だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

SHERLOCK「A Study in Pink」シャーロックvsスコットランドヤード

2012-02-04 | TV/SHERLOCK S1 "A Study in Pink"
あっと言う間に2月になってしまいました。
SHERLOCK 第二シーズンが放送されてもう3週間近く経ちますが、
未だにまったく興奮冷めやらぬ状態です。
特に最終話の筋書きには思った以上に胸が締め付けられましたよ…。


(UK版のDVDも無事届きました。)

第一話では比較的脇役に回っていたジョンですが、
最終話では第二話までのシャーロックとの関係を集約するようなやりとりが見られます。
マーティン・フリーマンの演技力には圧倒されますね…。
嗚咽を漏らしてしまうほど感情移入してしまいました。

(見られて嬉しいけど泣けて仕方ない、の図)

モリアーティの仕掛けた周到な罠の数々…
あれだけの重荷をシャーロックに背負わせて、どうやって次のシーズンが幕を開けるのか興味津々です。

その第二シーズン。放送された3話だけでなく、
第一シーズンもちゃんと布石になっています。
その一つがスコットランド・ヤードの刑事たちとの関係です。

「A Study in Pink」で連続自殺と思われる現場を訪れたシャーロックとジョンを待っていたのは、
レストレードのようなシャーロックの能力を買って“招待”したい人間ばかりではないのでした…。


Donovan
Hello, freak.
あら変人。
Sherlock
I’m here to see Detective Inspector Lestrade.
レストレード警部に会いにきた。
Donovan
Why?
なぜ。
Sherlock
I was invited.
呼ばれたから。
Donovan
Why?
なぜ?
Sherlock
I think he wants me to take a look.
現場を見せたいんだろ。
Donovan
Well, you know what I think, don’t you?
私の意見を聞きたい?
Sherlock
Always Sally. I even know you didn’t make it home last night.
喜んで。…ゆうべ家に帰らなかったな?
Donovan
I don’t…Who’s this?
なんで…あ、ちょっとこれ誰?



Sherlock
Colleague of mine, Dr Watson.
同僚のワトソンだ。
Dr Watson, Sergeant Sally Donovan. Old friend.
こちらサリー・ドノヴァン巡査部長。旧友だ。
Donovan
A colleague. How do you get a colleague?
同僚? あなたにそんなものいた?
Did he follow you home?
こいつにストーカーされたとか。
John
Would it be better if I just waited…
僕は外で待ってようか?
Sherlock
No.
いや。
Donovan
Freak’s here. Bringing him in.
“変人入りまーす”
Sherlock
Ah, Anderson. Here we are again.
あー、アンダーソン。また会ったな。



Anderson
It’s a crime scene. I don’t want it contaminated. Are we clear on that?
ここは犯罪現場だ。荒らすんじゃないぞ。分かってるな?
Sherlock
Quite clear. And is your wife away for long?
よく分かってる。奥さんはずっと留守か?
Anderson
Oh, don’t pretend you worked that out. Somebody told you that.
推理したみたいな顔するな。誰かに聞いたんだろ。
Sherlock
Your deodorant told me that.
デオドラントで分かった。
Anderson
My deodorant?
デオドラント?
Sherlock
It’s for men.

男用だ。
Anderson
Well, of course it’s for men, I’m wearing it.
当然だろ、俺は男なんだから。
Sherlock
So’s Sergeant Donovan.
サリーと同じ香りだ。



Sherlock
Ooh…I think it just vaporized. May I go in?
鼻につくな。入っていいか?
Anderson
Now look, whatever you’re trying to imply…
何を言いたいんだか知らないが…
Sherlock
I’m not implying anything.
何も言ってないよ。
I’m sure Sally came round for a nice little chat, and just happened to stay over.
きっとサリーはちょっと遊びにきて、そのまま君の家に泊まることにしたんだろうな。
And I assume she scrubbed your floors, going by the state of her knees. Please wear one of these.
床も磨いてくれたんだろ、サリーの膝の状態からして。


実は、この話で一番好きな台詞は「変人入りまーす」かもw 初めて見た時は爆笑しました。
その明晰さ故に、要らぬ推理を披露して怒りを買うシャーロック。
彼がこんな恨み節たっぷりのドノヴァンを旧友なんて呼ぶのはあえてなんでしょうか。
そしてシャーロックが本気で「ドノヴァンはアンダーソンの家の床を磨いていた」と考えているのか、
というところが、多少気になりますw

何故か?ファンに愛されている鑑識係のアンダーソンは、現代版では割と有能に描かれているレストレードの代わりに
スコットランドヤードの間抜け担当として活躍してますねw
この事件の被害者であるジェニファー・ウィルソンが現場に残していたダイイングメッセージ、
“rache”という文字について得意げに話すアンダーソンでしたが…

