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「9から始まる奇妙な物語」第1シリーズ エピソード・リスト【クリエイターによるQ&Aつき】

2021-02-25 | TV/9から始まる奇妙な物語
9から始まる奇妙な物語見放題配信を記念し、各回を振り返りながら、
放送当時にツイッター上で行われた、クリエイターのリース&スティーヴによるQ&Aの回答内容を紹介します。
おすすめ度合いに合わせて星をつけてみましたが、あくまで個人的な評価ですので、
みなさんもお気に入りの回を見つけてみてくださいね。
 
第1話
「かくれんぼ」Sardines (5 Feb 2014) 


reece shearsmith (@ReeceShearsmith) January 29, 2014

あらすじ:
ジェレミー(ベン・ウィルボンド)との婚約パーティーを開いたレベッカ(キャサリン・パーキンソン)。
屋敷の中で子供の頃に遊んだ「イワシ」というかくれんぼに興じ、
クローゼットの中にいるジェレミーの同僚イアン(ティム・キー)を見つける。
レベッカの兄(スティーヴ・ペンバートン)や彼の恋人スチュワート(リース・シェアスミス)たちも
レベッカたちを見つけ、次々とクローゼットに加わっていくが、
見つける参加者が増えるほどに、窮屈になったクローゼットの中で彼らの隠された秘密が暴かれていく…
 
オススメ度:
 
ポイント:
気まずい雰囲気が漂う大人のかくれんぼと、その先にやってくるダークな結末。
"Macabreマスター"と呼ばれるリース&スティーヴの番組にふさわしい第一話です。
 
"Sardines"は創作ではなく、実際にあるかくれんぼの一つ。
まずはじめに一人が隠れて、他の参加者が探す。
見つけた人は、発見した場所で一緒に隠れなければならず、
隠れているグループを最後に見つけた人が次の潜伏者になる、と言うゲーム。
イワシの缶詰のように、誰かが隠れている場所を見つけるほどに狭くなっていくのが特徴。
 
すでに他のエピソードに着手していたリース&スティーヴは
シリーズの「人が空間に閉じ込められる」一貫したテーマを元に、
自分たちの執筆部屋にあるタンスに目をつけ、
「なぜタンスに人が閉じ込められているのか?」をまず考えたそうです。
 
ちなみに、ジェラルディンが歌う"Why am I always the bridesmaid"は、
1930年の、ヒッチコックが共同監督で参加している英国映画"Elstree Calling"の中の歌
父のアンドリューが歌うイワシの詩は、スパイク・ミリガンの"A Baby Sardine"。
 
イアンがつぶやく「ターディス」はもちろんSFシリーズ「ドクター・フー」の宇宙船ですが、
ジェラルディンが叫ぶ「ジェロニモ!」も11代目ドクターの決め?セリフの一つ。
 
アンドリューを演じるティモシー・ウェストは
この番組がオマージュを捧げている「予期せぬ出来事」にも出演しています。
 
第2話
「ある静かな夜に」- A Quiet Night In (12 Feb 2014) 


reece shearsmith (@ReeceShearsmith) February 12, 2014

あらすじ:
ある絵画を盗むために豪邸に侵入したドジな泥棒コンビ、エディ(スティーヴ)とレイ(リース)。
2人が絵画を回収しようと奮闘する一方で、
家主ジェラルド(デニス・ローソン)と妻サブリナ(ウーナ・チャップリン)は口論に。
夫婦や家政婦や犬(!)の目をくぐりながら、エディとレイは絵画を盗むことが出来るのか?

