スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

ニクラスのアレンジ・クラス

2007-02-09 23:07:49 | 授業 その他
前回は風邪でお休みだったニクラス。
なので、たっぷり時間はあったはずなのに、出された宿題(コード理論で習った変わったコードを可能な限りつけ、ベースアレンジもして、3部編成の譜面を作りトリオとして練習してくるというもの)を前日にバタバタ大慌てでやって当日は、
「宿題は、練習するもの!れー・んー・しゅー・うー!!!」
とおっきくホワイトボードに書いていた。そうは言うけど、でもねぇ…。

そうそう、ちなみにニクラスは次の土曜のmelodifestivalenというテレビ番組にでます。ラーナリム(Ranarim)というバンドとしてではなく、一ミュージシャンとして。誰かシンガーのために曲を書いたようなことも言っていた。スウェーデン在住の方は興味あればぜひ見てあげてください。

今日は、セブンスコードやマイナー調とメジャー調の違いを簡単にやってから、実際にコードに沿ったハーモニーを考える練習をニクラスの用意してきた譜面をつかってみんなで考える。
端から順番にあてるので久々にドキドキした。
私のこのとを、お辞儀しながら「~さん、では9小節目は?」と言う。もちろん、私はお辞儀なんてしない。第一「~さん」なんて日本語どこで覚えてきたんだ???(←日本で覚えたんでしょうけど)

みんなでやった練習とは
・書かれているコードに沿ってハーモニーを作る
・書かれているハーモニーに沿ってコードをつける
そして、Eklundapolskaをコード進行の違うハーモニーを即興で4通りほど弾いてくれた。「ここはシックス(6度)、ここでタシュ(3度)、ここはクヴィント(5度)」と言いながらかなりの速度で次々弾いていく。すごいなぁ。
面白いなと思ったのは、「5度の和音は連続して使わないように。これをやると中世の曲みたいなるからね」と。
へぇぇぇぇ、中世風って…。

その後は、二人一組に分かれて別室で、楽器を使わず譜面だけでハーモニーを作る。
Jと一緒に、senpolskaを選び、まずはスタンダードなものを考えた。
次に私が「最初はしっかりした出だしで低く始めてその後、盛り上りで高い音にしたい」と言って二人であーでもないこーでもないと言っていると、巡回中のニクラスがやって来た。
私がイメージを伝えて、でも最初に低い音を出してもなんか違うというと、
「じゃあ、こういうのは?」とジャカジャーン!とダブルストップを多用してまさに私のイメージ通りに弾いてくれた!すごいね、さすがニクラス。
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ニッケルハルパの種類

2007-02-08 23:14:00 | ニッケルハルパ

ニッケルハルパの歴史について2019年12月に、ニッケルハルパの種類について2020年1月に、詳しく書きました。

下記、10年以上前に書いた内容は大した情報もあまりないので不要となってしまいましたが、留学中の日記ブログでしたのでこのまま残しておきます。

*********************************

さて、今日は朝からちびっこがたくさんきていた。
4-5歳のちび。
ダンス・コースで何やらチビを使った実験(!?)をしているらしい。
Fika(ティータイム)の前に、私たちは予定外に何か弾くことに。
ポルケットを1曲。それに合わせて、手をたたく子、氷のように直立にかたまりニラミつける子などさまざま。

そう、ポルケットといえば、今日のレッスンではポルカ(polka)とポルケット(polkett)の違いについての話題になった。
ダンスも上手いJが
「ポルケットはちょこまかステップ踏んで、ポルカはおっきなステップで部屋中を駆け回るイメージ」と。
すると、Blekinge出身(スウェーデン南部)のIが
「Blekingeではポルケットをおっきなステップで駆け回るけど!?」と。
一つはっきりしているのは、ウップランド地方にポルカという名前は存在しない。(先生のソニアが断言) 
ポルケットは、細かい16分音符が多いという意見。それと、ポルケットはしっかり歩くような下向きのスウィング感(上に飛び跳ねるスウィングではない)がある、という意見で大体おさまった。

