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【ネタバレ】天使と悪魔に与えられた試練の時? 「グッド・オーメンズ2」

2023-07-31 | TV/その他
 
2023年7月28日(金)、ついに「グッド・オーメンズ2」の配信が開始されました!
このシリーズは、留学中に配信されたS1からプレミア上映を見に行ったり、
原作者のニール・ゲイマンのトークイベントを見に行ったりと、私にとって特別に思い入れのある作品。
 
↓↓↓「グッド・オーメンズ」S1のプレミア上映の様子
 

【祝!S2決定】「グッド・オーメンズ」ワールド・プレミアの思い出【2019年5月28日】 - だから、ここに来た!

2021年6月30日にドラマ「グッド・オーメンズ」第2シリーズの製作が発表されました!Whathaveourfavoriteangelanddemongottenintothistime?😇😈#GoodOmensisreturningforSea...

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↓↓↓原作者ニール・ゲイマンのトークイベントの様子。スレッド参照。

 
ハルマゲドンが阻止された前作から3年あまり経った現在のロンドン。
ソーホーの書店に暮らす元天使のアジラフェル(マイケル・シーン)の元に、
かつての上司である最高位の大天使ガブリエル(ジョン・ハム)が全裸で現れる。
仰天するアジラフェルは何事か彼に尋ねるが、
ガブリエルはアジラフェルが誰なのかだけでなく、自分が何者かすらもすっかり忘れていた。
天国で何かが起きている…
ただ事ではない状況であることを察したガブリエルは、
彼を守り、真相を突き止めるべく、長年の友人である元悪魔のクロウリー(デヴィッド・テナント)に協力を求める。
 
全編にわたってアジ&クロの仲睦まじい可愛さが溢れているS2。
しかし、配信直後の今週末は、最後の20分で急展開を迎える最終話のおかげで視聴者の多くがショックで立ち直れない様子…
クリフハンガー的幕引きで、否が応でも今から次回作への期待が高まります。
詳しい内容は実際に見ていただくとして、
簡単な各話のあらすじに触れながら、自分の印象に残ったポイントを残しておこうと思います。
 
■天使時代のクロウリー■(第1話)
宇宙を創造するためにアジラフェルの手を借りるクロウリー。
彼らの初対面はS1のエデンの園ではなく、クロウリーがまだ天使だった時代に遡るんですね!
髪型がサザエさんみたいな天使クロウリー、「光あれ!」と楽しそうに宇宙を作り出す姿が可愛い。
思わず銀河に向かって「お前は綺麗だ」と話しかけるクロウリーに
自分に言われたのかとドキッとしてるアジラフェルも可愛い。
 
■ガブリエル改めジム■
すっぽんぽんにダンボールを抱えて突然現れたガブリエル。
元々は鼻持ちならない上司だったのに、アジラフェルが頼れる存在だということ以外は
全てを忘れてしまって、ただのおとぼけ能天気おじさんになってて笑ってしまう。
予告の時点で楽しみだったけれど、電車の中で見ながらニヤニヤが止まらなかった。
(アジラフェルの元に来た理由としてガブリエルに
 「ある人のそばにいるだけで、何もかもうまくいくって確信出来る感じ」がわかるだろう?と訊かれて
 後ずさりして「分かりません!」というアジラフェル。
 もしかしたらクロウリーのことを思い浮かべて動揺したのではないかな。)
 
S1でガブリエルの吹替を山ちゃん(山寺宏一)がアテているのを知って、
「ガブリエルはそこまでしょっちゅう登場するわけじゃないのに贅沢だなー」と思っていたけど、
S2を見てこの為に前もってキャスティングされたんじゃないかと思うくらい痛快だった。
「(私に渡す)アレって(何)?」「はあ?!」←この声が最高(笑)
 
