まじょのむすめワンナ・ビー/竹下文子・作 種村有希子・絵/偕成社/2019年
文章が長く物語に近い。
まじょのワンナ・ビー(ネーミングの意味が気になる!)のこどものころと、まじょがっこうから向いていないといわれ、そしてふつうの人間の学校へ。
ワンナ・ビーは かしこいから六年分の勉強を三年くらいでできてしまうんじゃないかしらと考えたお母さん。ところがどうしてもうまくいきません。手を使わない折り紙はうまくいかず、箒にのっても地面から三センチしかうかびません。おぼえなきゃいけない呪文は、ひとつも覚えられません。お父さん、お母さんも心配して、まほうをおしえますが、うまくいきません。でも本当のところワンナ・ビーは、できなくてもあまりきにしていませんでした。飛べない箒は、落ち葉を掃くのに役立ったし、花壇にまいた種は、呪文なんかとなえなくても、ひとりでに芽を出し、大きくなって、きれいな花を咲かせました。一年生のさいごのテストもうまくいかず、先生から、まじょのがっこうには、むいていないといわれてしまいます。
たしかにワンナ・ビーは、まじょにはむいていないかもしれない。でも父さん、母さんのだいじなかわいい子どもだということは、すこしもかわらない。これまでも、これからもずっと。
人間の学校でも、ワンナ・ビーは、ひとりで小石を拾ったり、授業中に窓の外を見ていたりマイペース。ところがキャンプ中に嵐になり、雷で全部の明かりが消え、子どもたちが、暗闇の中で、なきはじめたとき・・・。
まじょのがっこうは制服があって、にんげんのがっこうは、制服なし。すぐに、まじょにむいていないとレッテルを張って、長い目で子どもを見守れない魔女の学校も管理が厳しくなっているのでしょう。
暗闇の中で、みんなからは懐中電灯に見えるひかりを光らせたワンナ・ビーは、「かあさん、あたし、まじょになれるかな」と、つぶやきました。
種村さんが描くワンナ・ビーや子どもたちのかわいらしさが目立ちました。ワンナ・ビーによりそう理想的な両親ですが、親ばかなところがでてくるのも、ご愛敬です。