だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

バービカンでベネディクト・カンバーバッチ主演の「ハムレット」を見る

2016-01-31 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月16日 続き■

マーク・ゲイティス出演のトークイベントが終わった後は、
バービカン・センターで上演される「ハムレット」へ向かいました。

日本でも1月に映画館上映され、私ももう一度映画館で見直したので、
この機会に振り返っておきたいと思います。

元々、この旅はマークの""Three Days in the Country"目当てで、
チケット発売後に即完売した「ハムレット」は見られないだろうと完全に諦めていました。
バービカンがチケット発売後に(確かsky arts提供の)10ポンドチケットを抽選でリリースすることになっていたので、
それだけイチかバチか応募しておいたのですが、これも応募が殺到するだろうし、まず無理だろうと思っていたのです。

ところが!


当たった!
何件の応募があったのか忘れてしまったのですが、
(確か何万かあったような…そのうちの60枚分だったか…)
一生分の運を使い果たした感。




ロンドン博物館の前を通ってバービカンへ。
セント・ポール駅からだと少し歩くので迷いそうになります。
当時ロンドン博物館では犯罪史に関する特別展をやっていたので
本当は近くに来たついでに見てみたかったんですが、今回は時間の都合で無理でした。
劇場のあるバービカン・センターの中も、温室があったり、ゆっくり滞在出来るスペースがあると聞いていたのですが、
そこまで回る余裕はなく…

Box Officeでチケットを発券した後、
ご一緒するフォロワーさんとカフェの前で再会。
前回の渡英時に「ハムレット」を見に行きたかったと聞いていたので、
今回取ったチケットのうち一枚をお譲りしたのですが、
それをきっかけに無理に渡英を調整させてしまったようで若干罪悪感…(苦笑)

バービカン・センターの中はフロア構造が初めて訪問する人間には分かりにくく、
「トイレはどこだ?」「さっきいたカフェにはどう戻れば?」という状態でした。
(しかもトイレの洗面台のスイッチが足踏みボタン式だった!)



劇場の外には大きな垂れ幕が。
入口前には撮影禁止、携帯の電源はOFFの注意書きが置かれていますね。
プレビュー時に撮影をする観客がいたとか、客席のマナーの悪さが話題になっていて、
ベネディクト本人がステージ・ドアでファンに観劇に当たってのお願いをするなんていう一幕もあったこの作品。
演者に作品以外の心配をさせてしまうというのは残念なことです。



グッズ売り場ではパンフレットとマグネットを購入。
マグカップやノート、シェイクスピア関連の作品も置いてありました。

当選した権利で入手出来た席は、Upper Circle下手端一番前の席。
照明のすぐ横で、完全に舞台の下手は見えない位置でした(苦笑)。
まあ10ポンドだから仕方ありません。
でもこのエリアの席は1人分の椅子がワイドでその点はいいかも。

バービカン・シアターに来たのはこれが初めてでしたが、
席の列ごとに入口が分かれているのが面白かったですね。
席が途中で通路によって分断されていない。その分、休憩後に戻るのが大変ですが。

私のすぐ横に丸椅子が置いてあったので、気になっていると、
開演前の隣に劇場の女性がやってきて
「上演中、私がここに座りますけどいいですか?」
と訊かれました。スタッフ用の椅子だったんですね。

いいですよ、と返すと、その彼女からさらに
「見るのは何度目?」と話しかけられました。
(即完売のチケットなのに、そんなにリピーターがいるのか?!)
内心驚きながら、
「いや、これが初めてで」というと、
「べネディクトのファンで見に来たの?」
「そのー… はい///」
「じゃあ興奮してるでしょう!? 私、観客が笑ってるの見るの好きなの」
楽しそうに彼女は言うのでした。
(笑う? 「ハムレット」って一応悲劇だよね?)
その時は疑問に思ったのですが、
実際に舞台を見てみてみると、彼女の観客の笑いという意味が分かったのでした。



日本から観劇しにいった方も多いでしょうし、
日本でNT Liveを見た方もいるでしょうから、舞台の様子を説明するまでもないと思います。
私が見たのはNT Liveの収録の次の日なので、演技も演出も雰囲気は全く同じです。

前述した通り、私の席は左端だったので、
下手の大階段は全く見えず、ハムレットが父の亡霊に会いに行く時にいた2階の様子も全く見えません。
しかし、冒頭にハムレットがレコードを聴いている場面は
「ベネディクトがすぐそこにいる!」と近くに感じられました。

プレビュー時はあの有名な「生きるべきか死ぬべきか」がいきなり冒頭に出て来たと話題になっていましたね。
これはさすがに不自然ということか途中で変更になり、私が見に行った上演後半も、冒頭はホレーシオとの再会場面から始まりました。
いつもなら亡霊とホレーシオたち3人の場面から始まりますが、そのシーンはばっさりカット。
ハムレットの部屋から、後ろの幕が上がって、大広間のセットが見えて来たところは興奮しました。

問題の「生きるべきか」の台詞は、気が触れたフリをしてポローニアスを魚屋と呼ぶ場面の後に挿入されています。
これも、実際の戯曲とは違い、通常であれば、これもまた有名なオフィーリアへ言う「尼寺へ行け」の前に入るはずです。

NT Liveで見直した記憶では、ローゼンクランツとギルデンスターンが初登場してから
すぐに2人ハムレットに面会していますが、これも本来はポローニアスと王&王妃のシーンがあったはず。