 
■謝罪のダンス■
一旦は書店にガブリエルを匿うことに反対したクロウリーは、
かつての上司のベルセブブ(シェリー・コン)からガブリエルの行方を問われ、
天国は彼の失踪に関わっているものを存在ごと消すつもりだと聞き、
すでに今回の件に関わってしまっているアジラフェルと共にガブリエルを匿うことを決意。
ガブリエルの存在を、アジラフェルが地獄から、クロウリーが天国から隠すため「第1級の内密な半奇跡」を起こす。
 
ここで、機嫌の損ねたアジラフェルに対して♪お前が正しい♪と謝罪のダンスを踊るクロウリー。
二人にしか通用しないダンスがあるなんて可愛い。
アジラフェルの方は少なくとも3回(1650年、1793年、1941年に)同じダンスを踊ったらしい。
この年号、たぶんテストに出るやつ(笑)。
 
■ニーナとマギー■
「第1級の内密な半奇跡」を起こしたものの、天国の警報が鳴り、
アジラフェルは大天使ミカエル(ドゥーン・マッキチャン)たちからガブリエルを匿っているのではないかと疑われるが、
コーヒーショップのニーナ(ニーナ・ソサーニャ)に惹かれているレコード屋のマギー(マギー・サービス)の恋を成就させるために
奇跡を使ったと咄嗟にごまかし、再度クロウリーに協力を頼む。
クロウリーはリチャード・カーティスの映画よろしく「雨で濡らして、互いの目を見させれば…バーン!」と恋愛は成就すると自信満々。
だけど、それってエデンの園で雨に降られた時にアジラフェルの翼の下で雨宿りした自分の経験談では…?
 
 
■(義父の)ヨブ■(第2話)
第2話はクロウリーとアジラフェルが関わったヨブ記の回想。
クロウリーがヨブのヤギを殺したと思っていたら、
実はカラスに姿を変えさせていただけだと知ったアジラフェルが可愛かった。
ヨブ役はデヴィッド・テナントの義父であり6代目ドクターでもあるピーター・デイヴィソン
息子のエノンはデヴィッド・テナントの養子のタイ・テナント

Crowley Peer Pressures Aziraphale | Good Omens | Prime Video

 (追記)
はじめに見た時にはサラッと見終わってしまったのですが、
このヨブ回がアジラフェルとクロウリーの関係において重要な出来事だったのか、
だんだん分かってきたので、その理解が進む記事のリンクをご紹介↓↓↓

 
■”警部巡査”ムリエル■(第3話)
アジラフェルが本当にニーナとマギーに対して奇跡を使ったのか確認するために、
天国は巡査の格好をした(真っ白な制服で明らかに不審者な)下っ端天使のムリエル(Quelin Sepulveda)を使いとして寄こす。
あまりに浮世離れして世間知らずな人間になりきれていないムリエルを
彼女が天使だと知りながらアジラフェルとクロウリーが会話を進めるのが可笑しい。
 
■パブ "Resurrectionist"■
ガブリエルがバディー・ホリーの曲「エヴリデイ」を唯一覚えていて歌えることを知ったアジラフェル。
マギーからエディンバラのパブに送ったレコードが何故か全て「エヴリデイ」になってしまって送り返されてくるという話を聞くと、
ガブリエルに関わる「奇跡」ではないかと考え、クロウリーのベントレーを借りて、パブ "Resurrectionist"を訪れる。
パブの店主からガブリエルが何者かと一緒にパブを訪れていたことを聞き取り、
さらにパブの名前の由来から、1827年に出会った死体盗掘人の少女と解剖学者、
そして墓場にガブリエルそっくりの天使像があったことを思い出す。
 
 
resurrectionistは「復活させる人」が転じて「解剖用死体盗掘人」と言う意味。
アジラフェルがパブのキリストの描かれた看板を見てパブに入り、
出た後に反対側に描かれた解剖学者の絵に気づく描写があるので、
吹替版でははじめから店の名前を「死体盗掘人」と話しているけれど、
パブの看板を見るまでは「復活させる人」という店の名前だと認識しているはずけどな。

