だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

【マンチェスター編】ハドフィールド aka ロイストン・ヴェイジーへ… その2

2012-08-27 | 2012年、英国の旅 ~春編
コメディ番組「リーグ・オブ・ジェントルマン」ロケ地巡りその1からの続き。

職業訓練所からキルン・レーンへ戻り、ステーション・ロードへ向かいます。

(↓詳細は下の地図をクリック。)




ステーション・ロードは町のメインの通りだけあって、撮影にも多く使われています。
まず交差点の角にあるパブのMasons Arms。



ここは会社員のジェフ(Reece)&マイク(Steve)&ブライアン(Mark)が休み時間に通っているパブ。




Series 3ではあばずれ主婦ステラ(R)の愛人トニー(M)が飲みに来ていたりもします。
番組の設定では向かいの小径の奥がジェフたちの職場のようなのですが、



入ってみると何もない、空き地になっていました。



パブの中に入れたら入ってみたかったのですが、営業している気配がなく、
入口に"Please help reduce crime"
"We believe the fire at MASONS ARMS was deliberate" という貼り紙がしてあったのです。
え、放火??
確かに、窓には板が貼付けてあって中の様子は見えません。
ちょっとドアを開ける勇気がなく、退散してしまいました…。

さらに、駅の方角を背にして歩くと、町には珍しいタトゥーの店の看板が。
右隣の黒い外装のお店は、Series 3で金持ち(のフリをしていた)主婦ジュディー(R)のオープンした、
マッサージ店"The Spit and Polish"があった場所。



タトゥーの店の左隣には、ダンス教室とカフェが並んでいます。



ここはやかましいおばあちゃん2人組(R&S)がいるチャリティー・ショップと、
片腕のランス(M)がいるジョーク・ショップ、
職業訓練所のポーリーン(S)が失業後に働くハンバーガー・ショップ"BURGER ME!"があったところ。

チャリティー・ショップとジョーク・ショップの外観は、
Series2までは別の場所(肉屋の並び)だったのですが、
何故かSeries 3からはこちらに移っていました。

ジョーク・ショップでは、きっとリアルな足や指が手に入る…はず。
【Foot in a box - The League of Gentlemen - BBC】


この3件の向かいにはSeries 1ですれ違った男性に乳母車を運んでもらう女性が出て来るブックメーカーもあります。
ショーウィンドウにある店の名前が同じだから、これは現実世界にもあるみたいw



そして今度は、駅を目指して歩くと見えて来る、忘れてはならないここ!



ヒラリー・ブリス(M)の肉屋!
Series 2では"Special Stuff"と呼ばれる得体のしれない肉が出回り、町の大騒動の発端となる場所です。
映画には現実世界のままの店の名前で登場します。



肉屋の隣(黒枠の入口)には、絶対動物を殺してしまう優しい獣医w チネリー先生(M)の診療所。



チネリー先生は亀の具合も見てくれますが、もちろん命の保障はありませんw
【Mr Chinnery - tortoise - The League of Gentlemen - BBC comedy】


反対には、首にコルセットをつけているアルヴィン(M)がオーナーのB&B "The Windermere"。



そしてその並びには、ジェフ&マイク&ブライアン行きつけのレストラン
"Shebab's Restaurant"があります。



"The Rajni"というインド料理のお店があるところですね。
ここでジェフがブライアンにギャグを喋るよう、強要するわけです。

すこし先には、番組にちなんだらしい、Cafe Roystonなるお店が。
この隣のPolishedの看板が出ている場所は、出会い系紹介所のあった場所。
(たぶん…これはあんまり自信がない…)



この紹介所は、あんまり会員にならない方がいいかもね。
【Attachments dating agency - The League of Gentlemen - BBC comedy】


さあ、これでざっと歩いて、駅の方まで戻ってきました。



The Palatineの横から見た景色もなかなかです。



ですが、もうちょっと丘に上って周りを見てみたかったので、
線路の向こう側の公園まで行ってみることにしました。



パーク・ロードをズンズンと南へ向かい、坂道を上っていきます。
しばらくすると、周囲に住宅はなくなり、草原の中に点々と、馬が草を歯んでいました。
胴体を包まれてて暖かそうだねー。



ここからHadfieldの方を眺めると、こんな感じ。



少し歩いてきただけなのに、ものすごく高い所に上った気分。
見渡す限り緑。空気は高原ほど澄んでいるわけではないでしょうが、
天気もどんどん良くなっていて、清々しい気持ちになりました。

馬たちのいる反対側でも、羊が草を一心不乱に歯んでいます。



そして、カメラを向けると、彼らは必ずカメラ目線。



ものすごいじーっと見つめてくる!
羊なんて滅多にみないこっちより、向こうの方が珍しいものを見ている顔してるw



来た道をまっすぐ行けば隣町のグロソップ。
番組のメインキャラとも言えるエドワード(R)とタブス(S)のローカル・ショップが
グロソップの丘に作られていたという話ですが、
さすがにハイキングでもないし、そこまでは行けないので、
大人しく引き返し、公園で一休み。



公園と言っても、一角に子供の遊具があるだけで、
あとはひたすら芝生が広がっているだけ。
若いお父さんが犬の散歩がてら女の子2人を遊ばせていて、
「お父さんも一緒に遊ぼうよ!」と呼ばれていたりする様子を、
ひなたぼっこしながら眺めていました。



パーク・ロードから戻り、再び、ステーション・ロードを歩き回りました。
すると、Masons Armsの先にあるNewsagentsの窓に素敵なものを発見!



ロイストン・ヴェイジーのマグカップだ!
正直、グッズ的なものはないだろうと思っていましたが、
こんなドンピシャな、ツボをついてくる品物が売っていたとは!
早速中に入ってマグカップ…と飴とジュースを買いました。



扉にもロイストン・ヴェイジーの標識が貼ってある!
マグカップの値段も書いてありますね。£3.99。いい買い物したー。



夕方になると、列車に乗って帰ってきた学校帰りの学生たちが目立つようになりました。
鮮やかな色に髪を染めてる子もいたりして…OKなのか、そんな頭でも。

友達同士ではしゃぐかわいらしい彼らを見ていると、
向こうは誰?という顔で見て来るので、もうそろそろお暇しようかな…と思いつつ、
もっと町を見ていたい気持ちもあり、少しだけ駅前のベンチでのんびり過ごし、
パブにでも入ればよかったのでしょうが、マンチェスターの方も少し歩きたかったので、
ようやく決心して、駅に向かいました。何度も何度も振り返りながら。



さようならHadfield、さようならRoyston Vasey(。´Д⊂)・゜・。

そして駅に戻って初めてこんな案内に気付いたり。



本当はもっといっぱい、写真を撮ったんですが、ここでは紹介しきれません。
特に現地の人と交流することもなく、もっと英語が喋れたら違ったのかなーとも思いましたが、
無事に来れたというだけで充実感がありました。
再びこの地に来ることは…あるかなー?w
もっと英語が上達して、TLoGのファンが集まる時に一緒に参加出来たら…最高ですね。



続く。
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【マンチェスター編】ハドフィールド aka ロイストン・ヴェイジーへ… その1

2012-08-26 | 2012年、英国の旅 ~春編
前回から始まったマンチェスター編の続きです。

マンチェスターについた次の日。
準備をして昼前にホステルを出ると、珍しい光景に出くわしました。



カモの行進?!
いえ、カモではなく、ガンだそうです。
かわいい~。こんな間近で見るのなんて初めて。
親子は前の歩道からやってきて、ホステルの横の駐車場から運河に向かってテクテク歩いて行きました。
車に轢かれないように、気をつけてねー!