午後は民族学などを教えてくれている、グンナルが来てくれた。
うちの学校では普段仕事をしている人のためにDistance courseというものを開催している。
そのコースが今週末にあり、そこでグンナルがニッケルハルパの歴史と種類について講義をするらしい。
私たちは既にウロフから授業は受けているけど、グンナルは今回特別にストックホルムの音楽博物館(Musikmueet)の保管庫から貴重なニッケルハルパを借りてきているのだ。
私たちも見たいし、先生を変えて同じ話を聞くのもためになる、という訳で急遽来てもらうことに。

展示品ではないので、写真は転載防止に文字入れしています。
左上:左は1910年の作品で初期のクロマティック・ニッケルハルパ(ニッケル部分は実は2列)。右は1700年代のコントラバスハルパで時代を反映したロココ調デザインが珍しい。
右上:1910年のほうのニッケルハルパ。ネック部分に顔が彫ってあり面白い。
左下:コントラバスハルパのlöv部分が釘!(普通はもちろん木)
右下:学校に飾っているエンケルハルパの資料

ニッケルハルパの種類と歴史
このトピックは今は簡単にしか書きません。
理由は、手持ちの資料を読み終えていないこと、数ある仮説と推測の取り扱い、日本語にない固有名詞をどう書くか(訳す?英語にする?発音のまま書く?)、写真と図を添えないと説明が難しいこと、などによりまとめるには時間が必要なので。

古い順番に並べると
1、エンケルハルパ(enkelharpa)
「古いハルパはムーラハルパ(moraharpa)だ」くらいは日本でも知られているけど(ムーラという場所で発見された)、このエンケルハルパのグループに属する。
右下の写真で、左がゴットランド島の教会のエンケルハルパを持つ天使、その天使の右がムーラハルパ。写真の通り、エンケルハルパと言っても形もいろいろ。
エンケルハルパの初期は共鳴弦は無い。
cf.9/14 Church in Tolfta

2、ミクスチャーハルパ(mixturharpa)
エンケルハルパの発展したものでメロディ弦が2本に増えた

3、コントラバスハルパ(kontorabasharpa)
写真左下の通り。一つのニッケルで二つのlövを押えられる。

4、シルベルバスハルパ(silverbasharpa)
2と3が混ざってさらに発展したようなもの

5、コントラバス・メド・ドゥブルレク(kontrabasharpa med dubbellek)
3と4が混ざってさらに発展したようなもの。

6、クロマティックニッケルハルパ(kromatisk nyckelharpa)
現在のニッケルハルパ
(tenorharpa, altharpa, oktavharpa, electricharpa...etc は、このグループ)

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スコットランドと比較したスウェーデンダンス

2007-02-07 23:12:44 | 授業 ダンス
今日の午前はダンスの授業だった。
まずはいつものウォーミングアップ。
簡単な動きを音楽に合わせて繰り返し、気がついたら踊りになっている、といういつものやり方。

、みんなで手をつないで、音楽に合わせて1拍目を左足、3拍目で右足、という要領で進む。
、手もつないだまま足の動きも同じで、後ろ向きになって1の時と同じ方向に進む。
、手をはなし、後ろ向きに進みながら反時計まわり。1小節あけてもう一回まわる。
この反時計周りのターンは2種類ある
--3拍子の各拍子をとる(スリーステップ)
--1拍目と3拍目のみでターン(ツーステップ)

この1~3に慣れてきたら、ペアになって同じ動きをする。

これは、Bakmesというダンス。
英語でbackward(後ろ向き)という意味があるそう。
反時計周りにターンをしながら進む。
12時を前方と時計にたとえるなら、bakmesターンの最初が、9時の方向から6時の方向に向かってぐっと動くのでまるで後ろ向きのような感覚が一瞬ある。でも最初だけで、回り始めるとこの感覚は消える。
それでも時計回りと違ってとてもバランスを取るのが難しい。
相手が回って、次に自分が回る。相手がターンしている間はその場で両足で向きを変えるくらいで、まるで相手がターンしているときの中心棒みたいな感じ。