■フルフルとナチのゾンビ■(第4話)
クロウリーの後任者の地獄の大使シャックス(ミランダ・リチャードソン)もまた、
クロウリーとアジラフェルがガブリエルを匿っていることを疑っていた。
彼女が2人の繋がりを知ったのは、かつて共に入獄部で働いていたフルフル(リース・シェアスミス)からの密告だった。
シャックスから「良い行いをしている悪魔」を見つけたら、誘惑部に出世できると聞いたフルフルは、
1941年に教会への爆撃で地獄にやってきたナチのスパイ、
グロージアー(スティーヴ・ペンバートン)とハーモニー(マーク・ゲイティス)そしてグレタ(二―ヴ・ウォルシュ)から、
クロウリーとアジラフェルのせいで手違いで地獄に送られたという発言を聞き、
3人をゾンビとして復活させ、クロウリーとアジラフェルが協力する現場を押さえるよう派遣する。
 
 
S1で謎の本屋のふりをしたスパイであることがわかったグロージアーとハーモニー、
そしてS2で初登場のフルフル、つまり、リース&スティーヴ&マークの再出演は、
リーグ・オブ・ジェントルマンの再集結として、私がこのシリーズを見てる最大の理由の一つ
リースはS1でシェイクスピアを演じていましたが、
S1でマダム・トレイシーを演じていたミランダと同様に、全く別の役で再登場しています。
(ニーナとマギーもS1ではシスター役で登場していました。)
しかも第4話はリーグ・オブ・ジェントルマンのもう1人のメンバー、ジェレミー・ダイソンアンディ・ナイマンと共同脚本を担当。
つまり、全英ツアー後の完全なる再結成!
しかも、ダレン・ブラウンのコンサルタントでもあるアンディ・ナイマンが
アジラフェルがウエストエンドの舞台でマジックを披露するエピソードの脚本を書くなんて、
少なくとも私にとっては、何もかも完璧なキャスティングのエピソードなのです。
 
■月例会という名の舞踏会■(第5話)
雨宿りを使ったニーナとマギーの仲を取り持つ作戦があまりうまくいかなかったクロウリーの代わりに、
アジラフェルがウィックバー通り貿易商小売店月例会を開いて、
ジェーン・オースティン作品のような舞踏会にして2人のすれ違いを正そうとする。
一方、アジラフェルの書店にガブリエルがいると確信したシャックスは、
ベルゼブブの承認を得て、下級悪魔を率いて書店を襲撃。
アジラフェルを助けようとしたニーナとマギーだったが、挑発するうちに悪魔たちを書店へと招き入れてしまう。
 
 
楽器店店主を誘い出すダシに使った幻の1965年版ドクター・フー年鑑って実在するのだろうか…
というか、グッド・オーメンズの世界にドクター・フーが存在するんだ…
クロウリーがドクターと同じ顔なのに…
 
■その他のドクター・フーネタ■
マジック店の店主にはS・W・アードネスの"The Expert at the Card Table"初版本で月例会に誘うアジラフェル。
その間、トルコ帽(フェズ)をかぶって水晶玉で遊ぶクロウリー。
フェズって言ったら、もちろん11代目ドクターを思い出しますね。

 
 
それに第2話では、クロウリーたちが医者だと名乗り、つかの間ドクターと呼ばれていたり。
 
■SHERLOCKとの共通点■
これは言うまでもないことかと思いましたが、
ドクター・フーだけでなくSHERLOCKとの共通点も見つけられます。
マークをはじめ、S1 はベネディクト・カンバーバッチがサタン役で声の出演、
そしてジョナサン・アリスやシアン・ブルックが出演していたり、
「グッド・オーメンズ」の演出家であるダグラス・マッキノン「SHERLOCK 忌まわしき花嫁」の監督。
ドクター・フーの演出も8回ほど手がけています。
音楽のデヴィッド・アーノルドもSHERLOCKの音楽を担当していました。
グッド・オーメンズを見ていて、個人的にSHERLOCKを見ていた頃の興奮を思い出したのは、
音楽の面が特に影響が大きかった気がする…
舞踏会のバイオリン曲は『三の兆候』のダンスシーンを思い出す。
クロウリーがガブリエルをダートムーアに捨ててこよう、と言うのは、
ホームズ譚の「バスカヴィル家の犬」への目配せなのかも、と思ったのは私だけじゃなさそう。
 