オススメ度:

ポイント:
ほとんどセリフのないスラップスティック・コメディ。

リースとスティーヴの息のあった演技が楽しいエピソードです。

第1シリーズの中でも特に評価&人気の高いエピソードで、
放送後にカナダのBANFF World Media Awardsを受賞しています。
(これが番組としての最初の受賞作だったはず。)

無声のエピソードは、以前彼らの手がけたTVシリーズ"Psychoville"の時に構想していて、
当時は使いたいギャグが多かったために断念したそう。

サブリナが見ているテレビ番組は、長寿ソープオペラ「イーストエンダーズ」。
夫がクラシック聞いてる横で、妻が「渡る世間」見ようとしてる感覚でしょうか。ちょっと古いか。


https://x.com/ReeceShearsmith/status/985900752248999939

Q&Aネタ:

スティーヴによると、冒頭でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が使われた理由は
 「iTuneに入っている曲の中で、一番演奏時間が長い曲だったから」

セリフを使わない回にサイレント喜劇王チャーリー・チャップリンの孫である
 ウーナ・チャップリンが起用されたのは意図したわけではなく
 「この役にあってると思ったし、実際あっていたから」とスティーヴ

 
第3話
「招かねざる客」- Tom & Gerri (19 Feb 2014) 


reece shearsmith (@ReeceShearsmith) February 13, 2014

あらすじ:
作家志望の小学校教師トム(リース)の元に、
ホームレスのミグ(スティーヴ)が落とした財布を届けにくる。
嫌々ながらもミグを部屋に招き入れるトム。
その日から、彼の人生と恋人のジェリー(ジェマ・アータートン)との関係が崩壊し始める。 

オススメ度:

ポイント:
もともとはリースとスティーヴが無職で同居していた時に芝居の脚本として書かれた話で、
求職者が経験する人生のエネルギーの消耗をトムに投影させている。
トムを演じるリースの、ホームレスを軽蔑する演技が巧み!

アマプラの日本語字幕には出てきませんが、
「オリーが芝居のタイトルを変えた」というジェリーのセリフがあります。
これは「リーグ・オブ・ジェントルマン」でリースが演じた劇団主宰者のオリーのこと。
こういう過去作の小ネタもたまに出てくるのが嬉しい。


reece shearsmith (@ReeceShearsmith) February 19, 2014


"忘れないように。可哀想なトムとミグ" reece shearsmith (@ReeceShearsmith) April 18, 2015

Q&Aネタ:

リースいわく、髭のつけ心地は「最悪」。

冒頭のミグの絵はリース自身が描いている。

ホームレスの名前は、自分をミグと呼ぶリース&スティーヴの知り合いから取っている。(本名はマルコム)

リース「(ミグは幻想なの?の質問に)現実だ。湯船の中にいるのを見られてた。わかりやすいだろ?」

ドアの横の鏡にトムの姿が映る演出は、1970年代にITVで放送されたアンソロジー・シリーズ"Thriller"への目配せでは?
 という視聴者の意見に、プロデューサーのアダム・タンディーは「撮影中にも言われました」。
 一方、演出家のデヴィッド・カーは映画「召使」(1963)への目配せだと回答。


 

第4話
「最後の息」- Last Gasp (26 Feb 2014) 


reece shearsmith (@ReeceShearsmith) February 26, 2014

あらすじ:
ポップスターのフランキー・J・パーソンズがアシスタント(アダム・ディーコン)と
WishmakerUK代表のサリー(タムシン・グレイグ)を連れて病気の少女タムシンのお見舞いにやってくる。
憧れのスターを目の前に舞いあがる母のジャン(ソフィー・トンプソン)。
ところが、タムシンのために風船を膨らましていたフランキーは突然倒れてしまう。
父のグレアム(スティーブ)は死んだフランキーの最後の息が入った風船が高値で売れると気づき、
風船の争奪戦が勃発する。
 
オススメ度:
 
ポイント:
現在(S5まで)の所、リースが出演していない唯一のエピソード。
「風船に入った有名人の息」のアイディアは、スティーヴが子供向け番組"Multi-Coloured Swap Shop"で見た、
空の瓶にいろいろな場所の空気を入れて集めている女性と、
マイケル・ジャクソンやエイミー・ワインハウスのような
亡くなった著名人に関わる記念品収集が結びついて出来上がったそう。
ちなみにスティーヴとソフィー・トンプソンは舞台"She Stoops to Conquer"でも夫婦役で共演。
 
