どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ごちそうをたべた上着・・トルコ

2017年09月06日 | 昔話(中近東)

    天からふってきたお金/アリス・ケルジー・文 岡村和子・訳/岩波書店/1964年

 ホジャさん、こんどは何をしでかすと思うと・・・。


 ハリルさんのごちそうによばれたホジャ。ブドウ畑で働いていたホジャは、そのままの格好でハリルさんのところにでかけます。

 ハリルさんの家ではお客がいっぱい。ごちそうに呼ばれたはずなのに、ホジャはテーブルに案内されません。

 せきばらいをして注意をひこうとしますが、いっこうにききめがありません。

 美しく着飾ったお客を接待するのにいそがしいハリルですが、ホジャは無視されます。

 そこでホジャは家に帰って、服を着替え、再度ハリルのところにでかけます。
 すると今度は、食道の一番良い席に案内されます。

 ホジャはみんなが自分をみていることをたしかめると、おいしそうな肉を上着のポケットにいれます。
 そのあとも「上着くん、さあ たくさんたべろ」といいながら、ピラフ、チーズ、イチジクを上着のポケットに入れてしまいます。

 ハリルが上着にいれるのは、どういうわけかたずねると・・・。

 汚れた服を着てたら、わしをテーブルに案内してくれなかった。よそゆきの服に着替えたら、たいそうなもてなしじゃないか。ということは、君がよんでくれたのは」、わしという人間ではなくて、わしの服だったんじゃないのかい?。

 

 外観で人を判断するなというもっともな話。それにしても、ご馳走を上着に食べさせる?ホジャさんの皮肉は、なかなかのものです。

 

 ところで、ホジャが一般的かと思うと、ナスル・エド・ディンという名前ででてくるのが、「ナスル・エド・ディンの晴着」(新編世界むかし話集⑦/山室静・編著/文元社/2004年)。もてなすのがハリルと同じ名前なので、どなたかが、とんちやユーモアのある話を、ホジャという名前で代表させたのかもしれません。


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