動きがぎこちないとまた1~3に戻って体に何度もしみこませる。
言葉では教えてくれないのだ。
「踊って、音楽を聞いて、どう感じるか話し合う」という作業を繰り返す。

Bakmesで使った音楽について、踊ってみてどう感じるか話し合ったときに、
みんなは「アップ&ダウンのスウィングを感じる」「速い」と言い、
私が「3拍目に強いビートを感じる」と言った。
すると先生のアンドレスは、私の言葉が気になったようでその後踊っているところを割って入ってきてさらに説明を求めた。
「3拍目は重いビートではなく、はっと息を吸うようなシャープで上向きのリズムを感じる」と言うと、なるほど、とアンドレアス。その後、みんなにリズムを感じるために3拍目で軽くジャンプしてみるようにと指示をだした。

つまり、なんだったんだろ?
その後、fika(ティータイム)で、別の先生ディッテをみつけて早速「Bakmes用の音楽ってどんなの?」と質問。
すると、回答を聞いて納得。
「スプリングレック(springlek)で踊る、またはこのタイプの曲に合わせて踊ることができる」と。
スプリングレック・タイプの曲は、3連符や3連符の変化形であるスウェーデン西部(イェムトランド地方も大分類では含む)、ノルウェイ東部(レーロースの曲など)にある。
なるほど、スプリングレックのspringが「走る」という意味を持つように、確かに速い。そして3拍目は特徴的だ。
体で感じる特徴を言葉で表現するのは人それぞれ。だからアンドレアスは私が口にした表現が気になったらしい。

この時ディッテから、さらに興味深い話を聞いた。
ハンボ(hambo)
ダンスをしている人には当たり前だ!と言われそう。
(日本でスウェーデンのダンスを踊る人は数百人規模だと聞いている)
私の素朴な疑問。「なんで演奏の授業で、ハンボは習わないの?」フェスティバルなどではハンボのダンスはよく踊られる。
すると、「ハンボはガンマル・ダンス(比較的最近作られた形の決まった踊り)で、フォーク・ダンスではない。フォーク・ミュージックを教えるところではハンボは習えないよ」とのこと。なーるほど。

スコティッシュ(スコットランドのダンス)との違い
スコティッシュは、振り付けも決まっていて、ユニゾンでみんなで同じに踊る。つまり、目線は全体に向けられている。周囲と息があっているか、つまりoutward(外向き)の姿勢が伺える、と。
スウェディッシュは(前述のガンマルダンスは含まない)、ペアで踊る二人の世界。スコティッシュのようには、決まった振り付けが無い。その姿勢やエネルギーは、inward(内向き)で、まるで瞑想にも似たものを感じる、と。
このoutwardとinwardを聞いて、本質を的確に表現していると思った

スコティッシュやアイリッシュの演奏やダンスの経験を思い浮かべると納得する。
演奏もそうかもしれない。スコティッシュやアイリッシュは外向きのエネルギーを感じる。
スウェディッシュは、プレーヤー同士がくっつきあうように側に寄りお互いの息使いを感じながらinwardに演奏していると思う(大勢だと無理。でも伝統的には大勢で弾かない)。
これは11/28に書いた(伝統音楽VS伝統舞踊)、ダンスの伴奏をする時との感覚の違いの一つかも。

さて、fikaの後はディッテの演奏で踊った。
まずはレクサンド(Leksand、ダーラナ地方)の曲。続いてレトビック(Rättvik、ダーラナ地方)の曲。で、再び、踊ってどう感じたか話あう。
大方の意見で、「コンスタントなテンションが続き、静かに前方に進む感じ。スウィング感はない」と。
私は「重いドアをゆっくり静かに押しながら開けるみたい」と。
この「ドアを押す」ように自分の中で特定のイメージを思い描けるといい、とアンドレアス。
続いて、ウッシャ(Orsa、ダーラナ地方)、スプリングレックと同じように試して朝はおしまい。
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名付けて「ミッキーマウスマーチ」

2007-02-06 23:50:13 | 授業 その他
今日は学校の調理師が誕生日。白髪の年にみえないので、おそらくもともと白金髪で、白髪と混ざってるのかな。そう思わせるようなとてもきれいなサラサラヘアで、私服もスカーフ遣いなどおしゃれ。午後のFIKAに花をあげてみんな歌うと、泣き出してしまった。