さて、この日は予定通り、先日紹介したコメディ番組「リーグ・オブ・ジェントルマン」の舞台、
ロイストン・ヴェイジーこと、ハドフィールド(Hadfield)を目指します。

<周辺地図>



到着した日は夜遅くで気付かなかったけれど、
マンチェスターは赤煉瓦の街ですね。
ロンドンとはまた違った歴史を辿ってきたことを感じさせます。



そしてもちろんあちこちに運河が。
駅を目指し、東へ歩いていくと、
科学産業博物館(The Museum of Science and Industry)がありました。



日本で地図を見ていた時にはそれほど印象に残っていなかったのですが、
実際に傍に来て見るとすごく大きい博物館みたい。
この日は立ち寄れそうもなかったので、明日出発までに寄って見ようと決めました。

そのまままっすぐ歩いていくと、赤煉瓦の街並に突如剣のようなビルが建ってるじゃありませんか。



なんじゃこりゃ?!
近寄ってみると、入口にHILTONと書かれてある…
ホテルか! それにしてもこの形は一体…。



HILTONを除けば、ずーっと赤煉瓦色の建物が続いていきます。
線路の高架に沿って歩いて行くと、Manchester Oxford Road駅にたどり着きます。
駅の周りはさすがに賑やかです。



駅前には時計塔のある立派な高級ホテル、パレス・ホテル。
エドワード調の快適な客室らしいです。いいなあ…。
その並びにはパレス・シアター。この時は「オペラ座の怪人」を上演していました。
確か、リーグ・オブ・ジェントルマンもツアーでここに来ていたはず…。



Greater Manchester Arts Centreの横の坂を上るとManchester Oxford Road駅の入口。
ここからまずお隣のManchester Piccadilly駅へ。



一駅で乗りかえて、ハドフィールド行きの列車に乗換えます。
(ちなみに、ハドフィールドまでの運賃は片道約500円。)
Manchester Piccadilly駅はManchester Oxford Road‎駅よりもずっと広いので、
乗換のホームを、時刻表を見ながら注意深くチェック。
ちょうどもうすぐ出発の列車があるようなので、ホームへ急ぎました。



ホームが何本も並んでる…。広い!
ハドフィールド行きは2番線なので、ずっと奥へ進みます。



ジャーン! Hadfieldって表示されてる!(当たり前だけど…)
「うわー、私ホントにロイストン・ヴェイジーに行くんだ…w」
と急に実感。



いざ列車に乗り込んで出発。ここからは目的地まで1時間弱かかります。
パレス・シアター前のスーパーで買った昼食&お菓子をほおばりながら、
外の景色を楽しみます。



コーチに乗ってる時は、車窓から景色を見ながら
「英国は山みたいな高い土地がないんだなー」と思っていましたが、
マンチェスターから離れるにつれて、緑色の丘が見られるようになってきました。
町並みも、赤煉瓦色から茶色や白っぽい色合いに。



「こうやってベンジャミンも叔母の家に向かったんだなー」
車内を眺めながら、ジーンとしたりして。
↓こんな風に。



1時間は長いと思いきや、お昼を食べている間に時間は過ぎていきました。
ひとつ手前のグロソップで列車の方向が切り替わり、
ついに、終着地のハドフィールドへ到着。



HADFIELD!
去年は「いつか行ってみたいなー」なんて気楽に言ってたけれど、
数ある英国の名所には目もくれず、本当にここまで来てしまった!

そして、駅を出て見えてくるのは…



ああっ! この街並っ!



オープニングに出て来る街並そのままだー(。´Д⊂)・゜・。
ミスター・ゲイティス! 私、ちゃんとHadfieldに来ましたよ~(泣)」w



町のランドマークとも言える戦没者記念碑には、ひなげしの花のリースが飾られています。
いろんな角度から記念碑を眺めてみてしまう…。



駅前のパブも、番組で映ってた外観そのまま。
SHERLOCKの撮影地のSPEEDY'Sに行った時以上の鳥肌ものです。

この後、さっそく分かる範囲で番組の撮影地を巡ってみました。
(ここからは分からない人にはさっぱり面白くない、完全に自己満足な撮影地巡りになります。
 私のような物好きもそうそういないと思いますが、撮影ポイントのmapを作りました。
 ↓詳細は下の地図をクリック。)


まず、駅前のNewsagentsを左に見て、レイルウェイ・ストリートを歩きました。



お昼時で人通りはほとんどありません。
茶色い外壁の住宅がずーっと続いています。



ハドフィールド・ロードと交差するところまで出ると、古そうな教会が。
趣きがあるけど、夜中に幽霊でも出そうな雰囲気w



茶色い街並の中にある赤い外壁の床屋さん。
床屋さんにばかり注目していたら、始めっから肝心の撮影スポットを見逃してました。
本当はこの右側の写真の柵の奥に、元ロックスター気取りのレス・マックイーン(演じてるのはマーク・ゲイティス)の自宅があったんですが。
しくじった…。



気を取り直して。
スプリング・ガーデンという名前の小径。
このあたりに来ると、細い道の合流地点のようになっていて、少し視界が開けた場所に出ます。



合流しているのはチャペル・レーンと、キルン・レーン。
キルン・レーンは、町のメイン・ストリートであるステーション・ロードに繋がっていますが、
私は、キルン・レーンからもう一つ伸びているパラダイス・ストリートに入ります。



この道をまっすぐ入ると、ハイキングのために列車で旅をしてきたベンジャミン君(演:リース・シェアスミス)が泊まる、
叔母一家=デントン家があるのです。

←本編のシーン。

実際に住んでいる方がいらっしゃると思うので画像の大きさは控えめに。
もしかしたら、住んでいる方はこんな↓日常を送ってるかもしれませんが。
【Nude day - The League of Gentlemen - BBC】


ところで、このベンジャミンの叔母夫妻(演スティーヴ・ペンバートン&マーク)はヒキガエルが大好きで、
地下にヒキガエル用の水槽?を並べているくらいなのですが、
嬉しいことに、実際のお家の玄関先にも蛙の置物がおいてありました!

