スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

ひょっとして・・・音楽になってない?

2006-12-15 23:21:18 | 授業 その他
いよいよ、明日がコンサート本番。
細かいリハが続きます。

ウロフ監督のもとにリハ。
結構出来ていていい感じだからとリハを今までしてこなかったワルツ。いよいよだからとウロフに聞いてもらったところ、”Oh... It was... very careful.”正しい英語なのかどうかは知らないけど弾き終わった直後、ウロフがゆっくりと選びながら言った言葉。
「何のミスもなかった。強弱もはっきりつけているし、アレンジも面白い。でも、間違えないよう注意しながら気をつけて弾いているのが分かる」というのだ。「その先にあるのが、it’s "music".(それが"音楽"だ)もっと弾きこめ」と、おっしゃる。
つ、つまり、間違ってないけど音楽になってないと!?
うぅぅむ。それはまた難しいことを。
前回の「グルーヴィーに弾いて」と同様、抽象的なコメントが多い。
でも、実はその言葉、まるで私の心のうちを読まれたよう。私はベースを弾いていて、間違わなかったしピアノもフォルテも強弱を間違えてない。でも、確かに間違えないよう気をつけた。「出来てるから」と練習やリハの回数が極端に少ないせいでみんな慎重に弾いたんじゃないかな。でも、それはウロフの耳にははっきりと音となって聞こえたのだろう。おそるべし。ナメタラあかん。(なめたことないけどね)

他にもダンスの先生アンドレアスや、ディッテからも細かい指示。
立つときに手を前で組んではならぬ(一人いて、軍隊のようと言われていた。軍隊って何のこっちゃ)、ステージでIちゃんが数センチ前に出すぎているせいで私がグループからはみだして見える、云々。立ち振る舞い、マイクの使い方(特に私のコメンテーター演技でマイク指導が)、椅子など曲の間のセッティングのスムーズさ等など。
曲の紹介をするときの発声法はもとより、言葉遣いも注意。
一人ダーラナ出身の友人が「今からボーダ(町の名前)の曲を弾こうと思います」と言うとすかさず注意。
「~弾こうと思います」「~弾いてみます」と言うんじゃない、「弾きます」と言いなさいって。
日本で昔受けた言語学やコミュニケーション学の授業や、面接指導を思い出した。
「今度就職することになりました」と状況でそうなったかのような表現はせず、意思をはっきりと「今度就職します」と言いなさいと。シーンによって言葉を選ぶ重要性は万国共通、とその注意を聞きながら一人で納得。

ダンスの伴奏では、さらに細かい指示。「ダンサーとアイコンタクトをもっと取りなさい」と。「ちらっと見るのではない。弾きながらダンサーを見つめ、そのダンサーがミュージシャンから感じてるエネルギー(フィードバック)を受け取って、それが音になるのだ」そう。
ミュージシャン同士でお互いを感じあうことは今までも何度も言われて来たけど、伴奏でダンサーとこんなに弾きこんだことがなかったから、先生のアンドレアスにはまだ足りないと感じるみたい。

そうそう、これを読んでいる方へ。複数人で弾く機会がある方。
リードを取る機会を平等に持つことをおススメします。私たちのコンサートでも平等に全員がリードを取るよう一曲ずつ決めています。授業でもこのリードを取る練習を結構します。

リーダー(リードを取る人)は
弾き始めの合図を、呼吸、目、足など体で表現。頭には弾きたいテンポやイメージを思い浮かべてないといけない。(人によって様々。ハッと息を吸うのを合図にする人、前かがみ体勢から体を持ち上げるて合図を出す人など)
メロディに強弱を出す時も体(弓さばき、目線、足など)で合図を出す。


そして、そういう合図受ける取る側もリーダーに対してアンテナを敏感にはってないといけません。リーダーがこうしろと言うならそうしないといけないし、終わりもゆっくり終わるのか勢いよく終わるのか、じっとリーダーの動きを見守って呼吸を合わせます。

ひいては、リーダーだけでなく隣で弾いている人や音にも敏感に感じ取る練習になります。そうするとどうなるのか。グループで弾く際に音に一体感がうまれ、お互いの音を聞きながら盛り上げていくこともできるのです。

「弾くのが上手い=リードが上手い」とは違うと思います。「サインの出し方・サインの受け止め方」であって、演奏と同様に練習が必要(自然と上手い人もいる)。これに慣れると演奏中の自分の全体の音にも客観的になれたり余裕が生まれたり。
ともかく、意外にリードをとってみると面白いのでお試しくださいませ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする