だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

ゴールデンスランバー

2010-02-24 | movie/劇場公開作品
【2月17日】

アビイ・ロード・スタジオ、EMIが所有権保持の意向
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100222-00000962-reu-ent

だそうです。
ホッとしたような、人騒がせな気分というか。
ポールも支援に名乗り出たそうですが、
やっぱり手放します、とならないように祈っています。



アビイロードといえば、ゴールデンスランバー。
やっと見てきました。

伊坂幸太郎原作の映画ですが、
今まで見た伊坂原作作品は期待外れが多かったので
(といっても3作品くらいしか見てないのですが)
今回も期待しないで行きました。



私にとっちゃ、ゴールデンスランバーっていうか、
マックスウェルズ・シルバーハンマーでしたよ!

「銀の槌が彼女の脳天に降り降ろされた」!

…ようするに面白かったのです。


終演後、席を立ち
「いやー、よく出来とるわ。いやはや…」
なんて呟きながら外に出て、
本屋寄って買い物して家に帰るまでずっと
「ちくしょー、面白かったなー!」
とブツブツやってました。




大学時代の友人からしばらくぶりに呼び出され、
いきなり首相暗殺の犯人に仕立てられた男の逃亡劇。

警察はすでに「出来すぎた証拠」を握っていて、
逃げるしか方法がない。



飛び石のように、逃げる先の道を切り開いていく、
逃亡者の元カノや思わぬ協力者たちの存在。

そして潔いほど贅沢にちりばめられた伏線!
(ネタバレになるから明かさないけど。)

結末は、まぁそういう落ち着き方が無難だなぁってところですが、
「繋がっている」ことが生きる希望をもたらすような
話の構造自体にワクワクさせられます。


人から「逃げる」ことよりも、
人を「信じる」方がこの話のキーワードだったような気がするのです。


ヘビーな内容にも関わらず、
劇場に笑いがたびたび起こっていたのが印象的でした。


キャストもよかったねぇ。
柄本明が出たときにはニヤけたし、
伊東四朗にゃ泣かされた。
伊坂作品おなじみの濱田岳もよかった。キルオぉ~(涙)。

香川照之が、試写を見て
「堺雅人の役がやりたかった!」って言ったらしい。
いやいや、あなた今の役で十分おいしいよ!
(彼が主役だったらかなりシリアスになってしまった気がする。)
というか、あなたの最近のスケジューリングがどうなっとるのか教えてくれ!!

…劇場を出る時、お客さんの中に
「で、結局誰が犯人だったの?」と言ってる人が何人かいてギョっとした。
殺して得する人が犯人なんですよ? こういう場合はたいがいね。
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無意識な女の性『女のみづうみ』

2010-02-13 | movie/【今週のウチシネマ】

CS放送で「太陽にほえろ!」や「木曽街道いそぎ旅」を見ながら、
「山さん、かっこえぇぇぇ…」
「銀次、渋ぅぅぅうい!」
とひとり、ひたすら呟いている毎日です。

そんなわけで、今日も露口茂様、出演作です。
吉田喜重監督の「女のみづうみ」



川端康成の「みづうみ」を元にしているようですが、
監督の奥様でもある岡田茉莉子演じる
裕福な日常の中にいる主婦、宮子が本作の主人公。

家のリフォーム担当のデザイナー北野(早川保)と不倫関係にある宮子は、
密会中に自分のヌード写真を撮影させますが、
帰宅途中の暗い夜道で見知らぬ男にネガを奪われてしまいます。

それからというもの、宮子の元には
その男から、写真を返してほしければ会えという、
脅迫の電話がかかってくるように。


男の要求で北陸に向かった宮子、
それを追って駅で合流する北野。

北野が追ってきたことを知った宮子は不服そう。
ネガを取り返し、北野との関係も清算する気まんまんだったわけですから。
自分が強迫男に体を投げ打つ覚悟はとうに出来ているわけです。


北野は写真屋で、現像の注文をする例の男を発見。
露口さん扮するその男、銀平に、
ネガを返さなければ、強盗容疑で警察に突き出すと食いつきますが…

「言ってもいいのかな。
 みんなバレるよ、君とあの女とのこと。
 それでもよかったら警察もいいね。」


銀平は目が泳いでるわりに、口調は冷静。

「君もいい気なもんだね。人の奥さんとのんびりこんなところまで遊びにきて」
「君のせいだ」
「けっこう楽しんでいるようだな」
「君は薄汚い野郎だ。最低の男だ」
「それはあんたに言われなくたって自分が一番よく分かってる」




