お静かに、父が昼寝をしております/ユダヤの民話/母袋夏生・訳/岩波少年文庫/2015年
イランにすむユダヤ人の間で語られたもののようです。
寒波に襲われた町の様子を見てまわっていた王さまが、薄手のボロを着たユダヤ人にあいます。
ストーブにあたらせながら、男に質問し、正しく答えたら財布の金を半分やろうともちかけます。
人類の祖先アブラハムの母親の名前を聞かれた男は即答します。
半分はお前のものだという王さまに、男は今度は私に質問させてください、質問に正しく答えたらお金は返すが、そうでなかったら、もう半分のお金もください、といいます。
承知した王さまに、男は「わたしの母親は四か月前に亡くなりました。母親の名前は、なんという名前だったでしょう?」と、尋ねます。
もちろん、王さまは、男の母親の名前などわかるはずありません。
男は全部のお金を受け取って、意気揚々と家路につきます。
ユダヤ人のかしこさをしめしている話ですが、この王さまもなかなか太っ腹で、ユダヤ人だからといって排斥しない王さまです。
イランとイスラエルの間は、なかなか大変ですが、イスラム教徒とユダヤ教が共存していた時代があったことに思いをはせてほしいものです。
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