そんな感じで、有名なシーンがあちこち入れ違っているため、
なんとなくハムレットのストーリーの流れを把握している人間には違和感が残りました。
地元英国の演劇ファンにしてみれば、毎回同じハムレットを見るのは退屈かもしれませんが、
今回のハムレットはおそらく演劇自体が初心者の観客も多かったはずなので、
順を追って、オーソドックスにやってもよかったのではないでしょうか。

肝心のベネディクトは、とてもエネルギッシュで、思い悩みながらも端々でユーモアを感じさせる、
チャーミングで誠実なハムレットに見えました。
狂人のフリをする時の兵隊ハムレットも可愛らしかったし、
ローゼンクランツや役者たちと話しているときの身振りやダンス等、
なんでもないシーンの中にも彼の茶目っ気演技が見えて、スタッフが言ってた「笑い」はこの部分だなと納得。
彼の観客を惹き付ける力を強烈に感じました。

ただ、私がこのバービカンの「ハムレット」以前に見ていた「ハムレット」はロリー・キニアの映像で、
それを見た時の面白かった!という爽快感は、残念ながらあまり感じなかったというのが正直な感想です。

演出上の疑問点もいくつかありました。
一幕最後の大量の粉塵の意味や、やたらスローモーションが多用されていた意味も気になりました。
(あんなにスローモーションを使った舞台をロンドンで見たのは初めてだった…日本ではよく見るけど)
もっと掘り起こしたら説明しているレビューがあったりするのかな…

他には、オフィーリアの存在が印象に残っていました。
私がハムレットを知る前に思い描いていたオフィーリアのイメージってあんな感じ。
最期にとぼとぼと部屋を去るオフィーリアにこれから起こることを察知したガートルードが、
慌てて彼女の後を追いかけるシーンは目に焼き付いて、今でもすぐに思い出せます。

NT Liveで気付いた点は、ハムレットがデヴィッド・ボウイのTシャツをきていたこと。
あと、すっかり忘れていた国王の絵皿のことを思い出しました!
イギリスではよく見ますが、デンマークでも王室の絵皿とかあるのかな。

観劇後は、フォロワーさんと一緒にSDに行ってみました。



噂通りの人だかり!
出入口の前だけじゃなくて、少し離れた柵の方にもベネディクトが来てくれるらしいという情報から、
道を隔てた向こう側の柵の後ろで待ってみました。

共演者の方々が次々出てくる中、一際(髪型がw)目立ったのが、
ローゼンクランツ役のマシュー・スティア(Matthew Steer)。



日本でも放送された「トミーとタペンス」にも出ていましたね。
ファンに自分からドンドンサービスしていく彼を見ていて、
こういう場所は他の俳優が自分を売り込むのにもいいスペースだな、と思ったり(笑)
私もサインしてもらいました。素敵な髪ですね☆っていいたかった(笑)。

そしてガートルード役のアナスタシア・ヒル(Anastasia Hille)。



この方はポワロの「三幕の殺人」に出ています。
近くで見るととても存在感のある方でした。
サインも貰いましたが、ペンのインクが滲んでしまうという残念な結果に(泣)。

結局、ベネさんは楽屋口から出て来たようではありましたが、
私たちのいる場所まではやってきませんでした。

NT Liveのインタビューで、毎日その日の公演を振り返り反省をして、
「今日はここまでにしよう…」と途中で切り上げると言っていましたが、
あれだけのエネルギーを使う舞台の後でファンサービスをした上で
その日の振り返りをしなければいけないなんて、大変ですよね…。



次の日はナショナル・シアターで"Three Days in the Counrty"!
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UK版DVD&US版iTunesで「シャーロック 忌まわしき花嫁」特典映像を見る【本編ネタバレなし】

2016-01-28 | TV/SHERLOCK S2〜
■劇場公開&国内のソフト化前に本編&特典映像をチェックしちゃおう!■

「シャーロック 忌まわしき花嫁」の日本劇場公開まで1ヶ月を切りました。
本国である英国では1月1日にテレビ放送&劇場公開され、
1月11日にはブルーレイ(以下BD)/DVDが発売されています。
私も、今までのシリーズと同様に、Amazon UKでBD/DVDを取り寄せました。
(封入特典でジャケットと同じ構図のホームズ&ワトソン&花嫁の塗り絵が付いてます。)



ちょっと前置きが長くなりますが、種類を説明しておきますね。お付き合いください。

UK盤US盤、どれが見られてどれが見られないのか注意しよう■

UK盤DVD(リージョン2)
UK盤ブルーレイ(リージョンB/2)

UK盤は2枚組ですが、ディスクは1枚で内容は同じの米国版BD/DVDもあります。
US盤DVD(リージョン1)
US盤BD(リージョンA/1)

ここで復習しておきたいのは【リージョン(制限コード)】についてです。
↓面倒な人は灰色のところは読まなくてOK。
・DVDの場合、日本のプレイヤーで視聴可能なソフトはリージョン2、映像方式はNTSCです。
 リージョン&映像方式、両方とも一致していないと再生は出来ません。
 US盤リージョン1のため再生不可UK盤リージョン2ですが映像方式がPALのため再生不可
 ですが、PCであればUS盤UK盤ともに再生は可能です。
・ブルーレイの場合、日本のプレイヤーで視聴可能なソフトはリージョンA
 US盤はリージョンAのため再生可能UK盤リージョンBのため再生不可


つまり、日本に住んでいてリージョンの関係なく再生出来る(リージョン・フリー)プレイヤーがない場合、
BDプレイヤーを持っている方はUS盤
持っていない方はPCでUK盤US盤どちらかのDVDを再生する
のが一般的かと思います。

私の場合、今まではmacでUK盤を再生していました。
今現在は何故かUK盤「ドクター・フー」50周年BDの再生が出来るリージョン・フリーではないBDプレイヤーを持っているので、
今回試しにBDも買ってみました。


結論としては、BDは見られなかったです(苦笑)。DVDも買っておいてよかった(^_^;
BDとDVDの内容は同じなので、気を取り直し、特典映像はDVDで確認することにしました!
内容は以下の通りです!

【「忌まわしき花嫁」UK盤特典映像】(US盤もタイトルは違いますが内容は一緒)
①"Mark Gatiss: A Study in Sherlock"

 マーク・ゲイティスが過去のエピソードを振り返りつつ撮影現場を案内。
 ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、アマンダ・アビントン、アンドリュー・スコット、ユナ・スタッブスら、
 出演者とのキャラクターについてのトークも。 
 一つの番組として放送出来るような内容にまとまってます。

②"Mark Gatiss: Production Diary"
 2015年2月6日、クライマックス・シーンの撮影を控え、寝起きのおネムな顔から始まるマークの1日を本人が撮影。
 リラックスした様子でカメラの前で戯けてみせるベネディクトが見どころ。

③"Creating the Look"
 ロケハンや、特殊効果、装置美術等、技術スタッフらによる製作の舞台裏を8つのパートに分けて紹介。
 製作陣3人も登場します。

④"Writer's Interview"
 マーク・ゲイティスとスティーヴン・モファットの対談。
 何故コナン・ドイルのストーリーが読み継がれるのか、
 シャーロックとマイクロフトのどちらがいい兄弟か語り合っています。

⑤"The Creators of Sherlock answer questions from Sherlock's #1 fan site"
 公認ファンサイトSherlockologyからの質問にアマンダ、ユナら出演者とスティーヴン&スーが回答。


私のようなゲイティス・ファンとしては、①②③④と大半に彼が登場しているので、どれも必見です。
(放送前のプロモーション映像にあまり登場してなかったのは、その分公開後にリリースされる映像が多かったからかもしれませんね。)
特に見逃せないのは、②のセクシーな(笑)寝起き映像と、①の撮影現場での"細身な"マイクロフトの姿です。
②に時折現れるベネディクトも、カメラに近づいたり食事を物色したり、子供っぽくて可愛いです。
残念なのは、今回もルパートさんの登場が少ないこと。エージェントの縛りかなにかあるのでしょうか。
アンドリューは①の他、②で休憩中に携帯をいじってる姿が見られたりします。


■オンラインで配信されているものは、特典映像が違うらしい!?■

DVDが届いただけで安心しきっていた私。
ところが、全て目を通してみて分かったのですが、
既に映像を見た海外のファンがキャプチャしてブログ等で紹介していたいくつかの場面がその中にないことに気付きました。
あれは一体どこから出て来たものなんだ??

アメリカのファンの子に「○○のシーンってどこで見たの??」と確認したところ、
「DVDの方は見てないから比べてないけど、
 iTunesやAmazonで配信されている特典映像に入ってたよ」とのこと。
なにーっ。そんなの聞いてないぞ!


そんなわけで、iTunesからもデータを購入することにしました。
といっても、海外のiTunesでドラマを購入したことはないためどうしたものか…。
原則的に、その国に住んでいないと配信されている番組は購入出来ないのです。
なので、ここから書くことは奥の手を使って利用することを念頭において参考にして頂ければと思います。

海外のiTunesからデータを購入するにはiTunesカードの利用かクレジットカードの登録が必要です。
クレジットカードは現地発行のカードでないと利用が出来ないので、ハードルが高いですね。
iTunesカードはAmazonや取り扱っている通販サイトがあるので、そこから入手可能なようです。
ただ、カードを注文してもいつ届くのかどうか…。すぐにでも買いたい場合がありますね。
そんな時はカードそのものではなく、コードだけ送ってもらえばいいのです。

私は色々な記事を参考にさせて頂いた結果、今回ここから購入しました。
pcgamesupply.com
PayPalを利用している方は決済も簡単に出来ます。
今回は北米版のiTunesコード$15を購入。

購入時は日本で使っている電話番号を入力必要があり、(日本だから+81に頭の0を省いた電話番号ですね)
決済するとその番号に自動音声の電話が架かってきます。
英語で暗証番号が伝えられるのでそれをメモし、画面上に入力すると、すぐにコードが表示されます。

iTunesのiTunes Storeは画面下部で国を変更出来るので、
日本からアメリカの設定に変更し、右上にある"Redeem"からまずアカウント登録。
登録時は、アメリカの住所を入力しないといけません。
海外から購入する人はアップルストアや宿泊先の住所を入力するとか。
バレないのか不思議ですが、私も某所の住所を入力して登録完了。(ここが一番気がとがめる部分ですね。)
購入したばかりのコードを入力すると、購入した金額が反映されます。
あとは日本と同じようにお目当ての番組を選び購入するだけです。