「惚れた女を脅迫してでも手に入れたいストーカーですけど、なにか?」
てなくらいの勢いの銀平…。


宮子と北野は、ついて回る銀平の無言の圧力を感じつつも
ちゃっかり2人の時間を楽しみますが、そこに北野の婚約者が登場。

婚約者までやって来てうんざりぎみな宮子は、写真屋に出向き、
好色なそこの主人が焼き増したヌード写真を買い取った後、
浜辺で銀平と出くわします。


「あれ、返していただけます?」
「あれを返してしまっては、
 せっかくあなたと結ばれた線がぷっつり切れてしまう」
「私、覚悟はしてきましたわ」
「覚悟? どういう意味ですか」
「そんなことまで私に言わせるおつもりですの」
「ハハハハ…」
「からかってらっしゃるのね。私帰ります」
「(女の手を掴み)…冷たい手だ、あなたの手は」





銀平は彼女に、予備校の建物で
ホテルから出てくる2人の姿を見ていたことを明かします。


映画の中では特に触れられませんが、
原作の設定に基づいているとすると、
銀平は女生徒との恋愛が元で教師を辞めているはず…

欲望に身を任せて後がなくなった銀平と、
彼のために平穏な生活の危機を迎えた宮子。
どちらもある意味崖っぷち。




「僕は、あの写真のあなたを愛していたらしい
 現実にはいない写真の女を」



岬に向かった銀平は、ついて来た宮子にそう語り、
彼女は、銀平が宮子からの愛情を欲していることに気づくのです…。



何不自由のない人妻をめぐる男たち、
の物語ではなく、
不倫→写真→脅迫と続く、後ろめたい行為と事実、
さらに、北陸の地での脅迫者との対面でさらなる深みにはまっていく、
女の性を描いていると言えます。

理性ではなく、肉体で解決を図る宮子。
女の私から見ても、確信たっぷりにことに及んでいるにも関わらず、
ついつい流されてしまったような言動をしているように思える。
時代の違いでしょうか…
欲望に直面しながらそれを最後まで認めていない
そんな女性だと受け止めました。



“松竹ヌーヴェルバーグ”と呼ばれた映像は、
写真映画ともいうべき美しさですが、
凡長さもいなめません。
最近だと写真的な「ゼラチンシルバーLOVE」なんかがあったけれど、
ストーリーだけなら1時間でまとめられる内容。

後半に出てくる、映画の撮影場面は、
性の対象としてみられる偶像の女性の暗喩なのでしょう。

宮子の裸を撮影した北野、
その写真に魅了された銀平、
それぞれが、彼女を「生活する女」として見ていないということなのかも。



それにしても、銀平が教師と聞いて、
「絶対生徒にいかがわしいことしてるに違いない…!」

と思ったら、やっぱり元は恋愛がらみで退職しているとは。
キモい!粘着野郎!
なのに素敵だと思ってしまう自分がこわい。うひゃひゃ。

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抱擁のかけら

2010-02-13 | movie/劇場公開作品
久しぶりに遠出しました。

…新宿まで。


新宿ピカデリーで、
ペドロ・アルモドバル監督×ペネロペ・クルス主演の新作、
「抱擁のかけら」を観賞。
地元では残念ながら上映していないので。




 本当の名前を封印し、常にペンネームを名乗っている
 盲目の脚本家、ハリー・ケーン。
 彼の生活はエージェントのジュディットと
 彼女の息子のディエゴが支えている。

 そこにライ・Xと名乗る青年が現れ、
 共同で脚本を執筆し、映画を作りたいと提案。
 彼の正体を知ったハリーとジュディットが
 彼を遠ざけようとしていることに気付いたディエゴは
 母の留守中、ハリーに質問する。
 ライ・Xの正体と、ハリーの過去について。



