ちょうど5年前の12月31日。
私は介護職デビューほやほやで
入社2ヶ月、1人夜勤4回目のド素人で
今は亡きハルオが夜中にベッドからずり落ちたために
あたふた、おろおろ、めそめその
年明けを過ごしたのだった。
巨体老人を起こしあげることなど到底できず
まるで添い寝するかのように
床に寝かされた彼に寄り添って
ごめんなさい、ごめんなさいと
朝がくるまで謝り続けたっけ。
そして朝一番に出社した同僚の手を借りて
起こしあげたはいいが
今度は上司にどんな叱責を受けるだろうかと怖くて怖くて
「申し訳ありませんでした!」と
おでこが膝につくくらいの勢いで謝罪したっけ。
あれから5年。
60代になった私は同時に5年のキャリアを有する中堅となり
スキルは上がっていないのに態度だけはデカイ
業界あるあるのオバチャンに成長した。
そして昨夜の夜勤。
「ベッドから落ちちゃった。助けてください」と
94歳のジイさまから非常コールがきた。
はいは~い。今行くから待っててねえ。
もはや私は怯まない。
部屋に行くと、ベッドからずり落ちたらしいジイさまが
床に足を投げ出した格好で座っている。
一応は起こしあげる努力はしてみるが
彼も大きく、足に力がまったく入らないので
非力な私には救助不可能。
でも、私は慌てない、微塵もあせらない。
あと2時間もすれば他の職員が来るから
それまで床で寝ててちょーだいね。
どこか痛い? ああ、痛くない。なら大丈夫。
「ええ? ボク死んじゃうンじゃない?
救急車呼んだ方がいいんじゃない?」
普段から気の弱いジイさまはオロオロしている。
ダイジョーブ! そんなに簡単に死なないから。
とりあえず寒くないようにして
早番が出勤してくるまで何度も顔を出しては
ガンバレ!と声援を送る。
だって、他の利用者のところにも行かなくてはならない。
彼だけに寄り添っていはいられないのだ。
早番の男子職員到着後に、ジイさま無事救助。
その後やってきた上司に、私は平然と言う。
○○様、ずり落ち~!
事故報告書あげておいたから、よろしく~!!!
ああ、ハルオに寄り添ったあの夜が懐かしく、微笑ましい。
5年経って私が図太くなったのも事実だが
転倒やずり落ちにいちいち驚いていられないほど
それは日常茶飯事なのである。
私は介護職デビューほやほやで
入社2ヶ月、1人夜勤4回目のド素人で
今は亡きハルオが夜中にベッドからずり落ちたために
あたふた、おろおろ、めそめその
年明けを過ごしたのだった。
巨体老人を起こしあげることなど到底できず
まるで添い寝するかのように
床に寝かされた彼に寄り添って
ごめんなさい、ごめんなさいと
朝がくるまで謝り続けたっけ。
そして朝一番に出社した同僚の手を借りて
起こしあげたはいいが
今度は上司にどんな叱責を受けるだろうかと怖くて怖くて
「申し訳ありませんでした!」と
おでこが膝につくくらいの勢いで謝罪したっけ。
あれから5年。
60代になった私は同時に5年のキャリアを有する中堅となり
スキルは上がっていないのに態度だけはデカイ
業界あるあるのオバチャンに成長した。
そして昨夜の夜勤。
「ベッドから落ちちゃった。助けてください」と
94歳のジイさまから非常コールがきた。
はいは~い。今行くから待っててねえ。
もはや私は怯まない。
部屋に行くと、ベッドからずり落ちたらしいジイさまが
床に足を投げ出した格好で座っている。
一応は起こしあげる努力はしてみるが
彼も大きく、足に力がまったく入らないので
非力な私には救助不可能。
でも、私は慌てない、微塵もあせらない。
あと2時間もすれば他の職員が来るから
それまで床で寝ててちょーだいね。
どこか痛い? ああ、痛くない。なら大丈夫。
「ええ? ボク死んじゃうンじゃない?
救急車呼んだ方がいいんじゃない?」
普段から気の弱いジイさまはオロオロしている。
ダイジョーブ! そんなに簡単に死なないから。
とりあえず寒くないようにして
早番が出勤してくるまで何度も顔を出しては
ガンバレ!と声援を送る。
だって、他の利用者のところにも行かなくてはならない。
彼だけに寄り添っていはいられないのだ。
早番の男子職員到着後に、ジイさま無事救助。
その後やってきた上司に、私は平然と言う。
○○様、ずり落ち~!
事故報告書あげておいたから、よろしく~!!!
ああ、ハルオに寄り添ったあの夜が懐かしく、微笑ましい。
5年経って私が図太くなったのも事実だが
転倒やずり落ちにいちいち驚いていられないほど
それは日常茶飯事なのである。