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イスラエルとパレスチナ-「平静になろう」

2006-07-07 00:05:20 | 時事問題
エコノミスト誌、2006年7月1日号記事「平静になろう」の要旨をまとめ、パレスチナ問題の現状について学習する手がかりとしたい。この記事の副題は「流血の再開と悪化の恐怖の中に、希望がまだ明滅している」というもの。

まずこの記事の背景を説明するためのメモから。

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6月25日未明、イスラム原理主義組織ハマス軍事部門などのパレスチナ武装集団が、ガザ南部から掘った地下トンネルでイスラエル領内に侵入。イスラエル軍部隊を襲撃し、兵士2人を殺害、1人を拉致。

26日、イスラエルのオルメルト首相は「人質交換交渉」を拒否し、無条件で兵士を解放しない場合、大規模な軍事攻撃を行うと警告。

27日、パレスチナ自治政府内閣を率いるイスラム原理主義組織ハマスと、アッバス自治政府議長の支持基盤ファタハは、議長がハマスに受け入れを求めている、イスラエルとの2国家共存を事実上目指す文書について合意に達した。

28日未明、イスラエル軍は、戦車など地上部隊をガザ地区南部に侵攻。

28日から29日にかけ、イスラエル軍は、ヨルダン川西岸などで、パレスチナ自治政府を主導するイスラム原理主義組織ハマスの閣僚ら数十人を拘束。人質交換のためとも言われている。

7月2日、イスラエル軍は、ガザ市の首相府空爆を強行。

3日、パレスチナ武装組織は、兵士の奪還を目指すイスラエル政府に対し、解放の条件として4日0300GMT(日本時間午後零時)までに、収監中のパレスチナ人釈放という要求を受け入れるよう最後通告。イスラエルは、この要求を無視。

エジプトの仲介は難航。イスラエルは兵士に危害が加えられた場合、大規模侵攻や、ハマス主導の自治政府内閣を崩壊させることも辞さない構え。

以上が現状。続いて以下が記事の要約。

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イスラエル軍と8000人ほどのユダヤ人入植者がガザから撤収して一年たっていないが、イスラエル軍戦車が戻ってきた。19歳のイスラエル軍伍長ジラド・シャリト氏の運命は、宙ぶらりんのままだ。イスラムの武闘派による彼の誘拐が、最近のイスラエル軍侵攻の直接的原因だ。しかし悲惨と緊張の中でも、少し希望が点滅している。

イスラエルは伍長誘拐に対して荒々しく行動せざるを得なかった。イスラエルは、ガザから南部に降ってくるロケット弾の阻止を望んでいた。エフト・オルメルトは首相、ポストについてまだ余りたっていず、1967年以来占領している、西岸からの論議を呼んでいる撤収を約束しているので、軟弱と見られる余裕はないと確信していた。イスラエルの牢獄からすべての女性と未成年者を解放するとの武闘派の要求を認めることは考えられなかった。しかし彼は抑制を示すべきであった。今までのところ、彼は、戦車が、ガザの沸き上がっている都市部や難民キャンプに侵入することを控えさせている。ハマス閣僚の逮捕が助けになるのかどうか疑問である。イスラエルの、パレスチナの暴力に対する厳しい軍事的反応が、長期的に平和のためになるのかどうか疑わしい。悲運の伍長が、害されずに帰還することに繋がるかどうかも疑わしい。そのためには、外国の外交官の仲介の方が良いように思える。

さらに言えば、パレスチナ政府に対する国際的ボイコットも役に立たないことが明らかになっている。破産して、極端な武闘派を抑えられない、怒りっぽい政府が、平和を構築する用意がないのは当然である。近いうちに、それが、もっと効率的な他の選択肢に席を譲ることはありえない。

しかしハマスが、最小限の必要を認める方向に動いているしるしがある。すなわちイスラエル承認、暴力の終焉、アラファトと彼の後継者アッバスが行った約束の受け入れである。今週、ハマスとファタハが調印した文書が、イスラエル承認を意味するのかどうか議論がある。しかしそれはハマスを正しい方向に動かしている。その文書は、パレスチナ連合政権を呼び掛けている。それは、イスラエルとの仕事をするために良いチャンスを提示していると考えられる。外部世界は、ハマスを忍耐強く引っ張らなければならない。ハマスは、無視するには余りのも多くのパレスチナ人を代表しているのである。

しかしハマスは自ら多くのことを行わなければならない。ハマスは、政権を執るまで、テロ行為を支持してきた。少なくともハマスは、停戦を実施しなければならない。ハマスは、シャリト氏を交渉の札としてキープすることを望んでいるのか、ハマスは誘拐者に対して彼を解放させる力があるのかどうかはっきりしない。彼を拘束すること、あるいは殺害することは、平和の主張を後退させてしまう。そしてハマス、イスラエル政府、イスラエル人、パレスチナ人を益することはない。その結果は、インティファーダを誘発するかもしれない。そしてさらに災厄を引き起こすだろう。
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コメント
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