来た甲斐があったなw

パラダイス・ストリートを突き当たると、そこから見た眺めが最高でした。



デントン家の人たちはこんな素敵な風景を見て毎日過ごしてるのかー。
それなのに、なんであんな不思議な一家になってしまっているのだろうか…w

パラダイス・ストリートの横に、もう一本、バンク・ストリートという道が伸びています。
こちらには、劇中で何度も出て来る職業訓練所(Job Centre)があります。
(実際には入口に"LIBERAL CLUB"と書かれています。)



外壁がキレイになっているけど、形はそのまま。
ここにはもしかしたら↓こんなペンだけが友達の、嫌みな講師が仕事をしているかもしれません。
【League Of Gentlemen - pens】


性転換希望のタクシー運転手バーバラもよく通っていたこの道。
撮影当時は、この場所の周りに住宅は少なかったようですが、今は隣に家が並んでいます。
撮影後、住む人が増えたのかもしれませんね。町の知名度も上がったのかな…。



坂道を、乳母車を押しながら歩くお母さんを見かけたり、
なんだか本当に架空のロイストン・ヴェイジーにいるような気分になってきました。

後半へつづく…
コメント (4)
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【今熱く語りたい】リーグ・オブ・ジェントルマン(The League of Gentlemen)とは何ぞや!【長文注意】

2012-08-20 | TV/リーグ・オブ・ジェントルマン

(Hadfieldの記事の前に、)英国BBCのTVコメディ番組
「リーグ・オブ・ジェントルマン 奇人同盟(以下TLoG)」
とそのクリエイター4人について改めて触れておきます。


(知らない人にとってはTLoGの舞台となったHadfieldの景色を見ても、
 どんな場所なのか全くわからないと思うのでw)
意外と紹介しているブログ記事がないようですし。
※正式には複数形の"ジェントルメン"ですが、日本版タイトルにあわせてジェントルマンと表記しています。

TLoGは、簡単に言えば "ダーク・コメディ"
コメディと言っても、全3シリーズ(各6回)+クリスマス・スペシャルとある番組の中で、
観客を入れた笑い声が挿入されてるのは始めだけで、
後半になるに従い、スケッチ(コント)というよりは、
ドラマのようなストーリー性のある番組になっていきます。

物語は、ベンジャミンという青年が、
友達とハイキングをするために英国北部にある"ロイストン・ヴェイジー"を訪れるところから始まり、
潔癖性の叔母夫婦(とその娘である双子)、
訪れたよそ者は必ず行方不明になってしまう雑貨屋(ローカル・ショップ)、
怪しげな"特別なもの"を売る肉屋、性転換希望の女装運転手等、
ロイストン・ヴェイジーの不気味で個性的な人々の日常と、町に起こる事件を描いていきます。


とにかくたくさんのキャラクターが出てきて、
そのほとんどを出演者である3人が男女関係なく演じ分けています。
この番組の魅力は、コメディであっても出演者の演技がリアルで真実味があり、
だんだんとキャラクターに愛着が湧いて来る
ところではないでしょうか。
そして「ウィッカーマン」「赤い影」「シャイニング」等の
映画ファンならニヤリとさせられるオマージュが含まれている点も忘れられません。
(また、3人だけで役を回しているとは思えない程、メイク技術が素晴らしいです!)

とりあえず1話でも見て、この記事を読んでいただければグッと身近なコメディになること間違いないですw
TSUTAYAの在庫はここから、
GEOの宅配レンタルはここをクリックして確認してね。

リーグ・オブ・ジェントルマン "Welcome to Royston Vasey" その1



※ココからは長いので時間と興味のある方だけどうぞ!

【中の人たちについて】
以前も書きましたが、TLoGは(写真左から)
作家&出演者のスティーヴ・ペンバートン
作家のジェレミー・ダイソン
作家&出演者のリース・シェアスミス
作家&出演者のマーク・ゲイティスの4人組です。

彼らは出演の3人が演技を学んでいた
Bretton Hall College時代に知り合い、
1995年に"The League of Gentlemen"のチーム名でCanal Café Theatre等のヴェニューで公演します。
(4人で組むまでは、リースは職探し、
 スティーヴは別の劇団を立ち上げていて、
 マークはドクター・フーの小説を執筆、
 ジェレミーは本屋で働いていたらしい。)
チーム名は映画"The League of Gentlemen(1960)"にちなんで、
スケッチの内容と反する気取った名前をとマークが名付けたものだそう。
オックスブリッジ(オックスフォード&ケンブリッジ大)出身が多い英国コメディ界への反骨精神の表れとも言えます。

舞台でテレビ・シリーズの元祖となるキャラクターを生み出してきた彼らは
1997年、世界的芸術祭Edinburgh Festival Fringeで最高の賞"Perrier Awards"を受賞します。
そして同年11月にラジオ番組"On The Town with The League of Gentlemen"が製作され、
こちらもラジオ番組向けの賞を2つ受賞。
(ラジオでは町の名前が「ロイストン・ヴェイジー」ではなく「スペント」という名前になっています。)

同じくBBCの大ヒットコメディ番組「リトル・ブリテン」の出演者&クリエイターであるデヴィッド・ウォリアムズは、
2012年に出版された自身の自伝でこんなことを書いています。
「史上最も偉大なコメディのひとつはTLoGだ。
 彼らはそれぞれが強烈な知性を持っていて、僕は多くを学んだ。
 スケッチはコンセプトというよりはキャラクターで成り立っていて、当時では異例のもの。
 要求に黒字で答えるだけでなく、3人の役者は潜在的なスターだった。
 うだるような暑さの中、エディンバラの劇場に数えきれないほど彼らのショーを見に行った。
 それは明らかにすぐにTV番組に出来そうなものだった。」

(ちなみにマーク・ゲイティスは「リトル・ブリテン」にスクリプト編集者として関わっています。)

舞台&ラジオの成功を経た後、ついにTLoGのテレビ版が製作され、
英国アカデミー賞(BAFTA)ベスト・コメディや、
モントルーで行われる"テレビ界のカンヌ"、ゴールデン・ローズでGolden Rose of Montreuxを受賞するに至ります。
(ちなみにロンドン五輪開会式を湧かせたR・アトキンソンの「ミスター・ビーン」も
 1990年にGolden Rose of Montreuxを受賞しています。)


それでは、出演者ごとにそれぞれの役柄を紹介しましょう。

【リース・シェアスミス(Reece Shearsmith)】


コミカルな動きと様々な声色を駆使し、
"ザ☆コメディ俳優"としての圧倒的なオーラのあるリース!
このチームの中でも、"戦隊ものの赤色"のような存在感を放ちます。

●演じるキャラクター●
叔母の家を訪問するベンジャミンのような、人の良さそうな男の子を演じることもあれば、
自分の思い通りに事が運ばないとすぐ銃を取り出して周囲を脅す会社員のジェフ(写真右)、
社会問題を取り上げた演目を上演しているにも関わらず偏見に満ちている
アマチュア小劇団"レッグズ・アキンボ"のリーダー=オリー
ギャンブル好きのあばずれ主婦、ステラ等、
男女問わず、強気で強引な怒りんぼキャラを演じています。