■ガブブブ(公式)■(第6話)
光輪を使って下級悪魔たちを制圧し、地獄へ宣戦布告したことになったアジラフェル。
騒動の間にムリエルを唆して天国に昇り、ガブリエルの情報を閲覧したクロウリーは
ガブリエルがアルマゲドンの続編の実行に反対し、権利の行使を拒んだために裁判で降格させられたことを知る。
クロウリーが天国のミカエルらと共に書店に戻ると、地獄からベルゼブブらも集結。
そこで、ガブリエルがベルゼブブから贈られた蝿の中に自分の記憶を閉じ込めて、地球に逃亡したことが判明。
ガブリエルとベルゼブブは密かに交流し、ハルマゲドンを起こさないように協定を結んでいたのだった。
記憶を取り戻したガブリエルは、愛するベルゼブブと共に追放されることを望むのでした。
 
何故ガブリエルの周りにいつも蝿が飛んでいるのか
その割に蝿の王ベルゼブブがガブリエルの行方を知らないのが不思議でしたが、そういうことだったのか!
ベルゼブブがいるならアルマゲドンを拒否して地獄行きになっても構わない、
でも記憶を失ってしまったらベルゼブブとの協定も忘れてしまうので、
蝿の中に記憶をしまって天使ではない立場のアジラフェルを頼って地球に逃げたと。
謎めいた「エブリデイ」が、なんてことない、ベルゼブブとの思い出の曲だったなんて!
 
それにしても、ファン・アートではガブリエルとベルゼブブのカップリングを見かけたりはしていたものの、
まさかそれが公式になってしまうとは思いもよりませんでした。いや、とてもめでたい。
その一方で…
 
■ナイチンゲールはいない…■
神の代理人であるメタトロン(デレク・ジャコビ)が現れ、ミカエルたちを天国に帰しガブリエルを連れ出している間、
ニーナとマギーは捻くれ者のクロウリーにアジラフェルへの素直な愛情を伝えるよう説得する。
心の準備をしていたクロウリーだったが、戻ってきたアジラフェルは、
ガブリエルの後任として最高位の大天使の地位に就くことを提案されたことを明かす。
自分が最高位の大天使になればクロウリーを天使に戻せると喜ぶアジラフェルだったが、
今の生活に満足しているクロウリーは「断ったんだろうな?」と激怒する。
 
想像と違うクロウリーの反応に戸惑うアジラフェル。
聞こえるか?と問うクロウリーに、何も聞こえないと答えると、
「そういうことだよ。ナイチンゲールはいない」(That's the point. No nightingales.)
「お前は馬鹿だ。これまでのままで、よかった」('We could have been... us.')
クロウリーは重苦しく言い放つと、アジラフェルに無理矢理長い接吻をする。
「…私は…君を許そう」とアジラフェル。
「…許さなくていい」と言い残し、立ち去るクロウリー。
動揺しながらもアジラフェルはメタトロンと共に、次の計画「再臨」のために天国へと昇っていく。
 
 
まさか、こんなすれ違いの最後になるとは…
マギーとニーナの件で、キスすればその気になると言っていたクロウリーだから、
アジラフェルにキスしたのは、最後の賭けだったのかも。
 