Anderson
She’s German. Rache. It’s German for revenge. She could be trying to tell us something…
ドイツ人です。ラッハは、ドイツ語で復讐です。彼女は何かメッセージを…



Sherlock
Yes, thank you for your input.
情報をありがとう。
Lestrade
So she’s German?
ドイツ人か?
Sherlock
Of course she’s not. She’s from out of town though.
いや違う。地方から出てきて…
Intended to stay in London for one night before returning home to Cardiff. So far, so obvious.
ロンドンに一泊してカーディフ帰るつもりだった。それは明らかだ。

とまったく相手にされず。
もっとも、元にされている「緋色の研究」では、被害者が残した"RACHE"がレイチェルではなくラッハという意味だった、
という設定なので、原作を知っている視聴者も「ラッハktkr」と思いながら見ていたはずであり、
まるで視聴者がアンダーソンで、Steven Moffatら作家陣に
「君たち、ラッハだと思ってたんでしょ? バッカじゃないの?(笑)」
ドアをバタンと締められたような…でも悪い気はしない、という不思議な感覚に陥りますw

現場を観察するシャーロックは、レストレードに対しても、

Sherlock
Shut up.
うるさい。
Lestrade
I did’t say anything.
何も言ってない…
Sherlock
You were thinking. It’s annoying.
考えるな。邪魔だ。

と邪魔者扱い。
レストレードとしては、すぐにでも意見を聞きたいところですが、
シャーロックは連れであるジョンに検死を依頼。
ジョンはいやと言う程死体を見てきた軍医だけに、渋々ながらも冷静&迅速に遺体を視ます。
その腕前?に連れてきたシャーロックは少し得意げ。

John
Asphyxiation, probably. Passed out, choked on her own vomit.
窒息だ。気絶し、吐いたものが喉に詰まった。
Can’t smell any alcohol on her. It could have been a seizure. Possibly drugs.
アルコールの臭いはしないから急な発作か、麻薬かも。



Sherlock
You know what it was, you’ve read the papers.
新聞を読んでるなら分かるだろう?
John
Well, she’s one of the suicides. The fouth…?
じゃあ、連続自殺の4人目?
Lestrade
Sherlock, two minutes, I said, I need anything you got.
2分しかないんだ、何か分かったか?
Sherlock
Victim is in her late 30s. Professional person, going by her clothing.
被害者は30代後半、服装から見て仕事を持っている。
I’m guessing the media, going by the frankly alarming shade of pink.
派手なピンクのコートからしてマスコミ業界か…?



Travelled from Cardiff today intending to stay in London one night from the size of her suitcase.
カーディフから来てロンドンで一泊。それはスーツケースの大きさから明らかだ。
Lestrade
Suitcase?
スーツケース?
Sherlock
Suitcase, yes. She’s been married at least ten years, so not happily.
そうだ。結婚して少なくとも10年。幸せではなく、
She’s had a string of lovers but none of them knew she was married.
何人も愛人がいたが、誰も人妻とは知らない。
Lestrade
Oh, for God’s sake, if you’re just making this up…
おい、作り話をするのはよせよ。
Sherlock
Her wedding ring. Ten years old at least.
結婚指輪は10年はしている。
Rest of her jewellery has been regularly cleaned, but not her wedding ring. State of the marriage right there.
他のジュエリーは磨かれているのに、結婚指輪だけ汚いのは不幸な結婚だから。





The inside is shinier than the outside. That means regularly remove.
結婚指輪の内側が外側より光っているのは定期期にはめたり外したりで磨かれるから。
The only polishing it gets is when she works it off her finger. It’s not for work, look at her nails.
爪の手入れを見れば、手を使う仕事ではない。



She doesn’t work with her hands so who does she remove her rings for?
ならば外す理由は愛人だ。
Clearly not one lover, she’d never sustain the fiction of being single for that long time so more likely a string of them. It’s simple.
だが愛人が一人なら人妻であることは隠しおおせばいい。ならば相手は複数。
John
Brilliant. Sorry.
見事だ! …いや、失礼。
Lestrade
Cardiff?
カーディフは?
Sherlock
It’s obvious, isn’t it?
分かるだろ?
John
It’s not obvious to me.
僕には分からない。
Sherlock
Dear God, what is it like in your funny little brains, it must be so boring.
まいったな…せっかく頭があるんだから、ちゃんと働かせろ。
Her coat. It’s slightly damp, she’s been in heavy rain the last few hours,
コートは、湿っている。数時間前に雨に降られたんだ。



no rain anywhere in London in that time.
だがロンドンでは雨は降っていない。
Under her coat collar is damp too. She’s turned it up against the wind.
襟の裏も濡れている。強い風に襟を立てた。