中でもシリーズ2から登場するサーカスの団長"パパ・ラザルー"(写真中央)は、
英国コメディ界に名を残す特異なキャラのひとつとして知られています。
何故か誰に対しても「デイブ」と呼びかけ、
夫が留守の主婦や未亡人の結婚指輪を奪って無理矢理妻にしてしまいます。
そしてサーカスのテントに連れていって…
ちなみに、黒塗りしたピエロのように見えますが、これは地肌なようですw

【スティーヴ・ペンバートン(Steve Pemberton)】


リースと執筆でコンビを組むスティーヴ。役柄でもコンビを組むことが多いです。
こんな不気味な番組のキャラクターなのに、彼が演じると、
チャーミングな個性と優れた演技で視聴者は親近感を抱くようになってしまいます。

●演じるキャラクター●
とにかくスティーヴの演じる女性は皆魅力的!
よそ者を怖がる世間知らずなローカル・ショップのタブス(写真中央)、
求職者いびりが喜びで、"ペン"だけが友達な職業訓練所の先生=ポーリーン(写真右)、
煙草と酒と、ゲイの男友達と遊ぶのが好きな自己チュー女のティッシュ等々。
まさに"ジェンツ界のテリー・ジョーンズ"(=女装がハマり役)
それぞれイラっとくるキャラクターなのに、嫌いになれません。
むしろ可愛く思えて来るのが不思議。

若い男の子に積極的なモーションを掛けるゲイのドイツ人教師ハー・リップも、
始めのうちはキモいのですがw、見ているうちにだんだん好きになってきます。

【マーク・ゲイティス(Mark Gatiss)】


温厚そうな人柄に見えてダークなものを好んで書くマークの嗜好は、
そのまま役柄に反映されています。
無垢な心を持った青年と悪巧みをする邪悪な大人の役を見事に両立させる、稀少な演じ手です。

●演じるキャラクター●
一番インパクトがあるキャラクターは、肉屋のヒラリー・ブリス(写真中央)。
でも間違いなく一番笑えるのは、獣医のチネリー先生です。
とても優しくて動物大好きなのに、最後には治療に失敗して必ず殺してしまいます
いい人だけに気の毒で気の毒で笑えて仕方ないw
職業訓練所のポーリーンを慕うミッキーも、不潔でおバカですがファンに愛されています。

愛嬌のある役の一方で、
子供を事故に遭わせて以来、暗闇に死んだ子供の顔を見るようになった
と、ネクラな案内しかしないストンプ・ホール洞窟の案内人ミックや、
かつてロックスターだった?ことを心の支えに生きる元バンドマン
レス・マックイーン(写真右)のような悲哀に満ちた役もお似合い。
ジョーク屋のランスを主人公にしたシリーズ3の2話目は
短編ホラーのようでTVコメディの枠を超えた一編です。


【ジェレミー・ダイソン(Jeremy Dyson)】


スケッチの執筆はマークとコンビを組んでいるジェレミー。
演技を学んでいた他の出演者と違い、リーズ大で哲学を学んでいた彼は、
TLoGが舞台で活躍していた時代に、出演はしないと決めたそうです。
2005年に作られた映画でも、自分の役を別の役者(「クイーン」でブレア首相を演じたマイケル・シーン)に演じさせています。

ですが、実はエキストラとしていくつか出演しているのです。
例えば、レス・マックイーンから使用済みライターを買い取る人(写真)や、
クリスマスSPでチネリー先生の手術を息をのんで見守る男性、
リースが他の役を演じている間に別のリースの役の扮装で出演していたり。
ジェレミーがどこにいるのか?を探しながら見ると楽しいかもしれません。

【テレビ以外のTLoG】
この番組はシリーズ1、シリーズ2、クリスマス・スペシャル、シリーズ3と作られていますが、
2001年、クリスマス・スペシャルの後に行われたツアーの模様をおさめた"Live at Drury Lane"
2005年に"パント・ショー"(クリスマスの子供向け舞台)をテーマにした"The League of Gentlemen Are Behind You"
2000年代は2つの舞台がDVD化されています。
The League Of Gentlemen - Live At Drury Lane: Special Edition [DVD] by Steve Bendelack
残念ながら日本発売はされていませんが、探せば某Tubeにあるので、個人の判断でお試しください。

それと、2005年には映画も製作されています。
タイトルは"The League of Gentlemen's Apocalypse"
これも日本発売はされていませんが、リアルな世界(つまり番組の作家がいる世界)に
ロイストン・ヴェイジーのキャラクターたちが入り込んでしまう
という珍妙な映画です。
ライトなファンにはオススメしませんが、
TLoGが好きでたまらない方は↓↓↓で注文してみてください。
The League of Gentlemen's Apocalypse [Region 2]


【TLoG後のジェンツたち(主な関連作を紹介)】(2021年5月更新

●リース&スティーヴ●

リース&スティーヴはこの番組の後、
コンビで2009~2011年の間にBBC2で放送されたコメディ・シリーズ"Psychoville"
オムニバス・ドラマ「9から始まる奇妙な物語」"Inside No. 9"を製作し、成功させています。
("Psychoville"シーズン1ではマークがカメオ出演。)
「9から始まる奇妙な物語」についての記事はこちらをご覧ください。

その他、リースが出演している(日本国内でも見られる)映画は、
ベン・ウィートリー監督の「ハイ・ライズ」
エドガー・ライト監督の「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」ショーン・オブ・・デッド
ジョン・ランディス監督のバーク アンド ヘア等。
日本で見られるドラマには「嘆きの王冠 ホロウ・クラウン」の『ヘンリー四世 第二部』、「ドクター・フー」の『もう眠らない』、
「アガサ・クリスティー ミス・マープル」無実はさいなむに出演。
舞台作品は、ミュージカル「プロデューサーズ」"Betty Blue Eyes"で主演("Betty..."ではオリビエ賞にもノミネートされました。)
ストレート・プレイはマーティン・マクドナー作の「ハングマン」やアラン・エイクボーン作の"Absent Friends"等。

スティーヴの方は、映画ミスタービーン カンヌで大迷惑や、「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方
ウディ・アレンのマッチポイントに出演しています。(マークもちらっと出演。)
TVドラマは「キリング・イヴ」第3シリーズ、「ハッピーバレー」第1シリーズや
「名探偵ポワロ」の『ナイルに死す、「ドクター・フー」の静寂の図書館/影の森の他、
ホワイトチャペル 終わりなき殺意では猟奇殺人事件研究家の役も。
舞台ではウエストエンド版ミュージカル「スペリング・ビー」など。

