中途採用ということがこれから増加することを考えれば、再チャレンジということで労働流動性を高めることは悪いことではないと思う。
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鬼に笑われるかもしれないが、来年の参院選は安倍内閣の鬼門

2006-08-30 01:20:01 | 時事問題
自民党総裁選は安倍晋三氏の勝利となりそうだ。しかし安倍政権は来年の参院選を乗り切れるのか?私は相当難しいと思っている。根拠は極めて単純である。昨年の衆院選で自民党が勝ちすぎたことに対する反動が来るに違いないという予測である。

昨日場末の居酒屋で行われた宴会でもこの話題が出た。私が上記のことを述べると、宴会に出ていた人々が異口同音に賛成したのには私も驚いた。さらに安倍氏は、小泉氏のように「切れない」から、だめだろうという意見も出た。巷間よく言われている、安倍政権は指導性が発揮できずに、ボス同士の談合的意思決定が復活するに違いないという予測である。これもありそうだ。

さっき配信された河野太郎氏の「ごまめの歯ぎしり」にも次のように書かれていた。

「厚木で山本一太参議院議員といろいろと情報交換。参議院選挙の状況があまりよくないようだ。参議院選挙前の復党問題が取りざたされているが、僕も一太さんも反対だ。あれは単なる政策の違いというのではなく、自民党が改革政党であるかどうかを選んだ路線の違いなのだ。だんだん自民党が内向きになってきたような気がする。もっと国民の方を向いてきちんと主張しよう。」

参院選が大変そうだという認識が書かれている。さらに河野氏が「復党問題」と示唆しているのは、郵政問題に絡んで自民党から追い出された人たちの復党のことだろう。これが安倍内閣の指導性の一つの基準になるかもしれない。

来年の話をすると鬼に笑われるかもしれない。しかし自民党総裁選が面白くなくなった(自民党総裁選の不明確な点は、河野氏が推薦人20人集められるかどうかだけなのですから)。それゆえ参院選の話でもするしかないでしょう。
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万里の長城のくびき

2006-08-27 23:01:04 | 
加藤徹『貝と羊の中国人』(新潮新書)をとろとろと読んでいるが面白い。

本日「へえー」と思った箇所は、地政学の話。15世紀初めの鄭和の大航海が、彼の死後なぜ中止されたのか?そして中国はなぜ、七つの海を征するチャンスを自ら手放したのか?

その理由が「万里の長城のくびき」である。明王朝は、北方のモンゴル民族に備えなければならなかった。中国も海陸の二正面同時作戦を進めるほどの国力はなかった。

「かつて、火薬や羅針盤をいちはやく発明したのは、中国人だった。火薬は十二世紀ごろから、宋軍によって使用された。しかし、中国起源の火薬や羅針盤を改良し、世界を制覇したのは、「万里の長城のくびき」をもたぬ西洋人であった。中でも、幸運な地理環境にあったアメリカ合衆国が、科学技術をリードするようになる。」

この「万里の長城のくびき」は、過去千年で三度消滅した。一度目は、十三世紀の元のフビライの時代。二度目は、十七世紀の清の康煕帝の時代。三度目は、二十一世紀初頭の現代である。

元のフビライは、日本本土を侵略した。東南アジアに海軍を送っている。清の康煕帝は、台湾を中国に組み込んだ。しかしこの二度の海外進出は一時的であった。陸の国境の緊張が程なく復活したからである。

「一九九一年末、ソ連が崩壊した。中国最大の仮想敵国が、自滅したのである。中国は、象徴としての「万里の長城のくびき」から、三百年ぶりに解放された。その結果は、今日のわれわれが見ているとおりである。大陸棚や南沙諸島、尖閣諸島、沖ノ鳥島などをめぐる中国の強硬な主張。中国原潜の日本領海侵犯。台湾回収の布石としての反国家分裂法可決。一連の動きの根底にあるのは、「海へ」という、中国人の千年来の悲願である。

中国は、三度目の正直で、今度こそ永久に「万里の長城のくびき」から解放されるだろうか。それとも、過去の二回と同様に、またすぐ内陸へと引き戻されてしまうのか。

その鍵を握るのは、今後の中ロ関係と、新疆ウイグル自治区やチベット自治区など、内陸部の独立運動である。」
 
ソ連崩壊が日本にとって何を意味しているのか?それは、われわれが今経験しているところである。一番身近なところでは、日本人のロシアに対する関心の極端な低下である(もちろんそれにとどまらないが)。

しかし私は自分の視野が狭く、ソ連崩壊が中国にとっても大きな影響を持っていたのを忘れていた。そのことをこの本は、想起してくれた。


貝と羊の中国人

新潮社

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ニューヨークタイムズ助手・趙岩氏判決について

2006-08-26 21:35:32 | 時事問題
陳光誠氏の記事の最後に、ニューヨークタイムズ助手・趙岩氏判決のことをちょっと書いた。

国家機密漏洩(すなわち江沢民が軍事委員会委員長を辞めることをタイムズに伝えたこと=もっともタイムズも、本人も否定しているのだが=)は、裁判所により証拠不十分とされ、退けられた。

詐欺罪については、趙岩氏が、お金と引き替えに、法的問題を抱えているある人物のために記事を書いて仲介することを、かつて約束したことが問題とされた。結局このため、有罪とされ、懲役3年(すでに拘束された2年を含めるので、実質1年)とされた。

国家機密漏洩で10年の刑も予測できたことを考えれば、この量刑(実質1年)は微妙なものだ。これをどう考えるかであるが、ニューヨークタイムズの記事では、専門家の見解として、詐欺罪は中国当局の「メンツを保つ」ことを助けるものとしている。そんなものだろう。

もっとも趙岩氏は、国家機密漏洩や詐欺の双方について無実を主張しているのだから控訴が行われるのであろう。

Appeal Likely for Journalist at The Times
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陳光誠氏に懲役4年3ヶ月など

2006-08-26 10:43:01 | 時事問題
中国における人権問題に関するニュースが続いているので記録する。

直前のエントリーで触れた陳光誠氏に対して、8月24日、懲役4年3ヶ月の刑が宣告された。この刑は、公共財産の破壊と交通妨害という罪に対するものである。しかし陳氏の支持者の間では、陳氏が昨年準備していた、物理的強制手段による一人っ子政策遂行に対する集団訴訟に報復するためのものであると考えられている。

他方、陳氏釈放のために尽力していた、人権派の法律家・高智晟(Gao Zhisheng)氏は、先週、理由が開示されずに、拘束されたままである。

またニューヨークタイムズの助手・趙岩(Zhao Yan)氏に対して、8月25日、懲役3年(2年の拘束を含める)の刑が宣告された。判決では国家機密の漏洩は取り上げられず、吉林省出身の男から2500ドルを受け取ったことに関する詐欺罪で有罪とされたという。

Blind Chinese Activist Gets 4 Years
趙岩氏の裁判行われる(このブログのエントリー)
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盲目の人権活動家・陳光誠氏の裁判について

2006-08-20 01:49:05 | 時事問題
このブログで取り上げた、盲目の人権活動家・陳光誠(Chen Guangcheng)氏の公判が山東省で8月18日(金)に行われた。

そもそも陳光誠氏は、臨沂市人民政府の物理的強制手段による一人っ子政策遂行に対して、集団訴訟を起こそうとしていた昨年9月に、臨沂市関係者に拉致され、それ以来自宅軟禁されている。

軟禁中に陳光誠氏が、公共財産の破壊と交通妨害を行ったとして訴追された。その公判が18日行われたわけである。公共財産の破壊と交通妨害ということがそもそも茶番であるのだが(だって陳氏は、ほぼ自宅軟禁だったのだから…)、裁判の運営もそれに劣らず茶番である。

公判の前夜、陳光誠氏の弁護人が地元警察により拘束された(もっとも拘束は裁判が終わったあと解かれた)。陳光誠氏の公判は延期されず、代わりに地元の弁護士がつけられた。しかしこの弁護士は、検察に対して異議なしを連発し、結局陳光誠氏が盲目であるゆえ寛大な措置を願うとのみ述べたにすぎない。判決は今月末か、9月初めに出される予定らしい。


中国における弱者の擁護者が権力に楯突く-陳光誠氏のこと(このブログのエントリー)

Chinese Rights Activist Stands Trial After Police Detain Defense Team
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テロとの戦争が自滅的である4つの理由(ジョージ・ソロス)

2006-08-19 02:45:37 | 時事問題
ジョージ・ソロスは、テロとの戦争は自滅的であると断じている。ブッシュ大統領が行っている軍事的作戦に過重に依拠したテロの撲滅作戦が、うまくいっていないと批判しているのである。聞くべきことが多いと思うので、なぜテロとの戦争が自滅的なのかという箇条書きの部分を記録しておく。

第一に、戦争それ自体の性質のために、無実の犠牲者を作り出す。なぜならばテロリストは居場所を隠し続ける傾向があるからである。市民の死、負傷、侮辱は、家族内や共同体内で怒りを生み出し、それがテロリストに対する支持を作り出すことになる。

