入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「夏」 (14)

2017年07月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by Ume氏

 朝方は、雨は降っていなかったが霧が深かった。梅雨明けが宣言されてから例年、それを打ち消すかのようにすっきりとしない天気が続く。ちょっと皮肉な気がしないでもない。
 晴れていれば日中の日差しは強いが、木陰に入りさえすればればどうということはなく、ましてきょうのように霧が流れ、灰色の雲が空を覆ったりしていれば、暑さ知らずの一日が約束されたも同然と言ってよかった。
 そんな天気の中、電気牧柵の点検のため小入笠まで登ってみた。登り出してすぐに1か所、そして中腹にもう1か所、やはり鹿のせいで、修理を必要とする箇所を見付けた。鹿には鹿の暮らしがあるのだろうが、この動物には全く手を焼かされ放題である。それでいて、今年も罠猟にはあまり積極的にはなれないでいる。700頭以上もの鹿を直接、間接的に殺めておいて、今更そんなことを言うのは赦されないし、偽善的な物言いかも知れないが、そろそろ鹿を屠る仕事からは足を洗いたい。誰が言い出したのか「殺処分」などという言葉にも馴染めない。 
 牛はまだその辺りには来てないようで、牧草の生い茂る眺めの素晴らしい放牧地にも、そのそばのマーガレットの白い花が一面に咲く丘の上にも踏み後はなかった。
 いつかきっと、この草原にも牛に代わって、人がやってくるようになるだろう。
  
 8月中は、キャンプの場合も、予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。



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    ’17年「夏」 (13)

2017年07月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by Ume氏

「梅雨も明け、下界の暑さをよそに、快適な夏の日々を過ごしているのだろう」
「それっでござる」
「そこは標高1千700メートルぐらいとか、今の時期なら朝か夕暮れかどっちかね、気持ちが良いのは」
「人によって違うでござろうが、某(それがし)にとっては夕暮れでござる」
「ふむー、確か映画にも撮られたほど夕焼けがきれいだとか言っておったな」
「中央アルプスに沈む夕日は、モザンビーク海峡のグリーンフラッシュにも負けぬほどでござる」
「オイオイ、またエライ遠くの話を持ってきたな」
「夕焼けも結構でござるが、夕闇とともに訪れるここの静けさが、また格別でござる」
「お前に静寂はあまり似合わないと思うが・・・」
「知ったのでござる。10年かけてやっと」
「なるほどな。鹿も学習するというからな」
「それにしても、たった3,4日で空木岳と東西の駒ヶ岳の3山を登ってしまった還暦を過ぎた女傑の話を聞きました?」
「ああ、Fさんか。まるでデパート3店でも回るようにな」
「同じ女傑でも、あの代議士とか、畏れながら先輩の奥方とは内容が大分・・・」
「待てまて、それを言われると、・・・頭が痛いのう」
「賢者に悪妻、ですか。クク」

 赤羽さん、いつも音信を寄せていただきありがとうございます。以前に、ショーン・コネリー主演の「ひと夏の恋」とかいう映画が、似た話を扱っていたのを思い出しました。

 8月中は、キャンプの場合も、予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
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    ’17年「夏」 (12)

2017年07月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by Ume氏

 一般に開放されていない専用林道になぜ入ろうとしたのか、人間の手が入らない森や林の奥深さ、奔放でありながらそれなりの秩序も感ずる自然、渓流の長年にわたる自然に加えた造形、そういう心惹きつけるものがこの辺りの中級山岳には溢れていたからだ。その様子をたまたま専用林道から目にしてしまって以来、再訪の思いは募り、強まるばかりだった。
 富士見町が管理する専用林道を出てすぐに、今度は間違いのない国有林の専用道路に入った。その鍵は、当局より貸与され持っていた。だから、H君がいなくても、この林道なら入ることはできたのだが、釜無山登山道の入り口にある、あの立派なゲートを開けなければ、目指す伊那側の小黒川林道には行けないとすっかり思い違いをしていた。
 この林道もよく整備されていて、前回、逆方面から上ってきて倒木に阻まれた場所も確認できた。眼下左手にはいつの間にか、今度は東谷の深い峡谷が見え、最初の時に目にした釜無山周辺の西側の原生林も見えてきた。
 どうやら、あの釜無山登山口の辺りが東と西を分ける分水嶺だったようで、一度は誤ってそれを東に下り、そのままでは到底伊那側には行けぬと知って引き返すはめになった、そんな事の次第が少しづつ呑み込めた。