●マーク●

マークはTVシリーズシャーロック」「ドラキュラ伯爵の企画者&製作者&出演者、
ドクター・フーの脚本家&出演者として知られています。
映画はアンソニー・ホプキンスがアカデミー主演男優賞を受賞したファーザー
実写ディズニー映画「プーと大人になった僕」、ヨルゴス・ランティモス監督の「女王陛下のお気に入り」などに出演。
テレビドラマでは「ゲーム・オブ・スローンズ」の銀行家ティコ・ネストリス役、
ベン・ウィショー主演の「ロンドン・スパイ」でリッチ役、
マーク・ライランス主演ウルフ・ホールでスティーブン・ガーディナー役などなど。
舞台は日本で映画館上映され、トム・ヒドルストンと共演したシェイクスピアの悲劇コリオレイナス
病気による奇行で周囲を困惑させるジョージ3世を演じた「英国万歳!」のほか、
ツルゲーネフの戯曲を脚色した"Three Days in the Country"でオリヴィエ賞最優秀助演男優賞を受賞しています。

●リース&スティーヴ&マーク●

3人揃って出演していて且つ日本で見られる作品で必見なのはグッド・オーメンズ」第3話!
リースがシェイクスピア(!)役、スティーヴとマークが謎の書籍ディーラーを演じています。
(オープニングで3人の名前が揃って出てきて感無量!)
あとカメオ的出演作品として銀河ヒッチハイクガイド」。
たくさん出てくるヴォゴン星人の声を担当しているので、誰がどの声か、聞き耳を立ててみましょう。
(スティーヴは"地球上の"バイパス工事の責任者?としても出演してます。)
またニコール・キッドマンが出演している「バースデイガール」にも3人揃って出演しています。
それぞれが短い出演時間(マークに至っては5秒程度)なので、
CSで放送された際には注意深くチェックしてみてください。(レンタルするほどではないのでw)

●ジェレミー●

ジェレミーは英国アカデミー賞にノミネートされた"Funland"で企画&脚本を担当。
これにはマークがレギュラーで出演。
舞台ではマジシャンで俳優のアンディ・ナイマンと組んだ"Ghost Stories"
作&演出を手がけて成功させ(舞台版にはリースが出演)、
ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談」のタイトルで映画化。
テレビでは脚本を手がけリース&マーク&スティーヴ3人ともそれぞれ出演した"Psychobitches"
国際テレビ祭ローズ・ドール(Rose d'Or)を受賞。
ロバート・エイクマンの短編を映画化した"The Cicerones"にはマークが主演しています。


【再結成!】(2021年5月更新
映画が製作された2005年以後、4人組での作品は作られていませんでしたが、解散したわけではありません。
2012年にはリース&スティーヴ&マークが3人揃って子供向け歴史コメディ番組"Horrible Histories"に出演。
歴史上の人物が映画の企画をアメリカ人映画プロデューサー役の3人にプレゼンしますが、
"ハリウッド映画"らしく作り替えて、茶化しながら史実をねじ曲げようとするので、
どの著名人も最後にはむくれて立ち去ってしまうというスケッチ。

The League of Gentlemen in Horrible Histories Sketch - The Olympics Project

このスケッチと同じ時期に放送されたインタビューでマークはこう語っています。(以下意訳。)
「いつ会っても僕らは楽しく過ごすんです…ちょうど"Horrible Histories"を撮り終えたばかりで。
 僕らの公式な再結成。素晴らしい番組に呼ばれて誇りに思った。
 みんなで一日中笑ってたし、もちろん、全てが蘇りました」
「(番組の出演者は)僕らに神経質なほど、うやうやしかった。
 スティーヴに言ったんです。"僕らは長老になったらしい"
 …いつからそんなことになったんだろ?(笑)」

その後、2013年には"Royal Free Rocks With Laughter"というチャリティイベントに4人揃って参加。
TVシリーズでの定番スケッチを再び演じました。

そして、ファンが新作を待ち焦がれる中、
2017年12月にはついにラジオ・シリーズ放送20周年を記念したアニバーサリー・スペシャルが放送され、
続く2018年8月・9月には、13年ぶりとなる全英ライヴツアーも決行。

ファンに熱狂的に迎えられた特番とツアーを振り返り、リースとスティーヴはこう語っています
まるでスーパースターみたいな気分だった。
 番組やキャラクターへの愛を感じることが出来て、とても感動しました。
 僕らはみんなが大事にしているものを作れたんだと感じられた」
「観客とライヴで繋がるのは最高だし、恋しいからこそツアーをやった。
 たぶんまたライヴをやるでしょう。他では得られない本物の喜びがあるから」



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ここまでお読みいただいてありがとうございました。
こんなにダラダラ長くて…読んだ人なんているのかな?!

最後に、彼らや番組に興味を持った方は、以下のリンクもどうぞ。

●●●TLoG関連記事リンク集●●●(2021年5月更新

【メンバーの共演情報(2012年11月〜2017年)】
こちらからどうぞ

【再結成ツアー(2018年)】
■ブライトン公演、ロンドンO2公演、ロンドン・ハマースミス公演(9月27日9月28日9月29日)
■DVD発売記念サイン会

【「9から始まる奇妙な出来事」Inside No.9関連】
■エピソード・リスト:第1シリーズ第2シリーズ第3シリーズ、第4シリーズ、ハロウィーン特番、第5シリーズ
■Twitter Q&A企画まとめ:第3シリーズ、第4シリーズ 
■放送前の最新情報:〜第4シリーズ第6シリーズ
■上映イベント:BFI、フェニックス劇場
■BAFTA 2019 レッドカーペット

【リーグ・オブ・ジェントルマンのロケ地巡り(2012年)】
【マンチェスター編】ハドフィールド aka ロイストン・ヴェイジーへ… その1
【マンチェスター編】ハドフィールド aka ロイストン・ヴェイジーへ… その2

【リーグ・オブ・ジェントルマンと出会った!(2015年)】…マーク出演舞台を見に行った時にメンバーと出会った話。
マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その1
マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その2「TLoGと一緒に!」

 

【マーク・ゲイティス関連】
出演舞台観劇日記:
 "The Recruiting Officer""55 Days"「コリオレイナス」"Three Days in the Country"
 "The Boys in the Band"「英国万歳!」
出演舞台"The Recruiting Officer" トーク・イベント
短編映画 "Cleaning Up" 上映会@イズリントンリリース決定
2012年 BAFTA TV賞に出席
トーク・イベント"The Game is On: An Afternoon with Mark Gatiss and friends at the Criterion Theatre"
出演舞台「コリオレイナス」 入待ち&出待ちレポート
 (12月14日) (12月14日) (1月28日)(1月31日)(2月1日)
2014年 オリヴィエ賞とBAFTA TV賞にノミネート
Esquire Townhouse 2018(カールトン・ハウス・テラス) トーク・イベント
"Dead Room"プレビュー上映
RadioTimes TV Fest 2019
「SHERLOCK」振り返り:
 第1シリーズ「ピンク色の研究」&「大いなるゲーム」、第2シリーズ以降

【リース・シェアスミス&スティーヴ・ペンバートン関連】
出演舞台"Absent Friends" 観劇日記
出演舞台"The Dresser" 観劇日記
Queen's Park Book Festival
リース・シェアスミスが「ブリティッシュ・ベイクオフ」GBBO有名人大会で優勝した!の巻
出演舞台"She Stoops to Conquar" 観劇日記
出演舞台"Dead Funny" 観劇日記

【ジェレミー・ダイソン関連】
戯曲"Ghost Stories"サイン会
舞台"Ghost Stories"観劇日記


よろしければ他の記事も覗いていってくださいね!