以前、日本では誕生をどう祝うの?と聞かれて困ったことがある。
習慣としては祝わないんじゃない!?と思って。
スウェーデンでは、お決まりの歌(♪100年は生きるよ!)を歌った後、誰かが代表して”4倍長生きを!”(みたいな内容の決まり文句)を言った後、全員でhurra! hurra! hurra! hurra!(フレー!フレー!の意味)と4回いう。そしてカードとプレゼントを渡す。学校や家庭だけではなく、職場でもやる、と言っていた。もちろん全員の誕生日をチェック済みで、数日前から歌うタイミングなど軽く打ち合わせる。

日本は決まった形はない。あるとしたら、ケーキにロウソクを立てて、外国から入ってきた「♪ハッピバースデー」の歌を歌ってろうそくを消す。それか、カットケーキを買う、プレゼントを渡す、くらいでは?由縁は知らないがどう考えても外国くさい。
これをするのは学校のお誕生日会か、外国風のこと(クリスマスとか)をする人々ではないかと思う。
私はしない訳ではないけど、うっかり当日に離れた実家の両親や友人の誕生日を忘れてしまってることがある。その話をこちらでするとびっくりされた。
もし私のこの、日本では昔から誕生日を祝う風習はないという推測が本当だとしたら、それはそれで寂しいなぁと思う。

午後は、演奏と歌の授業。
演奏の授業では名付けて「ミッキーマウスマーチ」について。
これは、「弾きたくないけど、人からお金をもらうなどして、弾いてくれと頼まれる曲」をディッテがこう呼んでいるのだ。
演奏を職業にしなくても、”結婚式で”、”パーティで”、とやたら頼まれるだろう、上手く弾けるようにして自分のもの(アレンジなど)しておくといい、という訳。
これは2/1にvikの学校と音楽交流をしてどうだったか、という話から逸れてこの話題になった。(vikの話とは、こちらは楽器の特徴やアレンジを準備してから行ったのに、あちらは全然。しかもニッケルハルパの特徴を知らずに「適当に長い音をだして」などと言ってくる。ニッケルハルパでシンプルなロングトーンの伴奏は向かないのに、という別のグループの話)

この「ミッキーマウスマーチ」に挙げられたものは、
Gånglåt från Äppelbo, Gärdebylåten, Delsbo brudmarsch, Gotland Brudmarsch, Jämtland burudmarschの5つ。(brudmarschはウェディングマーチ)
このうちGärdebylåtenを使って、それぞれ2、3人づつになりアレンジに取り組んだ。これは私が譜面から覚えた初めての曲。なのでばっちりハーモニーも暗記している。そうディッテ言うと、「それを頭から振り払って自分のをつくってみて」と。それは難しい。コードにそって自由に動くriffのようなものを作ってみたけど、全然パッとしない。

他にもディッテは自分の経験を振り返りながら、アメージンググレースを弾いてくれとか、あれがいい、これがいいと、楽器の特徴を無視してリクエストされてやっかいだ!という話をしてくれた。(アメージンググレースはニッケルハルパに向かないらしい。その時は、代わりにバイオリンで弾いたと言っていた)

私は日本で、普通に楽器の話をしていて、ハカセタロウの情熱大陸のアレを「弾いて」とか「弾ける?」とよく聞かれる。(ちなみに、出だしの♪ターラーララーまでしか知らない)
他には「童謡の”紅葉”とか、もっと一般的な曲も弾いたら?」とも言われる。
でも、クラシックバイオリニストのコンサートに行って、”♪ババンバ、バンバンバン~(8時だよ全員集合!)”を突然弾き出したらびっくりするでしょう。「場がなごむ」という点ではメリットなのかな。普通の曲も弾いたら?と言う人の多くは、このジャンルの音楽が苦手なのかもしれない。
結局は、友人の結婚式とか、イベントで弾くとか、ケースバイケースで答えはないのでしょう。
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国際小包、要注意