She’s got an umbrella in her pocket but it’s dry and unused.
左のポケットに入っていた傘は乾いている。
Not just wind, strong wind, too strong to use her umbrella.
風が強すぎて傘が差せなかった。



We know from her suitcase that she was intending to stay overnight…
スーツケースからしてロンドンに一泊予定。それなりに遠いところから来たはずだが…
but she can’t have travelled more than two or three hours because her coat still hasn’t dried.
2、3時間以上掛かる距離ではない。コートがまだ濡れているからだ。
So where has there been heavy rain and strong wind within the radius of that travel time? Cardiff.
2、3時間以内の距離で、強い風が伴う雨が降った所は、カーディフだ。



John
Fantastic.
名推理だ!
Sherlock
Do you know you do that out loud?
いちいち声が大きい。
John
Sorry, I’ll shut up.
ごめん、黙る。
Sherlock
No, it’s …fine.
いや、いい。
Lestrade
Why do you keep saying suitcase?
スーツケースは?
Sherlock
Yes, where is it? She must have had a phone or an organizer.
ああ、何処だ。携帯か手帳を持っていたはずだ。
Find out who Rachel is.
レイチェルが誰だか知りたい。
Lestrade
She was writing Rachel?
文字はレイチェルか?
Sherlock
No, she was leaving an anger note in German of course she was writing Rachel,
ああ、ドイツ語じゃない。もちろんレイチェルって書いたんだ。



no other word it can be. Why did she wait until she was dying to write it?
他の言葉のはずがない。問題は何故死ぬ間際まで待って書いたか。
Lestrade
How do you know she had a suitcase?
何故スーツケースがあったって分かる?
Sherlock
Back in the rare there’re tiny splash marks on her right heel and calf not present on the left.
右足の後ろ側だけ泥がはねていて、左足にはない。



She was dragging a wheeled suitcase behind her with her right hand, by that splash pattern…
つまり右手でスーツケースを引っ張っていたんだ。はね方からして明らかだ。
Smallish case, going by the spread. Case that size…
はねの範囲からして小型サイズ。
woman this clothes-conscious could only be an overnight bag so we know she was staying one night.
これだけお洒落な女性なら小型には一泊分しか入らないだろう。


聖典で描かれる通り、草むらを飛び回るフォックスハウンドの如く現場を嗅ぎ回るシャーロック。
しかし、現場にスーツケースは残されていませんでした。
これが連続殺人事件であると確信したシャーロックは、
「ピンク」が犯人の侵したミスだとレストレードに言い残し、
興奮気味に現場を立ち去ってしまいます。ジョンは一人残されたまま。
仕方なくタクシーを拾って帰ろうとするジョンに、ドノヴァンが声を掛けます。


Donovan
But you’re not his friend. He doesn’t have friends. So who are you?
あいつと友達? そんなはずないね。どういう関係?



John
I’m…I’m nobody. I just met him.
いや、関係もなにも、会ったばかりだ。
Donovan
OK, bit of advice then. Stay away from that guy.
ならあいつには近づかないことね。
John
Why?
何故?
Donovan
You know why he’s here? He’s not paid or anything.
謝礼も出ないのに。あいつが現場に来る訳は?
He likes it. He gets off on it. The weirder the crime, the more he gets off. And you know what…?
好きだからよ。興奮するから。酷い犯罪になればなるほどね。
One day just showing up won’t be enough.
One day we’ll be standing round a body and Sherlock Holmes will be the one that put it there.
捜査だけじゃ満たされず、シャーロック・ホームズが人を殺す日は必ず来る。
John
Why would he do that?
なんでそんな…
Donovan
Because he’s a psychopath. Psychopath get bored.
変質者ってね、退屈するもんなの。
Lestrade
Donovan.
ドノヴァン!
Donovan
Coming. Stay away from Sherlock Holmes.
(警部に向かって、)行きます! …近づかない方が賢明よ!



ドノヴァンに忠告されたジョンは、それでも何となく納得のいかないような表情。
会ったばかりで横柄なヤツだとは思っていても、間近で鮮やかに彼が推理する様子を見て、
簡単に彼を否定する気にはなれなくなっているのかもしれませんね。褒めちぎってるし。

そして、まさにこの第一シーズン第一話のドノヴァンとのやり取りが、後の物語に直結してくるわけですが、
それはただの同居人である2人が共に組んで難解な事件を解決し、
お互いを親友と自覚するようになってから語られるお話、というわけです…。切ない…。

次回は(予定通りにいけば)自称“シャーロックの友達に一番近い”(むしろ親を自認する)あの方の登場
…のはず。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする