だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

コメディ・ミュージカル"Operation Mincemeat"を観る

2023-08-19 | 2023年、ロンドンの旅

■2023年6月5日■ 続き

この日のマチネはコメディ・ミュージカル"Operation Mincemeat"を見に行きました。
そうです、最近映画化された欺瞞作戦=ミンスミート作戦をなんとミュージカル化してしまった作品。

2019年にニュー・ジオラマ・シアターで初演され、サザーク・プレイハウス、リバーサイド・スタジオと劇場を変えてロングラン。
現在は34年もの間ロングラン公演を続けていた「ウーマン・イン・ブラック」から引き継いでフォーチュン・シアターで上演されています。

あらすじは映画とほとんど一緒、ですが、MI5のチャールズ・チャムリーが気弱な科学者だったりと
キャラクター設定等異なるところもあります。
私が映画で気に入らなかった余計な恋愛描写も出てきません。

 

作戦は小説よりも繊細なり…映画「オペレーション・ミンスミート」 - だから、ここに来た!

◆2月22日(火)◆2月18日に公開された映画「オペレーション・ミンスミート」を見に行きました。オミクロン株の影響で感染が拡大する中、引き続き劇場に行くのは出来るだけ控え...

goo blog

 

ミュージカル版はコメディ・ミュージカルチーム「スピットリップ(Spitlip)」が考案。
(David Cumming, Felix Hagan, Natasha Hodgson, Zoë Roberts)
メンバーのうちの3人、
デヴィッド(チャールズ・チャムリー役)&ナターシャ(ユエン・モンタギュー役)&ゾーイ(ジョン・べヴァン役)は出演もしており、
そしてテレビのコメディチームの番組のように、5人のキャストが複数の役を掛け持ちで演じています

旅行の準備中の段階では、前述のように、すでに映画で内容は知っていたので、
あえてミュージカルで改めてみることもないかなと思っていたのですが、
出発までにどんどんこのプロダクションの評判が目に留まるようになって、
これは見なければなるまい…と急遽チケットを取ることにしました。

戦時中のシリアスな作戦をどうやってミュージカルにするのか、
ハッキリ言って実際見てみるまでなかなかイメージ出来ませんでしたが、
紛れもなく、コメディ・ミュージカルとして成立していました。
初めから最後までニヤニヤワクワクが止まらず、終焉までがあっという間。

Operation Mincemeat | West End LIVE 2023

ウエストエンドだと歴史物と言えば私も大好きな近年のSIXのヒットが記憶に新しいですが、
まさにその「SIX」の”Get Down”のパロディのような曲があったり、
↓のミラー紙の劇評のようにメル・ブルックスの「プロデューサーズ」「ハミルトン」も思い起こさせるような
ド派手で楽しいナンバーが満載でした。
(それでもやっぱり、どこかから怒られたりしないのか気になったりもして…)

Operation Mincemeat - All the Ladies (Official Audio)

二幕で幕が開けてすぐ始まった↓も呆気に取られちゃった!
クラブかフェスのライヴのような演劇らしからぬ照明の中、キャストがグラサンかけて踊りまくり!
最後には驚いた観客に対するメタ的なセリフがあったり。

Operation Mincemeat - Das Übermensch (Official Audio)

5人の出演者のキャラクターのみならず衣装の変わりようも素晴らしかったし、
舞台上で電話線が絡み合いながらスペインとの書類奪還の状況を確認するシーンなど、
決して広くはない劇場の舞台の中で演出も凝ったものでした。

でも何よりも今回の収穫はアンダースタディのキャスト!

この日はヘスター役のJak MaloneChristian Andrewsに、ユエン役のナターシャがHolly Sumptonに交代。
アンダースタディが出ている公演というのは、大抵は目当てのキャストがいなくてがっかりするものです。
実際、「スピットリップ」のメンバーであるナターシャが見られないというのは残念だったのですが、
ChristianとHollyが出ているバージョンもとても満足しました。

(公式がいろんなキャストの組み合わせでビンゴ大会もやってて
 それぞれのバージョンを楽しめるようにしているのも好感!)

