WOWOWで放送されたスペイン映画『気狂いピエロの決闘』(2010)を見る。
バスク自治州出身の映画作家アレックス・デ・ラ・イグレシアは、本作でヴェネツィア映画祭の銀獅子賞と脚本賞をダブル受賞している。去年に東京でやった〈三大映画祭週間2012〉での上映作は、記録的には「公開作」という扱いになるようである。
一番感心したのは、この邦題。どこかのスタッフがこじつけ気味にふざけながらつけた邦題だろうと思いきや、実際に見てみると本当に邦題そのものの内容である。DV常習犯のアル中ピエロ(アントニオ・デ・ラ・トーレ)がフランコ独裁の恐怖政治を象徴し、これに噛みつく主人公の泣き虫ピエロ(カルロス・アレセス)が過激な反政府テロリストの気分を体現しているようだ。グロテスクな暴力描写(自傷もふくめ)がなかなか。作者がカルロス・アレセスの心情に同化しきっているのは、バスク出身という出自ゆえだろう。
しかしながら、なぜ本作が脚本賞なのだろう? 上記のような象徴作用が社会告発として的確だと判断されたからなのか? それとも、狂うだけ狂う、地獄の哄笑にいたる過激描写に徹した点が、フォン・トリアー評価に近似した受容ポイントとなりえたのか? どうもおしなべて、国際映画祭における評価というものは、私にとってはいつまでたっても解せないというか、眉唾の印象しかもつことができない。実際、ほんのたまにしか良いことをしないではないか。
バスク自治州出身の映画作家アレックス・デ・ラ・イグレシアは、本作でヴェネツィア映画祭の銀獅子賞と脚本賞をダブル受賞している。去年に東京でやった〈三大映画祭週間2012〉での上映作は、記録的には「公開作」という扱いになるようである。
一番感心したのは、この邦題。どこかのスタッフがこじつけ気味にふざけながらつけた邦題だろうと思いきや、実際に見てみると本当に邦題そのものの内容である。DV常習犯のアル中ピエロ(アントニオ・デ・ラ・トーレ)がフランコ独裁の恐怖政治を象徴し、これに噛みつく主人公の泣き虫ピエロ(カルロス・アレセス)が過激な反政府テロリストの気分を体現しているようだ。グロテスクな暴力描写(自傷もふくめ)がなかなか。作者がカルロス・アレセスの心情に同化しきっているのは、バスク出身という出自ゆえだろう。
しかしながら、なぜ本作が脚本賞なのだろう? 上記のような象徴作用が社会告発として的確だと判断されたからなのか? それとも、狂うだけ狂う、地獄の哄笑にいたる過激描写に徹した点が、フォン・トリアー評価に近似した受容ポイントとなりえたのか? どうもおしなべて、国際映画祭における評価というものは、私にとってはいつまでたっても解せないというか、眉唾の印象しかもつことができない。実際、ほんのたまにしか良いことをしないではないか。