モッチリ遅いコメの距離感

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実験室とリスニングルームを兼ねたセカンドリビングオーディオの案

2020-11-15 23:19:15 | オーディオ
今までの考察で、自分としてこうすると良いのではないかという室内音響手法であったり、
先人達によるこうした方がいいという手法であったり、
結果的にある程度の正しさを担保されている中でも音響整備は多様なアプローチがあることは思い知らされた。
そして一定の正しさが担保された手法の中でどれが一番好みなのかというのは実践してみないと分からない。

一つの決まった設計でいこうと決め打ちして上手くいけば良いが、それが上手くいくのかは分からない。
それが想定通り良いものになるかもしれないし、
微妙な出来でも、測定して微調整すれば最終的にそこそこには纏められるのだろうが、
それよりも問題なのは、他のアプローチでさらによく出来るのではないかという疑問と、疑問の果てに作り直したいという願望が付きまとうことである。
結局は色々な手法をいろいろ実践しないと完全に納得する、満足する、ということは恐らくあり得ない。それが自分の中では音響本体の良し悪しよりも重大な問題であることは自覚してきている。

そうであれば話は早く、リスニングルームとしては未完成、音響はこれから整備するという状態で仕上げる。
その代わりに整備は簡単にできるようにするというコンセプトが唯一納得する部屋にたどり着く正解に思える。
そうでないと専用室を何度も大幅に作り直さないと完全に納得する境地までたどり着けない。

ということで前回にも述べた壁面収納のような造作棚で、音響処理をモジュール化する。棚で壁面を埋める手法が良いと思えてきている。
ひとまず60cm四方のモジュールで部屋を設計。



部屋のサイズや寸法などは今までの縦長部屋のアイディアを流用。
側壁は視覚的遮蔽+拡散効果を兼ねた格子と吸音の2層になる可能性を考えて厚みを30cmの棚としたが、
前後は拡散または反射がメインになってくると考えて厚みを20cmに抑えている。
棚の板の厚さは3cmを想定している。
棚により少し部屋が狭くなったのでスピーカー配置を3mの正三角形から2.7mの正三角形配置に縮小している。

棚の開口部が開いていると考えた時のイメージ


下の緑の部分が棚となり、その部分で音響処理が可能となる。


棚の中に収まるような吸音モジュールや拡散モジュールを自作、またはオーダーメイドし、竣工後にそれをどこに置くかを調整しながら試行錯誤するというコンセプトである。
要は部屋の建設完了は音響工事としては中間地点であり、竣工後にこれから色々試しながら最終的な音響空間の完成を目指すぞ、という考え方である。

天井はアレンジする対象とはせずに、高天井として天井そのものの影響を少なくしつつ、以前に述べたような交差二重リブのようなもので拡散効果をもたせつつ床とのフラッターエコー回避をするような設計を考えている。
天井をアレンジ可能にしようとすると高天井だと極めて困難であり、一般的な天井高さにしてアレンジの難易度が下がるにしてもDIYでは落下事故の危険が付きまとうため、天井は一発決め打ちにする方が良いと思っている。

このコンセプトの副次的なメリットはいくつかあって、
壁面の造作棚は今の部屋の3.5m前後の高天井にするとしても、棚はせいぜい3mくらいまでしか設置しない。
後でアレンジするにしても一般的な脚立で届く範囲内以上の高さは簡単に安全に変えられないからである。
棚を入れない空間は棚の上面を利用してコーブ照明を作ることが容易である。

下図がイメージ。(出典:LIXIL)


造作棚の上にコーブ照明を取り入れている例(出典:建築家紹介センター)


そして、建築時の特殊設計が少なくて済むというのもメリットである。
基本的にはありふれた造作棚とリブ天井と建築化照明である。
コスト的にもそれほど高額になるものではなく、予測もつきやすい。
竣工後のDIYで相応のコストはかかるが、DIYなので節約できるとは思われる。
見た目の仕上がりが悪い場合はオーダーメイドにせざるを得ない可能性もあるが。

またゴージャスなオーディオルームでありがちな、収納が少ないという弱点もない。
造作棚は音響効果を付与するためのスペースではあるが、
何も全てそのように使う必要はない。厚み30cmあるため、日用品、CD、LP、本など大体のものを収納できる。
そういう意味でもセカンドリビングオーディオという以前提唱したコンセプトに合致している。

また、以前に自分が書いたことがあるように
自然にあるもの、日用品なども複雑な反射をする拡散体が多くある。
一部の棚は上に書いたように物を置く棚に使うことも想定しているが、
飾り棚として硬く複雑な形状をしたものを飾っておくだけでも拡散面としてそれなりに機能する。
鉱石や化石、木細工、トロフィー(持っていないが)、陶磁器、鉄器、オブジェなどを拡散体を意識した並べ方をすることで、生活感を持たせつつ音響効果を得ることもできると思う。
異物感の強いQRDや吸音パネルで埋め尽くされた、いかにもな視覚的印象を持つ音響空間よりも、科学的な裏付けを持たせつつ、創意工夫のある生活空間を作れれば、そっちの方が使い始めてからの満足度は高いだろうなあと思っている。

というわけで今後、モジュールの寸法や棚の範囲や部屋の寸法などを調整するかもしれないが、
ブレブレだったが仮想的なリスニングルームのコンセプトは今後そんなに変わっていかない気もしている。
なぜかというと完成品としてどうするかを悩んできたが、結局どういうのが良いかはやってみないと完全には分からない。
だから音響的には未完成の部屋で、今後思うようにできて、気になるメソッドは全部試してみるというラボラトリーとして作るというのが一番満足できそうであり、どんな完成品でも精神的満足感はそれを超えることができそうにないからである。
それでいてセカンドリビングルームとしての機能もあり、収納も解決していれば、課題は概ね解決している。
その部屋は音楽を聴くだけでなく、音響の実験や試行錯誤ができ、生活もできるので、完成後も楽しみが多くあるというのはうれしいことである。
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