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白紙答案の英雄:文化大革命40周年

2006-05-24 10:58:43 | 時事問題
文化大革命40周年と言うことである。今週のエコノミストでも扱っている。エコノミストの記事は,すでに「溜池通信」さんが扱われている。

溜池通信→かんべえの不規則発言5月20日

文革って何よ?という大変答えにくい問いも当然出るだろう。へまをして権力失墜した毛沢東という中国のカリスマ政治家が,文化大革命ということをスローガンに掲げて,青少年を動員して,自分に反対する政治家をなぶり殺させた一連の事件。結局毛沢東が死ぬまで10年間近く続いた。分かってくれるかな?

エコノミストも言っていたのであるが,文革は,外から見れば悲劇であるより,むしろ喜劇である。もっとも中国に住む者からすれば,悲劇であることは間違いない。建国の英雄毛沢東が,ある日突然,共産党のものすごい偉いさんたちを「反革命だ!打倒せよ!」と叫び、さらに「もっと反対派を見つけろ!」などと言いだしたのであるから。

当時私は子供であるが,しかしその奇妙な様子は、おもしろおかしいニュースとして伝わって来た。子供にも分かった変なことは、「白紙答案の英雄」である。白紙答案を出した学生がほめられ,英雄となったという話である。多分両親がつけていたラジオで聞いていたのだと思う。私の両親は,朝日放送のファンである。

「白紙答案の英雄」は、文献でも確認することができた。張鉄生という人物である。文革も終わりに近づいた1973年彼は,大学の入学試験を受けた。しかし国語は38点,数学は61点、物理化学の問題を見て絶望的になった張鉄生は、答案用紙の裏に当局者にあてた手紙を書いた。「全く心はせいても力が及びません」「大学入学という幼い頃からの理想が水泡に帰すのかとしみじみ思います。」

これが毛沢東のおい毛遠新の目に留まった。そして「遼寧日報」の一面トップにこの手紙を載せ,編集者の,「大学新入生の路線問題について,優れた見識に満ち,深く考えさせられる答案を提出した」という絶賛の言葉を添えた。

要するに、文革中に停止されていた大学を再開させ,中国をまともな道に戻そうとしていた人たちに対する批判のために,この普通のひとである張鉄生が祭り上げられ,利用されたにすぎないのだ。張鉄生は、鉄嶺農学院に入学を許され,共産党党員にもなり,全人代の常務委員にまでなった。

外から見れば全く喜劇的なのである。ところで張鉄生は、今何をしているのであろうか?

参考「毛沢東秘録」 産經新聞社


毛沢東秘録〈上〉

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1 コメント

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張鉄生の今 (まっかつ)
2011-05-18 23:36:42
張鉄生は文革終了後、逮捕され刑務所に入り出所後、化学関係の会社に出資だか共同経営だかで成功してお金持ちになったそうです。
以前、読売新聞のコラムで取り上げられていました。
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