荻野洋一 映画等覚書ブログ

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『シークレット・サンシャイン』 イ・チャンドン

2008-08-02 18:59:00 | 映画
 Secret Sunshineは「密陽(ミリャン)」となり、これは本作の原題で、舞台となる地方都市の名前でもある。「秘密の陽光」という意味の恩寵的なタイトルとは裏腹に、主人公は常にこの陽光と行き違ってしまい、理不尽な絶望に見舞われる可哀想な女だ。チョン・ドヨンは、本作でカンヌ主演女優賞を受賞したとのことだ。
 『ペパーミント・キャンディ』(1999)『オアシス』(2002)はいずれも陰惨な内容だが、これらを見る限り、私の知識の範囲では、イ・チャンドン(李滄東)は寡作ながら、現代韓国ではイム・グォンテク(林権澤)に次ぐ優れた映画作家だと思う。この新作『シークレット・サンシャイン』は一見、前2作よりかなり劣っているように見えるが、判断は簡単ではない。つらい内容である点は同じだが、どうもフィルム的な輝かしさに乏しい。しかも厄介なのはそれが意図され、周到に抑制された結果としての乏しさに見えてしまう点なのである。一筋縄ではいかない作品だ。



シネマート六本木他で上映
http://www.cinemart.co.jp/sunshine/


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