ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ネタにはなるだろう、私の芸能人遭遇運

2014-08-12 00:23:46 | 日記
たまには介護から離れよう。

同じ芸能人と何度も遭遇した経験については
以前も触れた。
それと似たような話なのだが
今日は“同じ店ですぐそこに”という体験を。

実は昨日のこと。
おっさんと友人の合同誕生日会をしようと
5人で中目黒に飲みに行った。
予約しておいた安い台湾料理店に入ると
そこに、愛川欽也さんご一行が。
最近テレビではお見かけしないが
相変わらずお元気そうであった。

なぜだか、そんな経験がたくさんある。

下北沢の焼き鳥屋のカウンターで飲んでいたら
ふと気づくと、隣に“太陽にほえろ”の“山さん”こと露口茂さんがいた。

新宿通りの裏で飲んでいたら
後ろの席で
今は亡き植木等さんが打ち上げをしていた。

バスケットクラブのメンバーと朝まで飲み
夜明けに立ち食い蕎麦を食べていたら
人気の少ない店の同じカウンターで柄本明さんが蕎麦をすすっていた。

六本木の喫茶店でお茶を飲んでいたら
ネプチューンの3人が隣の席で打ち合わせをしていた。

表参道でコーヒーを飲んでいたら
すぐそばの席で、作家のねじめ正一さんがコーヒーを飲んでいた。

おっさんと結婚記念日を祝うために
気軽なスペイン料理店で乾杯していたら
真隣の席で風間杜夫さんが奥様とお食事していた。

姉と伊豆に旅行しているとき
海辺に近い料理店で人気の海老天丼を食べていたら
背中の後ろで
ロケの休憩中らしい阿藤海さんが同じ海老天丼を食べていた。

友人の作品展を見た帰り
青山大学そばのカフェでわいわいお茶をしていたら
視線の先に、一人で静かに読書する歌舞伎役者の中村七之助さんがいた。

ディスカウントショップで買い物しようとレジに立ったら
後ろにキャップを深くかぶった香川照之さんが立っていた。

TSUTAYAでカウンターの前に並んでいたら
目の前に、内田裕也さんが一般人と同じように並んで立っていた。

店での遭遇ではないが

三軒茶屋駅のホームで電車を待っていたら
肩が触れ合うくらいの距離に古田新太さんが立っていた。

近所を歩いていたら、突然
俳優の小野武彦さん(踊る大捜査線のスリーアミーゴズ)から道を尋ねられた。

すれ違ったくらいならまだまだあるぞ。
でも、もうこのくらいにしておこうか。
どうでもいい話でごめんなさい。

小さな小さなおばあさん

2014-08-09 23:39:21 | 日記
夜勤の22時。
驚くほど頭のクリアな90歳のS夫人が
コツコツと事務所の戸をたたいた。

それだけでも一人夜勤の心臓を縮まらせるのに
S夫人は恐ろしいことをおっしゃる。

「いま、ウチのドア・チャイムが鳴ったんです。
こんな時間に誰だろうと開けてみたら
小さな、すごく小さなおばあさんが立っていらして
外に出たいんです、どうしたらいいんですかって
私に聞くんですよ。
もう時間も時間だから、お帰りになったほうがいいですよ。
そう言って帰っていただいたんですけど
やっぱりどうしても気になって…」

背筋がゾクリ!
小さなおばあさん、ですか?
その方、どんな格好をされてました?

「白っぽいお召し物を着ていらして
肩から腰にかけて、斜めにこう―」

右肩から左腰にスーッと手を持っていったしぐさに
私は身震いする。
それって、戦時中の女性たちがしていた“たすきがけ”スタイルなんじゃ!?
ドラマやドキュメンタリー番組でしか見たことないけど
ほら、戦意高揚のためのメッセージが墨で書かれた白いたすき。
あ、あれを肩からかけた老女が
外に出たいんですと、この建物を彷徨っている~???

私の想像力が、一気に飛躍する。
しかし、その後に続いたS夫人の言葉にひと安心。
「肩から腰にかけて、斜めにこう、ポシェットを下げていらしたわ」

あ、そう、ポシェットね、たすきじゃないのね。

でも、誰よ、出口を探して建物内を彷徨っているらしい
この小さなおばあさんって、いったい誰よ!?

お盆と終戦記念日を目前にして、いささか怯む。
しかし放置はできない。
小さなおばあさんの正体を突き止めなくては。

1階から3階まで、恐る恐る探索してみると…
いた~! 小さなおばあさん、発見した~!
それはつい3日前に入居されたばかりの
確かに小柄なIさんであった。

呼び止めてお話を伺うと
「歯医者の予約が今日だから、行かなくちゃならないの」
とのこと。

もちろん夜10時に歯医者の予約があるわけもなく
あとで確認すると、Iさんが歯医者に行くのは翌々日のことであった。

軽度の認知症に加えて新しい環境に馴染めずにいることから
Iさんの頭は混乱をきたしていたらしい。

お化けと同じくらい夜勤の心を震撼とさせる
夏の夜の老婆の徘徊である。

そのとき私は何を語るのだろうか

2014-08-07 23:25:58 | 日記
入居当時は人気のあった美老女Yさんが
最近、村八分にされている。

理由は、認知症の彼女が語る話の内容。

「長男は立教、次男は慶応。
あなたのお子さんはどこの大学行ってらしたの?」

最初は「まあ、ご立派だこと!」と
ありきたりのお世辞を言っていた方々も
毎日の食事時間にそればっかりを聞かされると
さすがにうんざりする。
認知症だと理解しながらも、相手にしていられなくなる。