特に背の高いChristianが舞台上に出てきた時には、
「マーク・ゲイティスとジョー・ライセットを足して割ったような可愛い子が出てきた!」と…
つまり私の大好きな二大英国人の雰囲気を合わせて持っていて、それだけで目を惹く存在でした。
(しかもマークが映画版で演じていたユエンの弟アイヴァー・モンタギューの役も彼が演じていた!偶然!)

ホテルに帰ってから彼の情報をチェックしたら、
なんとマーク・ゲイティスと一緒に写っている写真をインスタに投稿しているのを見つけてさらに興奮。
「ついに生き別れた従兄と再会」と書かれているので、前々から似ているって言われてたんでしょうね!

マークに似ているから彼が素敵だということではなく、彼自身の演技も歌もとても心動かされたのですが、
特に海に捨てる死体と共に持たせる恋人からのラブレターを書かなければならない場面で、
彼演じるお堅い秘書のヘスターが、現実味のある手紙でなければいけないと、
語って聞かせる内容がとても感動的でした。

はじめは何気なく周りの人たちの日常の風景を語り、最後に近づくにつれて、素直な思いが語られていく。
そして、合間合間に入る「なぜ戦争の最中に出会ってしまったのかしら。バカね」という歌詞。
ずっと笑いっぱなしでしたが、ここだけは別。涙が溢れて止まりませんでした。
間違いなく、この歌がこのミュージカルの一番のハイライトでしょう。

Operation Mincemeat - Dear Bill (Official Audio)

この旅の後、ミュージカル"Operation Mincemeat"はさらに上演延長が発表され、
現時点で2023年11月までの上演が決まっています。
ロンドンに旅行する予定のある人には是非ともオススメしたいニュージカルです!

↓カーテンコールの時にキャストがジャンプするのがお約束。可愛い!

ちなみに、リーグ・オブ・ジェントルマンのファンとしては、
8月31日にリース・シェアスミスがホスト役を務めるQ&Aが開催されるのも気になるところ。
行けることなら見に行きたかったー!

 

観劇旅行記はさらに続きます…

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Berners Tavernで朝食を/ユニクロ・コヴェントガーデン店へ

2023-08-13 | 2023年、ロンドンの旅

ロンドン旅行記、続き

■2023年6月5日■

ロンドン観劇旅行2日目。

テレビではハリー王子がミラー系タブロイド紙に対する裁判に出廷する話題がトップニュース。
なんでも高位王族が裁判で証言するのは130年ぶりなんだそうで。

この日の朝食は豪華にミシュランの星を獲得したシェフ、
ジェイソン・アサートンが監修のメニューを揃えたホテルのレストランBerners Tavernで過ごしました。
壁一面に絵が飾られ、まるで美術館の中のような趣。

ここでフル・イングリッシュ・ブレックファストをいただきました。£24也。
こんな高級なレストランで出す定番メニューがどんな味がするのか、興味津々でした。

ポークソーセージとスモークベーコン、ローストトマト、マッシュルームにブラックソーセージ
卵2つは好きな食べ方を選べます。ベイクドビーンズはグレイビーボートに入れて出てきました。
とにかく全て美味しくて、あっという間にペロリと食べてしまいました。
少食なので普段はフル・ブレックファストなんて頼まないのですが、今まで最短の完食時間だったかも。

3種類のジャムもトースト一枚ずつに贅沢に使い切り。
食べ終わってからも、しばらくレストランの雰囲気を楽しみました。
旅行者っぽい人たちもいれば、これから仕事に向かうビジネスマンが待ち合わせをしていたり新聞を読んでいたりもします。

このホテルには1泊のみだったので、チェックアウトした後は次のホテルに向かいます。
ゴージャスな内装とも1日でお別れ。でもこのレストランだけでもまた来てみたいですね。

次のホテルはバーモンジーにあります。ノーザンライン1本で南に移動。

バーモンジーは以前マーケットを見に来たことがあり、なんとなく親しみのある地域です。
街の雰囲気も物騒な感じではなく、落ち着いていて安心します。
(マーケットは後日行ったのでまた改めて書くつもりです。)

↓これは以前行った時の記事

 

バーモンジー・アンティーク・マーケット - だから、ここに来た!

