入笠牧場その日その時

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     ’20年「夏」 (12)

2020年06月13日 | 入笠牧場からの星空

Photo by かんと氏

 さっきから、かんとさんのこの天の川銀河と、その左の二つの光の点となって見えてる木星と土星の写真を眺めつ、妄想が拡がる。
 
 もう、あまり記憶にはないかも知れないが、二つの宇宙探査機「ボイジャー1号、2号」が打ち上げられたのは1977年のことであった。あれから44年近くが経つが、その間も、そして今後も、2機の探査機は時速6万1000キロの高速で、無窮の深宇宙をひたすら飛行し続け、これからも続けていく。
 もう2年も以前になるか、ボイジャーが一つの目安である「ヘリオポ-ズ」を通過し、いよいよ太陽圏を離れたということが結構話題になった。探査機がこの域にまで到達し、さらに飛び続けるのは初めてのことで、しかも内蔵された一部の機器は小型原子炉のお蔭で予想を超え稼働し続けていた。
 確かに地球上での感覚からすると、とてつもなく遠い距離ではあるが、しかし、光の速度ならばたったの丸1日の距離でもある(正確にはそれよりも若干短い)。1秒で地球を7回り半する光が、1日をかける距離だと考えれば、この距離はそれでもやはり凄いと頷ける。
 ところが少し視点を変えてみると、これまた驚く話になる。太陽に最も近い恒星ケンタウルス座のアルファ星まで、光速ならおよそ4年少々の距離だが、ボイジャーの速度では、確か7万年とか8万年とかもかかる計算になるはずだ。最も近い恒星でこれだけの距離、それが100億光年の天体さえ発見されているのだから、途方もない話になってしまう。
 
 以前には、ボイジャーを回収するのは見知らぬ宇宙人ではなくて、未来の地球人ではないかということを呟いた。人類がもしもかなりの未来まで存続できたなら、ボイジャーの飛行速度などを遥かに超えた探査機、宇宙船さえも開発できると考えられるからだ。ひょっとすれば、あの量子駆動(Quantum Drive)も実現しているかも知れない。
 しかし、そんな未来まで生き続けることができた人類なら、遠い昔に、様々な夢を託して打ち上げられたこの古い探査機の飛行を邪魔たすることなく、やさしく見守る側に回るのではないだろうか、というふうに考えが変わった。そして、もっとずとずっと先の未来、万年でも、億年でもいいが、期待されていたボイジャーの本当の受取人が、この銀河系の片隅の小さな星から運んできた様々な言語による挨拶を聞くことになる、と空想してみたいのだが。
 あの小さな探査機が、何処から来て、その旅がどれほどの長きにわたったかは、地球の位置を刻んだ黄金のデスクと、ボイジャーの速度が語るだろう。それまでは恐らく、われわれ人類の寿命を遥かに超えて、飛び続けるのだと・・・、そう思えば、健気な二つの探査機に救われる。

 また明日。


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