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【マンチェスター編】コーチに乗って…

2012-08-17 | 2012年、英国の旅 ~春編
つづき。
マンチェスター行きのコーチ(長距離バス)の出発時間が近づいてきたので、
ヴィクトリア・コーチ・ステーションに向かいました。


バスの停留所だと思って侮るなかれ。
停留所は20箇所程あり、出発待ちの乗客と今降りてきた乗客でごった返しているので、
まるで狭い空港のようです。
中には売店もありますが、人が多いし自分の荷物も多いので、
食料は出来ればここに来る途中で買っておきたいものです。
(私はVictoria駅近くのスーパーでお昼のサンドウィッチを買っておきました。)


正面入り口を入ると、モニターにどこ行きのコーチが、
何時に、何番の停留所から出発するのかが、ずらりと表示されています。
じっくり見ないと見落としそう…
ここで自分のコーチを確認し、停留所へ移動。
私の乗るコーチは後ろの方の番号だったので、
入り口からステーションの端まで歩く事になりました。
余裕を持ってこないと危なそうです。

ちなみに、今回私が利用したのは
「運賃1ポンドから!」が売り文句の、
激安コーチで知られる"メガバス"です。
日英問わず、昨今の長距離バス事情を考えると、
ちょっと怖い気もしますが、
はっきり言って運賃の安さは一番の魅力です。

例えば金曜の昼にヴィクトリアを出発し、
土曜の昼出発でマンチェスターから帰って来る旅だとすると、
列車では、往復63ポンドぐらいしますが、
"ナショナル・エキスプレス・コーチ"だと往復で22~36ポンド
"メガバス"だと往復で14~28ポンドで乗れます。確かに激安。
(※日程や時間によって大きく異なります。)
実際、私が今回払った運賃は、往復で18ポンドでした。


ただ、安いのにはそれなりに理由があり、
ダブルデッカーを改装したコーチなんかも使っているので、
運が悪いと、普通のバス(しかも二階建てだから揺れが激しい)に何時間も揺られることになってしまうのです。
そのへんも十分覚悟の上で、安さを選べるかどうか、ですね。



停留所では、予定より15分遅れでコーチが到着。
二階建てではありませんでした。ホッ。
エジンバラ行きと書いてありますが、マンチェスターを経由するので問題ありません。

コーチはロンドンに付いてから予約をして、支払いはカードで済ませていました。
予約確認用に届いたメールをあらかじめ自分の携帯に転送しておいたので、
Reservation numberを係員に見せて乗り込みます。
(本当はプリントアウトしておいた方がいいと思いますヨ…)

この日の乗客に地元の白人の方はほとんどいませんでした。
目立つのは黒人の方やインド系やアラブ系の方。
あ、でも私の隣に座ったのは白人の大柄な男性でした。
お仕事かなにかでしょうか。

マンチェスターへはおよそ5時間。
その間、1時間は寝てましたが、音楽やpodcastを聞いたり、
昼食やお菓子を食べたりして過ごしました。



車窓から見えるのは、一面の菜の花畑。
後から知ったのですが、英国では菜の花畑で菜種油を取るのがブームとか。
天気は残念ながら、相変わらずの雨模様。



Baker Street駅の売店で買ったチョコレートのおやつ。
名前は"White"としか書かれてないので、何と言うお菓子なのか分からないんですが、
めちゃうまでした。この旅で食べたお菓子で一番うまかったお菓子w

まだかなまだかなーとキョロキョロしながら5時間。
やっと目的地、マンチェスター・シュードヒル・インターチェンジに到着。
こちらの停留所にはあんまり人気がありませんね…。夜だからか。

大きな地図で見る



実は5時間トイレを我慢してたので、降りてすぐお手洗いに直行。
(※バスの中には一応簡易トイレがあります。)
停留所のトイレは公衆のものと同じ、コインを入れて入るトイレです。
入り口で小銭を探してたら、後から来た黒人の男性に
「大丈夫? コインあげようか?」と訊かれました。
「ありますあります、大丈夫!」と断りましたが、声かけて貰えて嬉しかったw



雨はすっかり止んでいて、外に出ると、すぐ傍に路面電車が走っていました。
行くまでは考えもつかなかったけど、これでホテル近くの駅まで行けばよかったのかも…。
そう、ここからまたホステルまで電車に乗るのです。
西側のウィジー・グローブという道を廻って、Manchester Victoria駅を目指します。



途中にあったハード・ロック・カフェの巨大なネオン。
このあたりはショッピングや食事の出来る施設が多そう。



ここがManchester Victoria駅の入り口。
※2015年追記。
 後からマンチェスター出身の知人に聞いたところ、マンチェスター・ヴィクトリア駅は非常に歴史のある駅で、
 この場所も、戦場から戻った兵士がこの出入口から帰ってきたことで有名だそうです。
切符売り場は駅員のいる窓口もありますが、もちろん自販機があるので、
タッチパネルで行きたい場所と券の種類を選びます。
私の場合、行きたいのは隣のSalford Central駅で、時間はオフ・ピークなので片道£1.60。
この切符もカードで支払いが出来ます。
時刻表についてはノーザン・レールのホームページを要確認。



Salford Central方面行きのホームで待っていると早速電車が。
考えてみると、英国で電車に乗るのは初めてじゃないか!
誰もいない車内で一人写真を撮ったりソワソワ落ち着きません。
一駅だけなんですけどね。

大きな地図で見る

切符のチェックはホームに入る時だけで、降りる時は誰もチェックしません。
ほぼ無人の駅構内…。
方向聞くにも人がいないので、外に出た後、反対側の通りに出てしまったりして…。



ようやく気付いてブリッジ・ストリートを南下すると、穏やかな運河が。



さすが工業都市だったマンチェスター。あちこちに運河があります。
光が水面に反射して美しい…



そうかと思うと、オフィスっぽい近代的な建物もあったり。
でも、この途中の道にもっと興味深い場所があるのですよ。
それは、グラナダ・スタジオです!!



グラナダ・テレビと言えば、今は統合されてITVになっていますが、
シャーロック・ホームズに第一容疑者にミス・マープルと、
英国ミステリードラマの名作を製作してきた民放局です。
スタジオではかつてシャーロック・ホームズの見学ツアーもやっていたそうな。
ジェレミー・ブレットもかつてこのあたりを歩いていたのかも。
入ってみたかったな…。でも、こうやって傍に来れただけでも大満足です。

その後、無事にホステルへ着き、
夜はロンドンで買った「バーナビー警部(Midsomer Murders)」
"The Sword of Guillaume"のDVDを見ながら休みました。
長旅の最中の長旅でしたが、不思議と疲れが心地良かったです。

翌日はとうとう!夢にまで見た!「リーグ・オブ・ジェントルマン(The League of Gentlemen)」の舞台、
ハドフィールドへ向かいます!

つづく...
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イートン・スクエア ~アイリーン・アドラーのお宅を拝見…

2012-08-13 | 2012年、英国の旅 ~春編
19日間過ごしたホステルでの最後の朝食。毎日こんな食事をしてました。



質素でしょ。でもこれでちょうどいいのです。
足りないときは自分で買ってきたヨーグルトやフルーツをプラスしてました。

この日はマンチェスターへ向かうため、ヴィクトリアへ。
まずTubeでVictoria駅に向かい、長距離バス用の停留所でマンチェスター行きのコーチに乗る予定。
出発は15時なのでちょっと時間があります。

そこで、余った時間を使ってVictoria駅近くの高級住宅街、べルグレービアに立ち寄りました。
「SHERLOCK(シャーロック)」シリーズ2第1話「ベルグレービアの醜聞」の舞台になった、あの場所です。

ドラマの撮影地はイートン・スクエアという住宅地である情報は知っていたのですが、
細かい位置までは分からなかったので、とりあえず行ってみて探すことに。

大きな地図で見る



Tubeの駅からバッキンガム・パレス・ロードを南下し、
交差したエクレストン・ストリートで曲がります。



緑地が見えてきたところで左の道に入ると、
さっそく白い外壁が美しい建物が並んでいます。



ここはチェスター・スクエア。
アイリーンの住んでる場所に似てるけど、ここではなさそう。
右の写真の、St Michael's Churchを見ながら、
今度はエクレストン・ストリートと平行に伸びるエリザベス・ストリートを歩きます。



道を進むと、チェスタ―・スクエアと同じような公園が見えてきます。
こちらが、目的地であるイートン・スクエア。
ここにアイリーンのお住まいがあるはずなのですが。



おや…エリザベス・ストリートのすぐ傍だけど、もしやここは…。



おーっと、さっそくアイリーンの家、発見ー!
(↓上2枚は場面写真、右下はプロモ写真。)



白いテラスハウス、向かいの公園、柱に書かれた44の数字。
間違いなくここが撮影場所!



ここは大使館関係者等も住んでるような場所だけあって、
一区画づつ、玄関先に山高帽とスーツ、傘を持ったドアマン?がいるんですよ!
Googleのストリート・ビューで見ることが出来ないのも、
ここが特別に管理されている場所だからなのかも…?



写真映えする場所とはいえ、実際に暮らしている方がいらっしゃるわけです。
玄関先の男性にもチラチラ見られていたので、写真撮影もコソコソと控えめにさせていただきました…。
バックパックを背負ったままだったので、かなり怪しい人間だったはず…。

このあたりの玄関はこんな感じ。
ちなみに、"アイリーン宅"の並びには、
「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーが住んでいたというブルー・プラークがありました。



向かいの公園は入ることが出来ませんでしたが、
八重桜?があちこちで咲いていて、雨で湿った歩道に映えています。




そろそろ散歩しながら停留所に向かおうかなー。
と、着た道を戻りながら、裏手のMewsと呼ばれる路地を見つつ歩いていたのですが、
最近写真を見て確認したところ、その中に「SHERLOCK(シャーロック)」の別の撮影場所が混ざってました!



↓10:20あたりからの、シャーロックとジョンが殴り合う場面。
Sherlock Series 2 Extras (Sherlock Uncovered)


何も知らずに撮影していたようなのですが、
印象的なシーンだったので、無意識に体が反応していたのかも。偉いぞ私。
私道だと思いますので、中には入っていません。念のため。



Mewsというのは馬小屋という意味。
表のテラスに住む主人に使える馬丁と馬小屋がこの路地にあったんでしょうね。

さて、Victoria駅周辺まで戻り、バスが発着するヴィクトリア・コーチ・ステーションの場所を確認。
あとで詳しく書きますが、発着場所が数十箇所ある大きな停留所…というより駅です。



さすがにヴィクトリアにはスーツケースを転がしながら歩く人が多いです。
時間に余裕を持って戻ったので、駅近くのショッピング・モール(Colonnade Walk)をウロウロ。



ここには小さめのカフェやお土産屋さん、旅行代理店が入っていました。
あんまりゆっくり出来なそうだったので、冷やかしただけでしたが。
右はモールから見た周りの住宅。

次回、マンチェスター編へ続く…
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Mark Gatiss(マーク・ゲイティス)主演の短編映画「Cleaning Up」を見る

2012-08-01 | 2012年、英国の旅 ~春編
ちょうどこの7月から、「SHERLOCK(シャーロック)」のSeries 2がNHKプレミアムで放送中です。

第1、2回が放送されたところで、twitter等を見ていると、
「兄のマイクロフトがおもろい」「中の人が脚本と製作もやってるんだ?」
「"ベルグレービアの醜聞"見て俄然マイクロフトが気になる」
「中の人はゲイです(だからあの内容かw)」
というような、マーク・ゲイティスについての話題を目にしてしまいます。

その度に、
「ゲイだからなんだってんだ!それだけがMarkの個性じゃねーぞー!!」

…勝手に興奮したり憤ったりしております。
実際には嬉しいことなのでみんなでキャイキャイ騒げればいいのですが、
思わず苛ついてしまう程、私のMark Gatissへの片想いは重いですw 絶望的に重傷です。

「はあ、こんなに思い悩むなら、いっそ好きでなければ楽なのに…。」
と、本当に片思い中の乙女のようにため息をついたりもするのですが、
彼の写真を見ると、私のような小娘?に対する彼の優しい佇まいを思い出し、
「やっぱ無理ー!!!(。´Д⊂)・゜・。」となる。
その繰り返しです。




そんな、敬愛するMark Gatiss主演の短編映画が、
とあるパブのイベント"Shortcutz London"で上映されるという情報を
幸運にもロンドン滞在中に目にしたので、見に行きました。
この作品は"AESTHETICA SHORT FILM FESTIVAL 2011"でBEST THRILLERを受賞しています。
前からずっと見てみたいと熱望していたのです。

次の日が北部行きの日だったので、夜遅くなるのが心配でしたが、
出かける前にある程度荷造りを済ませておいて、
帰ってすぐ休めるようにしておいたので、準備万端。



まず、Northern Lineに乗ってLeister Square駅からAngel駅へ。

大きな地図で見る



アッパーストリートを北に歩くと、レストランやショップがたくさん並んでいます。
落ち着いた色合いの建物ばかりで、ロンドン中心部よりもヨーロッパの街並っぽい印象が強い街です。



時間がなくてあまり散歩出来ませんでしたが、
マーケットもあるようなので、歩き回ると楽しそう。
前にホルボーンで寄った古本屋がここにもありました。



イズリントン・グリーン・ガーデンズの角にある、
ウェールズ生まれの実業家、Sir Hugh Myddeltonの彫像。
これを左に見ながらイズリントン・グリーンをさらに北へ。