■10月16日■15日は、ハンプトン・コート・パレスに行ったのですが、書くこと&載せる写真が沢山ありそうなので、先に次の日のことを書きます(笑)。ポートベロー、カム...

goo blog

 

ホテルに荷物だけ預けようと思ったらすぐにチェックイン可能でした。ありがたい!
部屋のある階まで上がると、廊下からシャードウォーキー・トーキーが見える!
なかなかいい眺め!(若干吹きっ晒しだけど)

今回のホテルは長期滞在型ホテルなのでキッチン付き。
芝居帰りで遅くなってもスーパーで買ったお夜食を調理出来そう!
…やっぱりホステルやAirBnBに慣れてるから、一般的なホテルよりこういう部屋の方が安心します。

レンジもトースターも食器洗いもついてて限りなく普通のアパートの居心地と近い感じ。
でもホテルと同じようにコーヒーや紅茶のサービスもついているところは嬉しい。

  

2日目はマチソワで芝居を2本見る予定。
その合間にコヴェント・ガーデンに立ち寄ることにしました。

まず、駅の北側にあるこのブログでは何とも触れたことのあるセブン・ダイヤルズ。

環状交差点を中心に7つに分かれた道に様々なお店が並んでいます。
私が初めてロンドンで芝居を観た思い出深いドンマー・ウェアハウスもアーラム・ストリートにあります。

当時は今回の旅の後半で見に行く"The Motive and The Cue"の作者、ジャック・ソーン作で
エイドリアン・スカボローとスティーブン・キャンベル・ムーアが出演の”When Winston Went to War with the Wireless”が上演中。
こちらも見たかったけど、予定がいっぱいで観劇できず…

私が初めてドンマーに来た頃、隣にはSUPER DRYの店が入っていて、地下には小さな売店があったりしたのですが、
留学していた2018-19頃、隣のスペースは空きが出ていました。
今回覗いてみたら、セブン・ダイヤルズ・マーケットという、吹き抜けのフードコートになっていて、平日にも関わらず大変にぎわっていました。
2019年秋にオープンしたそうなので、ちょうど私が帰国した後だったみたい。

 

ここの1階の店CLUB MEXICANAでタコスを1つ注文。

見た目がとってもおしゃれだけど、トルティーヤが思った以上に薄くてボロボロこぼしながら完食した…。

 

その後は、地下鉄の駅近くに新しく出来たというユニクロの店舗を見に行きました。

UNIQLO Covent Garden | Opening April 27th | UK

ロンドンのコベントガーデンにユニクロ・セオリーの複合店が4月27日(木)オープン - UNIQLO ユニクロ 

コヴェント・ガーデン駅から出て左に向かうとすぐの立地。
中に入ると中心が吹き抜けになっていて、ちょうど晴れてきた時間だったので暖かい日差しが店の中に差し込んできました。

この店が気になっていたのは、ロンドン交通局とのコラボUTがあると聞いていたから。
コヴェント・ガーデンにはロンドン交通博物館もあるので、そちらでたくさんグッズは扱っていますが、
日本人としてはユニクロとコラボデザインは気になる!

上階に行くと、その一角にロンドン交通局コラボのコーナーが出来ていました。

テーブルの上にタブレットが置かれていて、
好きなTシャツとかつての交通局のポスターのデザインを引用したスタンプを組み合わせられるようになっていたのですが、
操作してみると最後にエラーが出てスタッフを呼ぶようにメッセージが出てきてしまいます。
通りがかったスタッフに訊いてみたところ、今は好きなデザインの受注中止してるらしく、
店舗に見本として飾ってある在庫のみ扱っているとのこと。

仕方ないので、店舗に置いてあるものから欲しかったロンTを自分と家族のお土産用にチョイスしました。

お店にあったものではあるけど、なかなかオシャレなデザイン。
秋冬の部屋着として愛用するつもりです!