第二に、テロリズムは抽象である。テロリズムは、テロ的戦術を使うすべての政治運動をひとまとめにする。アル・カイーダ、ハマス、ヒズボラ、イラクのスンニ派の反乱やマハディ軍は、非常に多様な勢力である。しかしブッシュ大統領のテロに対する戦争は、私たちがそれらを区別して、しかるべく処理することを妨げるのである。テロとの戦争のために、イランやシリアとの必要とされる交渉も禁じられる。なぜならばそれらはテロ集団を支持している国家であるからだ。

第三に、テロとの戦争は軍事行動を強調するが、たいていのテロ紛争は政治的解決を必要とするのである。イギリスが示したように、アル・カイーダは、優れた諜報により、もっともよく処理できるのだ。テロの戦争はテロの脅威を高めて、諜報機関の任務を非常に困難にしている。オサマ・ビン・ラディンやアイマン・アル・ザワヒリはまだ捕らわれていない。私たちは、彼らを発見して、攻撃を防ぐことに集中する必要がある。

第四に、テロに対する戦争は「私たち」と「彼らの」間にくさびを打ち込んでいる。私たちは無実の犠牲者である。彼らは加害者である。しかし私たちは、このプロセスの中で私たちも加害者となることに気づいていない。しかし世界のその他では気がついている。これゆえにアメリカと世界のほとんどの間での広いギャップが生じているのである。

A Self-Defeating War by George Soros
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武庫川散策

2006-08-18 02:27:49 | 散歩写真
久しぶりに武庫川を散策して気がついたこと。

1)武庫大橋からやや南に下がったところでヌートリアを見つけた。相当大きかった。真夏なので暑苦しいそうであった。しかし水中を泳ぎだしたが…。


2)阪神電鉄・武庫川駅北側では、高校生らしき人たちがバットの素振りやシャドーピッチングをしていた。宿舎の位置から考えて早稲田実業の選手たちであろうか?


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社頭でお賽銭をチャリンじゃなかったの?

2006-08-17 03:04:39 | 時事問題
8月15日の小泉首相の靖国神社参拝の映像を見て「あれ?」と思った。首相はモーニング着用の上、本殿にあがって祭壇の前で一礼をした。そして献花料3万円を収めた。

昨年10月の参拝では、首相は背広で(我々でも行くことのできる)社頭で一礼の参拝であった。そしてポケットからちゃりんとお賽銭を投げていたのが、すごく印象的であった。あれ500円だろうか?

今回の参拝と昨年10月の参拝の差がよく分からなかった。しかしありがたいことに、ちゃんとマスコミが説明してくれていた。昨年は大阪高裁の判決が出たばかりであり、そこでは首相の靖国参拝が違憲の疑いありと傍論ながら述べられていたことに対する配慮であるらしい。なるべくインフォーマルな形を演出しようと務めたのであろう。

しかし今年6月最高裁が、首相の靖国参拝に法的利害侵害なしという判決を出したために、昨年10月のインフォーマルな参拝から一転して、従前の形に戻ったようだ。首相周辺は司法判断に敏感なんだ。
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Jamaat ud Dawa

2006-08-14 21:15:38 | 時事問題
ロンドンで航空機を利用して自爆テロをくわだてようとして逮捕されたグループが、パキスタンの慈善団体が集めた、カシミール地震救援基金から資金援助を受けていたのではないかとの話が出ているらしい。(Pakistani Charity Under Scrutiny in Financing of Plot, http://www.nytimes.com/2006/08/14/world/europe/14plot.html)

その慈善団体が気になったので、本当によく分からないが、とりあえずメモだけしておく。

団体の名はJamaat ud Dawa。どう発音するのか分からないのでとりあえずアルファベットのままにする。この団体は社会福祉事業を行っている。昨年のカシミール地震のときも救援活動を行い、効率的に援助を行った数少ない集団と賞賛を得ている。上記の自爆テロ未遂の集団がパキスタンに渡航しているが、この救援活動と関係があるようである。

またそれと同時にこの団体は、戦闘的なイスラム集団でもある。ハマスとかヒズボラとかに似ているという。

アメリカやパキスタンの当局者は、Jamaat ud Dawaが、ラシュカレトイバの後継団体であると信じている。ラシュカレトイバは、2002年にパキスタン政府により禁止されている。

Jamaat ud Dawaは、米国、インド、イスラエルに対する聖戦を呼び掛けている。アルカイーダとの直接の関係は避けているが、関連がときどき浮かび上がる。2002年2月にパキスタン当局により逮捕されたアルカイーダのメンバー、アブ・ズバイダは、ラシュカレトイバの隠れ家に潜んでいるところを発見されたらしい。

ラシュカレトイバ(ここのブロクのエントリー)
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