入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

   ’18年「春」 (32)

2018年04月08日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
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 わが長野県には「信濃の国」という県歌がある。その4番、「尋ねまほしき園原や 旅のやどりの寝覚の床 ー以下略」とあるが、迂闊にも長い間「ソノハラ」とはいずこの原のことか、知らなかった。
 近年の南信州阿智村では、名湯・昼神温泉と並び、「ヘブンスそのはら」が天体観測の適地としてかなりの人気を博しているいることは耳に入っていた。また、この近くの神坂峠、そこを通った「東山道」、源氏物語で光源氏と空蝉の間で交わでされた歌の中に出てくる「帚木(ははきぎ)」などのことは、詳しくではないが知っていた。しかし昨日、その神坂峠に出掛ける直前に、「峠で訪ねる信州」という本にちょっと目を通して驚いた。恥ずかしながらその時やっと、県歌の「ソノハラ」がどこであるかを知ったのだ。「寝覚の床」が県歌に歌われるのは一応分かるが、「園原」が何故に県の歌にまで登場するほど「尋ねまほしき」かは、阿智村の皆さまには申し訳ないが、今も「胸に落ちる」というところまでは至っていない。
 8世紀、「東山道」は主に都からの伝令を目的として拓かれて、伊那谷も通過し、やがては遠く東北まで延伸していったと伝えられている。神坂峠の悪路・難路はいつの間にか都にも知られるようになり、9世紀には天台宗の開祖最澄もこの峠を訪れたという。遠くからは見えても近付けば見えなくなると言われた帚木(=ヒノキ)は、紫式部さまも知っていたほどだから、当時の情報量は決して侮れない。それに比べ今の世に生きていながら、長い間「ソノハラ」が「園原」だったことを知らずにいたのは、県の歌「信濃の国」は遠い昔に歌わされただけとはいえ、些か情けない。
 入笠牧場からの星空の美しさを強く訴えてきた立場からすると、村を挙げての「ヘブンスそのはら」が、地域の観光や活性化にも貢献し、若い人を中心に訪れる人が年々歳々増えていると聞けば対抗心も湧くが、羨ましくもある。天文学に興味を持つ人や、星空愛好家が増えるだろう。また、恵那山や富士見高原に通ずる登山道もあるから、こちらを本命にしようとする人も多かろう。
 万葉に詠われ、都からの種々の指令が通過していった古道、1千年も前の王朝の文学にも登場した南信州の山間にある1本のヒノキ・・・、生憎の雨で村を少し散策しただけで終わってしまったが、この次は古い峠道をゆっくりと訪ね、親しんでみたい。 
 
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