ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

しぶとい

2016-09-05 00:35:25 | 日記
たびたび恐縮ですが、今宵もカヨコのお話。
(8/27「心は折れるが…」参照)

昨夜のことである。
夕食の援助でカヨコの部屋にいたヘルパーから
事務所にコールが。

「た、大変です。カヨコさんが、カヨコさんが!!!
誰か、早く来てください!」

職員が急行すると、カヨコが食事のテーブルに突っ伏している。
脈はあるが、どんなに呼びかけても反応しない。
すわっ、緊急搬送!!!

救急車を待つ間ヘルパーから話を聞くと
何口かおかずを飲み込んだところで
突然ス~ッと気を失って倒れたのだという。

どうやら誤嚥ではなさそうだが
だとしたら何なのか!?

ほどなく到着した救急車。
その数分後に慌ててやってきた家族。

夕食時であったため私は他の利用者の世話で忙しく
隙を見て様子を見に行くと
ストレッチャーに乗った顔面蒼白のカヨコが
救急隊員から「おばあちゃん! おばあちゃん、しっかりして!」と
声を掛けられているところであった。

ああ、我がまま老婆カヨコともいよいよお別れか。

立ち上がれないのにトイレに行きたがるアナタの排泄介助は
本当に大変だったけれど…
「バ~カ!」「このへたくそ!」「助けて~!」「虐待だあ!!!」
介護職員をそう罵倒しては
枯れ枝のような腕でつねったり叩いたりと
必死の抵抗を続けたアナタだったけれど…

でもアナタの名言(迷言?)にはずいぶん笑わせてもらったし
愛しさを覚えたことも、なくはない。
そういう意味では心に残る人だった。
愉快な思い出をありがとう。ネタをいっぱいありがとう。
さようなら。さようなら、カヨコさん。

しかし、ジャジャ~ン!
それから4時間後
カヨコは何事もなかったように元気にご帰還する。
検査の結果どこにも異常はなく
おそらく食事をしたことで血液が急激に下がり
脳が虚血状態になったのだろう、という診断であった。

なんだい、なんだい!?
老婆が一人去った館内で、しみじみと夜を過ごしていたのに…
夜間4回の排泄介助を今夜はしなくていいとほくそ笑むこと断じてなく
切ない夜を過ごしていたのに…
チッ、帰ってきやがったか。

それでも女神のような笑顔をたたえ
「カヨコさん、お帰り~。よかったねえ、心配してたのよ」と
声をかけながら排泄介助をする私に
ヤツは言いやがった。
「お腹空いた。お菓子、お菓子!」
それを断ると、ヤツは言いやがった。
「バ~カ、バ~カ!!! あはははは」

カヨコ、健在。
この分じゃ、まだまだご主人のお迎えは遠い。