そんな手順を踏んで購入した配信版の特典は、以下の通り。


【「忌まわしき花嫁」配信特典映像】
①"Mark Gatiss: A Study in Sherlock"

 BD/DVD特典と同じ内容です。

②"Creating The Abominable Bride"
 BD/DVD特典の"Creating the Look"の内容に衣装を身につけるマークの映像もプラスしてまとめられたもの。
 こちらにはマークのナレーションがついています。

③"The Sherlock Interviews"
 ベネディクト、マーティン、アマンダ、ユナ、スティーヴン、スーのインタビューに、本編+舞台裏映像も交えて編集されたもの。
 BD/DVDには未収録。マークのナレーション付。
 舞台裏映像には休憩中に新聞や携帯を眺めるベネディクト&マーティンや、NGシーン、衣装姿のマークも含まれます。
 インタビューは公式YouTubeチャンネルで配信されている動画に近いものです。

④予告編
 これは購入しなくても無料でダウンロード出来ます。


以上。①②③はそれぞれ相互に同じ舞台裏映像が使われている部分もあります。
ベネディクト&マーティンの熱心なファンは③が特にチェックしたい内容ではないでしょうか。
わたくしマークのファンとしては②と③にヴィクトリア朝マイクロフトの衣装"装着"シーンが入っているので、必見映像でした。
どんな格好でもマークが大好きだわ〜と確信(笑)。

そして今回購入してみて分かったのですが、PCで見るならDVDで見るよりも、
iTunes等で買った映像の方がHDなのでとてもキレイだということに気付きました(笑)。
ただ、DVDであれば、機種によってはポータブルプレイヤーで再生出来る場合があったりしますし、
(実際私が持ってた防水プレイヤーは故障するまでリージョンフリーでもなんでもないのに再生出来ました。)
それぞれの用途によって見たい手段、入手する手段が変わってくるかと思います。

今後、日本盤が発売される可能性もありますし、
以上の内容を参考に、どれが自分にあっているのか、購入するべきかどうか、
検討の材料にして頂ければ幸いです!


ちなみに私の本編ネタバレ記事はこちら。
【ネタバレ】「シャーロック 忌まわしき花嫁」まとめ【1】
【ネタバレ】「シャーロック 忌まわしき花嫁」まとめ【2】
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【ネタバレ】「シャーロック 忌まわしき花嫁」まとめ【2】

2016-01-24 | TV/SHERLOCK S2〜

【1】からの続き。



ヴィクトリア朝時代から突如、現代へ戻り、
第三シリーズ「最後の挨拶」のエンディングからの続きになります。
(書いている私がマイクロフト贔屓なので、兄のシーンに偏り気味です)




(機長さんがレディー・カーマイクルと同じ女優さんですね。)
「最後の挨拶」でマイクロフトがシャーロックに電話を架けた5分後、
シャーロックを乗せたプライベート・ジェットは飛び立った飛行場に戻りますが、
当のシャーロックはヴィクトリア朝時代に戻りたがっています。
マイクロフトとジョン&メアリーには訳が分からず。

ここで私達視聴者は、シャーロックが今まで幻覚の中にいたことに気付きます。
でも、現代が本当の世界なのか? ヴィクトリア朝が幻覚なのか?
この時点では分からない状態。

■兄弟の"リスト"■

シャーロックは、モリアーティと同じく頭を撃ち抜いたリコレッティ夫人の事件を
"マインドパレス"で解決するところだったと明かしますが、
マイクロフトがシャーロックの異変に気付きます。




兄の体重の話をして話をそらそうとしてるのが子供っぽい…。
マイクロフトの告白から、兄弟の間で、摂取したドラッグをリストにする取り決めがあったことが知らされます。
おそらく「最後の挨拶」に出て来た穴蔵のような所に、マイクロフトが迎えに行ったりしていたんでしょうね…。

この前のディオゲネス・クラブのシーンでもリストの話が出てきますし、
第3シリーズの「三の兆候」でもハドソンさんと「兄はファイルを持っています」と話しているので、
この"リスト"のやり取りは、薬以外でもしていたのかなと想像させます。

シャーロックが出立前からドラッグを摂取していたと見抜くマイクロフト。
機内ではジョンと出会った時のブログを読んでいたシャーロックは、
本当はジョンとの別れを心底怖がっていたのかもしれません…。


■パンチを飲んではいないけど■





ここ!試験に出ます!(だから何のw)
マイクロフトったら、パンチを飲んで酔っぱらった時だけ優しいことをいうのかと思ったら、
こんなに極めつけのブラコン発言しちゃうなんて… Icemanなのに。なんて愛おしい…。
お兄ちゃんは心配性… それだけに、弟にとってはウザくて仕方ないのかも。

シャーロックの再び意識が混濁し、ヴィクトリア朝時代のワトソンの
「モルヒネか?それともコカイン?」の声によって、元の時代に引き戻されます。
この台詞はもちろん聖典の「四つの署名」から。


■花嫁の正体■

激しく現代とヴィクトリア朝を行き来する後半。
ヴィクトリア朝のホームズは、メアリーからの電報を受け取り、
ワトソンと共に彼女の元へ駆けつけます。
実はマイクロフトの指令を受けて極秘にリコレッティ夫人の事件と2人の動向を追っていたメアリー。
実行犯の組織を突き止めた彼女の手引きで、2人はある教会の中に忍び込みます。
そこにいたのは(K○Kのような)帽子を被った女性の集団。
そしてその中には、ホームズたちの知る顔も。