そして、このユニクロでさらに気になっていたのが店舗の中にある日本茶カフェ「かつて100」

実はこの店は留学時代に通っていたエンジェルにある有名なカフェで、
修了したクラスメイトと行った思い出のある場所だったりします。
この日は時間がなくて何も頼めませんでしたが、場所を確認出来てよかったです。
こじんまりとした本店より座るスペースもありそうだし、
エンジェルまで行かなくてもロンドン中心部で立ち寄れるのは嬉しいですね!

 

…次回は観劇した舞台について。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

実はケンの映画でもあった…映画『バービー』

2023-08-12 | movie/劇場公開作品

■8月12日(土)■

連休になったので、金曜日に日本公開されたばかりの
グレタ・ガーウィグ監督、マーゴット・ロビー出演の映画「バービー」を見てきました。

映画『バービー』日本版本予告 2023年8月11日(金)公開

7月13日にハリウッドで俳優労組と脚本家組合がストライキに突入した後、
クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」と同時期に公開されたため、
ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE」に主演するトム・クルーズの呼びかけで、
海外では「バービー」も「オッペンハイマー」も見に行こうという盛り上がりがありました。

そこから#バーベンハイマー というハッシュタグに派生して、二つの作品の合成アートがミーム化。
ノーランの方は“原爆の父”であるオッペンハイマーの映画であるため、
バービーの弾けるようなハッピーなヴィジュアルと、キノコ雲を使った配慮に欠けたミームが出回るようになり、
アメリカのWBツイッター(現X)公式アカウントがそれに便乗するようなリプライをしたことで
日本で「不謹慎である」と批判の声が高まり、日本の公式からお詫び文が発表されたのが記憶に新しいですね。

正直、私もバーベンハイマーは全く笑えないし、度が過ぎていると思っていましたが、
最近の「レディ・バード」「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」と同様、
グレタ・ガーウィグ監督は今回もリアルな女性の機微を描いてくれているであろうし、
製作者としてのマーゴット・ロビーの活躍も読んでいたので、映画自体は期待して公開を待っていました。

この映画でのバービーは、バービーランドという完璧な世界に暮らしています。
(一部の商品化されたキャラクターを除いて)みんな名前がバービーなので、
お互いをバービーと呼び合いながら、ピンク色で彩られたポップな街の中で幸せで完璧な生活を送っているのです。
大統領も最高裁判事も医者も弁護士も道路工事の作業員もみんなバービー。
バービーの相手役のケンもさまざまなタイプが存在しているけれど、彼らはバービーの添え物に過ぎません

マーゴット・ロビー演じる定番バービーも、この世界の中で何の疑いもなくハッピーに過ごしていましたが、
ある日突然「死」について考え始めたり、ハイヒールの似合わない「べた足」になってうまく歩けなくなってしまいます。

バービーのお直し担当のヘンテコバービーケイト・マッキノン)に相談すると、
人間のいる現実世界に行って、自分の持ち主に会い、問題を解決する糸口を探るしかないと助言を受けます。
困惑しながらも、現実社会の女性たちに希望を与えてきたと信じる定番バービーは
人間たちに歓迎されるに違いないと、気持ちを入れ替えて意気揚々と出発。
しかしそこにケンの一人(ライアン・ゴスリング)もついてきてしまい…

 

◇◇◇ここからネタバレを含みます◇◇◇

私はてっきりこの映画でバービーが女性の自立を体現してくれるのだと勝手に思っていたのですが、
蓋を開けてみたら、ケンの自立のための物語でもあったのでビックリしました。
バービーランドの中でのケンは、仕事もなくバービーに惹かれているだけでいいお飾りの存在。
つまり、現実社会において女性が求められてきたような立場

序盤のバービーランドは、女の子にとっての理想郷なのかと思いきや、
全てを女性が統べていて、ビーチにいるただのバービーの引き立て役でしかないケンにしたら、実はとても不平等な世界なんですよね。
だから人形の世界であるということとは別に、ものすごく違和感がある。
男性女性問わず、ここで違和感を感じるのが本来当然なんですよね。