2007-02-05 23:24:10 | 授業 楽器
(学校のPC自体が不調で閉鎖されていました)

今日はせっかくウロフの授業だったのに上の空。

なぜかというと、日本から送ってもらった小包が届かないのだ。
話はもう少し複雑。
中身は食品。おもち、きな粉、あとはレトルト類で、首をながぁーくして待っていた。
それと、ドラッグストアで売っている軟膏も。
送ってくれた人が内容物の欄に軟膏のことをmedicine(医薬品)と書いてしまった。
すると、スウェーデンは全てのmedicineは輸入禁止物なので、みごとに税関(と呼ぶのか分からないけど)でひっかかった。
速達で送ってもらったのに1週間以上たっても届かないと思ったら、ある日「違法輸入の医薬品が含まれているため、1、送り主に戻す 2、処分する の二つから選んでください。」という手紙が届いたのだ。選んでサインして返送するようになっている。
ええ!?きな粉餅にしようか砂糖じょうゆにしようかと空想にふけって待っていたのに…。特に和食派という訳ではないけど、大のダンゴ好き。お餅も好き。ショック…。後からいくらかかったのか送料を尋ねたら7千円もかかったって言うし、これは引き下るべからず!

果たして、medicineが何をさすのか。
輸入(importという単語を使っていた)と言っても、個人による使用だし。第一、医薬部外品みたいなもの、処方箋のいらないものもmedicineになる?
頭の中は?でいっぱいだったので、手紙の差出先オフィスに電話した。もう1週間も前の話。電話で事情を説明すると、「小包を開けて確認していいか?」というので「どうぞ」。結果は、OK。すぐに送るというので、話せば分かるのねと、首をながぁーくしてさらに1週間待った。でも何も届かない。

校長先生によると、頭痛薬ですらスウェーデンでは処方箋なしでは買えないらしく、外国とスウェーデンでは医薬品の取り扱い基準が違うという話を聞いた。
何か問題があるのか(やっぱりダメとか、開封後に紛失とか)再びどうなっているのか、さっそく朝一で問い合わせた。返ってきた返事は「分かりません。1時間以内に電話します」と。
え?「分からない」って何?
授業中も携帯を見つめていたけど、いくらまっても電話なんてかかってこない。

という訳で、ウロフの授業に身が入らなかった。
上の空でもちゃんと話だけは聞いていた。今日の内容は、
・イェムトランド地方のポルスカ(Årepolska)
・3連符のかなり厳密かつ高難易度のボーイング練習(誰もついていけなかった)
ちなみにイェムトランド(Jämtland)の曲は3連符が特徴。
・dubbelgrep(和音の練習。A、F、G、C、Dそれぞれの調で全て和音でスケールを弾く)
・左手の指の練習。膝の上で。「人差し指+薬指」「中指+小指」を交互に、リズミカルに動かす(指で膝を叩く)。
ヤリヤリ・ストローク(Jarri jarri stråk)というヘルシングランド地方のものすごく変なボーイング。アコーディオンみたいに聞こえる。手首はカクカク、弓はペンのように持つ。伴奏に向いているそう。
ウロフは時々かわったことを教えてくれる。前回は、「ショッピング、ショッピング」というので何かと思ったら、英語の「chopping」だった。スウェーデン人は「チョ」という発音が難しいみたい。日本では何と言われているのかな。ブルーグラスやジャズバイオリンなどで使われていると思う。弓で弦をガシっとえぐるように叩く奏法。
・各自作ってきたショティシュのステンマ(ハーモニー)を発表し、ウロフがコメント。

そして夕方になり、トボトボと外を歩いていたら滑って転んだ。
さらに、気分はブルー。最近、急に暖かくなり雪が全て氷に変わってしまったのだ。
スウェーデン人が17時には仕事を終えて家族みんなで晩御飯を食べれるわけが分かった。つまり仕事をしないのだ。サボる訳ではない。定時までにやって終わらないことは明日やる。そうそう、もう一つ、ネットで注文した本も2週間たっても何も音沙汰ない。
スウェーデン人に指パッチンしながら「Oh yeees! スウェーデン人は何でも遅いからね」と言われた。
アメリカ人には「スウェーデン人は日本人より待つことに辛抱強いと思う」と言われた。せめてそれが「いつ」と分かれば待てるのに。
と、イライラするうちに電話がなった。
「担当者が荷物を送るのをすっかり忘れていて、ずっとここにあったみたい」と。あきれるよりも「これでやっとお餅が来る!」と、すっかり機嫌は直ってしまった。