モリー・フーパーだけでなく、ワトソン家のメイドや、S3で登場したジャニーンの姿もあります。
ホームズは、リコレッティ夫人の銃による自殺はペイント弾や代役の死体を使ったトリックである事、
また夫人をないがしろにした夫や、結婚の約束までしていたにも関わらず彼女を捨てたサー・ユースタスに対しての復讐のため、
集団が結束して夫人を助け、その復讐劇を達成したことをワトソンたちに説明します。
放置され、軽視され、選挙権すら与えられない女性たちの戦争であると。
そして、その集団には事件を依頼してきたレディー・カーマイクルも含まれると推理しますが、
ホームズの前に現れたのは、彼女ではなく…



「お前のはずがない…」
「シャーロック、マジになれよ」「これは現実じゃないんだ」

シャーロックの意識は再び現代へ。


■英国情報部のセキュリティ■

病院へ運ばれたらしいシャーロックを、マイクロフトとジョン&メアリーが見守っています。
およそ100年前にリコレッティ夫人が埋められた場所を知りたいというシャーロックを鼻で笑うマイクロフト。



ジェットの中でも、マイクロフトが「私ならMI5のアーカイブにアクセス出来るがねー」と余裕かましてましたが、
その横でメアリーにアーカイブへ簡単に侵入されていたりして、形なしの英国政府。
(マイ「MI5のセキュリティをなんだと思ってるんだ?」メ「うーん、いいアイディアだと思うけど?」)
またしてもメアリーに出し抜かれちゃいましたね。


■「事件の影に女あり」■

リコレッティ夫人の墓地を突き止めたシャーロック一行。
推理の確信を得るために墓を暴こうとする"ヤク中"のシャーロックに、
ジョンは呆れてメアリーと共に帰ってしまいます。
残されたシャーロックはレストレードとマイクロフトに協力を頼みますが、




レストレードとシャーロックが力仕事をして、一切手を汚さないマイクロフトw
レストレードと視線を交わすシーンはレアですね!
掘り起こしてみたものの、期待するものは見つからず。
マイクロフトとレストレードはこんなことをしている場合ではないと声を掛けると、
掘り起こした花嫁の腐った遺体が起き上がり…

そして、このシーンもホームズの幻覚であることが分かります。
一番頼りにしている無二の親友のジョンがメアリーと共に立ち去り、
ガーディアンとしてのマイクロフトとレストレードが腐った花嫁の死体に襲われるという、
悪夢のような状態から、シャーロックはライヘンバッハの滝の中で目を覚まします。


■ウィルスにこんにちは■

ヴィクトリア朝の滝に戻って、再びモリアーティと再会。
彼はシャーロックに「おめでとう。君は史上初めて自分のマインドパレスに埋葬される男になるんだ」と言います。
「お前は何者だ?」と問いかけるシャーロックに、



この"Say hello to the virus."が今回の台詞の中でも特に好きです。(あとシャーロックの"I made me."とか。)
初めて見た時は「自分で『犯罪界のナポレオン』って言っちゃってるw」って面白がってましたが、
考えて見るとこれもシャーロックの幻想の中なんですよね…。

シャーロックの頭の中に常につきまとうウイルスとしてのモリアーティと
取っ組み合いの対決になり、ボコボコにされるシャーロック。
そこにジョンが銃を構えて現れます!
もちろん聖典ではあり得ないことですが、幻想の中ですから。
「2人一緒なんて卑怯だ」というモリアーティに、ジョンは、



かっこいいー!
まさに「最後の事件」でこうなってくれたらよかったのに!という理想の実現!
シャーロック自体も本来こんな展開を望んでいたのかもしれないですね。
2人のイマジネーションを飛び越えた信頼関係、熱々っぷりに
「もう駆け落ちしちゃえよ」とからかうモリアーティを、ジョンが一蹴して滝壺へ落とします。
さて、そこから現代にどうやって戻るのか。
シャーロックはあの一言を残して、自ら滝壺に身を投じます。
「初歩的だよ、ワトソン(Elementary, my dear Watson)」


■Redbeard、再び■

現代に戻ったシャーロックは、病院に行くか問われますが、
モリアーティが仕掛けた現在の事件を解決すべく、すぐにベイカー街へもどろうとします。
ふらつきながらプライベート・ジェットを出ようとするシャーロックを制して、
マイクロフトは、ドラッグを絶つよう迫ります。






さすがにジョンもマイクロフトの気持ちを察しているのか、この表情。
兄が弟のために今まで背負ってきた役割の大きさと、それを託されていることへの戸惑いを感じているせいでしょうか。
3人が去った後、シャーロックが切り裂いた"リスト"を拾い集めるマイクロフト。胸が痛い…。
その紙切れを挟みこんだ手帳にはあの言葉が…。




(ヴェルネは聖典「ギリシア語通訳」で明かされたホームズの祖母の姉妹という画家オーラス・ヴェルネのことでしょうか。
 ファンの間ではヴェルネ・シンドローム=頚静脈孔症候群→マイクロフトが妙に優しいのは死を予感してるのでは?などという考察があります。
 そんなの許さないぞ! そして、右の4×4の数字はバイナリコードだとか。)



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そんなわけで、ざっくりと振り返ってみましたが、
ここにあえて載せていない最後のシーン、
ヴィクトリアン・ホームズが"I've always known I was a man out of his time."と言って、
窓の外を見ると、外は現代の風景で…というエンディングがとても好きです。

果たして現代版が現実なのか?ヴィクトリアンが現実なのか?
もしかしたら、現代版は、ヴィクトリアン・ホームズが想像した未来の自分の姿なのかも。
もしくは、聖典のヴィクトリアン・ホームズは、現代のシャーロックが自分をその時代に移し替えて想像した姿なのかも。
どちらとも取れるので、実はこれは、現代版の存在自体を正当化させてしまう画期的なエピソードではありませんか!?

