入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「初夏」 (16)

2017年06月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日の牛の入牧については、地元紙「信濃毎日新聞」、「長野日報」、そして「伊那ケーブルテレビ」とJA上伊那の広報担当が取材のために来ていた。例年のことである。
 今朝来るときに、2紙を買って読んでみた。写真は長野日報の方が良いと思ったが、どちらも入牧の様子が簡潔な記事にまとめられていた。ただし、入牧頭数が昨日が11頭、すでに10頭が放牧されていることには触れても、その頭数が意味することにまでは言及してなかった。
 事前の知識があれば、昨日上がってきた牛を加えてその全頭数が、この牧場の収容できるわずか10分の1でしかないことを知っただろうし、そうであればその激減した牛の数が示唆する酪農や、畜産の現実もそれとなく読者に伝えることができただろうに、記者たちにはそういうところまでの関心はなかったようだ。

 牛の行動については、今でもよく分からない。孤独の58番は、昨日からあまり移動せず、ダケカンバの林の終わった斜面にいて、その100メートルほど下の草地に9頭の牛がいた。58番は何かを訴えるように2度3度と咆哮したが、下まで下りてきて仲間に加わろうとはしなかった。
 第1牧区には12頭が放牧されているはずだから、あと2頭が足りない。こればっかの牛を探すのは骨の折れる仕事だが、沢を挟んで群から大分離れた別の草地にいた。1頭は和牛でもう1頭はホルスタインだった。9頭の群れの中に、同じ蓄主の牛がいても、同じ群れに入ろうとしない牛たち。

 そろそろ梅雨らしい天気になるようです。営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。


 
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    ’17年「初夏」 (15)

2017年06月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 本日2回目の入牧あり、無事に終わる。頭数は11頭。

 いい天気が続く。セミの声しかしない。ここから見える限り、空には雲一つない。気だるい牧の午後、入牧したばかりの牛の様子を見に第1牧区へ上がっていくと、群れに入れずも人には慣れた牛なのだろう、58番の耳票を付けた1頭が追いかけてきた。牛にしてみればえらく広い、見晴らしの良い放牧地に放り出されて驚き、不安でいたのかも知れないが、これからの短かい4,5年の生涯の中で、ここでの4か月が最も幸福な時だったことをやがて知るはずだ。
 ほとんどの乳牛の一生はそんなものだ。それが家畜として生を得た牛の運命で、われわれはそういうことを他の生き物に強いていることを通常意識してない、というよりも知らない。だから、1パックの牛乳の価値を、正しくは理解してないと言っても、過言だとは思わない。



 山を下りる前にもう一度、上に行ってみた。問題の58番1頭だけが、長い影を引いたモミの木の根元で、夕風に吹かれながら座っていた。誘導を試みたら後を付いてきたので、せめて水場だけでも教えておこうと沢に下っていくと、ダケカンバの森の中で動きを止めてしまった。何度か呼んでいると、向こうの森の方から岩の崩れる音がして、沢の斜面を幾頭かの牛が下りてきた。
 うまい具合に群れに合流できたから、最初の夜を迎えた58番の不安は、これで少しは解消しただろう。

 海老名出丸さま、その方面は疎いので調べてみます。多分、k川さんとはあなたのことでしょう。分かりました。

 そろそろ雨に濡れたクリンソウを見に、お出掛けください。営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください


 

 
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    ’17年「初夏」 (14)

2017年06月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 午前10時半の気温13度、高曇り、少し肌寒いくらいだ。昨夜は上に泊まるも、里に外せぬ用事あり、6時に下り、用を済ませてまた上ってきた。「外せぬ用」などと言っても、バイパス沿いなどに不心得者が捨てた空き缶やゴミを、集落総出で回収するだけのことだが、その世話役になっていたため「外せ」なかったのが理由。田舎で暮らす以上は、こういう煩瑣な用事に耐えなければならない。

 梅雨入りが宣言されてから、それを嘲うかのように好天が続いたが、ついにその季節に相応しいような天気になってきた。 明日また10頭くらいの牛が来るが、長野県内の3大公共牧場の一つとしての入笠牧場の面目は、それでは立ちそうもない。
 畜産や酪農に関する一般の理解が不足していて、そのために乳製品のわずかな金額の値上げが話題になり、問題視される。馬鹿げた話で、こんなことでは、この分野の仕事をしようとする人がいなくなる。そうなってからでは遅い。もっと消費者に、畜産や酪農についての知識や理解を深めてもらうべく努力をすべき人たちが、していない。


    風呂が狭く見えるのは何故?

