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【ロンドンが舞台】「ルパン三世」Part 6 前半 各エピソード鑑賞メモ【ネタバレ】

2021-10-18 | TV/ルパン三世

前回の記事で触れたように、
現在も相変わらず「ルパン三世」のテレビスペシャルをコツコツ鑑賞中。

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【新シリーズを前に…】「ルパン三世」テレビスペシャル&スピンオフ一気見!【更新中】 - だから、ここに来た!

最近、映画化される「カーボーイビバップ」や9月に配信が始まった「パディントンの冒険」を見ようとNetflixを開いていたら、つい未見だった「...

【新シリーズを前に…】「ルパン三世」テレビスペシャル&スピンオフ一気見!【更新中】 - だから、ここに来た!

 

2021年10月10日からは、いよいよ「ルパン三世」テレビシリーズPart 6が始まりました。

近年のテレビシリーズは、Part 4はイタリア、Part 5はフランスが舞台でしたが、Part 6は英国が舞台
ルパンとシャーロック・ホームズが実は因縁の関係?で、
正義の側であるホームズと対立するルパンは悪人か、それとも善人か?
というのがテーマになってくるらしい。
また、今回のルパンは言えない秘密を抱えていて、後々それを明かすことになる、とも。

押井守、辻真先、芦辺拓、樋口明雄、湊かなえといったクリエイター・推理作家が
ゲスト脚本家として参加する点が注目されましたが、
今回は何よりも次元大介役の小林清志が勇退し、第1話で大塚明夫にバトンタッチすることが話題に。

ルパンを復習している者として、
またホームズのファンとしてどんな設定・物語になっていくのか気になるので、
各エピソードずつ印象を残していきたいと思います。
(絵は自分が趣味で描きました。まさかする人はいないと思いますが転載不可です。)

【第2弾PV】シリーズ最新作『ルパン三世 PART6』2021/10/9(土)24時55分より日本テレビ他全国放送!│"LUPIN THE THIRD:PART 6" New Trailer 2021

 

第0話 EPISODE 0 ―時代― (2021年10月10日放送)

小林清志さん勇退エピソード。

 

仕事の後に不二子と合流するはずが、またしても置いてけぼりをくらい、
AIドローンが放つアルコール粘着剤で捕まったルパン一行は、マグナムや斬鉄剣も奪われてしまう。
やる気を出せば警察に対抗できたはずだが、相手のプラスチック製の銃を見て幻滅してしまった次元は
自分の気概に釣り合わないこんな世の中じゃ泥棒稼業も潮時かと考え始める。

次元回、それもコバキヨさんを見送る回なので、
もっとハードボイルドなエピソードになるかと思ったら、
意外にもほのぼのした回で拍子抜けしまった。
次元が引退しようかと悩んでいた割にはすんなり一味の輪に戻っていて、
「プリズン・オブ・ザ・パスト」のサンドイッチみたいに
もう少し仲間の縁の気づきの演出なりセリフなりが欲しかったな。
ただ、ルパンと一緒に飲む酒が一番旨いと感じていることは
バーで上等な酒を飲んでも旨くない、というセリフでわかった。

ルパンが用意していた酒が、テレビシリーズが始まった1971年ものというのも良かったけど、
クリカンの声がいつも以上に山田康雄に寄せているところに胸が熱くなった。
最後はかつての声で花を添えたいと思ったのかもしれない。
ルパンが五ェ門に言った
「時代が変わりゃ自分も変わる 俺はそうやってきた
 けど次元大介って男だけはそんな俺を黙って受け入れてくれた
 あいつだけは変わらずにいてくれた
 だから俺は俺でいられたのかもしれねえ」の一連のセリフは、
座長の役割をひき継がざるをえなかったクリカンからコバキヨさんへ向けた、
もしくは番組を続けてきたスタッフたちからの感謝の言葉のよう。

そして最初の次元のセリフにも「ルパン三世」に自由な生き方を見出す
視聴者へのメッセージが込められている気がする。

「人生について考える
 そんな野暮なことをするのはこまっしゃくれたインテリ気取りか哲学者
 もしくは人生に飽きた暇人ぐらいなもんだ
 腹が減りゃうまいもん食って寝る それが人間」

人生に飽きた暇人…それ、私です。(笑)

コバキヨさん、約50年間お疲れ様でした。

 

第1話 シャーロック・ホームズ登場 (2021年10月17日放送)

フランス司法警察中央局長のアルベールがある密告を元に
英国の資産家フォークナー卿のオフィスに侵入。
そして一枚の絵を盗み出すが、
シャーロック・ホームズの推理によってロンドン警視庁のレストレード警部らに包囲される。
しかしMI6も同様に、彼の身柄を拘束しようとしていた。
双方に追跡され、絶体絶命のアルベールだったが、ルパン一味が救出。
ルパンは助け出したアルベールに、第二次世界大戦以降、英国政府を影から操ってきた謎の組織
「レイブン」のお宝を10年前から狙っていることを明かす。

その後、ロンドン警視庁では何者かによってフォークナー卿が取調室ごと爆破される。
爆破のニュースを聞き現場に向かうホームズは、
警視庁から断ち切られた絵の片割れを盗み出したルパンと遭遇する…

ルパンと不二子のバイクチェイス、一緒にロンドンの中心地を逃げ回っているみたいで楽しかったです。
あー、ロンドンの街が恋しい。私の第二の故郷…。
どの場所を走っているのかも、背景を見ていればだいたいわかる…。
しかし、ロンドンの街であんな戦車が出てきたらパニックですけどね。
実際には街の人出ももっと多いし。

大塚明夫さんが演じる次元の初回でしたが、セリフは少なめ。
でもことさら焦点を当てることなく、かえって当たり前にそこにいる存在になってて、
自然に戦闘シーンに馴染んでましたね。

まだ初回なので、これから明らかになっていくだろう謎のワードがたくさん出てきます。
ブラックドローイングへの侵入を許した」とか
「10年前ホレイショがどうなったか」とか
「私(フォークナー)を殺せばあの部屋はどうなる?」とか。

ホームズについては、ご近所さんを親しげに家に招き入れたりするような、
パッと見、犬ホームズのような気さくな?キャラクター設定になっていて、
おなじみのレストレート警部やハドソン夫人は出てきますが、
リリーという14歳の女の子と一緒に暮しています。
リリーは「ここ(221B)に来て3年」らしく、ホームズの関わる事件にも興味深々のようですが、
ホームズは彼女を面倒事に巻き込みたくはない様子。
レストレードに探偵料の追加を提案したり、
浮気調査のような面白くなさそうな(笑)案件を引き受けているのは、
このリリーの養育費を賄うためらしい。

ホームズといえば当然ジョン・ワトソンが欠かせない存在なので、
設定画を見た時から、ワトソンがいないことがずっと気になっていました。
しかし、それにもわけがあるらしく、ホームズが助手に関しての話題を避けたり、
ハドソンさんがホームズと出かけるリリーを見て「まるで彼が戻ってきたみたい」とつぶやいたり、
ホームズの部屋に一つだけ伏せた写真立てがあったり、
リリーが「もし、レストレードさん"まで"死んじゃったら…」と発言しているので、
ワトソン、もしくはそれに相当する人物(リリーの親?)が亡くなっているのだろうと推察されます。

そして終盤でホームズとリリーの姿を見たルパンが「リリー、大きくなったなぁ」とつぶやき、
彼の姿を見たリリーが叫んでいる様子から、
おそらく、その誰かの死の原因がルパンである…のかも
もちろんそこにレイブンも関わっているんでしょうね。
全ては10年前から始まった…のかな?

あー、まだプロローグでしかないから先が気になる!

第2話 探偵と悪党 (2021年10月24日放送)

銭形から逃げ果せたルパンはアジトで盗み出した絵に描かれた映画を確認するが
そこに隠されたレイブンに関わる謎は解明できていなかった。
一方、絵が保管されていた部屋、ブラック・ドローイングを訪れた銭形と八咫烏は
そこに現れたレストレードと協力し、情報共有することを約束する。
ホームズは昔の記憶を取り戻しつつあるリリーを置いて、ルパンのアジトへと乗り込んでいった。

今回ルパンが「その(レイブンに関わる)事件でホームズは大切な相棒を失った ジョン・H・ワトソンをな」と明かし、
リリーが倒れた父の傍で銃を持った男(ルパン)が立っている夢を見たと語っていることから、
10年前の事件でリリーの父であるワトソンが亡くなり、その現場にルパンが立ち会っていた
というところまでは、ほぼ明らかになりました。
ホームズもレストレードもリリーの記憶が甦ることを気にしていたので、
これまでその事件を思い出させないように気を使っていたんでしょうね。
(「SHERLOCK」で昔の記憶を取り戻さないようにマイクロフトに管理されてたシャーロックみたいな?)
ただ、ルパンが殺害したとは語られていないので、やはり真相はそう簡単ではなさそう。

絵が保管されていた照明もないブラック・ドローイング=黒の間は、前回のセリフから考えると謎が多そう。
バッキンガム宮殿にはホワイト・ドローイング=白の間があるってのも対になってそうで気になりますねー。

ルパンもホームズと直接対決するのは気が進まないらしくロンドンから一時撤退を決断
次元&五ェ門&不二子は納得いかず、一味のアジトを見つけ出したホームズと対決。
彼らはリリーの存在を知らないので、ホームズが絵の奪還に来たと捉えているかもしれませんが、
当のホームズは絵のことは関心がなく、リリーの前には現れないと約束していたルパンを自分たちから遠ざけたいだけ。
そして隙を見せた五ェ門はホームズにバリツ(!)で投げ飛ばされ、
タンデムで追跡する次元&不二子も、ホームズが乗り捨てたバイクと衝突して振り落とされてしまいます。
ホームズにお姫様だっこされた不二子が頬を染めてるのが珍しい!
五ェ門はそう簡単に投げ飛ばされたりしないと思うのですが、
ホームズを応援していいのか五ェ門を応援していいのか悩むわ(笑)。