初見の時、マイクロフトの巨漢姿は問題なく受け入れられた(むしろ好きな)私でも、
何故大食いして命を危険に晒すような馬鹿な賭けをしているのかと理解に苦しみました。
最後まで見て行くと、あの姿はシャーロックが望んだマイクロフトの姿なんですよね。
そう思うと納得いくところがあります(笑)。

今回のエピソードは、リコレッティ夫人=モリアーティの死の謎についてのように見えて、
実は、ものすごくシャーロックの内面的な話でしたね。
つまり、いつまでも付いてくるモリアーティの影との向き合い方を決める話とも言えます。
一度は東欧で死ぬ覚悟をしていたシャーロックが、
再びジョンの元へ戻ったことで、ウイルスの存在と戦えると気付けたのかも。

元々、ホームズを薬物常用者として描くつもりはないと語っていた製作のスティーヴンとマークが、
ここにきて大胆にその設定を使っていることに対しては、
上記の設定で功を奏しているので、私は歓迎したいです。
でもマイクロフトが願うのと同じように、今後は避けてほしいものですね。

また「赤ひげ」の秘密も、今後どの程度明らかになるのか、気になる所です。

SHERLOCK/シャーロック ベイカー・ストリート 221B エディション [Blu-ray]

海外でリリースされた特典映像については引き続きこちらをどうぞ。

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【ネタバレ】「シャーロック 忌まわしき花嫁」まとめ【1】

2016-01-16 | TV/SHERLOCK S2〜

こんにちは。
余韻に浸り過ぎて英国旅行記の投稿は滞っておりますが、そうこうしているうちに2016年。
元旦には「SHERLOCK シャーロック」の最新作「The Abominable Bride 忌まわしき花嫁」が放送されました。
この作品は世界各国の劇場でも上映される特別編で、日本でも2月19日より劇場公開予定。
「シャーロック」はシャーロック・ホームズの冒険譚を現代に移したことで話題を呼びましたが、
今回は原作=聖典と同じヴィクトリア朝時代を舞台にしたスペシャル版です。

何故ここにきてスペシャル版なのか?

製作者のインタビューによると、この作品で世界的スターになった
ベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンのスケジュールを含めて、
撮影の期間は1本分しかなかったとのこと。
今までであれば、3話あるうちの1話を撮って、時間を開けてから2話目の撮影に入っていたのですが、
同じシリーズのエピソードの撮影が開いてしまうよりは、特別な一本を撮影した方がいいのではないか?と考えたそうです。

元々、現代版としてヒットした後、製作者のスティーヴンとマークが取材等の際に
「シャーロックがネット環境やスマホを持っていなかったらどうでしょうか?」と聞かれ、
「そもそもホームズの時代はスマホはなかったし(笑)」と答えている中で、
舞台をヴィクトリア朝に戻すかと冗談半分で話していたそう。

主演のベネディクト本人は、ヴィクトリア朝が舞台のスペシャルと知って、
始めは「スティーヴンとマークの自己満足なのでは…」と難色を示したそうですが、
脚本を読んでみて納得がいったとのこと。
それに巻き髪で撮影をしなくていいと確認して満足したそうです。

ここまでは前置きで、ここからは本格的にネタバレエリア。
個人的に気に入ったところを中心に物語を振り返っていきます。
もうすぐ劇場公開されることですし、ネタバレ注意期間は今までよりも短くて済みますね!



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19世紀末、アフガニスタンで負傷したワトソン医師は、
ロンドンに戻り、聖バーソロミュー病院で共に過ごしたスタンフォードと再会します。
ロンドンに住処を探しているワトソンに、
スタンフォードは同じく住処と同居人を探しているシャーロック・ホームズを紹介。
ここまでは聖典や現代版と同じ。
(死体に鞭を揮うホームズも同じだけど、鞭の勢いが格段に早くなっていたw)

オープニング・タイトルの後には、ホームズとワトソンはすっかりお馴染みのコンビとして活躍していて、
ワトソンはホームズの"自伝作家"として、ストランド誌に掲載されている「青い紅玉」の評判が気になっている様子。
(ストランド・マガジンは実際に「青い紅玉」が掲載された雑誌。)
2人がベイカー街に戻ると、部屋にはベールを被った女性の依頼人が。
その正体はワトソンの妻メアリー。
家や妻を放置してホームズと冒険に出掛ける夫に会うために依頼人のふりをしてやって来たのでした。
ワトソンとメアリーが口論をする中、事件を抱えたレストレード警部が彼らを訪問します。
怯える彼が持ち込んだ事件は、複数の男性を殺した後、
拳銃で自分の頭を撃ち抜いて自殺した"花嫁姿の妻"が生き返り、夫を襲うという奇怪なものでした…。