 4組15人ばかりのキャンパーも、大半が帰っていった。4か所ある幕営地のそれぞれに、1組づつが設営という贅沢な割り振りができ、皆が満足してくれた。それにしても、小さな家を1軒持ち込んだかと見紛うような大テントもあり、驚いた。露天風呂も温もりが持続すると好評だったことは、大書しておきたい。

 そろそろ雨に濡れたクリンソウを見に、お出掛けください。営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください

 
 




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      ’17年「初夏」 (13)

2017年06月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 西山に残る雪が大分少なくなってきた。この辺りでは、中央アルプスを総称してそう呼ぶと以前に書いたことがあるが、一般に木曽駒と呼ばれる駒ヶ岳は「西駒」、同様に甲斐駒は「東駒」である。ただし、南アルプスを総称するのに東山とは言わない。もう少し伊那谷を南に下がれば、南アの3千メートル級の峰々が見えてくるからその地方の人がどう読んでいるかは知らない。ただこの辺りでは千丈岳だけが別格で、北岳もその他の赤石連峰の峰々も暮らしで目にする風景にはないから、西山のような土地独特の呼び名はないのだろう。
 まだ本格的な梅雨は始まっていないが、残雪もやがて雨雲に覆われている間に消えてしまい、そうなれば山の品格までもが一緒に落ちてしまうような気がする。

 大方の欲求は諦めたり、失ったりして今は殆ど始末がついているが、唯一まだ克服できていないと思うのが、美味い物に対する欲求である。こればかりは衰えることを知らない。別段、牛肉のA5とかクロマグロのような高級な食材、料理を欲しているわけでは全くない。ただただ、口に入れて感動できる料理が食べたいのだが、それが何だか分からないので困っている。
 そろそろきょうも山を下りる時間がきて、頭の中は今夕に食べるの美味い物のことが気になりだしてきたというのに、肝心のその美味い物の具体的な料理が思い付かない。飢えるがごとく美味い物を食べたいのだが、その正体が見えてこないから、幻の美味い物ばかりに翻弄されながら、味気なく生きている。

 そろそろ雨に濡れたクリンソウを見に、お出掛けください。営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。






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      ’17年「初夏」 (12)

2017年06月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by Ume氏

 昼の気温は19度あった。そのせいかセミの声ばかりで、カッコーやホトトギスの鳴き声がしなかった。夕方、第1牧区へ牛の様子を見にいったら、ようやく森の中から鳥の声がした。
 牛は風通しのよい雷伝様のそばの草地にでもいるものと思ったら、その下のかなり陽射しの強い場所にいて、それほど熱心とも言えないような調子で草を食んでいた。まだ、塩場まで誘導できるまでには、日にちがかかりそうだ。
 そういえば、囲い罠の中にいるマッキー(=種牛=撒き牛―>マッキー)の様子がおかしかった。妙に興奮したまま近付いてきて、すぐそばで激しく動きまわり、触れてこようとする。突き飛ばされてはたまらないから正対し、大きく手を広げながらそのまま後退したが、それでもマッキーは離れず、首を激しく動かし、あの図体で飛んだり跳ねたりを繰り返した。親しみを表したかったのか、それとも別な意図があったのか、あんな態度は初めて目にした。

 4箇所ある幕営地のA、B、Cの草刈りをひとまず終えた。まだ刈った草は片付けてないが、気になっていたからこれで安堵した。好天がしばらく続くようだから、刈った草は乾燥させてからの方が後の作業は楽になるだろう。週末には予約があり、懐かしい面々も来る。

 海老名出丸さん、赤羽さん、元気になる助言をありがとうございました。今後も面白い企画を考えてください。SNKさん、預かった酒はもちろん、大丈夫です。クク。

 そろそろ雨に濡れたクリンソウを見に、お出掛けください。営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
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