アジラフェルもクロウリーも、2人で一緒にいたいという気持ちは全く同じだと思う。
ただ、天国が正しい場所だと信じるアジラフェルは、
クロウリーが一緒に戻ってくれることこそ正しい道だと思っているだろうし、
メタトロンから提案を受けた直後で、クロウリー自身の望みを考える余裕はなかったかもしれない。
クロウリー側も、目の前でガブリエルとベルセブブの2人の姿を見たばかりで、
さらにマギーたちに告白をするよう急かされて、
気持ちが高まっていたところで、あまりにも変化の大きな提案をされて混乱しても無理はないと思う。
なんともタイミングが悪いなぁ、という感じ。
そして、元の場所に戻ってやり直そうとする側と、今のままがいい側のすれ違いって、
神々の世界の話なのに意外と恋愛のクリシェすぎて、そこがまた痛いほど切なく感じる所以。
 
ナイチンゲールの言及はS1に登場した"A Nightingale Sang In Berkeley Square"のことでしょうが、
ロミジュリ的な考え方で言えば、敵対する世界に身を置く2人の蜜月は朝を迎えて終わった、ということでしょうか。
でも、最後にクロウリーがベントレーに乗り込んだ時にあの曲が流れたのって、
ガブリエルがベルゼブブのためにジュークボックスのレコードを「エブリデイ」に変えてしまったように、
好きな人と一緒に過ごすために(一緒にリッツに向かうために)用意した曲だったんだよなと思うと、たまらないです。
 
この終わり方にショックを受けている視聴者がたくさんいるけれど、
私は2人の今回の大きな試練に逆にめちゃめちゃメラメラ熱いものを感じています(笑)。
「パシフィック・リム」続編映画で博士組が抱え込んだ世界の重みを大好物としている私なので、
この二人のすれ違いも、試練を与えられた2人!もうたまらん!と思えるタチです。
 
S2は主軸はガブリエルの記憶喪失で、サブストーリー的にマギーの恋愛サポートがあり、
全体的に愛がテーマになっているから、実はS1よりも親近感を持って見られました。
 
原作者のニール・ゲイマンも「中途半端のままにするつもりはない」と投稿しているので、
もちろん続編、もしくは媒体が違ったとしてもこの続きが作られるのは確かなはず。
それまでの間にS2を繰り返し見て、視聴回数を稼いで早く続きが見られるよう貢献したいですね。
 
それにしてもメタトロンは何を企んでいるのだろう。「再臨」はハルマゲドン以上のことが起こりそうで怖くもある。
演じるデレク・ジャコビはドクター・フーの世界ではドクターのライバルのマスター役でしたからね。
ある意味、ドクターVSマスターの戦いになるのかも??
 
 
というわけで、とりあえずの所感でございました!(また追記するかも。)
 
(追記)
あまりに情熱的な記事で読みながら咽び泣いてしまったので、
掻い摘んで紹介したら、ものすごい反響があった投稿。内容の訳はスレッド参照↓↓↓
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舞台「ブロークバック・マウンテン」を観る

2023-07-14 | 2023年、ロンドンの旅

前回の続き

■2023年6月4日■

チェルシーからバスでトッテナムコートロードへにあるホテルへ。

↑バスの2階から見たシャフツベリー・アベニューの様子。

トッテナムコートロードに戻ると、駅前に新しい建物が出来ているのに気づきました。
一階に駅の待ち合いスペースのような空間があり、
その中に入ると、万華鏡の中に入り込んだような、煌びやかな映像に包まれます。
プロジェクション・マッピングで知られるアーティスト、
ルパート・ニューマンによるデジタル・アートワーク"The Spaces In-Between"だそうです。

駅前にこんな無料没入型アートスペースがあるなんて贅沢ですね!