 観光が地域活性化の手段として語られるようになって久しい。しかし、そこら辺のことは、言うほど簡単ではない。例えばここのキャンプ場は、きょうもアメリカはアイダホ生まれののE氏が来て素晴らしいと褒めてくれた。だが、一番の魅力は、それでよしとしているわけではないが、訪れる人が少ないということだろう。天然の静けさである。
 H君と行った専用林道の静けさも、感動の中の大きな要素だった。だから悩む。ああいう専用林道のもっと別な生かし方もありはしないかと強く思いつつも、問題はその先の心配である。
 

 8月中は、キャンプの場合も、予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

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    ’17年「夏」 (11)

2017年07月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


「H君、このまま進むと釜無川に下ってしまうのではないの」
「うーん、どうですかね」と、iPadをのぞき込む彼もあまり当てにならない。

 一昨日のこと。前から気になっていた専用林道が釜無山の近くにあったが、そこに入るためには施錠されたゲートを開けてもらわなければならず、その機会はなかなか訪れなかった。一計を案じて、この林道の調査を合同でやらないかと町役場のH君に持ち掛けると、彼も釜無周辺の山域には強い関心があり、快諾してくれた。林道の管理は何故か森林管理署ではなく、富士見町であった。
 で、冒頭のような会話になったたのだが、結局、引き返すことにした。ただ誤ったとはいえ、この林道に入ったことは無駄ではなかった。南アルプスの眺望は、期待を遥かに超えていたからだ。
 釜無川が造った広く、深い谷の奥に見えてる甲斐駒の山頂には雲がからみ、荒々しい崩落の爪痕が釜無川の源頭となってその胸元にまで迫っていた。またその右手の奥には、わずかに雪田を残した仙丈岳が悠然とした姿を見せていたが、たおやかなる山々の連なりはそこで終わっていた。
 また、鋸岳、甲斐駒、仙丈を浮かべるように見せている原生林の美しさは、格別だった。多くはダケカンバとシラビソだろうが、落葉松の人工林ばかりを見慣れていた目には、忘れかけていた懐かしい風景だった。
 実は、H君まで誘って小黒川に至る専用林道を行こうとしたのも、南アルプス北端の、この深い原生林を見ることが目的だった、と言ってもよかった。後で分かったことだが、この山域は国有林ではなくて富士見町の町有林で、それでゲートの管理も当然に富士見町、ということで納得した。(つづく)

 写真は逆光で残念ながら諦めた。道はよく管理されていたから歩く分には問題なさそうだったが、ただし、専用林道であって、登山道ではない。これについては明日、もう少し書く。
 きょうは午後からテレビ番組の撮影。

 8月中は、キャンプの場合も、予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。


 
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    ’17年「夏」 (10)

2017年07月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など





Photo by T.I氏

 もういつにかコナシの花は散ってしまったし、クリンソウも大方、その花を目にしなくなった。だから、きょうのPHのタイトルを付けるならば、「追憶」としたい。と言ってもちろん、これらの素晴らしい写真の価値が傷が付くことなど、いささかもない。

 いい風が吹いてる。雲の様子を見ていると、にわか雨でも来そうだが、梅雨明け宣言が出たらしい。豪雨災害の傷跡を深く残したまま、猛暑が日本列島を恣にする。
 
 以前に赤羽氏が白岩岳で負傷した折、搬送のため通り抜けようとした小黒川林道から程久保山までの専用林道を、きょうは富士見町のH君と、逆の順路で再訪した。あの時は倒木に阻まれやむなくコースを変えたため、完走してはいなかった。
 今回も一度目は誤って、釜無川に向かってしまったが、途中で引き返し、1本タイヤをパンクさせた以外は無事に走り終えることができた。これで、六兵衛だか七兵衛だか忘れたが、釜無から程久保、入笠に至る主稜から派生した、4つの峰を持つ台状の尾根の山腹を周回したことになる。
 そのことを書こうとして、外から電話が入り長い話になってしまった。もうきょうは諦めて、夕暮れの中を帰る。
 この季節、まき場の夕暮れほど気持ちが静まり、休まるときはない。
 D橋氏、そして1日遅れてFさん、二人とも無事に空木の頂上を踏めましたか?

 8月中は、キャンプの場合も、予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。


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