ただ、スウェーデンでは、小包類は、送られてきた通知書を持って自分で郵便局に取りに行くというシステムなので、実際の受け取りまで数日かかる。
今度こそ本当に届くといいけど…。
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ニッケルハルパ製作

2007-02-03 23:27:35 | 楽器製作
エスビョン・ホグマーク(Esbjörn Hogmark)のもとで、ニッケルハルパ製作をはじめた。
もともと本職が物質科学のエンジニア(大学でIC回路の先生もしている。電力関係など国のプロジェクトのマネージャーなどコンサルト的なことも。次は医療と回路を応用させるプランがあるなど、常にマルチに活躍)なので、緻密な工程に独自の工夫を重ねている。
また、プレーヤーとしてもリクスペルマンというタイトルを持ち腕も確かなので、製作の工夫を確かな耳で確認でき、最高級のニッケルハルパ職人という評価を手にしたのでしょう(製作楽器の審査員、スウェーデンのプリンセスにも献上)。学校の名前にもなっている故Eric Sahlstromと共に演奏し、そのスタイルを受け継いでいる貴重な人でもある。
エンジニア、楽器製作、プレーヤー、どれかが本職でどれかが趣味という訳ではなく、全ての道で極めている。ダヴィンチ並みの天才!?ではないかと思う。
また、私が今いる学校を創設した3人のうちの一人でもあり、言ってみれば私が今スウェーデンにいるのはエスビョンのおかげ。

枠が製作過程で一番難しいらしく、この部分はエスビョンがやってくれた。
製作キットを買う場合もこの出来上がった枠から送る場合も多いのだそう。
エスビョンは毎年ではないが製作コースを開いていて、本来は全ての過程を教える。
本当は枠から習うべきなのだろうけど、今回は諸事情で開始が遅れたのと私の帰国に間に合わせるために組んだ特別プランなので、枠以外でもかなりの部分をエスビョンがやってくれることになっている。
なので、どのくらい製作過程に私が手をだせるかは、私の残り時間とエスビョンの都合(多忙を極めている人なので)による。

私の将来の目標としては、
1.製作キット(デザイン、板、CD-ROMによる写真解説付き)から作れるようになることと
2.構造や仕組み(力学的、音響学的な側面)を理解した上で微調整ができるようになること。
わずかにいじるだけでも全体の音色に影響することはすでに体験済みなので、この辺をもっと知りたい。

この日の作業は、荒削りな枠(4つのパーツをくっつけている)を整えていくところから。
材料となる木(Spruce)は、10年ねかせているらしい。
粗い枠にさらに鉛筆でカーブを書き、防音耳あてをつけさらに電動糸のこぎりで切り落とす。細かい部分は各種ナイフで削る。ざっと電動やすりで磨いた後は紙やすり(150と220)でひたすら丁寧に磨いていく。一番もろい段階なので下手な力をいれると割れることがあるらしい。木に触れているとなぜか平穏な不思議な気持ちになる。

そんな穏やかな気持ちで作業にふけっていると、以前にも書いた犬のような猫が入ってきた。(「犬のよう」は見た目ではなく行動)
でも、この子、今日は猫っぽかった。
やすりをかけている私の膝に登ろうとして爪をむきだしにガシっと突き立てる。「いたーい!やめて」と両腕をつかんでおろすと、喉をごろごろ言わせて反対側へ。
再び、爪でガシっ!「いたーいってば!」と両腕をつかみジーンズに刺さった爪をそうっと抜いて再び下ろす。何度やってもやめてくれないので、近寄れないように、ひじをはってがーっとやすりをかけたら、あきらめて隣の机の上に登った。「ふん。やっとあきらめたか」と思ってふと手を休めたら。えぇっ!?猫って一体どういう生き物?飼ったことがないので意図が読めない。
机から私に向かってジャーンプ
膝の上で丸くなりたいのかと思ったら、さらに私の鎖骨に爪をガシっとかけ、這い上がってくる。痛い!痛い!この猫どこまで行きたい訳?頭の上?
お腹をつかんで引き剥がしたら、機嫌を損ねたようで出て行った。助かった。

ところで、エスビョンは工具類のほとんどをドイツの会社から買っている。ネットでも買える。
メーカーの違う似たようなナイフを数本ずつ持っていてまるでコレクションのよう。どれがいいモノか試すために沢山買うらしい。製作過程のこの部分に向いていると思えば、仲間の職人に広めるし、記事をかいたりもするのだとか。

そういえば、楽器製作用の作業台は、使いやすいよう工夫がほどこしてある。これはエスビョンの発案でメーカーに作ってもらったそう。高さも調整できます。もちろん商品として販売されているもの。
(ドイツ製で似たものがあるけど強度面で使えないと言っていた)

ランチもごちそうになった後、少しだけ弾いた。
ニッケルハルパについてのPresent & Pastという本があり、その中で「エスビョンがゴットランド島のSvanpolskaなど違う地方の曲をニッケルハルパで弾くという可能性をもたらした」という記述があり、Svanpolskaは好きな曲だったのでいつか聞こうと思っていたのだ。svanは白鳥。音楽スラングで、フラジオレットの意味もある。このフラジオレット部分のフレーズは、G線上でやるのがトリックだと教えてもらった。なーるほど。意外に簡単に音がとんでくれる。

今日はうちの学校の建物をつかってTierp stämmaがある。なので、夕方にはきりあげて学校へ。
ステンマ(stämma)とは、プロ・アマ・楽器を問わず、誰もでも弾いたり踊ったりできるフェスティバルのようなもの。Tierpは町の名前。たいていは、夏に屋外であるが、冬はどこかの建物を借りて行われる。

写真
左上:外枠、表板と裏板(表板のみドイツ製。スウェーデンは幹が細いので幅が取れない)
右上:各種ナイフを駆使して削っていく様子。
左下:カメラを向けるとあっちを向いてしまう猫
右下:ステンマの風景。トイレ前で。あちこちでみんな好きに弾いてます。
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久しぶりに帰ってきたウロフ

2007-02-02 23:22:36 | 授業 その他
ウロフがニューヨークとスコットランドのコンサートを終えて久しぶりに帰ってきた。
実は先週の金曜が誕生日だったらしく、今日はみんなで誕生日の歌を歌ってカードとプレゼントをあげた。
プレゼントは犬のお腹に磁石が入った小さなマスコット。
犬(hund、フンド)とbondopolska(ブンドポルスカ)のbondをかけている。そして、bondpolskaのリズムを「ぼふ、ぼふ、ぼふ」と教えてくれて、それが犬がほえているみたいといつも私たちが言っていたことからこのプレゼントにしたのだ。

今日も色々やったけど、ドキドキしながら待ち構えたのは宿題の、各自D-ドリスク・スケールで作ったショティシュ。みんなのを聞くと、「タッカ、タッカ」というリズム派と「タカタカ」というリズム派に分かれた。(私は後者)
そして、一人、7拍子の不思議な曲を作ってきていた。
「うーん…それはショティシュじゃないね」とウロフ。
(ショティシュは2拍子)
みんな自分のを弾くと、続いてウロフも一曲作ったのを弾いてくれた。

さて明日は大きなイベントがこの学校で開催されるので今からインターネットルームを閉鎖するそう。再オープンは日曜か月曜。
待ちに待った楽器製作もイベントの前に少し進める予定。
その話はまた来週。
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3拍子と一般的スウェーデン人の関係

2007-02-01 23:53:56 | 授業 その他
Wik, Wiik, Vik(ヴィーク)などのスペルを見かけますが、バス停はVik
今日はWikの学校との音楽交流の日。