ぼんやりと座って映像に浸っていたかったですが、
ホテルの部屋で早く荷解きしたい気持ちも強かったので、
ようやっとホテルでチェックインを済ませ、既に荷物が持ち込まれている客室へと向かいました。
早く部屋の準備をしてくれたけれど、結局普通のチェックインの時間になっちゃいました。

このブランドのホテルは東京でも泊まったことがあるのですが、東京の客室と比較すると小さめな印象。
外の眺めも外壁しか見えないので、共有スペースが豪華なだけにギャップにちょっとがっかり… 
でも洗面台は妙に広々しています。

この日はすぐそばの劇場で舞台を見る予定だったので、
3時間ほどの間に荷解きをし、一旦寝巻きに着替えてベッドに横になり、
疲れた体を少しの時間だけでも休めるように努めました。
(東京のホテルには高級なバスローブが置いてあったけれど、ロンドンにはないのでした…)

この日の夜に観る予定だった芝居はブロークバック・マウンテン
アン・リー監督による2005年公開の映画を舞台化した作品で、元はE・アニー・プルーの同名の短編小説が原作。
俳優でもあるアシュリー・ロビンソンが脚色しています。

上演されている@sohoplaceは以前の記事でも書いたように、2022年にオープンしたばかりの劇場。
キャパシティーは600席らしいですが、客席は1階のみで2階席は使ってないのか埋まっていないように見えました。

Brokeback Mountain | 2023 West End Trailer

1963年、季節労働者としてワイオミング州の山の中で19歳で出会った2人の青年の20年にわたる悲恋を描いた今作。
映画の方は2005年の公開当時に映画館で見ていますが、
その後はそれほど見直したりしていないはずなので、この物語に触れるの実に20年以上ぶり
正直細かい描写まではもう覚えていないけれど、
一度は見ているので、久しぶりのウエストエンドでの演劇鑑賞にはちょうどいいのではないか?と思っていました。

この芝居が発表された時に見なければ!と思ったのは、ルーカス・ヘッジズがエニス役で出演すると知ったからでした。
映画マンチェスター・バイ・ザ・シースリー・ビルボードでの彼の演技が印象に残っていたので、
公演時期に滞在することが決まっていた私は生で見なければ!とすぐさまチケットを予約。

しかし実際観てみると、ジャック役のマイク・ファイストの方に魅了されちゃいました。
スティーヴン・スピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」で主人公トニーの親友リフ役を演じていたそうですが、
アンセル・エルゴートの未成年者性的暴行疑惑の件が引っかかって観ていなかったので、
こんなに印象的な俳優がいるとは知りませんでした。
後で彼目当てにWSS見ちゃうかも。

映画ではヒース・レジャーが演じたエニスは寡黙な雰囲気の青年ですが、
ルーカス・ヘッジズだとちょっと幼さが目立っていて、
エニスに比べてちょっと粗野で無邪気な雰囲気のジャックは
マイク・ファイストの若さでも違和感なく存在感が出ていました。

子犬のように戯れ合いながら、いつしか惹かれあう二人。
特に、初めてテントの中で体を重ねあうシーンは、
内側からの照明で重なり合う二人の影がテントの屋根に映し出されてシルエットだけなのに妙に官能的でした。

ただ、各媒体の劇評にも書かれていたのですが、
映画ではアップで捉えることの出来る2人の表情は舞台では把握しにくく、
私の席は円形舞台のちょうど花道のすぐ脇で、ベッドの置いてある位置から離れていたので、
劇場自体はそれほど広くないにも関わらず、かなり遠くに感じられました。

↑左はロビーに出ていたグッズの売店。右の記事はちょうど当日配られていたイブニング・スタンダードの記事

終盤に二人が衝突しあうシーンまでは、淡々と物語が過ぎていくので、
つまらないわけではないのですが、時差ぼけの私は睡魔との戦いになってしまった…
ただ、アルマ役のエミリー・フェアンが花道を通るたびに香水のいい香りがして、度々ハッと目が覚めました(苦笑)

舞台ではエディ・リーダーの歌によるカントリー風のバンド演奏が挿入されて、
二人の秘められた思いを演出するのですが、
これを「ジェイミー!」ダン・ギレスピー・セルズが作曲していることを後から知りました!
演出のジョナサン・バターレル演出も「ジェイミー!」の演出に関わってた人。
全然気づかなかったー! だって全然雰囲気違う舞台なんだもの。

 

ミュージカル「ジェイミー!」 Everybody's Talking About Jamie ウエストエンド版 - だから、ここに来た!

