入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「秋」(34)

2023年09月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 秋の空を締めくくる夕焼け、見慣れていてもやはり見入ってしまう。牛の去った放牧地、遠くの山並みが次第に陰を濃くし、残光が最後の力を振り絞らんばかりに燃え出す。そう、まさに「赫奕(かくやく)たる」光を放つ。無音の音に耳を澄ませ、しばらく湧いてくるあれやこれやの思いに時を過ごす。
 
 囲いの中の4頭の残留牛が乏しくなってきた草を食べている。以前より大分警戒心はなくなってきたが近寄れば逃げる。
 きょう、里に下り、配合飼料を持ち帰り、それに塩を混ぜて牛をおびき寄せるつもりだ。どうもこの牛たちは塩だけでは誘いに乗りそうもなく、塩鉢の中には先日与えた古いのが残ったままになっている。塩をあまり欲しがらないのは、今の時季とも関係があるのかも知れない。
 
 残留牛に関してはいろいろと苦労した。大勢で追っても、興奮し、走り逃げ回るようになればまず手の施しようがない。牛と人間では速さも、持久力も競争にならない。
 それでも、死なれるよりかは余程マシで、下牧の日が近くなってから、そういった事故牛が出た時ほどやりきれない思いをすることはない。探しにさがして、搬出できない沢の中で死んだ大きな図体の牛を、幾日もかけて一人で埋めたこともあった。

 今朝はどこも寒かったらしい。薄い真綿のような雲が青空からの鋭い光りを和らげ、時折気にならないほどの風がウメモドキノの葉を揺すっている。
 これから残留牛を少しからかって、それから昨日に続き第2牧区の草刈りをする。そして昼ごろ、きょうは秋日和の中、いつもと違う山道を道草を喰いながら下るつもりだ。

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 本日はこの辺で。

 

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