「アルモドバルらしくない“普通”の作品」
なんて評判は耳に入っていたので期待はしないでいったので、
予想以上に楽しめました。


なにしろペネロペだけで見る価値のある映画だわね。
ここ数年のペネロペの美しさはこれ、なんだろう。
オードリー・ヘップバーンのような清純な姿あり、
ラテン系美女らしい情熱的な濡れ場あり。
女の私でもよだれが出そうな…。

ブチギレ女役の「それでも恋するバルセロナ」でも
老教授を首ったけにさせる女学生役の「エレジー」でも
肝っ玉母ちゃん風の「ボルベール」でも美しかったが、
これは極めつけだね。


ペネロペが演じるのは
ルイス・オマール演じるハリーの恋人レナで、
彼女は、もともとは映画監督だったハリーの作品の主演女優であり、
大物実業家の愛人でもある。

見ているものは、おそらく、
レナをめぐり2人の男が対立したのだろうと想像する。

ハリーが盲目になり、本名を捨てた理由、
彼の引き出しにしまってある写真に隠された逃亡の日々…
誰も知らなかった秘密が、少しずつ少しずつ紐解かれる。

隠されていること自体は目新しい内容ではないけれど、
秘密を抱えるせつなさとあきらめと、
明かすことで迎える決着を描くことがこの話の軸なのだと思う。

母が過去を隠していることを知ったディエゴは
自分の起こした事故を隠すことで、
なにか同じ罪を抱えようとしているように思えたし。

そういえば、「ボルベール」も“秘密”が印象的だった。


抱擁のかけらっていう、邦題もなかなかだな。
いやー、よかったな。やっぱり、見に行って。
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愛された骨だけが残った

2010-02-06 | movie/劇場公開作品
ここ数日、「Abbey Road」の終盤に出てくるメドレーが
頭の中をリフレインして止まらない。

「ゴールデンスランバー」のCMをよく見るからだろうけど、
「Golden~」じゃなくて「Carry That Weight」のメロディーばかり
思い出して歌ってしまう。

 Boy, you gotta carry that weight
 Carry that weight a long time

はいはい、重荷ね重荷。分かった分かった。って感じ。



あまりに脳内再生してるので、
今週は「ゴールデンスランバー」ではなく、
「ラブリーボーン」を鑑賞。
http://www.lovelyb.jp/

ブライアン・イーノが音楽を手掛けてることを思い出して、
俄然見る気になった。
http://www.youtube.com/watch?v=LK8vrBD9SSE

ちなみに「ゴールデン~」はせっちゃんこと斉藤和義が音楽担当。
どちらも大好きです。


冒頭、14歳の女の子、スージーが
冬のトウモロコシ畑の下に作られた秘密の地下室に誘い込まれて殺される。
「地平線と空のあいだ」に意識だけ取り残された彼女が、
犯人の成り行きと、家族が立ち直り希望を見出すようすを見届ける話。


語り手が成仏していない被害者、てのが珍しいけど、
軸はサスペンス・ドラマですよ。

このところ朝から晩まで刑事ドラマか推理ものばっかり
見たり読んだりの私にとっては、ちょうどよかったw
手に汗握るシーンも意外にあって。


現世とリンクする、黄泉の国の不思議な風景も楽しかった。
父親の作った帆船の入った瓶が海岸に打ち上げられるシーンなんか特に。
本物みたいな錯覚を起こすVFXより、
想像力を膨らませる特殊効果の方を支持します、私は。



不謹慎な言い方かもしれないけれど、
犯人が捕まってめでたしめでたし~!
…ではない幕切れであることも好感が持てた。

だいたい…どんな殺人事件でも、
解決したところで死んだ人間は帰らないし、
めでたいわけがない。
現実世界でも、フィクションでも。


残された人も、死んだ人も、
心残りや悲しみ、憎しみを背負うわけだ。
それこそ“長い時間、重荷を背負う”。

そのさまざまな重荷から放たれたときこそ、本当の別れ。
悲しいけれど、ここで語られてることは、
別れも幸せの一つだということですな。

スージーが最後に再会したがったのが、
家族ではなく、恋の相手だったことも、
特に気にならなかった。

家族にとって、彼女と再会することが必ずしも幸せとは言えないことくらい、
彼女にも分かっていたはずだし、
ボーイフレンドのそばに“ミディアム”がいたからこそ出来た再会だったはずだからね。