ロンドン留学中は節約のために観劇はなるべく控えめにしていたのですが、それでも2回見に行ってしまったミュージカルがあります。それが"Everybody'sTalkingAbou...

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正直「ジェイミー!」を観た時のような興奮は「ブロークバック・マウンテン」で感じることは出来なかったんですが、
カーテンコールでは満場のスタンディング・オベーション&拍手で盛況でした。
実はこの時、時差ボケだけでなく足首を痛めていてずっと気にしていたので、
ちょっと体調が万全ではなかったことも集中力を欠いていた原因かもしれない…。

↑開演前にフォイルズによって戯曲のチェック。でもここでは後で観劇予定の"The Motive and the Cue"だけ購入しました。

終演後、足を引き摺りながら、オックスフォードストリートのマクドナルドでダブルチーズバーガーのセットを買って、
留学時代を思い出しながら、ホテルの部屋で食しました。
日本と違ってロンドンのマックはセルフオーダー端末だし、相変わらず出来るまでの時間が速い!
ちょっと聞いた感じ侘しいけど、その分朝食は豪勢に食べる予定だったので…!

なかなか寝付けず、チャンネル4で施設から引き取られたわんちゃんのドキュメンタリーを見ながら就寝。

翌日に続く…

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チェルシー薬草園

2023-07-11 | 2023年、ロンドンの旅

前回の続き

■2023年6月4日■

既にチェックインの用意は完了しているとホテルから連絡がありましたが、
すぐに戻るのは勿体無いので、時差ボケと疲れでクタクタな中、
発電所近くで訪れたことのない場所ということで、チェルシー薬草園に行くことにしました。
花が見ごろの6月、薬草園でもたくさんの花が見られるはず…

道中、元バタシー発電所からチェルシー橋を渡り、川の向かい側にたどり着くと、角に目を惹く記念碑がありました。

1899年~1902年の南アフリカ戦争で命を捧げた竜騎兵のために1905年に作られたそう。

そのままテムズ川沿いに西に歩いていくと、
5月に王立園芸協会が主催するチェルシー・フラワー・ショーが行われることで知られる
ロイヤル・ホスピタル・チェルシーの南門が見えてきます。

現在敷地内は整備中みたい。
ここからさらに西に歩いていくと、チェルシー薬草園があるのですが、
川沿いには小さな門があるだけで、チケット売り場は見当たらない…
不安になりながら東側の塀をしばらく伝っていくと、北側に入口がありました!
入園料は大人が£12.50、5歳以下の子供は無料です。入口の奥には売店もあります。

入口の建物から庭に出るとすぐにカフェが。
受付でも案内があったのですが、一日に3回ほど、スタッフによるツアーも予定されているみたいです。

カフェのそばでは、さっそくラベンダーのような鮮やかな紫の花が目に留まりました。

サルビア ネモローサというシソ科の品種の、改良種として人気の‘カラドンナ’という花らしい。
蜂もあちこちで美味しそうに飛び回っています。

旅の疲れもあって、詳しく説明書きを読む余裕がなかったのですが、
撮影しておいた特徴的な花の名前を後から確認することが出来ました。

v

上の画像はハナビシソウ、別名カリフォルニアポピー。ケシ科ですが、一般での栽培も可能な花。
家紋になりそうな綺麗な形の花弁で、つぼみが帽子みたいな不思議なかたち!
薬草としては、鎮痛目的でつかわれていたそうです。

 

上の小さい白い花は、ニゲラ サティバ
この種がカレーのスパイスにも使われる、あのブラッククミン
死以外はなんでも治癒出来るといわれがあるそうで、まさに薬草園にふさわしい植物ですね。

 

上の小さいかわいい花は、ナツザキフクジュソウ(福寿草)
薬草として利用する場合は、強心や利尿作用の効果があるそうです。

 

