スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

スコットランドと比較したスウェーデンダンス

2007-02-07 23:12:44 | 授業 ダンス
今日の午前はダンスの授業だった。
まずはいつものウォーミングアップ。
簡単な動きを音楽に合わせて繰り返し、気がついたら踊りになっている、といういつものやり方。

、みんなで手をつないで、音楽に合わせて1拍目を左足、3拍目で右足、という要領で進む。
、手もつないだまま足の動きも同じで、後ろ向きになって1の時と同じ方向に進む。
、手をはなし、後ろ向きに進みながら反時計まわり。1小節あけてもう一回まわる。
この反時計周りのターンは2種類ある
--3拍子の各拍子をとる(スリーステップ)
--1拍目と3拍目のみでターン(ツーステップ)

この1~3に慣れてきたら、ペアになって同じ動きをする。

これは、Bakmesというダンス。
英語でbackward(後ろ向き)という意味があるそう。
反時計周りにターンをしながら進む。
12時を前方と時計にたとえるなら、bakmesターンの最初が、9時の方向から6時の方向に向かってぐっと動くのでまるで後ろ向きのような感覚が一瞬ある。でも最初だけで、回り始めるとこの感覚は消える。
それでも時計回りと違ってとてもバランスを取るのが難しい。
相手が回って、次に自分が回る。相手がターンしている間はその場で両足で向きを変えるくらいで、まるで相手がターンしているときの中心棒みたいな感じ。

動きがぎこちないとまた1~3に戻って体に何度もしみこませる。
言葉では教えてくれないのだ。
「踊って、音楽を聞いて、どう感じるか話し合う」という作業を繰り返す。

Bakmesで使った音楽について、踊ってみてどう感じるか話し合ったときに、
みんなは「アップ&ダウンのスウィングを感じる」「速い」と言い、
私が「3拍目に強いビートを感じる」と言った。
すると先生のアンドレスは、私の言葉が気になったようでその後踊っているところを割って入ってきてさらに説明を求めた。
「3拍目は重いビートではなく、はっと息を吸うようなシャープで上向きのリズムを感じる」と言うと、なるほど、とアンドレアス。その後、みんなにリズムを感じるために3拍目で軽くジャンプしてみるようにと指示をだした。

つまり、なんだったんだろ?
その後、fika(ティータイム)で、別の先生ディッテをみつけて早速「Bakmes用の音楽ってどんなの?」と質問。
すると、回答を聞いて納得。
「スプリングレック(springlek)で踊る、またはこのタイプの曲に合わせて踊ることができる」と。
スプリングレック・タイプの曲は、3連符や3連符の変化形であるスウェーデン西部(イェムトランド地方も大分類では含む)、ノルウェイ東部(レーロースの曲など)にある。
なるほど、スプリングレックのspringが「走る」という意味を持つように、確かに速い。そして3拍目は特徴的だ。
体で感じる特徴を言葉で表現するのは人それぞれ。だからアンドレアスは私が口にした表現が気になったらしい。

この時ディッテから、さらに興味深い話を聞いた。
ハンボ(hambo)
ダンスをしている人には当たり前だ!と言われそう。
(日本でスウェーデンのダンスを踊る人は数百人規模だと聞いている)
私の素朴な疑問。「なんで演奏の授業で、ハンボは習わないの?」フェスティバルなどではハンボのダンスはよく踊られる。
すると、「ハンボはガンマル・ダンス(比較的最近作られた形の決まった踊り)で、フォーク・ダンスではない。フォーク・ミュージックを教えるところではハンボは習えないよ」とのこと。なーるほど。

スコティッシュ(スコットランドのダンス)との違い
スコティッシュは、振り付けも決まっていて、ユニゾンでみんなで同じに踊る。つまり、目線は全体に向けられている。周囲と息があっているか、つまりoutward(外向き)の姿勢が伺える、と。
スウェディッシュは(前述のガンマルダンスは含まない)、ペアで踊る二人の世界。スコティッシュのようには、決まった振り付けが無い。その姿勢やエネルギーは、inward(内向き)で、まるで瞑想にも似たものを感じる、と。
このoutwardとinwardを聞いて、本質を的確に表現していると思った

スコティッシュやアイリッシュの演奏やダンスの経験を思い浮かべると納得する。
演奏もそうかもしれない。スコティッシュやアイリッシュは外向きのエネルギーを感じる。
スウェディッシュは、プレーヤー同士がくっつきあうように側に寄りお互いの息使いを感じながらinwardに演奏していると思う(大勢だと無理。でも伝統的には大勢で弾かない)。
これは11/28に書いた(伝統音楽VS伝統舞踊)、ダンスの伴奏をする時との感覚の違いの一つかも。

さて、fikaの後はディッテの演奏で踊った。
まずはレクサンド(Leksand、ダーラナ地方)の曲。続いてレトビック(Rättvik、ダーラナ地方)の曲。で、再び、踊ってどう感じたか話あう。
大方の意見で、「コンスタントなテンションが続き、静かに前方に進む感じ。スウィング感はない」と。
私は「重いドアをゆっくり静かに押しながら開けるみたい」と。
この「ドアを押す」ように自分の中で特定のイメージを思い描けるといい、とアンドレアス。
続いて、ウッシャ(Orsa、ダーラナ地方)、スプリングレックと同じように試して朝はおしまい。
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6 コメント

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Unknown (saori)
2007-07-25 00:10:42
スェーディッシュ=内向き、瞑想ににたもの。まさにそのとおりです。ダンスもです。ずっと感じていたことを、初めて言葉にされたような気がします。私は、フィドルですが、SWEDISHに出会って7、8年。ところで、あなたは、私の知っている人かな?
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こんにちは (管理人)
2007-07-25 18:47:55
書き込みありがとうございます。
お一人スウェーデンの曲をフィドルで弾く同じ名前の方を京都で知っていますが、同じ方でしょうか?

このスコティッシュとスウェーディッシュの違いの説明を聞いたときは衝撃的でした。
だからスウェーディッシュは独特なんだなぁと思います。
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Unknown (saori)
2007-07-29 00:56:15
京都の人です。
今は、育児でなかなかスェーデッシュしてません。このブログ、見つけたばかり!ゆっくり読ませていただきます。いろいろ教えてね。
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お久しぶりです (管理人)
2007-07-31 23:38:01
やはりそうでしたか。お久しぶりです!
もしお時間あるようでしたら、このブログでも紹介したトルビョン・ネスボムというニッケルハルパのプレーヤーが来日しますので、ぜひライブ聞いてみてください。
クラシックバイオリニストでニッケルハルパも弾くせいか、演奏スタイルが派手目な印象です。
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Unknown (saori)
2007-08-15 22:30:27
ライブいきたいなー。がんばってみます。ブログ少しづつ読んでいます。すごく細かくてすごいですね。私もステンマに行き、講習もいくつか受けましたが、何だか情報はすっかり忘れてしまいました。謙虚にスェデッシュします・・・。英語さえおぼつかないのでだめですね。MDに音が残るばかり。宝物ですが。
美しい写真、見ていて泣きそうです。帰りたくて!また会えるといいですね。
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Unknown (管理人)
2007-08-18 11:44:40
では、トルビョンのライブで会えることを楽しみにしています!
あの美しい景色が日常のスウェーデン。
私もまた戻りたいです。
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