傑作ではないけど、心の目を開かせるような小品でした。



この作品でアカデミー賞にもノミネートされてる
スタンリー・トゥッチも楽しみの一つだったんだけど、
見てみたら、ノミニー入りの理由が分かったw
「この役かw」
こわかったー。

おばあちゃん役のスーザン・サランドンもいい味だしてた。
焦げたフライパンに花ごと花瓶の水掛けたり、
小さい孫にペディキュア塗らせたり、ファンキーだった。
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【今週のウチシネマ】女が奏でる復讐のワルツ-『霧の旗』

2010-02-02 | movie/【今週のウチシネマ】

海老蔵、現代劇初主演…日テレ系で松本清張「霧の旗」
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20100119-OHT1T00042.htm


ということで、婚約が話題になったばかりの海老様が
初めて現代劇に主演するらしいですぜ。

わざわざこの話題を取り上げたのは、
つい最近、この「霧の旗」の映像化作品を見たからなのですが、
何故この作品を見たのかといえば、
海老様がらみでもなんでもなく、
“露様”…つまり露口茂さんが見たかったから。

そう、目下わたくしは露口さんの現役バリバリ時代の演技に惚れて
夜も眠れないくらいなのであります。
わけはのちのちじっくり語ることにして…
今日は「霧の旗」について。



「霧の旗」には1977年に山口百恵主演で制作された映画がありますが、
ここで触れるのは1965年、山田洋次監督、倍賞千恵子主演の「霧の旗」です。



熊本から上京してきた20才の娘、桐子が
日本でも有数の敏腕弁護士、大塚の事務所を訪れるところから話は始まります。

 金貸しの老婆殺しの罪で捕まった、唯一の肉親である兄の冤罪を晴らすために
 大塚に弁護してほしいとやってきた桐子。
 だが、高額な弁護料と多忙を理由にすげなく断られてしまう。

 1年後、死刑判決を受けた桐子の兄が獄死。
 大塚は、自分が弁護すれば彼女の兄を救えたのかを確認するため、
 熊本の弁護士に事件資料を送るように手配する。
 そして同じころ、桐子は東京のバーでホステスとして働いていた…



山田洋次倍賞千恵子の組み合わせというだけで、
人情話を想像してしまいますが、
山田監督には珍しいミステリー作品

後に寅さんの妹さくらとして親しまれる倍賞千恵子は、
静かに憎しみをつのらせるしたたかな女性であり、
偶然に遭遇した殺人事件を利用し、
自分の願いを聞き入れなかった大塚を罠にはめようとします。



前半は兄が死に至るまでのいきさつと回想、
後半は妹がいかにして弁護士の大塚を陥れるのかが描かれます。



で、露口さんが演じておられるのが
小学校の教員である桐子の兄。

修学旅行のために生徒から集めた金を紛失し、その分を借金。
返済を待ってほしいと金貸しの老婆を訪れた際に、死体を発見したため、
容疑者にされてしまいます。

すっかり衰弱しきった兄が
取調室で刑事たちに自白を強要させられている場面では、
「あぁ、落としの山さんにも、落とされる時代があったのか…」
と感慨深いものが。



気弱そうに九州弁で喋る姿がたまらないですが、
この融通効かなそうなまじめ人間なら、
ついうるさい取り立てに我慢出来ずに老婆を殺したのかも?と
思えなくもありません。



回想場面では、兄妹肩寄せ合って暮らしている姿が映しだされ、
2人が親子のような関係でもあったことを分からせます。


妹をひとりに出来ないためか、縁談を断ってしまう正夫兄さん。
桐子も近所のおばちゃんに、あんたが早く嫁に行けば…とお小言をもらいますが、
その支えあっている姿に、結局最後には
「あんたたち兄弟は特別」とまとめられてしまったりして。


たとえば自分が兄とそんな固い絆で結ばれていたとしても、
(そしてその兄が露口さんであるとしてもw)
彼女ほど執念深く、仇を討つことができるかというと、
そんな決心はなかなか持てない気がしますね。
それだけ、桐子のしぶとさ、異色さが実感できます。