今までVikのお城でイベントするのだと誤解をしていた。
「Wikにはお城がある」「そこにある学校と交流する」
確かにそう言われた。
ただ、「そこにある」とは”Wikにある”という意味で、”お城にある”ではなかった…。とりあえず、その学校の目の前にお城があるのでその写真。
写真左は朝、右は夕方
前に書いたけど、このお城、建物は修復を重ねているのでさほど古くないけど1200年代から始まる歴史を持つ(ウプサラの果てのディフェンス塔だった)。

相手の学校について、まずはグループごとに分かれた。
相手は、ドラム、ベース、ギターと歌。相手側の用意した曲は、Åsa Jinderというニッケルハルパも弾くポップスシンガーの曲。気を遣ってくれたようで、それもワルツだった。
(ちなみに、スウェーデンでもニッケルハルパを知っている人は少なく、「ほら、Åsa Jinderが弾いているアレ」と言うと何となく分かるという場合が多いらしい)
かわいらしいワルツをかわいらしく弾いた。
歌がメロディを歌う上に、私たちニッケルハルパにも「メロディで」と言われたので、いたってシンプル。
でも、事前に指導を受けたマッツ先生によると、「人数が増えれば増えるほどアレンジはシンプルにしなさい」とのことだったのでこんなもんなのかな。

次に、私たちが持ってきた「Lappkungens polska」も試してみた。
この曲は「ラップランド(地方)の王」という意味。
友人による個人的な解釈では、ラップランドの王とは一般的に「山の王」を指すことが多く、トロールなどの怪物をイメージするというのだ。
言葉の意味はさておき、確かに荒々しい古代の王がゆっくりどっしりと歩いている雰囲気の曲だ。だから、あえてこの曲をチョイスした。スローテンポのへヴィメタ風にできそうだと感じたのだ。
出だしは、歌(歌詞はないので♪Tralaと歌う)とベース、ニッケルハルパのカチカチ音(弓を使わない)のみで始まる。
次に、ニッケルハルパが静かに入ってきて、激しいドラムソロ。
で、一斉に荒々しくジャカジャーン!という風に。
最後は初め同様、静かに終わる。コードも一生懸命考えたわりに、ギタリストは独自のコードを付けていたので口出ししなかった。

最後はグループごとに演奏。一グループ、ガルマルナ(Garmarna)のような怪しげな雰囲気を持つロックに仕上げていて秀逸なものがあった。
そのグループの友人とランチで話していたら、相手側のメンバーはフォーク音楽で使うbordun(英語ではdrone/ドローン)が理解しにくいと言っていたらしい。そのbordunを駆使して怪しげな雰囲気に成功していたので、最終的には相手側メンバーも楽しめたんじゃないかな。

ちなみにうちのグループのシンガーは「1と3拍目にアクセントがあるのが歌いにくい」と言っていた。(これがポルスカの基本。ロックやポップスにはない)
それでも3拍子自体に違和感がないというのはやはり国民性。

以前、私は日本で最後の一曲だけをロックギタリストと合わせたことがあって、その時に「3拍子!?弾いたことない!わからない!」と言われた。まぁ、1曲くらい何とかなるだろうと思って強行。すると強行作戦失敗でリズムがぐちゃぐちゃ。「あーあ…」と思っていたら終了後、聞いていた人に「ギターがあった方が良かった」と言われてショックを受けた。
ひょっとして、お客さんはギターの2拍子のリズムが正しくて私の3拍子のほうがズレてたと思ってたりして。
それか、2拍子の23拍子の3のどちらでも割り切れる12小節のフレーズだったから案外気づかれてないとか!?

話を戻して、心配した私がマッツ先生に「3拍子と一般的スウェーデン人の関係」を質問したところ、「サンタの歌をはじめ子供の歌、ピッピなどアニメの歌、なんでも3拍子の歌で育ってきたスウェーデン人は、3拍子を体で理解できる」と言われた。
日本の童謡となると「♪ずいずいずっころばし・・・」「♪しょ、しょ、しょじょーじ」「♪ゆーきーやコンコン」。3拍子がなかなか出てこない…。

追伸:昨日(1/31)のFolkhögskolanについて追記しています。
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