今回の次元は先週よりも喋ってましたね!
「なーにがあったのか、洗いざらい喋っちまいなっ!」のイントネーションが次元ぽかったし、
「けっ!」の声がコバキヨさんが戻ってきたのかと思うほど似てた。
似てればいいというわけではありませんが、やっぱり明夫さんも意識して演じているんだろうなーと。

興味深かったのは、ホームズの名前が継承されるものと設定されたところ。
「その名を頂くものは世界でただ一人の諮問探偵とされる」
「どういう形で継承されてるかは俺も知らない」
ということは世襲ではなく、ホームズの名を冠するにふさわしいものが継いでいるということか。
でもルパンも、Part.5のアルベールとの争いで、
孫と言うよりその名にふさわしい活躍を続けているからこそ名乗っている描写に見えたので、
どちらもその方が設定的に自然かも。
過去のシリーズに出てきたホームズ三世が「まがいもん」呼ばわりされながらも言及はされていて笑いました。
しかし、ホームズが「人々を助け、弱いものを助けるのが使命」なんて言うかねー。
内心そう思っていたとしても言わないのが英国人ホームズっぽいけどなー。

結局、ルパン対ホームズの本格的な対決はお預けで、来週は辻真先脚本の1話完結回。
しばらくロンドンとはお別れだ…。
(最後のシーンでアルベールが一味のイチャイチャ旅写真を見ていて笑いました。
 あれにはアルベールもイラッとくるだろうなー)

第3話 大陸横断鉄道(嘘)の冒険 (2021年10月31日放送)

自身の庭園に鉄道を持つマーキス公爵のパーティーを南アフド共和国首相が訪問。
ルパンはリバプール&マンチェスター鉄道試乗会の貴重な切符を奪おうと首相に化けるが、
メイド姿で金庫に忍び込んだ不二子の身に危険が迫る。
一方、会場にはルパンの犯行を予測した銭形警部とニューヨーク市警のクイーン警視、
そして警視の甥であり不二子に目を奪われて紛れ込んだマンフレッドとフレデリックもいて…

Part 2のような1話完結のライトな泥棒劇。
以前マンチェスターで鉄道発祥の地を見たことがあったなー、と思い出しつつ鑑賞。
クイーン警視はエラリー・クイーンシリーズの父の名前、
マンフレッドとフレデリックは作家のエラリー・クイーンの本名から引用しているようです。
(ホームズ好きではあるけど推理小説には詳しくない私でありました。)
一瞬でメイド姿に変身する不二子が可愛い。
不二子は追っ手に囲まれて咄嗟に切符を食べちゃいますが、手の中にちゃんと隠し持っているのが見えます。
エキストラ調達係の次元と五ェ門がルパンの真似をして銭形のとっつあんを煙に巻くのが可愛い。
次「シャンパ〜ンならあっち」(←微妙に似てる) 五「フライパンなら向こう〜」(←全然似てないw)

今回気になったのは、次元がコンバットマグナムを「相棒」と呼んでいて、
ルパンを呼んでるのかどっちなのかややこしいかった点。
私にとっては次元の「相棒」はルパン、「女/恋人」はマグナムなんですけど。
(過去のテレビスペシャル参照のこと。)
でもエピソード0ですでに
次「相棒との人生について振り返っちまったよ」
ル「相棒?俺のことか?」
五「押収された拳銃のことであろう」
ル「あーそう…」
って会話があったんですよね。
拳銃を女に例えるのって性差別的な問題あったっけ。
個人的にはコンバットマグナムを恋人に例えて語る次元が好きだったんだけど。ちょっと寂しい。

来週は押井守脚本回。

第4話 ダイナーの殺し屋たち (2021年11月7日放送)

寂れたダイナーに2人組の男がやってくる。店にはすでに物騒な客が6人いた。
2人組は店員の女をからかいながら、ハムエッグサンドとベーコンエッグサンドを注文し、
標的であるアンドレ・アンダースンを待つ。

CIAがコードブックとして利用したヘミングウェイの短編「殺し屋」の草稿をめぐる話。
前半は「ゴドー待ち」状態で、後半が種明かしになっている。
私は短編そのものを読んだことはないけれど、後から内容を確認したところ、
ほとんどこの短編の筋書き通りのエピソードになっている。
短編の初稿をシェイクスピア書店が出版した、というのは創作か。
のちのCIA長官アレン・ダレスがヘミングウェイを好きだったかどうかはわからないけど、
検索したらヘミングウェイと遠縁っぽいページが出てきた。真偽はわからない。

2人組はルパンと次元なわけだけど、今回に関しては変装していても2人の個性がにじみ出てる。
双子みたいにお揃いの格好しているのが嬉しい。
不二子ちゃんが意外にも映画監督に詳しい?ことに驚き。
しかもフォン・トリアーとかカウリスマキとか。店員の個性に合わせての発言だろうか。

ホームズ回ではありませんが、単発回でもロンドンを舞台にしています。
海外のファンの方のツイートで判明してるのが、
ダイナーの舞台(外見)はブラックヒース近くのパブ"The Gratitude"。
アンドレ・アンダーソンの部屋はアイル・オブ・ドックスのブルー橋
(タワーブリッジみたいな跳ね上げ橋)そばのフラットで、
後半でルパン達が話していたのは、ブルー橋を渡ってサウスドックを挟んだ場所。
ということは、彼らの後ろに見えるのはカナリーワーフの夜景だ!
アジトがブラックヒース近くにあるせいか、東側が背景になることが多いですね。

ちなみにヘミングウェイの短編「殺し屋」を映画化したドン・シーゲルの「殺人者たち」
吹替版に小林清志に二階堂有希子が出演しているみたい。
(押井守はドン・シーゲル好きらしいからこのへんも狙っているかもしれない。)
Pt.1終了後の吹替版だから狙ったキャスティングだ。ちょっと見てみたいな。

押井作品は詳しくないけど、見直し甲斐のあるエピソードでした。
ところで、メシマズで喧嘩すな!3人とも!(笑)


お絵描き(模写)が楽しくなってきた。

第5・6話 帝都は泥棒の夢を見る(前・後編) (2021年11月14日・21日放送)

なぜか昭和初期の東京に飛ばされたルパンは、
「黄金仮面」として銭形そっくりな浪越警部に追われる身に。
そこで不二子そっくりの黒蜥蜴に助けられるが、
監禁されて中国大元帝国時代の吉凶を表すからくり時計を盗み出すために協力を要求される。
逃げ出すルパンに銃口を向けるのは次元そっくりの軍人だった。

推理作家の芦辺拓が脚本を担当した全2回。
江戸川乱歩作品へのオマージュに溢れており、
黄金仮面、浪越警部、黒蜥蜴、明智小五郎といった人物が登場。
元々アルセーヌ・ルパンシリーズのようなものを目指していた黄金仮面シリーズを、
今度は「ルパン三世」が引用するというのは興味深い。

ただ、ルパン三世のファンが皆ミステリー好きというわけではないと思うので、
その設定だけで皆を喜ばせようとすると無理がある気もする。
今回の第6シリーズは「ミステリー好きを楽しませるもの」を意識しすぎて、
アニメとしてのルパン三世のファンはちょっと置いてけぼりをくらいそう。

あと作家が脚本を手掛けるからといって、
素晴らしいアニメエピソードになるかというとそれは別の話ではないかとも思えてきた。
情報量が多い割にテンポがゆるく感じる。

あとあの世界を作り上げた人の後の組織(会社?)が
ルパンのアジトの解除パスを盗み取ろうとする理由がよくわからないし、
(何か特定の保管されたお宝があったのかもしれないが触れられてはいない)
あんな手の込んだ世界にルパンを落とし込んで、
どうやって解除パスを聞き出すつもりだったのか。
何だかモヤモヤするのでした。

とはいえ、軍服姿の次元(?)は新鮮だったし、
お宝を守るサラントヤちゃんが可愛かったので気分が盛り上がりはしましたが。
次元の正体は後編でわかりますが、「あの人が次元の祖先だったらいいな」と言ってる海外の方がいて、
確かに!と思いました。今まで次元だけは祖先の言及がされてないですからね。

来週はやっとホームズの話に戻るみたい。
第2話以降に別の話が入りすぎてちょっと気分が萎えちゃったな。
ホームズ好きですら期待感が薄れているのはいかがなものか…。


ファンの間で一番?盛り上がった、次元似の少佐

 

第7話 語られざる事件 (2021年11月28日放送)

以前のように再び未解決事件を手がけるようになったホームズは
次々とロンドンの事件を解決し犯人を警察に引き渡していた。
次元と共にロンドンに戻り、221Bの様子を伺っていたホームズは銭形と遭遇し、
空気銃を愛用するスナイパー、セバスチャン・モランに狙われる。
モランはホームズの命を狙い、新興の犯罪組織に雇われていた。
逃げ込んだ墓地でモランに狙われる中、ルパンはホームズとの因縁について銭形に語り始める。

やっと本筋に戻った第7話。
10年前の出来事もルパンによって明らかにされました。
ホームズが解決した脅迫事件の犯人の一人、ホレイショ・クローバーが
犯罪歴を帳消しにすればレイヴンについて知っていることを話すと取引を持ちかけ、
スコットランド・ヤードは取引に応じたが、身柄を匿われたホレイショは逃げ出し、
お宝目当てで後を追ったルパンがホレイショとその現場を目撃したワトソンが殺される現場に居合わせた
と言うのが真相。だいたいこれまでの予想通り。

駆けつけたリリーは熱を出していて、ルパンが現場に居合わせている場面だけを記憶に留めており、
殺し屋のことは覚えていないが、思い出せば命を狙われる危険がある。
後から現場に現れたホームズはルパンが犯人ではないとわかっていたが、
リリーの身の安全のため、ルパンと対決することなく、再び現れないよう忠告してその場をたちさらせた…。