この話のなにが怖いって、兄が本当に無実なのか、
明らかにされていない点。

大塚が、真犯人は左利きであるという特徴に気付き、
桐子に兄が左利きであったか確認しようとするのに、
彼女はそれに答えない。

もはや、彼女にとっては兄が犯人であろうが
真犯人が他にいようが関係なく、
弁護士が死んだ肉親を救おうとしなかったことだけが真実なのです。

(…上のキャプチャ見たらわかりますが、
 正夫兄さん、お茶碗を左手で持っているから、
 普通に考えると右利きでしょうね。)



おそらく、桐子は大塚先生に兄並みの生真面目さや
自分を犠牲にしてまでも仕事に尽くす姿勢を要求していたのでしょうが、
世渡りのうまい、遊びも仕事も器用にこなす大塚先生は
彼女の願いに応えられるはずもなかったわけです。

桐子は、その思想の格差を叩きつけようとしたのかもしれませんね。

(ちなみに、海老蔵さんはこの大塚先生を演じるらしい。)




霧がかった銀座周辺の薄暗い街並みと、
エンディングで流れる、ワルツ調ののんびりした曲が、
さらにこのミステリーの恐ろしさを引き立てます。

桐子にとっては、ワルツを奏でるような
おだやかで冷静な作戦だったのかもしれません。
かわいいけれど、こわいこわい。
こわいけれど、不思議とすがすがしい。
観終わったあともワクワクさせられる、傑作でした。

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『Dr.パルナサスの鏡』

2010-02-02 | movie/劇場公開作品
【1月27日】

前回の予告通り、
「Dr.パルナサスの鏡」を見てきました。
客層はカップルか女性グループ。
終わった後の、劇場のあっけにとられた雰囲気が心地よかったですw


 主人公は旅芸人一座の座長である不死の飲んだくれ老人…
 彼は、舞台上の作り物の鏡から、そこに入りこんだ観客の欲望を
 現実化させる不思議な力を持っている。

 老人はある要求をかなえるなら、
 16歳に成長した娘を渡すという契約を悪魔と交わしていた。
 その期日である娘の誕生日まであと3日。

 悪魔は老人に、5人の観客を欲望の世界へ誘い、
 老人の希望する出口に導くことが出来れば、
 娘を自由にしようと提案する。


以上がザックリまとめたあらすじ。
だと思う。あくまで私の受け止めたあらすじ。
自分でも書かないと混乱しそうでね…。





見終わった感想は、


「やっぱあのおっさん、頭おかしいな…」


って感じでしょうか。誉め言葉です。


最も愛する監督なだけに、
公開されるだけで万々歳!なんですが、
誰にでもお勧め出来る映画ではないことは確かです。



鏡の中の世界で、老人が導く出口がはたして「善」なのか、
娘が命を助けて一座に加わる青年(ヒース・レジャーね)が何者なのか…

考えたいことが雑然とありすぎるだけでなく、
鏡の向こうの世界が賑やかすぎて、しっちゃかめっちゃか。
混沌とした状況に、
中には見るのも放棄したくなる人もいたはず。


だけど、そのヴィジュアルの楽しいこと!
何が起こるか分からないnightmareそのものです。
(特にジュード・ロウが登場する鏡の向こうのパートは
 モンティ・パイソン好きならニヤニヤしちゃうネタもありました。プププ!)

私は欲望の世界よりも、一座のワゴン(馬車)が
いかにもギリアム爺の作品にふさわしい美術でワクワクして見ちゃったけどね。

ありがちで予定調和な物語を笑い飛ばすような
このカオスな状況を思い切って受け入れるのがこの作品の最も最適な楽しみ方。

一番嬉しかったのは、そのカオスっぷりで
相変わらず監督がやりたいことやってるってのが、
よく伝わってきたことだな。


クリストファー・プラマーとトム・ウェイツの
博士VS悪魔も味があったけど、
ヒロインのリリー・コールと、一座の一員=アンドリュー・ガーフィールド
(彼は「大いなる陰謀」「BOY A」も好演だった)の
若い2人も作品にマッチしていた。


それにしても…
ヒースが亡くなって2年もたつのか…。
ヒースの歳に追いついちゃったよ。
久々に「ダークナイト」の方も見ますかね。
ジョニー・デップ、ちょっとだったけどかっこよかったな…。




■監督インタビューまとめ■
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/100126/tnr1001260805003-n1.htm
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20100123mog00m200008000c.html
http://news.walkerplus.com/2010/0126/4/

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