■婦人参政権賛成派?反対派?■

レストレードが持ち込んだ"花嫁"=リコレッティ夫人の事件を気に入ったホームズに付き添うジョンは、
帰ったらお腹がすくから家にいてね!とメアリーを言い聞かせます。
面白くないメアリーは、彼らと共に部屋を後にする警部に、
婦人参政権運動に参加しているといいますが、警部が一言。



実は今回のテーマがこの男性の女性に対する態度だったりします。
置いてけぼりをくらったメアリーでしたが、謎の"M"の呼び出しを受けて、
("M"って時点で予想がつきますがw)彼女もまた外出します。


■モルグの中のIQが下がりそうな会話■

モルグに向かうと、出たー、アンダーソン!
"花嫁"の死体が「復活」しないように鎖でがんじがらめにしているのを見て、
「死体がやったわけがないだろう」と批判するホームズ。
アンダーソンは「おかしなことは起こりうる(Stranger things have happened)」といいますが、



さすがアンダーソン、IQが下がる回答。
ところがそれに負けない回答をする人が同じ場所にいた!




「忌まわしき花嫁」の中のジョンって、古き良きワトソン風味が増している気がします。
つまりちょっと間の抜けたことを言ってホームズを呆れさせるような助手のワトソン。
現代版のジョンはもうちょっと賢かったはずなんですがねw

さて、モルグといえば"彼女"ですが…



ハンサム! モリーが男性として登場するとは思ってもみませんでした。
ただ、ジョンだけは"彼"なのか"彼女"なのかを理解している様子。




■何でも知ってるのかと思ってた…■

ワトソンのお間抜け度合いが増している一方で、
レストレード警部の方も、ホームズに頼り切ってる雰囲気があるこの特番。
リコレッティ夫人の事件が解決していないことに苛つく警部をほったらかしで、
何故か懸命に黄道傾斜について調べているホームズ。



何故必死に天体について調べているのかは後で分かりますが、
ホームズも試験前の徹夜みたいなことをするのだと思うと微笑ましいですね。


■不器用なメイドとその主人■

ヴィクトリア朝時代でも、そこにいないワトソンに話しかけているホームズ。
ようやくいないことに気付いてワトソンに電報を打ちますが、
ワトソンは自宅で出来の悪いメイドにご立腹中。

卵も茹でられないし、ブーツの泥を落とすだけでダメにしてしまうこのメイドは
聖典「ボヘミアの醜聞」でホームズが"不器用なメイド"がいると見抜いた、メアリー・ジェーンなんでしょうね。
何故朝の支度が遅れたのか聞かれたメイドはワトソンのストランドの記事を読んでいたと答えます。
ちょっと態度を改めたワトソンが感想を聞くと、



ワトソンはいろんな身内にこんなことを言われてそうですね。


■ディオゲネス・クラブ式会話術■

ホームズたちがやってきたのはおなじみ、ディオゲネス・クラブ。
会話するのは禁止なので、ホームズは入口でコンシェルジュのワイルダーに手話?で語りかけます。
「兄は中にいる?」「はい、朝食中でございます」
身振りだけで会話するホームズとワイルダー。
さっぱり意味が分からないワトソンは、見よう見まねで会話を試みます。



ポテト(笑)。
ところで、このワイルダーって名前はビリー・ワイルダーから取ったのでしょうか、
それとも「新シャーロック・ホームズ おかしな弟の大冒険」の、ジーン・ワイルダーだったり?


■マイクロ太、登場■

ディオゲネス・クラブで待ち受けていたのはもちろん兄、マイクロフト。
シャーロックは、既に解決したマナー・ハウス事件の犯人?アダムスが王立天文学会の論文を書いていたことから、
兄に天文学についての質問されるのを知っていて、黄道傾斜に関する資料を読みあさっていたわけです。
ところで、放送前から一切マイクロフトの姿が公開されていませんでしたが、
その理由は非常に原作に忠実だったからのようで…。



「マイクロフトは超絶太って出てくるのではないか?」という大方の予想通りのこの姿!
太もものあたりのたるみ具合がリアルすぎます。
マークのファンの間では「こんなの私のマイクロフトじゃない!」と嘆く声もちらほら(笑)。



でも見てください、この旨いものに囲まれて幸せそうな顔を(笑)!可愛いじゃないですか。
とはいえ、太っているのはただ怠惰なだけではなく、
弟と「過食しすぎるといつ頃死ぬ事になるのか」という賭けをしているためだとか…
何故そんな命がけのアホな賭け事を…。
手づかみでプラム・プディングをムシャるマイクロフトを見てると、
中身が爆発しそうで、さすがにちょっと気持ち悪くなりそう(笑)←「モンティ・パイソン 人生狂騒曲」参照のこと。

マイクロフトが弟を呼び出したのは、レディー・カーマイクルの調査依頼を引き受けて欲しいというもの。
この案件の敵は「倒すことも出来ず、勝つ事も出来ない」
なぜなら「彼らが正しく、我々が間違っている」と説明するマイクロフト。
そこでワトソンは手当たり次第敵を予想して、ホームズを呆れさせます。