ハンネマニア別名、カラクサゲシ、メキシカンチューリップポピー。これも植えてもいいケシ。

 

こちらは、ひなげし。もしくは、ポピーコクリコ虞美人草
薬草園にはケシ科のお花が多いですね。
麻薬のイメージが強いケシの花ですが、医療用として利用されていた歴史もあります。

 

上の2つは、ゴジアオイ。学名はシスタス
風邪薬やリウマチ薬として使われる他、香水などに利用されるらしい。
この花、正午頃に咲いて翌日にはしぼんでしまうらしく、実はこうやってみられたのは幸運だったのかもしれません。
しかも、日本ではみられないそう。
茎が揮発性の油を生成するので、30度以上の気温で自然発火してしまうとか!
そんな性質のためか、「私は明日死ぬだろう」という花言葉がついています。

 

ふさふさのこの花は、マメ科のトリフォリウム・ルーベンス。耐寒性の多年草。
ネット上で色々同じ花の画像を見比べてみたのですが、こんなに丈のある花はなかったので、
大事に育てられてスクスク育っているのでしょうねー。

こちらは、アメリカテマリシモツケ。主に北米に分布してるバラ科の花。
小さな白い花が集まってまさに鞠のように鮮やかで写真を撮るのも楽しいです♪

こちらはイングリッシュローズ
バラも鑑賞だけではなく、香水の原料としてやアロマセラピーに使用されますね。

ハゼリソウ。蜜蜂に大人気の蜜源植物。
この薬草園でも特に蜂が集まっている花壇でした。

名前の通り、しっぽのようなイブキトラノオ(左)。タデ科の多年草。
解毒、下痢止め、せき止め、抗菌などに使われていたそうです。

右は、赤と黄色のエキゾチックな雰囲気の花、ジャスティシア・リッジニー。ブラジル原産らしい。

花言葉が「清廉で高潔」「貧しくても高潔」のセリの花。
食べ物としてのイメージしかなかったけど、こんなきれいな花が咲くんですねー。

 

後は詳しい名前はわからない花… 右はカワラナデシコかな?

薬草園の一角にはドクロマークの付いた毒を持っている植物もけっこうあります。

 

このキョウチクトウも毒を持っている低木。
トリカブトも育てているそうなんですが、見当たらなかったなー。残念。

薬草園には温室もありました。

もちろんキューガーデンズやバービカンのような大きなものではなく、
小さいサンルームですが、近づいて目の高さを合わせると小さな森を歩いているような気分。
向かい側にはサボテンも並べられています。

薬草園の入口付近に戻ってくると、薬草園を設立したハンス・スローンの像が立っています。
ホットチョコレートを考案し、大英博物館や自然史博物館のコレクションを寄贈したことでも知られています。
チェルシーにあるスローン・スクエアという駅と広場の名前は彼にちなんだもの。

 

泉の前にも彼の胸像がありました。草に埋もれててちょっと怖い(笑)。
でも周りを美しくオーガナイズされた泉ですね!

 

入口近くには多肉植物の販売もしていたけれど、日本に持ち帰りは難しそうなので断念…

 

今までも旅先で色々な庭のお花を見てきましたが、薬草園は初めてだったので、とても興味深かったです。
見ている間はゆっくり解説を読むことが出来ませんでしたが、
普段は見られない花を色々見られて目の保養になりました。

帰りは留学中に行ったことのある国立陸軍博物館の前を通り、
行きに庭を垣間見たロイヤル・ホスピタル・チェルシーの前を通って
スローン・スクエア近くにあるサーチ・ギャラリーへ。

サーチ・ギャラリーも留学中に訪れたことがありますが、
近くに来たら立ち寄っておきたかったんですよね。

しかし体力的に限界で、結局さらっと見ただけで終わってしまいました。
もっと元気な時に来たかった…。

ホテルへはバスに乗って移動。
フォートナム&メイソンの外壁にクジャクの装飾があって思わずパシャリ。

 

続く…

 

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