気になるのは、ワトソンが後をつけたことから見て
レイヴンの殺し屋は「見知った人物」であるとルパンが語っていた点。
このあたりでますます「レストレードが怪しい」という声をよく見かけたのですが、
もしそうだったら個人的には悲しいなー。警部には善人であってほしい…。
(銭形のとっつあんたちとパブで飲んでるシーンが個人的に嬉しかった。夢の共演!
でも、休日にわざわざリリーの様子を学校まで見に来るのとか確かに怪しいよなー。

冒頭の字幕でスナイパーの字幕が「モラン」と出てきたので、
「セバスチャン・モランじゃねーか!!」とすぐわかりましたが、
モランを雇ったのが「教授」を名乗る人物、つまりもうモリアーティしかない!
しかし、レイブンと教授のつながりはないらしいので、
「ルパン VS ホームズ」というより、「ルパン&ホームズ VS レイブン、教授」という構図になりそうですね。

ルパンが10年経ってロンドンに戻ってきた理由が、
ホームズとリリーを10年前の事件と向き合わせるためだったってことだけど、
もちろんそれは、ルパン自身がレイブンのお宝に再挑戦する気概を持っているってことで、
ルパンの攻めの姿勢が表れていて好きです。
「本当のことはすぐにわかるさ。真実ってのは強いんだぜ?」

とっつあん(と見せかけて実はホームズ)と一緒にモランに狙われているルパンから、
「すんごく頼りになるヤツと一緒なのよぉ〜」と言われて
「頼りになるヤツ??(=俺じゃねーのか??)」と釈然としない顔の次元。
ちょっとPart 5のアルベールの件で拗ねてた時のことを思い出してしまった。
そんな頼りになる次元が来週の主役みたいで楽しみ!

バリツで投げ飛ばされたショックで修行に行ったまま戻ってこない五ェ門、
早く戻ってこーい!

テムズ川で船を操舵してる次元を見て、「7番目の橋が落ちるとき」でも船長みたいな格好してたのを思い出した。

第8話 ラスト・ブレット (2021年12月3日放送)

ルパンとホームズの再会から遡って3年前…
その頃、ワトソンの娘リリーは、スコットランドの寄宿学校で学んでいた。
リリーのことが気になる同級生のケニーは、
課外授業で訪れた美術館でリリーを連れ去ろうとする女装の男に立ち向かおうとする。
そこに「あしながおじさん」と名乗る男ルパンが現れ、男を退治。
ルパンはケニーにここで出会ったことはリリーに秘密にするように伝え、姿を消すのだった。
その後、リリーはロンドンへ戻ることになったが、
護衛するはずのロンドン警視庁の刑事たちは何者かに襲われてしまい…

大塚次元初のメイン回
リリーに惹かれている少年との交流を描くのと同時に、
S&W M19(コンバットマグナム)との関係を描いた回でもある。
ルパンだけでなく、シティーハンターだとか刑事モノのドラマを通じて
銃の種類はいくつか知ってはいるけれど、威力や耐久性についてなど全くの門外漢なので、
比較や製造の経緯を読んだり見たりするとなかなか面白い。(参考)
もともと小型のKフレームを使ったM19は、威力の大きい357マグナム弾を使うには負担が大きいんですね。

それでも何故次元はM19を使い続けるのか?というのは今までも今回もはっきりと明言されないけれど、
それが多くを語らない次元らしいこだわりだし、想像を掻き立てられます。

前述の通り、第0話・第3話で次元がコンバットマグナムを「相棒」と呼んでいるのが気になっていたけれど、
この話に合わせるためだったのかもしれないな。
ケニーに「これは俺の女なんだ」とは言えないだろうし(笑)。
ルパン相手ならともかく、男の子相手じゃあんまり格好がつかない。

リリーを守るために同じ子どものケニーを巻き込むのは危ないよ!という感想も見かけたのですが、
ケニーが必死で掛け合ってルパンが根負けしたんじゃなかろうかと想像してます。
もう会えないかもしれない好きな子を最後まで守りきろうとするケニーくん…
自分の生き方にこだわり抜く次元の生き様を目の当たりにして、
将来ますます素敵な大人になりそうですね。

「ガンマンってのはな、職業じゃねえ。生き方なんだ」なんて名言も飛び出したり、
次元はいつものようにカッコいいのですが、
「次元さんは怖くないの?」の質問に
「俺だって怖いさ。いつまで経っても慣れることはない」と答えていた場面も印象に残りました。
ケニーのような少年相手だからこそ素直に語ってるんだろうなー。
「あしながおじさん」ことルパンの優しい語りかけ方にもきゅんとしました。

ところで、気になることが。
冒頭でブラッド・ロークと次元が対決する場所はマルセイユ港らしく、
最後にルパンと次元が車で移動している時にもマルセイユのノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院が映るのですが、
時間軸がよくわからない。マルセイユ→スコットランド→ロンドン→マルセイユ?
それともこの後の物語でマルセイユを舞台にした回が出てくるのか…
そのへんがちょっとモヤモヤしています。

ちなみに、ケニーやリリーが通う寄宿学校は、スコットランドにあるゴードンストウンが外観のモデルになっているっぽい。
王族や著名人の子息息女が通う学校なので、ケニーもかなり裕福な家柄出身じゃないだろうか。
リリーを学校に入れたホームズが学費のために事件の種類にかまっていられないのも無理はないか。


次元とケニー。子どものケニーに銃は持たせられないので、クリケットのバットを持たせました。

第9話 漆黒のダイヤモンド (2021年12月10日放送)

トレジャーハンターのチェリーから招待状を受け取り、
海賊王ジークの財宝を出品する闇オークションに参加するルパン。
お目当ては「漆黒のダイヤモンド」のありかを示すこけし。
すでに手に入れていた地図の残りだけ中から入手し、
こけしを落札者のご婦人に返したルパンだったが、完成した地図を不二子に横取りされてしまう。

湊かなえ脚本回。
しばらく登場していなかった不二子、五ェ門、銭形も勢ぞろいして、
個人的に今のところ一番好きな回でした。
やっぱりルパンはお宝を盗む姿が一番かっこいい!
それに、睡眠中に突然あることに気づいて飛び起きるルパンにびっくりする次元や、
巨大イカを真っ二つにする五ェ門、スナック菓子を貪る五ェ門と次元など、
必ずしも必要ないけど楽しい一味の描写が大好物です。
(今回、ナイトキャップかぶってるのは次元じゃなくてルパンだった。)

お宝の正体には(そんな気はしていた)と思いましたが、
盗んでみたら現代にはそれほど価値のないものだった、ってオチはけっこう好き。
それに、視聴者としては、久しぶりに一味の怪盗らしい活躍を見せてくれてありがとう!の気持ちが強いです。

次元は「何しに来たんだ、俺たちゃ…」って言ってましたが、
その後、五ェ門が「だが、今宵の月は美しい」って言ってるのを聞いて、
この二人はしっぽりクルージングしに来たということでいいのではないかと思ってしまいました。

それにしても、とっつあんの「この銭形、(居場所が)臭いでわかったのだ!」の発言に、
臭い!?とびっくりしましたが、ルパンパウダーなるものがあるとは。
いやいや、ルパンパウダーって何だよ!(笑) じわじわツボる謎アイテム。

第10話 ダーウィンの鳥 (2021年12月17日放送)

謎の人物ミハエルから大英自然史博物館所蔵の始祖鳥の化石を盗む依頼を受けた不二子。
実行は不二子本人が担当し、ルパンには依頼主ミハエルとその主人の身元調査を任せるが、
ミハエルの正体はつかめず、不二子が依頼をされた屋敷も買い手のいない空き家だった。

押井守脚本回。
かつて手がけようとして頓挫してしまった劇場版のプロットに化石を盗む内容があったため、
今回のエピソードに関係してくるのではないかと内外の視聴者の間で話題になっていました。

自然史博物館は何度も行ってるし、上野で始祖鳥の化石が来日した時にも見に行った私ですが、
何故か手元に画像は残っておらず。何してんだ私!
それはそれとして、この回のオチは意外にも「依頼人は◯」と一言で済んでしまう内容でした。
十代の頃に見ていれば刺激的だったかもしれませんが、
もうすっかり大人になってから見ると、もうその手の話はお腹いっぱいかなーという感じ。

今回、初めて次元恒例の「俺は降りるぞ」が聞けましたが、
依頼人が依頼人だけに降りて正解でしたね。

そしてまたも五ェ門不在。五ェ門強すぎるから下手に出せないのはわかるけども。

来週はホームズがらみの話の最終章。
ホームズが登場と盛んに謳っていた新シリーズなのに、
第8話をおまけで入れても全部でたったの5話ですよ!?
半分にも届かない。
これは詐欺なのか!? 厳しい言い方ですけど、マジで。
私はホームズ好きでもあるしルパン三世を好きでもあるので我慢出来ますが、
もしホームズだけ目当てで見てる人がいたとしたら納得いかないのでは…。
いや、私もかなりがっかりですよ、今の所!
とりあえず、来週に期待です。

2019年に撮影した自然史博物館のマッコウクジラの標本。2017年以前はディプロドクスの化石標本が展示されていました。

第11・12話 真実とワタリガラス/英国の亡霊 (2021年12月24日放送)

不動産開発業者のアレックス・ジェンキンソンが殺される。
ホームズとリリーはレイヴン関連の事件と見て現場を訪れ、
地元の人たちの情報から、不二子がジェンキンソンと共にパブを訪れていたことを知る。
不二子はロンドン中心部の土地を持つフォークナーに取り入ろうとしていたジェンキンソンから
情報を探ろうとしていたのだった。
ルパンが盗み出した絵の半分に懸賞金をかけ、一味の動きを封じ込めるホームズだったが、
突然倒れ、レストレードの車で病院へと運ばれる。
その途中、停車した場所はワトソンが死んだ日にリリーが訪れていた場所だった。
一方、賞金稼ぎだけでなく銭形にも追われるルパンは、
道中フォークナーの絵を落としてしまうが、絵自体は重要ではないと気にとめない。

後日、銭形を誘い、ブラック・ドローイングを訪れたホームズはそこで待ち構えていたルパンと対面。
ルパンとホームズはフォークナーの出勤時間から、ブラック・ドローイングの秘密を暴くが、
その瞬間、部屋は爆発し…

ホームズ完結編2本立て。
レイブンの財宝とワトソン殺しの犯人が判明します。

…皆が予期していたことですが、やはりあの人が犯人でした…
見終わった後、かなり落ち込んで憤っていましたが、
この記事を書くために見直してちょっと気分が落ち着いたかも。

今回の犯行の流れは、

犯人がフランスに絵についての情報を流す
 →フランス司法警察中央局(アルベール)が絵を奪う
 →ホームズが調査する
 →絵の件でフォークナーが止むを得ず取り調べを受ける
 →財宝の隠し場所の鍵である指輪を外す
 →フォークナーを殺害
 →犯人が警視庁内で鍵入手

という計画の上で実行されたことがわかります。
ルパンとホームズは同時進行でこの真実にたどり着き、最後には協力して真犯人を追い詰めるのでした。

しかし… ルパンには次元も五ェ門もいるのに、ホームズにはワトソンもいないし、あの人も犯人だし。
ちょっと酷すぎやしませんか…(泣)
いくら様々な脚色をされた作品があるからって、何してもいいのかい?
スタッフにホームズ好きな人はいなかったのか? いたとしたらちょっとは心は痛まないのか?
とか、ショックで色々考えてしまいました。
予想はついていたけど、あまりに分かりやすすぎて、
「いやいや、実はそう思わせといて別の人物が出てくるはず…」と、どこかで受け止めきれずにいましたよ。
視聴者をビックリさせる犯人として予想外に明かされるのならまだしも、
もう十分怪しい上に犯人なんて… なんのサプライズでもなく…
むしろ彼が犯人じゃなかった方がサプライズになったはずだよ。
ルパン対ホームズと聞いて見に来たホームズのファンをなんだと思っとるのさ…
ホームズだけ生きてりゃいいとでも思っとるのか…
(もちろんシャーロキアンでもなんとも思わない人もいるかも知れませんけどね)

そもそもホームズのキャラも世間一般的な文武両道のかっこよさだけで、
ホームズ独特の切れ味も茶目っ気もないし、特別な魅力がないんですよ。
(ルパンが主役だから、目立つ個性が出せないのは分かるけど)
それに改めて伝記作家としてのワトソンあってのホームズなのに、そのワトソンがいないとか…
リリーがいるじゃないか、というフォローは悪いが受付られないぜ!

それと、他の方が触れていてそれそれ!書き忘れた!と思ってたことだけど、
ホームズは名前を「継承されるもの」=他のホームズが他にもいたと第2話で言及されているのに、
なぜかワトソンもハドソンさんもレストレードもモリアーティもモランも元の名前で存在している謎。
まさかこの人たち全員同じように名前を継承しているわけでもあるまいし、詰めが甘すぎませんか。
だったらホームズの名前だけ残して、全員全く違う名前のキャラクターを登場させればよかったのに。
かつて存在した初代のホームズと同じように、今のホームズにも相棒がいたけど死んでしまって…とか。
そうしたら今回の真犯人のモヤモヤも残らなかったのに。

最後にCV石田彰を出してきても、全く心の傷は癒されません
しかもまたルパンの知り合いとか… 風呂敷広げすぎでしょ…

結局、癒されたのは五ェ門の「ただいま」だけです。
居場所がなかった五ェ門(L峰参照)が今「ただいま」と言える場所がアジトなんだなって思うと胸熱。
一味がアジトを去る時の支度の風景(ex.肌着をカバンにしまう次元、車いっぱいに積まれた荷物)が見られたのは嬉しかったです。
(もっとチャチャっとコンパクトに支度して出て行くべき!っていう意見も見て、確かに!とも思った。)

不二子ちゃんがアルベールに銃を突きつけてルパンと去っていく姿も好きでした。
個人的にはアルベールはかつてルパンに惹かれてたところがあると勝手に思っているので、
ああいうところを見せられるとまたしてもイラッとくるんじゃないかなーと想像したりして。
ルパンとアルベールのやりとりってどこかヒリヒリしていて興奮します。

ということで、もうこの前半については今後「漆黒のダイヤモンド」「ラスト・ブレット」の見せ場
そしてコバキヨさんの勇姿としてのエピソード0を延々繰り返し見ることにしようと決めました。

後半は別途、記事を立ち上げるつもりです。
はぁ… もう後半に期待を込めるしかない…(泣)

↓↓↓続きはこちらです↓↓

【女がテーマ】「ルパン三世」Part 6 後編 各エピソード鑑賞メモ【ネタバレ更新中】

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【新シリーズ開始記念】「ルパン三世」テレビスペシャル&スピンオフ一気見!

2021-10-08 | TV/ルパン三世

最近、映画化される「カーボーイビバップ」
9月に配信が始まった「パディントンの冒険」を見ようとNetflixを開いていたら、
つい未見だった「ルパン三世」テレビシリーズPart 5を見始めてしまい、
そこから近年のテレビスペシャルを怒涛のごとく遡って鑑賞しています。
こんなに毎日「ルパン三世」ばかり見てるのは人生で初めてかも。
Netflix契約料金の元が取れたかな。

10月9日に英国を舞台にしたシャーロック・ホームズも登場するという新テレビシリーズPart 6が放送予定で、
次元役の小林清志も勇退という話題が頭に残っていて、指が動いたのかもしれません。
(小林さんは私の大学の先輩にあたり、同じ東京人でもあり、
 以前ラジオで大学時代の校舎の思い出話を聞いて以来、勝手に親近感を感じています。)

 

「ルパン三世」というと、私は山田康雄がご存命だったテレビスペシャルと
当時繰り返し再放送されていたテレビシリーズPart 2で育った世代で、
新作は20世紀末からだんだんリアルタイムでは見なくなっていったのですが、
その後もCSで過去のエピソードが放送されていると見たり、
2011年に開催された松屋銀座のルパン三世展を見に行ったり、
普通の一般的な映像作品好きの日本人として興味を失ったことはありませんでした。

(そういえば、ホームズは好きなのに、アルセーヌ・ルパンは一度も読んだことなかったなー私
 「銭形平次」なら毎週見てるけど…)

 

Part 5は、SNS時代のルパンの活躍が見られるのがとても新鮮で、
軸となるAI技術で行動予測され追い詰められるルパンのストーリーと、
仲間との踏みこんだ会話のやり取りに引き込まれて、一気に完走してしまったわけです。
どんな時代の困難な状況でも、飄々と、軽々と飛び越えてみせるルパン達を見て
妙に元気づけられた気がしました。

ルパンと次元(もしくはルパンと銭形のとっつあん)が恋人だと誤解されて
疑われるほど仲がいい関係を現代っぽくブロマンス風に表現したり、
ルパンと過去に組んでいたらしいアルベール・ダンドレジーというゲイのキャラクターが登場したり、
(ダンドレジーは初代ルパンの母の旧姓なんだそうな。友達以上恋人未満の関係なのかと思ったら親戚なのか…)
描かれ方も随分変化してるんだなーと嬉しくなりました。

 

そして、いい機会だからしばらく見ていなかったテレビスペシャルを
(とりあえず配信されている分だけでも)見直そう!
と勢い余って決心しちゃったのですが、特番だけとってもかなりの本数あるのですでにヘトヘトです。

やっぱりテレビシリーズの方が面白いよなーと思いつつ、
しかしせっかく見始めたので、軽い気持ちでツッコミ入れながら、
各作品の印象を残しておこうと思います。

新しいものから遡って見ているので、下にいくほど古い作品になります。
好みの作品には星を付けました⭐️
(まだ途中なので、見終わった作品は追記予定。)

まずはスピンオフから。

 

スピンオフ


『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』(2014)
『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』(2017)
『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』(2019)

については劇場公開作の記事で触れています。

『LUPIN THE IIIRD 峰不二子という女』(2012)⭐️

峰不二子が主人公のスピンオフ・シリーズ全13話。
前述の劇場公開作よりも前に作られていますが、私が見たのはその後。
こちらも原作をリスペクトしたダークな作風になっている。
60年代を意識したゴリゴリ前衛テイストって、
高校の頃、寺山修司にハマってた同級生たちが書いていた文章や絵を思い出し、
大人になって見ると深夜にラーメン食すような胃もたれ感がある。
13話見るのは、正直しんどい。
ただし、ウブな五ェ門が不二子に好意を持って「ガールフレンド」だと思っているのが最高にかわいいし、
媚薬を持ってしても不二子に色気を感じない次元が「へなちょこマグナム」呼ばわりされるのが可笑しい。
(しかしギャングの女と関係を持っているので、本当にへなちょこなわけではないのだ。)
というわけで、はじめの3話くらいが好みでした。

 

テレビスペシャル

第27作『ルパン三世 プリズン・オブ・ザ・パスト』(2019)⭐️

死刑が決定した現代の義賊フィネガンを救出し、彼の宝の分け前をもらおうと、
フィネガンに恩義を感じる名だたる盗賊達と同様に、ドルエンテ王国にあるエルギュイユ監獄へ向かうルパンたち。
しかし助けたはずのフィネガンによって監獄の外に叩き落とされてしまう。

五ェ門を国を救う伝説の剣士だと信じる騎士のベルテとのやり取りや、
サンドイッチをルパンたちの腐れ縁に見立てた会話が好き。
ルパン一味っぽくないセリフが多いのが気になるが、
銭形&八咫烏を巻き込んだ監獄での戦いもあり、
後述の「グッバイ・パートナー」よりは好みのストーリーだった。

第26作『ルパン三世 グッバイ・パートナー』(2019)

配信ではなく、2021年10月12日深夜放送の「映画天国」枠で観賞。
ルパンの犯行を計画し、共謀した張本人であると誤解された銭形警部が逮捕される。
プライドが許さないルパンは、自分が全ての犯行の計画者であることを証明するため、
量子コンピューター完成の鍵となるタイムクリスタルを盗むことに。

「史上最強の敵、相棒・次元大介!!」という宣伝文句で、
てっきりグッバイするパートナーはルパン&次元のことかと思ったら、
どうやら次元と昔の恋人(とその娘)のことを指していたらしい。
かといってその恋人との出会いのエピソードなんかは描かれないのでタイトル(あるある)詐欺のように感じる。
ちょっと「シティーハンター」の海坊主とバイオリニストの真希の話を思い出した。
元傭兵と音楽家の娘の組み合わせはギャップが魅力的なんだろうな。
コンピューターの制御にショパンの曲が必要というのは、ヒロインありきで付けた設定っぽい。

第25作『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』(2016)

 

第24作『ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜』(2013)

シャハルタ共和国のヘリウムをめぐる、国と多国籍企業そして空賊の攻防。
風の谷のナウシカとラピュタが混ざり合ったような設定の話。
(メーヴェのような凧や、風に乗る、といったワードも出てくる。)
次元が子守をしながら戦う姿を見て、ジョン・ウーの「ハードボイルド」を思い出す。
千葉繁が演じるミスターGのイカれ具合が最高だった!

第23作『ルパン三世 東方見聞録 〜アナザーページ〜』(2012)

財宝のありかが記されているマルコ・ポーロの「東方見聞録」の幻の1ページを追ううちに、
ルパンと次元は、岩手で宝物を守る一家と出会った五ェ門と合流することに。

キャラクターデザインが「名探偵コナン」の須藤昌朋のため、
コラボ作品でもないのにどのキャラを見ても「コナンに出てくるキャラだな…」と思ってしまう。
走る途中で立ち止まっているのに背景の街は動いている、というようなコマの粗も気になる。

第22作『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』(2011)⭐️⭐️

不二子&銭形&五ェ門の新キャストが初参加したアニメ化40周年記念作品。
こちらは佐藤好春がキャラデザインで、ジブリ!もしくは世界名作劇場!って感じ。
八百比丘尼伝説から活性細胞と不老不死を結びつけた話で、
流れるような話の展開に乗っかり、最後まで楽しめた。
最後の戦いには面食らったけど。
銀座で「龍鱗石」を盗むルパンの手際の良さ! あーいうシーンは繰り返し見られる!
冒頭から野沢雅子が登場して、それだけでこの一本の気合の入り具合がわかる。

第21作『ルパン三世 the Last Job』(2010)

不二子&銭形&五ェ門の旧声優陣のTVスペシャル引退作品。
風魔一族の秘宝「風神」を見つけるための手がかりを追い、
忍者集団とルパン一味、ICPOの潜入捜査官で一族の末裔が対決。

就寝前だったせいか、正直数日経ってしまうとあまり内容を覚えていない…。
ベテラン旧声優陣にとっての最後の特番なのに、
それぞれがそれほどフューチャーされていないのが寂しい。
イタリア人が率いる武装集団が忍者、そしてICPOの捜査官も忍者って、どういうことなんだ…
海外ウケ狙ったのかな…。
まぁそんなこと言ったら、ルパンもなんでイタリア人と日本人の血を引いてるんだって話になるけども…

特別編『ルパン三世VS名探偵コナン』(2009)

「名探偵コナン」とのクロスオーバー作品。
ヴェスパニア王国の王冠と鉱石を狙うルパンと次元。
一方で、女王と王子の猟銃事故後、
王位を継ぐことになった王女が瓜二つの毛利蘭と入れ替わったことから、
コナンたちは王女の行方と事故の原因を探ることになる。

これは放送当時チラっと見ていたけど、ストーリーは知らなかった。
どっちかというと作品はそれぞれ独立して見たいタイプの視聴者なので、
作風がコナンに引っ張られているのがしんどいなーと思いながら見ていたけど、
山田康雄の後輩である神谷明が生き生きと小五郎の声でルパンを演じているのが印象に残った。
(続編の劇場版は後述。)

第20作『ルパン三世 sweet lost night 〜魔法のランプは悪夢の予感〜』(2008)

不二子にお願いされて魔法のランプを盗んだルパンがランプをこすると
人生の半分と引き換えに願いを叶えてくれるという妖精が現れる。
すると突如、ルパンは半日分の記憶を丸ごと失ってしまう。

脳科学技術で記憶を操作されてしまう、という設定は凄く面白いけれど、
それをうまく生かしきれてないというか… なぜ魔法のランプである必要があるのか…
記憶が取られてしまうのはともかく、どうやって願いを叶えてくれるんだっていう…
脚本(セリフ)も設定とマッチせずチグハグだった印象。

第19作『ルパン三世 霧のエリューシヴ』(2007)⭐️

原作者の出身地、北海道浜中町霧多布が舞台の、ルパン生誕40周年記念作品。
科学者魔毛狂介の企みで500年前にタイムスリップしたルパン達が、
その土地に伝わる秘宝と伝承の謎を解き明かす。

過去のテレビシリーズを思わせる突拍子もない設定とアクションが楽しい。
こちらは時間(の移動)を取りあげた物語で、魔毛狂介が時間をいったりきたりしているけど、
前述の「sweet lost night」と比べると、筋が通っていて見やすいと思う。
魔毛がルパンに猛然と敵意を燃やす理由もくだらなくて好き。

第18作『ルパン三世 セブンデイズ・ラプソディ』(2006)⭐️

とある令嬢から父が製造する人口ダイヤ爆弾を奪ってほしいと依頼されたルパン。
一方で、不二子と五ェ門が狙う世界最大のダイヤモンド「女神の涙」が
米国大統領を脅迫するための材料として、人口ダイヤ爆弾とすり替えられようとしていた。

このエピソードは放送当時見た記憶がある。
タイが舞台の一つなのが新鮮味があって好き。
元傭兵仲間の紹介で敵方の用心棒になった次元がルパンと相対するシーンが熱い。

第17作『ルパン三世 天使の策略 〜夢のカケラは殺しの香り〜』(2005)

UFOのかけらと言われる球状の物質「オリジナルメタル」をめぐる、
ルパン一味と、反米テロ組織「ブラッディエンジェルス」の戦い。

それぞれ得意技を持つ「ブラッディエンジェルス」のメンバーと
ルパン達の対決が見所?になっているのかも?しれない。
その中では、五ェ門とカオルの斬り合いのシーンが美しかった。
それにしても、斬鉄剣でも斬れない物質を加工するには、
「ラベンダーの香りのする液体」が必要、ってどうゆうことなんだ…

第16作『ルパン三世 盗まれたルパン 〜コピーキャットは真夏の蝶〜』(2004)⭐️

フランスを舞台に、手にした者に死が訪れるという宝石「ブルズ・アイ」の秘密を暴き、
ルパン・コレクションを狙ってルパンの元相棒の娘を人質にした謎の男とルパンたちが対決する。

実際ありそうな「ブルズ・アイ」の存在理由が興味深いし、
ルパン・コレクションが存在する村も実は…ってところが、大胆でルパンらしい。
映画のようなシンメトリーの構図が多く、コマ撮りして絵になるようなシーンが多いのが印象的。

第15作『ルパン三世 お宝返却大作戦!!』(2003)⭐️

保管している7つのお宝を全て返却すれば
サグラダ・ファミリアの一部として使われていた「トリックダイヤ」を譲るという
亡くなった旧友の老泥棒の遺言に従うルパン。

ルパンって、隕石の欠片をお目当てにしがち。
普段盗みしかしてない大泥棒が盗品を返していく、という逆転の発想?や
欧州各地を転々として名所巡りっぽく見せているのも楽しい。
その中で、私が見たことがあるのはデンマークの人魚姫像だけど、
実際見てみると公園に置いてある銅像と変わりない見た目なので、
ルパンの言う通り、盗む価値あるのか?と思っちゃったな。(デンマーク自体は好きです。)

第14作『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト』(2002)⭐️⭐️⭐️

ルパンとの出会いを女性記者に語り始める次元。
ダイヤモンドより硬い合金の製造方法が書かれた錬金術書と
それを開くための鍵を狙うルパンと用心棒の次元の対決、そして不二子や五右衛門も集結。

一味の出会いを描いた人気の高い作品。これは私も放送時に見た記憶がある。
ベンツで走るルパンが助手席でタバコを吸う次元にマッチを擦って言う一言が、
最高の口説き文句過ぎて、思い出すとニヤニヤしてしまう。
男が男に惚れるってことですかね。
絶対にめげない銭形のとっつあんの不屈の精神が見られるところや、
思い出話のようでいて、実は違うかもしれない、という想像の余地を残しているところも好き。
そして、個人的にルパン三世のテーマはこの作品で使われている89年が大好き。
これを聞くと「ルパンのスペシャルが始まるわー!!!」と気分が高まります。特に前奏が最高。

Yuji Ohno Lupin The Third Theme '89

 

第13作『ルパン三世 アルカトラズコネクション』(2001)⭐️⭐️

違法カジノ船の売上金を狙うも銭形のとっつあんの妨害で失敗するルパン。
しかし本当の狙いは、カジノ船が調査していた沈没船の中の金塊だった。
その金塊が実は…という、サンフランシスコを舞台にしたお話。
これも放送当時見ていたかもしれない。
狙いのお宝が終始変わらず明白なのでとてもわかりやすいけど、
前述の「東方見聞録」のような、ケーブルカーが動いてる場面と動いていない場面があったりする。
石田太郎がコロンボみたいな刑事?役で出てくるのが面白い。
今回の敵の秘密結社のメンバーの一人が、次期次元役の大塚明夫。

第12作『ルパン三世 1$マネーウォーズ』(2000)⭐️

歴史上の独裁者が手にしたという幸運のブローチを狙うルパンだが、
新興投資銀行に雇われた男たちに妨害され、命を落としてしまう。

前半はNY、後半はカリ島と呼ばれる島の2つの舞台が楽しめる。
世界の混乱に乗じて石油で利益を得ようという設定が、2001年以前の空気感。
ルパンが不二子のように頭取の女の好意を利用している節があるのが珍しいし、
お気に入りの女性歌手に幸運のブローチを渡そうと奮闘するパトロン的な顔を見せる。
一方の不二子ちゃんは投資に失敗して散々な様子。
ちなみに英題は"Missed by a Dollar"。ラストのオチを表していて洒落ています。

