荻野洋一 映画等覚書ブログ

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2008年ベストテンの選考

2008-12-28 05:01:00 | 映画
 先日「映画芸術」誌より、ベストテン&ワーストテン選考の依頼が初めて来て、ようやく昨夜になって選んで送り返した。1位に選んだのは北野武『アキレスと亀』だが、これはたけし映画に対する昨今の悪評に反発する意味も加味している。ちなみに黒沢清『トウキョウソナタ』は3位に投じたが、これが1位でもおかしくはない。これ以上ばらすのもなんだから、あとは選評文ともども、発売時に誌面上でご笑読いただければ幸いである。

 それから、生まれて初めてワーストテンというものをこしらえてみて、これほど興奮を掻き立てられる作業だとは知らなかった。「カイエ・デュ・シネマ・ジャポン」誌(休刊)やプロフェッショナル大賞などでベストテンの選考を経験してきたが、ワーストテンを選んでみようという発想はなぜか持ったことがなかった。ラズベリー賞の実行者たちは、こんなエキサイティングな気分を毎年味わっていたのか。そういえばむかし10代の終わりに、『映画はいかにして死ぬか』(フィルムアート社)の巻末に付されていた蓮實重彦の年度別ワーストテンを眺めながら、すっかり興奮させられたことがあったっけ(あれもたしか「映芸」に毎年提出していたリストをまとめたものだった)。
 要らぬ恨みを買う可能性が少なからずあるが、ワースト選考もうまく使えば、批評の一基準として、1年に1回くらいはあっていい儀式ではないかと思った。


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