マイクロフトの頭の中では事件は解決しているようですが、



たしかにその姿ではレッグウォークは難しそうです。


■ホームズの"経験"と"衝動"■

レディ・カーマイクルの夫、サー・ユースタスが例の"花嫁"に脅かされていると知ったホームズとワトソンは、
屋敷にひそみ、花嫁の亡霊?の登場を待ちます。
久しぶりに2人きりになったワトソンは、知性あるレディー・カーマイクルの魅力について語り、
(「女性は君の担当だろう」という「第二のしみ」の台詞が出てきます。)
実は、ホームズがアイリーン・アドラーの写真を懐中時計に入れているのを見たことを話します。
これはワイルダー版ホームズからの引用ですね。
ワトソンがホームズの男としての"経験"や"衝動"を探ろうとするところもワイルダー版ホームズを思い起こさせます。




そして、どうして何故一人でいようとするのか、孤独であると決めつけるのか、
何がホームズをそうさせるのかを詰め寄るワトソンにホームズは答えます。



赤ひげ?
犬の遠吠えを耳にし、うっかりすると聞き漏らす程の声で呟くホームズ。
彼が他者に対する愛情を"絶った"のは、やはり赤ひげにきっかけが?

そして、ついに花嫁の姿を見つけた2人はすぐさま屋敷へと駆け込みますが、
花嫁の"幽霊"に翻弄されたワトソンとホームズは、
サー・ユースタスが短剣で刺され倒れているところを発見します。


■Miss me?■

ホームズに幽霊を見たと断言するワトソン。
信じようとしないホームズは幽霊のことは忘れろ!と言い聞かせますが、
何事か起きることを察知し現場にやって来たレストレードとの会話で、
いつのまにか死体に書き置きのメッセージが残されていることに気付きます。



"Miss me"?
何故か、現場に残されたメッセージを入手しているマイクロフト。
再びディオゲネス・クラブで兄と面会するホームズの場面になりますが、
ここからだんだん、彼らの会話が分かりにくくなってきます。
"Crime scene" や "in a nutshell"といった、
現代版で使うような言葉遣いで会話しはじめるホームズ兄弟。
ヴィクトリア朝のモリアーティも、滝から落ちて死んでいるようですが、
弟はまだ解決していないと考えている様子。




何を終わらせるのか、何が終わっていないのか…
ここのやりとりの意味は、後で次第にはっきりとしてきます。


■警部にも解ける事件?のはずなのに■

兄との面会後、一口も食事せずマインドパレスに引きこもるホームズ。
ハドソンさんやレストレード警部が心配げに覗き込みます。
誰が犯人か分かれば嬉々として教えてくれるホームズが黙り込んでいることを不思議に思う警部。
「私が解けるほどとても簡単だと言ってたのに…」というとハドソンさんが一言。



exaggerate=大げさに言う
ガッカリぎみの警部(笑)。
「大いなるゲーム」の時のようなハドソンさんと警部の会話は楽しいですね。


■モリアーティとの再会■

ついにコカインに手を出してしまうホームズ。
待ち受けていると、部屋に人影が。



モリアーティ!会いたかった!!(笑)
彼の登場の台詞はもちろん聖典「最後の事件」と「大いなるゲーム」両方からの引用。
「君の部屋、好きだよ。臭いがすごく…男っぽい」「挿絵画家と一緒に旅を?推理中はポーズをとってるのか?」
と、人をからかうような話し振りでホームズを挑発するモリアーティ。
(しかもホームズの不在中に勝手にベッドの寝心地をチェックまでしてたらしい!)
指先でマントルピースの上をなぞると、埃の大部分は人の皮膚で形成されていると話しながら、



ぺろり。
(ここを見て、マークが書いたドクター・フーのS9"Sleep No More"を思い出しました。
 Sleep Dust←つまり眠っている間に人から出て来た目やにから出来たモンスターが出て来たりするのです。発想がヤバい(笑)。
 このあたりの台詞はマークが書いているのかもしれないですね。)

ホームズは事件の真実を知るためにモリアーティを召還したように見えますが、
本当はリコレッティ夫人の事件に興味はないのだとモリアーティは語りかけます。
この事件にこだわるのは、他の事件を思い起こさせるためだと。
「なんだっけ、ほら、舌の先まで出かかってる…」
'It's on the tip of my tongue. It's on the tip of my tongue...'



拳銃を舌に押し付けるモリアーティ。エロい。
このあたりの気持ち悪さ、プールのシーンを思い出します。
こういうモリアーティがまた見たかったんだー!!
そして彼はなんと、「ライヘンバッハ・ヒーロー」でバーツの屋上でしてみせたように、
自分の頭を口から打ち抜くのです。



そして何事もなかったかのように立ち上がってみせるのでした。
くるりと回って吹き飛んだ頭まで見せてくれるサービス精神(笑)。



唖然とするシャーロック。
なんで生きているんだ? 何故死んでいない??
問いかける彼にモリアーティは「これは君を殺す"落下"じゃないんだよ、シャーロック」と語ります。
そう、モリアーティは登場してから、シャーロックをホームズとは呼んでいません。
このモリアーティも、モリアーティ教授ではなく、ジム・モリアーティなのです。
「"落下"なんかじゃないんだ、これは…」



221Bの中に起こる、地震のような激しい揺れ。そして…



あれぇ??(笑)

…パート2へ続く。

コメント (2)
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