そして最近では
彼女の座るテーブルには誰も座ろうとせず
自分たちがいつも座っているところにYさんがいると
「ちょっと、ちょっと」と仲間の袖を引き
ひそひそ話をしながら他のテーブルに行くのである。

わあ、いやらしい!とは思うが
仕方ないか、毎度毎度、息子の自慢話を聞かされながら
誰だってご飯を食べたくはない。

同じ認知症でも
K子さんは、9人制のバレーボールに夢中だった女学生時代の話を
M子さんは、小学生時代の大根畑のおじさんの話を
いつもいつも…。

これも耳ダコだが
みなさん、適当に笑って聞き流している。
決して村八分なんてことはしない。
自慢話ではないから“害”ではないのだろう。

認知症になって繰り返し話すのは
人生で一番輝いていたころの話だったり
一番印象に残ることだったり。

さまざまな記憶が抜け落ちても
宝物のように(あるいは刃のように)心に抱き、繰り返し人に話す
“あのとき”のこと。

私の場合、それはいったい何だろう。
年老いてもし認知症による記憶障害を患ったら
私はいったい何を繰り返し語るのだろう。

こっぱずかしいことを言って失笑を買うのもいやだし
偉そうなことを言って村八分にされるのもいやだ。

願わくば、無口な認知症老女になりたいものである。

祭りの夜に

2014-08-05 00:26:09 | 日記
きのう、おとといと、施設の目の前の公園で盆踊り大会が開催された。

風流人の私は、盆踊りが大好きである。
小さいころから東京音頭や炭坑節が流れると胸が高鳴り
当時子供たちに大人気だったオバQ音頭に酔い痺れたものだった。
しかし、人一倍恥ずかしがり屋であった私。
心とは裏腹に
踊りの輪の中に入っていくことが
どうしてもできなかったのだけれど…。

さて、施設のおじいちゃま、おばあちゃまたちも
盆踊りや夏祭りが大好きらしい。

ちょっと物忘れが激しくなってきた程度の元気な高齢者はおろか
一人では行動が困難なM三郎さんや
ほとんど寝たきりのS子さんまで
盆踊りだ、盆踊りだ!と前日からはしゃいでいる。

動けないとはいえ、油断はできない。
転倒事故を繰り返しながら
これまで幾度も車椅子で“脱出”を謀ったM三郎さんなど
おとぼけジイチャンは特に要注意だ。
スタッフは密かに包囲網を張り
夕食後の彼らの行動に目を光らせたのだった。

しかし、予期せぬところにダークホースが―。

祭りも終わろうとする9時ころ
ウチの住人であるHさん(80代後半・男性)が
お祭りのボランティアに手を引かれて帰ってきた。

「もしかして、こちらの方ではありませんか?
さっきからずっとお祭り会場で“徘徊”されていたんですよね」

無口なHさん。
しかしサービスを利用するほど介護度は高くない。
完璧!とは言えないが
身の回りのことはほとんどご自身でこなしている。
おそらく、他の方々と同じように楽しげな音頭に魅了されて
ふらっと夕食後のお散歩を楽しんでいただけなのだろう。

なのに
口数が少なく、足元が少々危なっかしい高齢者であるというだけで
徘徊老人として送還されしてしまったのである。

わかるけど
顛末を聞いて思わず笑ってしまったけど
老人が夜ぶらぶら歩いていたら“徘徊”と決め付けてしまうのは
そりゃ、失礼だわよねえ。

犯罪者M

2014-08-01 00:27:29 | 日記
お茶目で人気のオジイチャン・Mさんは
たびたび
愛車を颯爽と走らせて外出する。
いや、車椅子を不器用に足漕ぎして脱走する。

行き先は奥様の住まうおうちか
昔なじみのカラオケ・スナック。

いずれも近所だし通報によってバレるから
私たち職員もさほど心配はしない。

カラオケ・スナックに関しては
あとでお金を払いに行かなければならないというのが少々面倒ではあるが
カバさんみたいな愛嬌のある笑顔を見ると
誰も注意する気になれない。
むしろ、楽しそうに帰ってきた彼を
誰もが「お帰り~」と温かく迎えるのである。

そんなMさんが深夜に“お出かけ”するところを
夜勤であった同僚のTが発見した。

「Mさ~ん、どこへ行くのぉ?」

しかし近づいたところで、Tはギョッとする。
Mさん、パジャマのズボンもパンツも履いていない。
股間には、使い古された雑巾が。しかも、もっこりと膨れ上がって・・・

夜勤の疲れで朦朧としていたTは聞いた。
「Mさん、ナニを持ってきたの?」
そしてペロリと雑巾をめくった。
いや~ん。
雑巾をめくったところにあったのは
Mさんの大きな大きな息子さんであった、というわけだ。

このMさん、便失禁をごまかそうとしてパジャマと下着を脱ぎ
このままじゃマズイ!と思ってイチモツを古雑巾で覆い
とりあえず
脱走を試みようとしたらしい。

半裸で、巨大なイチモツを雑巾で覆った車椅子老人・Mさん。
フツーだったら、犯罪だよねえ。