 
第5話
「微笑む悪党」- The Understudy (5 Mar 2014) 


reece shearsmith (@ReeceShearsmith) February 27, 2014

あらすじ:
シェイクスピアの「マクベス」に主演する売れっ子俳優トニー(スティーヴ)。
ところが、酒の飲み過ぎで舞台から転落してしまう。
婚約者のローラ(リンジー・マーシャル)に励まされながら
代役として控えていたジム(リース)にその大役が廻ってくる。

 オススメ度:

ポイント(ネタバレ含む):
劇中で演じられている「マクベス」になぞられて、
5幕構成になっています。
この回の巧妙なところはジムと視聴者に、物語が「マクベス」と同じ道を辿ると思わせるところ。
最後に謙虚だったジムが野心家で策略家の「リチャード3世」を演じているのが興味深いです。

他のエピソードが家を舞台にしているのと異なり、これは劇場の楽屋の出来事。
舞台設定に悩んで一番執筆に時間がかかったという回。


https://x.com/ReeceShearsmith/status/990572584004669440

Q&Aネタ:

放送当時「リーグ・オブ・ジェントルマン」の仲間であるマーク・ゲイティスが
 劇中でトニーが言及するドンマー・ウェアハウスでシェイクスピア悲劇「コリオレイナス」に出演し、
 ジムが撮影していると話すドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」にも出演していたため、
 マークへの冷やかしかと思われましたが、「何ヶ月も前に撮影してる」ので深い意味はないそう。本当かな?(笑)。

スティーヴ?は2回「マクベス」に出演経験があるとか。
 ただしどちらも酷い公演だったらしく、
ジェイミー・ロイドのマクベスがよかったと付け加えています。

 
第6話
「地獄降り」- The Harrowing (12 Mar 2014) 


reece shearsmith (@ReeceShearsmith) March 12, 2014

あらすじ:
ゴシック様式の邸宅にやってきたケイティは、
家主のヘクター(リース)とタバサ(ヘレン・マッコリー)が外出するため、
障害を持つ彼らの兄アンドラスの邪魔せずに留守番をするよう頼まれる。
家は恐ろしい絵画が飾られ、アンドラスのために温度が氷点下3度になるよう設定されていた…。

オススメ度:

ポイント:
現在の所、スティーヴが出演していない唯一のエピソード。
古典ホラー好きのリース&スティーヴの趣味全開。
気味の悪い話ではありますが、ヘクターとタバサの怪しさが可笑しい(笑)。

この回のポスターを手がけたのは「死霊のはらわた」などのポスターデザインで知られるグラハム・ハンフリーズ。
彼は他のエピソードのポスターやリーグ・オブ・ジェントルマンのレコード・ジャケットも描いています。

【その他のQ&Aネタ】

この記事で取り上げたQ&Aは第5話「微笑む悪党」の放送後に行われました。
(そのため「地獄降り」についての質問は出てきていません。)

ブログの文字制限のため、見出しのように短くなってしまいましたが、
最後にシリーズ全体についての回答をご紹介します。

第2シリーズについてはQ&Aが行われた時点で決定済
 「今夏(2014)に書き始めて今年撮影出来たらいい」

どちらがどの役を演じるのかについては
 「分担してバラエティに富んだものにしようと心がけている。プラス、僕(スティーヴ)はいつも年上でないといけない」

タイトルに9を選んだのは「韻を踏んでいる」から。

執筆はお互いに影響を与えあっている

シリーズの前からあったアイデアを使った回は2つ(「ある静かな夜に」と「招かねざる客」?)

このシリーズより"Psychoville"の第1話を書く方が難しかった

馬鹿げた登場人物にならないようにするのは「いい演技」

撮影は1話ごとに一週間。シリーズ全体の執筆&書き直しに6ヶ月かかる

お互いにけしかけあって作っている

自分たちでキャスティングもする

マスウェル・ヒルにあるオフィスで毎日執筆して、同じカフェで一緒にランチを取っている

DVDにコメンタリーは入っていません…

リースとスティーヴは演出にも関わったが演出家も尊重

あくまで台本にこだわる。成り行き任せにはしない

 

続いて、第2シリーズのリストはこちら
リース&スティーヴのTVデビュー作「リーグ・オブ・ジェントルマン」については
こちらをご覧ください。


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