Photo by Ume氏
一般に開放されていない専用林道になぜ入ろうとしたのか、人間の手が入らない森や林の奥深さ、奔放でありながらそれなりの秩序も感ずる自然、渓流の長年にわたる自然に加えた造形、そういう心惹きつけるものがこの辺りの中級山岳には溢れていたからだ。その様子をたまたま専用林道から目にしてしまって以来、再訪の思いは募り、強まるばかりだった。
富士見町が管理する専用林道を出てすぐに、今度は間違いのない国有林の専用道路に入った。その鍵は、当局より貸与され持っていた。だから、H君がいなくても、この林道なら入ることはできたのだが、釜無山登山道の入り口にある、あの立派なゲートを開けなければ、目指す伊那側の小黒川林道には行けないとすっかり思い違いをしていた。
この林道もよく整備されていて、前回、逆方面から上ってきて倒木に阻まれた場所も確認できた。眼下左手にはいつの間にか、今度は東谷の深い峡谷が見え、最初の時に目にした釜無山周辺の西側の原生林も見えてきた。
どうやら、あの釜無山登山口の辺りが東と西を分ける分水嶺だったようで、一度は誤ってそれを東に下り、そのままでは到底伊那側には行けぬと知って引き返すはめになった、そんな事の次第が少しづつ呑み込めた。
観光が地域活性化の手段として語られるようになって久しい。しかし、そこら辺のことは、言うほど簡単ではない。例えばここのキャンプ場は、きょうもアメリカはアイダホ生まれののE氏が来て素晴らしいと褒めてくれた。だが、一番の魅力は、それでよしとしているわけではないが、訪れる人が少ないということだろう。天然の静けさである。
H君と行った専用林道の静けさも、感動の中の大きな要素だった。だから悩む。ああいう専用林道のもっと別な生かし方もありはしないかと強く思いつつも、問題はその先の心配である。
8月中は、キャンプの場合も、予約をお願い致します。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」と「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。