第11作『ルパン三世 愛のダ・カーポ〜FUJIKO'S Unlucky Days〜』(1999)

ガセネタとして存在が不確かと言われるお宝「コロンブスの卵」。
その隠し場所を記す書類「コロンブスファイル」の内容を記憶した不二子が記憶喪失に。

いつもと違う不二子の一面が楽しめる作品だけど、
オルゴン・エネルギーの人体細胞の強化と天候を操るって設定がどうも都合が良すぎる。
ここにもナザロフ役で千葉繁が出演してるが、今回はキャラが濃すぎて食傷気味。
この作品であの有名な(?)五ェ門による次元への人工呼吸27回や、エンジンとの会話(!)が登場。

第10作『ルパン三世 炎の記憶〜TOKYO CRISIS〜』(1998)⭐️⭐️⭐️

徳川埋蔵金(!)のありかを示す徳川慶喜の2枚の写真を狙うルパン一味。
一方、彼らを追う銭形警部は、取材のために密着する雑誌記者の助けを借りながら
ルパンと共に、同じく埋蔵金を狙う青年実業家の正体に迫る。

銭形のとっつあんが主役の特番。
とっつあんとの良いコンビっぷりを見せる林原めぐみのヒロインも印象的だけど、
将来の銭形警部となる山寺宏一が悪役、それも3役こなしているのも見所。
珍しく使い物にならない次元と五ェ門が終盤で本領発揮するのも気持ちがいい。
エンディングでも彼らの後日談が垣間見れます。

第9作『ルパン三世 ワルサーP38』(1997)

2021年10月22日の金曜ロードショーでの放送で鑑賞。
かつてルパンが愛用していたシルバーメタリックのワルサーP38で銭形警部が撃たれてしまう。
その銃を持つ手に浮き上がっていた文様から暗殺組織タランチュラのメンバーであると踏んだルパンは
バミューダトライアングルへ向かうが、タランチュラのメンバーに捕らえられ、
構成員と同じく、生きていくために特殊なガスが欠かせない体にさせられてしまう。

当時、この作品あたりのキャラクターデザインが自分のルパンのイメージと違うのが辛くて、
テレビスペシャルをだんだん見なくなったことを思い出した。だからこの作品は当時観ていない。
これが人気投票第一位に選ばれているあたり、他の人は気にならないのかもしれない。
改めて見た結果、救いのない暗い話は好物だけど、この作品はそんなに惹かれなかった。
良し悪しはどっちに決めても自由なはずで「やっぱりNO.1だけあるね!」と言っても
私としては全く問題ないはずなのに、そうは言えない引っかかるところがある。
そもそもこの話、ルパンじゃなきゃいけなかっただろうか?
せっかくのルパン独特の個性が封印されているような作品だ。カーチェイスもなければ変装もない。お宝もない。
(ワルサーはここでは取り戻すものでありお宝とは言えない。)
もしや…と思って確認してみたら、
同じく1997年夏に『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が公開されている。
当時の私はそちらの衝撃で呆然とした状態だったはずだ。
あの1995年から世紀末の間の、喜んで享受したわけでもない、
異様に閉塞的な空気の中で生まれた異色のルパンがこの作品だったのかもしれない。
いっそ小池健監督のスピンオフのような絵柄と演出でこう言う話をがっつり見たいな。
ルパンの復讐を、渋い言葉で語らせたらさぞかしかっこいいことだろう。
ということは、やっぱり単にキャラデザインが苦手なだけかも。

第8作『ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密』(1996)

かつて世話になった闇組織の首領ドルーネから「トワイライト」というダイヤを受け取り、
寝たきりの彼の代わりに「トワイライト」が鍵となるモロッコの財宝を狙うが、
現地の老婆から「トワイライト」はもう一つ存在し、
財宝に行き着くには2つを揃える必要があることを知らされる。

東京ムービーに「ルパン三世」のアニメ化を持ち込んだ本人である杉井ギサブロー監督の作品。
他の特番に比べて緊張感はあまりなく、テンポがゆっくりに感じるが、
深く考えず軽く見るには丁度いい内容かも。
クリカンのモノマネも多めに出てきて、鳳啓介の真似をしたところは、
そのセリフを受ける納谷さんが素で笑っているように聞こえる。
キャラデザインが可愛らしく、不二子もヒロインもキュートな印象だけど、やたらおっぱいが出てくる。
まあ顔もおっぱいも可愛いけどさ… ここからさらに遡っていくとヌードが多いのかもしれないな。
野沢那智演じる五ェ門と同門の、トランスジェンダーっぽい敵のことを
ルパンが何度もオカマ呼ばわりするのも、今見ると苦痛。
五ェ門が出てくるタイミングは絶妙でカッコよく、不二子とのやりとりも微笑ましい。

第7作『ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!』(1995)

ユーロトンネルの崩落で発生した損害を負担する元英国情報部諜報部員のアーチャー卿は
ロイズ保険の顧問弁護士に盗賊ハリマオの財宝で弁済すると伝える。
一方、ハリマオの財宝の手がかりとなる3つの像のうち、
すでに1つを盗み出していたルパンはもう一つを持つアーチャー卿と協力することになり、
彼の孫娘とともに最後の像を入手するためタイに向かう

栗田貫一のテレビスペシャルデビュー作。
その所為では全くないだろうけど、あまりにおふざけがすぎたり時代錯誤な台詞が多く、
かなりしんどくて途中から倍速で見ていた。
テレビシリーズPart 5の最後で出てきた金の潜水艦はこれだったか!とやっとわかったけど、
最後に沈んでいったのになんでPart 5で出てきたのか謎。
そして五ェ門が時給980円とか悲しすぎる。もっと払ってやれよ!

しかし、ここまで見てきたルパンは全てクリカンが演じているのだと考えると、
実質的に演じた時間は数ヶ月程度としても、見事な仕事ぶりだ。もっと評価されるべき。

第6作『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』(1994)⭐️

歌舞伎鑑賞中に忍者集団に襲われる五ェ門。
それはタイタニック号とともに海底に沈んだ「龍の置物」を狙う香港マフィアが差し向けた刺客だった。
そのマフィアからの「龍の置物」を盗み出す依頼を断ったルパンと次元は、
独自に深海探索艇でタイタニック号への潜入を試みる。
一方、五ェ門はマフィアのもう一つの狙いである先祖代々の巻物を回収していた。

山田康雄が出演する最後のテレビスペシャル。今聞くと、かなりお声が弱っている。
放送当時確実に見ている1本だけど、五ェ門がまた女に騙されるということ以外、
こんな話だったっけ?とほとんど覚えていなかった。
見慣れた銀座&有楽町の建物が五ェ門によって斬り刻まれるのが結構衝撃的。
マリオン(松竹)になにか恨みでもあるのだろうか?(笑)
クライマックスで五ェ門が何度もステルス機に挑む姿はありえないとは思いながらも緊張感がある。
「イタリアン・ゲーム」のオープニングに出てくる飛行機はここに出てくるステルス機っぽいなー。
ちなみに映画の「タイタニック」は2012年日本公開なのでこの後のこと。

第5作『ルパン三世 ルパン暗殺指令』(1993) ⭐️⭐️⭐️

ルパン専任捜査官を解任されてしまった銭形。
ルパンは銭形が新たに捜査を命じられた武器密売組織「ショットシェル」の資金を狙い、
ついでに銭形のために組織壊滅も目指すことに。
しかし「ショットシェル」に売り込む原子力潜水艦を操縦するために
モスクワ大学核物理学研究所から誘拐した学者は、次元と因縁のある女性で…。

コンバットマグナムとの切り離せない関係を今まで散々見てきているので、
次元が自分を殺そうとしている女にすんなりマグナムを渡すのを見ると、その覚悟のデカさに胸がヒリヒリ。
この作品のデザインはおちょぼ口で野良犬みたいな次元だけど、
ただ銃の撃ち方を教えるだけのシーンでもとんでもなく色っぽくてドキドキしてしまう。
そしてルパン一味が死ぬわけがないんだけど、生存が確認出来た時の嬉しさといったら。
五ェ門と再会を果たしたルパン&銭形&不二子の喜びようにこちらも嬉しくなる。
最後に札束に歓喜する不二子ちゃんも最高だけど、エンディング曲「Destiny Love」が大好き。
これだけルパンと結託したとっつあんが専任捜査官に本当に復帰できるのか?はともかく、
視聴率の低迷でテレビスペシャルの完結編となるはずだった作品であり(しかし22%を獲得し続行となった)
「燃えよ斬鉄剣」よりもずっと元気だけど、この頃には山田さんがすでに不調だったらしいことを含めると
あらゆる意味で切なく、余韻の残る作品でした。

第4作『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』(1992)⭐️⭐️⭐️

アメリカに運び出されたというロマノフ王朝の金塊を狙うルパン。
そのありかを記す本を通じてジュディという女性と知り合うが、彼女も不二子と結託し金塊の強奪を企んでいた。
さらに、人の心を読む宗教団体の教祖ラスプートンも殺し屋を雇い、金塊を奪おうとする。

私が一番見ているお気に入りのテレビスペシャル。
銀行を襲い金塊を盗むという、正統派の泥棒仕事。
冒頭に意味なく図書館司書のおっぱいは出てきますが、
子供っぽい度の過ぎた演出は少なく、お茶目なルパンたちを安心してみられます。
この作品で何より印象に残っているのは恋に惚けた五ェ門でしょうか。
子供心にあの潤んだ瞳は衝撃でした。可愛すぎる(笑)。
次元が爆弾を落とされ逃げる時に敵対する殺し屋に
「縁があったらまた会おうぜ」と言って縄を解いてやるのも好き。
銀行を襲う時も人質は取らず闇金上がりの支配人だけ残しておき、
そいつもむやみには殺さないのが、悪党の仁義を感じさせます。
ラスプートンが指を口や耳、鼻の穴に突っ込むのが意味不明でキモい…
指だけで命を奪えるっていう脅しですかね。桃白白っぽい怖さ。
ちなみに、NYマフィアのドンビーノの声を大塚明夫さんが担当しています。