定番バービーはケンの気持ちを蔑ろにして毎日ガールズパーティーに明け暮れていて、
毎日飲み会だからと家族をおいて家に帰らない夫ムーブのようにも見えたりします。

そんな、定番バービーについてきたケンは、現実世界で男たちが活躍している姿を見て当然感化され、
先に元の世界に戻って他のケンたちを鼓舞し、バービーランドをケンダムランドとして支配し始めます。

一方、定番バービーは持ち主である女の子を見つけ(彼女のバービー評は辛辣で小気味よく感じた)、
母親であるマテル社の秘書グロリアアメリカ・フェレーラ)が描いた普通の悩みを抱えるバービーの姿が、
定番バービーに変化を及ぼしたことがわかると、母娘をバービーランドに連れて行きます。
そこで直面するのが男性社会に目覚めたケンたち。
家をケンに奪われ、それぞれの仕事を持っていたバービーたちがただの給仕係に満足しているのを見た定番バービーは絶望し、
自分がもう完璧なバービーではないことにも打ちひしがられます。

しかし、定番バービーを立ち上がらせようと、グロリアがどれだけ女性たちが我慢を強いられてきたかを訴えると(ここが一番の名シーン)
理性的な言葉でケンたちに洗脳されていたバービーが正気に戻ることがわかり、
ヘンテコバービーたちと協力してケンダムランドを元のバービーランドに戻す計画を立てることに。

全てを取り戻した後、定番バービーはケンにこれまで蔑ろにしてきたことを謝り、
バービーの相手役ではなく、ケンはケン自身でいていいのだと語りかけます。

前評判からフェミニズム映画とか女性の自立映画とか言われてましたが、
この映画で大事なのは、「男社会」だとか「女性の自立」ということ以上に、
「自分も相手も軽視しない」ってことだと思うんですよね。

ケンがこれまでただのビーチの人に甘んじていたのも、
ケンたちに洗脳されて、ウェイトレスも楽しいじゃん?とバービーたちが思い始めたのも、
定番バービーが自分が完璧なバービーではないことを責めるのも、
本来の自分を認めない=自分を軽視している状態

同時に、バービーがケンの気持ちを受け入れないことや、
バービーランドにおいてバービーだけが有力者として活躍していることや、
ヘンテコバービーを他のバービーが貶していることは、他者を軽視している状態

最後にはこの隔たりを埋めようとし始める(でも完了した訳ではなくその途上である)のがこの映画の良さだと感じます。
つまり人権を守る最低限の基本を教えてくれていると言うことなんですよね。

そして、ひとりの女性として歩み始めた定番バービーの最後の一言
あの一言に、女性の喜びや痛みが苦しみが全て含まれていて、
劇場を出た後に思い出してちょっと涙が出たりしました。
そこまで感じ入るのは私だけかもしれないけれど…
私は母を病気で亡くしているのですが、そのことを否応もなく思い出してしまいます。

それにしても、基本的には表層がおもちゃの世界の軽いノリであるのに、
その根底に不平等や自他に対する蔑視という重いテーマも感じるという、
ちょっとアンバランスで落ち着かない映画でもありました。

 

…余談ですが、この映画を見ながら、
先日見終わって、今でも頭から離れないグッド・オーメンズ2との意外な親和性を感じて面白かったです。
いつも飲み物は飲んだふりだけしていたバービーが、現実世界で紅茶をうまく飲めなかったりするのは、
天使のムリエルがアジラフェルに薦められた紅茶を飲めなかったことを思い出すし、
ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」のドラマ版を何度も見直すバービー、なんて言及が出てきたのは笑ってしまいました。
わかる、辛い時には水に濡れたコリン・ファースが見たくもなるよね。
「神の世界/バービーの世界(理想?世界)」と「現実世界」の隔たりの話でもあるからでしょうかね。
それに「グッド・オーメンズ」の天国も、そんなに文字通りの天国でもない訳で、
もしかすると、次のシリーズでは定番バービーのように、アジラフェルが天国を改革してくれるのかもしれないです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする