ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

心配性のサワコ、自分に怒る。

2018-02-14 16:55:24 | 日記
サワコはキチンとした人だ。

去年足を折って以来、自立歩行はできなくなってしまったが
人様に迷惑はかけられないと
91歳にして車椅子を自走することも覚えた。
着替えも排泄も人の手は借りない。

入浴だけは援助が入っているが
終了後にヘルパーさんが退室しようとすると
玄関まで見送りながら
「ありがたい、ありがたい。
皆さんのお陰で私は生かされています」と
手を合わせるのだそうだ。

さすがは住職の妻。
(住職だったご主人は去年ウチで静かに息を引き取られた)
こんなキチンとした女性高齢者になれるのだったら
私も仏門に入るか!(無理だ…)

しかしこのサワコには
認知症による激しい記憶障害と悲しい習性がある。

朝昼晩の食事時。
時間に関してはしっかりしているサワコは
毎日同じ時刻に部屋から出てくる。
しかし極度の心配性である彼女は
ちゃんと戸締りをしたか
水道の蛇口は閉めたか
トイレに行ったか
この3点が気になって気になって仕方ない。

だから玄関の鍵を閉めてから
何度もガチャガチャとドアノブを回して戸締りを確認し
さあ食堂へ!となってから
今度は窓が閉まっているか、水は止まっているか
そして自分はトイレに行ったか
そう思うと不安で不安でならなくなり
鍵を開けてもう一度窓と水道の蛇口を確認。
さらに今行ったばかりのトイレに入って
これで安心!と部屋を出る。

しかしドアの鍵を閉めたところで
再びよぎる戸締り、水道、トイレの不安。
仕方なくまたしてもドアを開けて確認行為をする。

これを延々、繰り返す。
だから彼女は、いつまでたっても食堂にたどり着けない。

この間他の方のお世話で
サワコの部屋と同じフロアを行き来していたときのこと。

何度も何度もそうして部屋を出たり入ったりしている彼女を見かけた。
またやってるわあ!と、笑いが込み上げる。
「もう大丈夫ですよ」と言って安心させてあげよう。
そう思って近づこうとしたら
サワコは「だから、私はもうトイレに行ったでしょうよ!」と
自分自身にキーッ!と腹を立てながら
部屋に入っていったのだった。

キチンとしたサワコは
自分が認知症であるとはもちろん認識していない。
けれども自分が極度の心配性であることに
時々イライラ~!!!とするのであろう。