第3作『ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え』(1991)⭐️⭐️

マドリード=パリ間のクラシックカーレースの賞品「ナポレオンの辞書」。
ルパンは元々先祖の所有物であり、ルパン一世の築いた帝国の財宝のありかが記されている辞書の奪還を計画。
一方で、湾岸戦争で財政難に悩むG7各国もルパン帝国の財宝を狙っていた。

これも記憶に残っているスペシャルの一本。
ルパンの「君も、自由人になれよ」のセリフが当時から印象に残っている。
ルパンはレースに参加して優勝を狙っているわけではなく、
はなから現在の所有者から奪うつもりだが、CIAをはじめ各国に狙われているため、
改造クラシックカーで応戦しながらパリを目指さなければならない。
その間、ルパンがとっつあんに捕まったり、次元と国家保安局の智恵子が同乗したり、
降りた智恵子がとっつあんに変装したルパンと知らずに合流したり、任侠映画にハマっている五ェ門が途中参加したりと、
入れ替わりが激しいけれど、その複雑さがかえって効果的。
とっつあんと智恵子の泡沫の恋心(勘違い)も見所かな。
湾岸戦争や「トリカブトの飲ませどき」っていうセリフに時代を感じました。
ここでもCIAのマッカラム役で大塚明夫さんが出演してます。

第2作『ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎』(1990)⭐️

ヘミングウェイが地中海で見つけた財宝のありかを記したと言われる遺稿「ヘミングウェイ・ペーパー」。
ルパンはそれを収めた宝箱「パンドラの箱」がコルカカ島にあると言う情報を入手し、
「パンドラの箱」を開けるための鍵を手に入れようとするが、
不二子が秘書として潜入しているクレイジー・マッシュの軍隊に先を越されてしまう。
一方、コルカカ島では、次元が裏切り者を始末しようとコンサノ率いる傭兵部隊に入り込み、
五右衛門は斬鉄剣でも斬れないという「パンドラの箱」の情報を聞きつけ
コンサノと敵対する大統領カルロスの用心棒として雇われていた。

これも何度か見ているTVSP。
ルパンが安全上飛行機が着陸出来ないコルカカ島へ「降ります」とパイロットに申告して
飛行機から飛び降りるシーンが記憶に残っていた。(なんでそこ?)
敵対する組織に雇われている次元と五ェ門が相撲で決着をつけるのが気持ちいい。
大人になってから見ると、見つかったお宝がどれほどヤバイかよく分かる。
短時間とはいえ、ルパン達の体の影響もありそうで心配だわ。

第1作『ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!』(1989)⭐️

世界中に個人情報を共有され泥棒稼業が難しくなり引退生活を楽しんでいたルパン。
しかし女に貢いだ挙句に振られてしまったため、泥棒稼業に戻らざるをえなくなり、
次元とともに自由の女神像に隠されたダイヤモンド「スーパーエッグ」を自由の女神ごと盗み出す。
盗んだ女神像にはコンピューターの扱いに秀でた少年マイケルが潜んでおり、
ルパンにデータ改ざん可能なコンピューターウイルスを操るプログラムを盗み出してほしいと依頼。
ウイルスを使って警察の情報を書き換えるために、ルパンはマイケルと手を組むことに。

久しぶりに見直して、物語とはいえ自由を女神を丸ごと盗むという発想に脱帽してしまった。
ルパンの行動が予測されてしまう、という内容や、
情報処理に長けた少年少女が登場し親と再会する点でTVシリーズPart.5にも通じる物語。
逆を言えば、見当違いな未来を描いている作品もある中で
この頃から現代のAI技術による行動予測のようなテーマを取り上げているというのは、
未来を先取りしていたということなので、なかなか興味深い。
五ェ門はやはり女性に対する弱さを発揮して「純愛路線の活き造り」(by次元)状態。
(次元は毎度、恋に落ちた五ェ門の表現が秀逸。)
最後は妙に唐突な終わり方で、どうしてこんな結末になったのか気になるところ。

 

劇場公開作

…についてはこちらの記事をどうぞ。

OGPイメージ

【新シリーズ開始記念】「ルパン三世」劇場公開作いっき見!【更新中】 - だから、ここに来た!

「ルパン三世」テレビスペシャルを一気見する記事が終わったので、この記事では劇場公開作(スピンオフ含む)とOVAについて分けて記事を残しておこ...

【新シリーズ開始記念】「ルパン三世」劇場公開作いっき見!【更新中】 - だから、ここに来た!

 

 

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ダニエル・クレイグの有終の美?「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」【ネタバレあり】

2021-10-02 | movie/劇場公開作品

台風で足元をベチャベチャにさせながら、
ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる最後の作品、
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」を初日に見てきました。

緊急事態宣言解除の初日でもありましたが、
チケットの購入はギリギリまで待って、
なるべく入場者が少ない回を選んで見に行きました。

映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』最新予告

ちなみに007シリーズは学生の頃から機会があれば劇場で見ていて、
ダニエル・クレイグが主演した作品については
最初の2作はテレビで、後の3作は劇場で複数回鑑賞。

Q役ベン・ウィショーが出演するようになってからは
やる気を出して初日に見たり、劇場でも繰り返し見に行ったりしています。

 

前作の「スペクター」で犯罪組織スペクターの親玉ブロフェルドを捕らえた後、
スペクターの一員であったミスター・ホワイトの娘マドレーヌとともに姿を消し、
ジャマイカで実質引退生活を送るジェームズ・ボンド。

旧知の仲であるCIAのフェリックス・ライターが現れ、
誘拐された科学者の救い出すよう依頼される。

…というのが、今回明かされているあらすじ。

 

今回は私の大好きな「フリーバッグ」「キリング・イヴ」のクリエイター
フィービー・ウォーラー=ブリッジも脚本チームに参加していることもあって、
特に楽しみにしていました。
(もっとも彼女はストーリーが出来てからの参加で、サポートのような役回りだったらしい。)

クレイグ版ボンド作品の中では最も長い上映時間163分
鑑賞時にもさすがに長いと感じましたが、
ダニエル・クレイグを送り出すためにはこれだけの舞台が必要なんでしょう。
実際、もうしばらく007シリーズは作られないんじゃないかと思うほどの幕切れでした。
(もちろんJames Bond will returnの文字は出てきますのでご安心を。)

台風の低気圧で頭痛が酷い状態で見たので、
正直思考が低下してちゃんと理解できたように思えないですが、
記憶している範囲内で感想を残しておこうと思います。書きながら思い出せるかも。
(間違った認識をしているところがあったらすみません!)

 

 

【ここからはネタバレ注意!!】

 

●突然の別れ…!

過去を清算し、マドレーヌとの新しい人生を歩むためヴェスパーの墓を訪れたボンド。
しかし墓が爆破され、命を狙われたジェームズはマドレーヌがスペクターに自分の位置を教えたと思い込み、
激しく非難するだけでなく、列車に乗らせて、別れを告げてしまいます。

…ちょっと待って、いくら人を信用出来ない諜報部員だからといって、
連れ添った恋人をすぐに疑うなんてひどくない? ちょっと短絡過ぎでは…?
第一、ヴェスパーの墓の位置なんてスペクターならすぐに調べがつくのでは…?
そして「5年後」の字幕にびっくり(笑)
しかし見終わってから考えると、のちに登場する娘の存在を彼に伏せておくには
この別れと5年間が必要だったんでしょうね。

●気分が上がるちょい役チェック

科学者の一人として「フリーバッグ」の銀行員のおじさんことヒュー・デニスが端役で出てて興奮。
普段から主役級俳優よりバイプレーヤーが好きだから、
大作に知ってるor興味のある英国俳優が出ていると小さい役でも嬉しくなっちゃう。

●新007、ノーミ登場

CIAのフェリックスやローガン・アッシュと立ち寄ったジャマイカのクラブで
「キャプテン・マーベル」のマリアことラシャーナ・リンチが演じるノーミと出会うジェームズ。
実は彼女は死んだと思われているジェームズの後釜として007を割り振られたMI6だとわかります。
(ジェームズはMと電話ごしで久々の会話)

MI6内でも私たちの世界と同じく007=ボンドで定着しているらしく、
職場でボンドを引き連れたノーミを「007」と呼ぼうとした同僚たちが
困惑の表情を浮かべているのがなんともおかしい。

●新人エージェント、パロマ!

科学者ヴァルド・オブルチェフはMが極秘裏に進めていた「フェニックス計画」という
DNA兵器開発に携わっていたため何者かに誘拐されますが、
MI6とCIAは情報交換を行っておらず、
MI6はノーミが、CIAはジェームズとサポート役のパロマがそれぞれオブルチェフを追うことに。

「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」アナ・デ・アルマス演じるパロマは、
今回の作品の中でもっとも輝いていたエージェントだと言えるかも。
やる気に満ちているパロマは、経験が浅い故にちょっと空回り気味で、
合言葉の確認を忘れたり、
タキシードを着せるためにジェームズの服を自分から脱がせようとしたり。
現場に乗り込んだらまず酒を一杯ひっかける余裕を見せる、
ジェームズのベテランぶりが頼もしい。

しかしいざオブルチェフの追跡となるとパロマも本領発揮。
敵をなぎ倒し、素早く車両を調達した上で作戦を成功させ、
ジェームズも彼女の手腕を認めます。

後でプログラムを見たら監督のキャリー・ジョージ・フクナガがキャラクターを考え、
フィービーと共に台詞を練ったとか。やっぱりフィービーは期待を裏切らないっ!!
パロマには今後も機会があれば登場してほしいくらいだなー。勿体ない。

●オブルチェフは、一体何者?