すると見えてくる、「ウェンロック&エセックス」。
パブはハマースミス橋に行った時に入ったっきりだったので、
ひとりで入るのにまたしても緊張してしまいました。

イベントの開始は19時だったので、10分前にお店に入り、
女の子の店員さんにメニューにあったイングランドのエールを注文。



私にとってはけっこうな量なのですが、イベントが終わるまでには飲み干せるかも。
カウンターでエールを受け取った後、どこでイベントが行われるのか分からなかったので、
ウロウロと周りの様子を伺っていると、
19時が近づき、次々と奥の扉に入っていく人たちが。

なんとなく後に付いて行くと、バーのあるダンススペースのような部屋にプロジェクターが設置されていました。
スクリーンに映されたmacの画面にShortcutzの文字があったので、ここで間違いなさそう。
スクリーンの正面には椅子が20台ほど並べてあって、
関係者の人たちが座っているようでした。
私は脇にあるテーブル付きのソファで開始を待ちます。



数分遅れでイベンターの男性の挨拶があり、
短編作品3本の上映が始まります。
一本目はLawrence Bourke監督の"A Sure Moment"。
バス停を舞台にした男女の出会いの物語。

A Sure Moment - Short Film(本編)


上映後には監督の挨拶とティーチ・インがあります。
この監督は、シャイな青年って雰囲気の方でした。
夜のバス停を美しく切り取ったこの作品の撮影は一日で済んだそうです。


二本目は、待ってました、お目当ての"Cleaning Up"。

Cleaning Up - Official Trailer - Mark Gatiss


完璧でスマートな殺し屋、Mr.ジャクソン。
ターゲットの女性を殺害したその現場で、彼はある失敗を犯してしまう。
新たな仕事に取りかかるMr.ジャクソンだったが、
照準を合わせるその時、前回の失敗が頭を過り、引き金を引くことを躊躇ってしまう…


無駄な動き一つしない、ひたすらクールなヒットマンを演じるMark。
めちゃくちゃかっこいい!!
コミカルだったり、ちょっと不気味な役のイメージが強い彼ですが、
クスリとも笑わない冷たい殺し屋の役もハマっています。

特に冒頭の殺しの場面は、
殺害するその瞬間まで顔は映らず、コートを翻す姿が写るだけ。
スタイリッシュな演出と編集が観客の好奇心をかき立てます。

Cleaning Up - Exclusive Clip (ワンシーン)


↑Mr.ジャクソンが、次の仕事の前に泊まるB&B。
こんな普通のお家でもB&Bって言えるんですね。衝撃w

"Cleaning Up"というタイトルは、"スナイパー"から由来していると思いきや、
実は別の意味があって「そう来たかw」と目から鱗。
いつか日本でも上映されることを願って結末は書きませんが、
皮肉が効いていて、短編映画にも関わらず見た後に充実感の残る秀作です。

Cleaning Up - Making Of


監督はThomas Guerrier、脚本はSimon Guerrier。
この二人は兄弟で、共同で映画を製作しています。
ThomasはDOCTOR WHOのDVD用ドキュメンタリーの監督を担当していて、
それが縁でMarkの出演を取り付けたとか。
当然多忙なMarkでしたが、007のようなクールなヒットマンを演じたくて、
出演を快諾したとのこと。
(記憶が正しければ、撮影は3日間程度だったそう。)
天気待ちのような時間が余った時でも、ギークの彼らはドクター・フーの話で盛り上がったそうです。
「この映画の彼、素敵な髭してるよねえ!」と脚本家のSimon。ホントに素敵( *´艸`)

「大きなライフルを持ち歩く撮影で、警察に目をつけられたりしなかった?」
というイベント参加者からの質問には、
「撮影中はスタッフが映画のクルーであることが分かるように黄色いジャケットを着てたから大丈夫だったよ」
と監督が答えていました。


最後、三本目はイラン生まれ英国育ちの女性監督による"ABUELAS"。

Abuelas (予告) - (c)NFTS 2011


孫が生まれるブエノスアイレスのおばあちゃんが、
アルゼンチンで起こった歴史(軍事クーデターや暴動)を語るドキュメンタリー。
ドキュメントとは言っても、ナレーションが入って出演者が淡々と語る内容ではなく、
暖かいタッチのアニメーションを織り交ぜながらおばあちゃんの回想が表現されていきます。

監督はただ座って喋るだけの映像よりも、
観客を引き込ませる手法でドキュメンタリーを見せたかったと熱く語っていました。
確か、数ヶ月に渡ってアルゼンチンの人たちに取材したとのことで、
始めは監督である彼女を警戒していた彼らも、
イラン生まれで英国に移ったという身元を知ると、
次第に彼女そのものを受け入れてくれたそう。

この作品はNational Film & Television Schoolの卒業制作として作られたそうなのですが、
上映の後、監督の恩師であるNik Powellの特別講演?がありました。
Nik Powellは「リトル・ヴォイス」や「バック・ビート」等を手がけたプロデューサーです。

PowerPointを使った講義は、映画を作る際の心得や売り込む相手の見極め方等について、
冗談を交えながら語るものだったのですが、
(例えば、牛がいたら、普通は家畜にし、牛乳を絞り、食肉として売り出すけど、
 日本人は牛を1/8フィギュアにして世界に売り出すよね、みたいなことまでw)
印象に残ったところをメモしたのに、読んでも内容が全然思い出せないw

明確に覚えているのは、
Three phases of personal creativeについて。
Imitation→Autobiography→Originality(genuine)
模倣し、昇華して独自の作品を作り上げる、ということですね。




イベントが終わったのは21時。外はさすがに暗くなっています。
レストランには夕食を楽しむカップルやグループがテーブルを囲んでいます。



お洒落な映画館のネオンが光る街角。

久しぶりにまとめて短編映画を見て、自分の中の何か作りたい衝動がモゾモゾと動くのを感じました。
例えばSHERLOCKやDOCTOR WHO、The League Of Gentlemen等、
Mark Gatissが関わっている作品にしてもそうですが、
私が英国に憧れ続けてきたのは、英国の笑いや物語に惹かれていたためであり、
その夢見た場所に滞在してみて、改めて、この国の作品から吸い取ったセンスを、
少しでも自分らしい媒体でアウトプット出来たらいいのに、と思うのでした。

さあ、次はいよいよマンチェスターへと向かいます。

【おまけ】
夜のBaker Street駅構内(Circle Line)。
何度も乗換に使っていたけれど、あまり写真には撮っていなかったんですよね。





滞在中、一番お世話になったBaker Street駅。
Circle Lineのホームは、その古さが心を落ち着かせます。
Jubilee Lineのホームにあるホームズの絵とも、数日お別れです。



この日の夜食は駅の売店で買ったパリパリの揚げ物
ひき肉とグリンピースが入ってます。スパイシーなお味。

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