科学者オブルチェフを追ってきたはずが、
MI6の監視下にあるはずのブロフェルドの声が響く中、
スペクターのメンバーに囲まれてしまうジェームズ。
しかし、オブルチェフがターゲットの対象となるDNA情報をすり替えたために、
ジェームズではなく、スペクターのメンバー全員がDNA兵器をばら撒かれて即死してしまう。

ジェームズはパロマの協力を得て、なんとかオブルチェフを捕らえ、
フェリックスたちの前でスペクターのメンバー殺害の首謀者を問いただすが、
実はCIAのローガン・アッシュがオブルチェフと同じ組織の一味であり、
ジェームズとフェリックスを船に監禁し、オブルチェフを連れ去る。
重傷を負ったフェリックスは浸水し沈みゆく船の中で亡くなってしまう。

つまり、

スペクターがオブルチェフを誘拐、ジェームズの暗殺を要求
   ↓
実はオブルチェフはスペクターの壊滅を企む全く別の組織の一員のため、
ジェームズではなく、その場にいたスペクターのメンバー全員を殺すための兵器にすり替える
   ↓

ジェームズではなく、スペクターのメンバー全員死亡
   ↓
ジェームズがオブルチェフを確保

   ↓
ローガン・アッシュがオブルチェフを元の組織に連れ帰る

ということだと思うのですが、
見ている間はややこしくてなかなか関係性が頭に入ってきませんでした。

●Qのディナーデート!!

英国へ戻り、古巣のMI6へ「来客」として戻ったジェームズは、
マネーペニー(ナオミ・ハリス)の誘いで夕食を準備中のQの家へ。

ベン・ウィショーがインタビュー等で今作は
「Qの私生活が垣間見える」と語っていたので楽しみにしていたのですが、
「スペクター」で語っていた猫たちや、気になる男性とのディナーを用意するQの姿が見られるとは!
エプロン代わりの日本製の前掛けも、公開前から話題になってましたよね。
ベン本人の個性が反映されているのか、
Qのセクシュアリティが明言されて嬉しかったです。

その後、Mのオフィスでジェームズと出くわしたQが、再会済であることを悟られまいと、
「ボンド久しぶり〜(汗)」とごまかすシーンが最高に可愛かったです(笑)。
嘘が下手くそすぎる!(逆に言うとベンの芝居がうまい!

そしてMは、Qがジェームズを家に泊めているのは分かっている、と言っていた気がするのですが、
ジェームズが家に泊まってて、彼氏候補の男性にはバレないんだろうか!?
と勝手に心配してみたり。
でも00Qシッパーは絶対ここで喜んでいるはず(笑)

ずっとジェームズに振り回されてばかりだから、Qには幸せな私生活を送ってほしいな(笑)。

●能面サフィンとマドレーヌの過去

ジェームズと別れた後、なななんとブロフェルドのカウンセラーになっていたマドレーヌ
(父に殺しをさせてた男にカウンセリングを施すなんてまともじゃないぜ!)
普段はロンドンのクリニックで診療しているらしく、彼女の元に一人の男がやってくる。
その男こそ、かつてスペクターに家族を殺された復讐のために
マドレーヌの母親を殺したリュートシファー・サフィン(ラミ・マレック)であり、
科学者オブルチェフやローガン・アッシュのボスだった。
サフィンはマドレーヌを殺さずに生かしてやった見返りを求めて、
ブロフェルドを殺害するよう、DNA兵器である香水を差し出す。

一方、ジェームズはもはやブロフェルドのみとなった
スペクターの壊滅を狙う存在(つまりサフィン)を追うため、
Mからブロフェルドとの面会を許されます。
面会を前に、香水をつけたマドレーヌと再会するジェームズ。
ところが、いざブロフェルドと面会する段になり、
うろたえて外に出てしまうマドレーヌ。
DNA兵器の香水をつけていることを知らないジェームズは、
彼女の手首を掴んだ手でブロフェルドにつかみかかってしまい、ブロフェルドは死んでしまう。

香水が出てきたあたりでこうなることが予想出来ちゃった!

サフィンが何者なのかは一番最初に描かれているので、
今回の敵はサフィンであることは観客にはわかっていますが、
過去の悪役よりもインパクトが薄かった気がします。
何故、彼に多くの人がついていくのか…
それほど牽引する力量があるのかちょっと分かり難い。
おそらく、スペクターに恨みを持つ、同じような境遇の部下なんだろうけど…。
例えばブロフェルドは「スペクター」の会議のシーンでその威厳が一見してわかるのですがねー。
そういう描写が足りないですよね

●マドレーヌの秘密

マドレーヌはサフィンに母親を殺された現場であるノルウェーの旧自宅へ身を隠し、
5年前の彼女にスペクターとの間に繋がりはなかったと知ったジェームズはマドレーヌと和解。
そして、彼女にマチルドという幼い娘がいることを知ります。
マドレーヌはジェームズの子ではないと言いますが…
いやいや、娘に決まってるだろっ!

●戦場でもお茶を欠かさない英国魂

マドレーヌとマチルドはサフィン一味に誘拐され、ノーミと合流するジェームズ。
ノーミはサフィンを追跡してたはずなのに、ジェームズが散々銃撃戦した後に現れて
そりゃジェームズも「何してたんだ?」と言いたくなりますよね。

2人はマドレーヌの旧自宅に隠されていた情報を元に、
Qが手配したグラインダーで、サフィンのアジトでありDNA兵器工場…
Qいわく、特定のDNAに反応するナノボットを製造する工場の島へと乗り込むことに。
(日露の近海の島らしい。)

ガジェットを取り出すQの引き出しの中にティーセットが入っているのが、
非常に英国的で笑いました。

●ボンド、土下座する

ノーミと共に島に乗り込んだジェームズを、
日本風の畳を敷いた空間で、マチルドを手元に置いたサフィンが待ち構えている。

どういう会話の流れだったのか、記憶が曖昧になってしまったのですが、
ジェームズがサフィンにジワジワ土下座をしながら謝るシーンで、
畳の上だから様式に合わせて土下座なのかと思ったら、失礼ながらちょっと笑いそうに。

●うさちゃん…

うまく逃げ出したマドレーヌと娘マチルドを、ノーミに頼んで島の外へと送り出した後は、
Mが命令を下したミサイルが着弾と共に、島にあるミサイルが誘爆するように
アジトのミサイル発射サイロの扉を開放。
しかし、サフィンとの格闘となり、マドレーヌと娘をターゲットとしたナノボットに感染
サフィンはジェームズに倒されますが、
二度とマドレーヌとマチルドに触れることの出来なくなったジェームズは死を選び、
マドレーヌとの最後の会話を交わしながら、ミサイルの着弾を待つのでした…

…マチルドと血の繋がっているジェームズは、
感染した時点で死んでしまうんじゃないの?
あ、マドレーヌ由来だからジェームズは感染しても平気なのか…
と、頭の中が混乱した状態でこのエンディングを迎えました(苦笑)。

私はてっきり、ジェームズがうさちゃん人形をマチルドに渡して大団円!だと思っていたのに。

マドレーヌとマチルドだけがターゲットだとすれば、
今後2人に会わずに逃げて生存するという選択肢もあったかも。
(イーサン・ハントならありえそう。)
今回のジェームズはとりあえず生き延びようと足掻く事すらしない。
ダニエル・クレイグにとって最後の作品なので当然でしょうが、
それを選ばなかったのは、2人を守るというより、
会えないくらいなら死んだ方がマシだという結論なんでしょうね。

いやいや、でもあんたマドレーヌを5年以上も放っておいたくせに…。

ちょいと勝手じゃないですかね。
まあ、愛情なんていつも自分勝手なものか。

 

振り返ってみると、演出上の説明やメリハリが足りないような気もします。
オブルチェフを巡ってはスペクター&サフィン&MI6&CIAの4者がそれぞれ
保護しようと追っているわけですが、
MI6のジェームズはCIAのために働いて、CIAのローガン・アッシュが実はサフィンの手下で…と、
組織が入り混じっていてわかりにくいし、
そこに加えて、ナノボット兵器が「本人だけでなく血縁者も被害にあう」という複雑さ…
さらに言うと、サフィンはもっと「満を持して」、印象的にマドレーヌの前に再登場して欲しかった。
前述しましたが、彼のリーダーとしての描写も足りないし。

サフィンの組織も、スペクターみたいに組織のロゴを作るべきだったと思う!

キューバでのパロマの活躍はすごく魅力的だったけど、
それ故に、取ってつけたような存在になってしまってるし、
せっかくの新007、ノーミがちょっと霞んでしまうのも勿体無い。
本当なら「スカイフォール」のマネーペニーくらいフューチャーされてしかるべきなのに。
マドレーヌ以外の新しいボンドガールが必要だったんだろうけど、
そもそもジェームズとノーミがオブルチェフをバチバチ奪い合うだけじゃいけなかったんかい?

そして何より、突然マドレーヌを一方的に振っておいて、
5年後に自分の勘違いだったとわかると簡単によりを戻すジェームズの身勝手さ…。
もうちょっと苦渋の決断で別れるなり、深く許しを乞うなりしてたら、
彼の心の動きも見えてくるのに、これじゃーただの軽薄な男じゃん…

サフィンも自分が家族で生き残った存在ゆえに、マドレーヌやマチルドを見逃してしまうのはわかるけど、
マドレーヌを助ける場面はなかったし、マチルドの見逃し方もやけにそっけない。
これだけ尺が長いんだから、生き残った子供としてのサフィンの回想くらいあってもよかったんじゃないか。
そしてスペクターへの復讐のはずなのに、何故か潰滅後も世界中の人間をターゲットにしている点。
どういう基準でターゲットを選んでいるのか…(頭痛くて聞き逃してたかな…)
なんだか、ジェームズもサフィンも、やっていることが一貫していない感じがするんですよね。

 

…思い出しながら書いていたら、思いもよらず辛口で不満たっぷりになってしまいました。
冷たい足のまま、頭痛を抱えて見ていた一観客としての感想記録として受け止めてもらえたら幸いです。

改めて6代目ジェームズ・ボンド、お疲れ様でした。

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