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ローマ帝国時代の大浴場が残る街、バース〈2〉街歩き

2016-07-16 | 2015年秋、英国の旅
■10月19日 続き■

ローマ浴場が見終わったので、残りの時間は街歩きに費やしました。
まず、「シャーロック 忌まわしき花嫁」のロケが行われた通りを抜けて、北側に向かいます。

「シャーロック 忌まわしき花嫁」は主にロンドン、カーディフ、ブリストルで撮影が行われましたが、
一部バースでも撮影されていました。

予告編の0:55くらいからの襲撃シーンがバースで撮影された部分です。
SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁(字幕版)


221Bで警部と話すホームズが事件現場を想像するところで、
221Bの内装を、実際にバースの小道の真ん中に設置して撮影していました。
こんな風に
ちなみに、花嫁が銃を撃っているバルコニーはブリストルで撮影。



実際のクイーン・ストリートは何の変哲もない脇道です。



目立たない道ではありますが、バーやホテル、楽器屋さんや本屋さんが並んでいます。



この黒いふちの窓のあるところで銃撃シーンが撮られていましたね。



このアーチの外からファンがたむろして撮影していたのを思い出します。
(ネットを通じて見ていただけだけど。)



この道が交差するところに221Bを設置していましたね。



そして、ここのホテルがキャストの控え室になっていました。
こちらこちらこちらを参照。



本編を見ると、ほんの短いカットですが、1日かけて撮影してるんですよね。
それだけに印象に残っていたのですが、普段は観光客は目立たず、地元の人が行き来する小道という印象でした。
私はストーンヘンジに寄ったので時間がありませんでしたが、
ロケ地巡りをする方は、バースとブリストルが近いので、合わせて観光するのもいいと思いますよ。



さて、町歩きを続けると、クイーン・ストリートを出るとクイーン・スクエアという公園に出ます。
この近くには、バースに5年間滞在していたというジェーン・オースティンにまつわるものを展示する
ジェーン・オースティン・センターがあります。



入り口にはドラマ版「高慢と偏見」のミスター・ダーシーが!!
残念ながら、私がたどり着いた時間にはすでに閉館していたので、中に入ることは出来ませんでした。
ストーンヘンジに寄らなければ見られたのに…(苦笑)。
オースティン好きの方は私の代わりに是非寄ってみてください。



クイーン・スクエアからさらに北方向へ坂道を登っていくと、ジョージ朝様式の「サーカス」という円形建築物の中に出ます。



バースで活躍した建築家ジョン・ウッド父子による邸宅で、
真ん中のロータリーを3つの建物が囲むように並んでいます。
ニコラス・ケイジも住んだことがあるとか。



「サーカス」から西には、同じくジョン・ウッドJRによる
「ロイヤル・クレッセント」という美しい建物があります。



「クレッセント」の名の通り、三日月型の建築物。
ここも映画やドラマのロケ地に使われることが多いようです。



一番最初に作られた一番地が博物館になっていて、
ジョージ朝時代当時の内装が再現された部屋を見ることが出来るそうです。
例によって、時間がないので入れませんでしたが…



前庭?は子供や観光客がフリスビーを使って遊んでいます。
坂道を登ってきたので、遠くの街を眺められるし、木々も赤く染まっていて、
建物だけでなく風景も最高の場所です。

ロイヤル・クレッセントにたどり着いた時点ですでに日が傾きかけていたので、
ヴィクトリア・パークの中を通って駅方面に戻ることにしました。
ストーンヘンジに寄ってさらに歩き回ったから体力も限界。
ふらふらと公園の中を歩いていると、ミニパターゴルフ場にたどり着いて行き止まりに!



もしや、公園の中から出られないのでは!?
オロオロしながら彷徨い歩き、なんとか街の中に出ることが出来ました。
余裕がなくて、公園の中の写真はゴルフ場だけ(笑)。



改めてバースの街中を歩くと、他の街とは違った古風な建物が多くてとても新鮮に感じます。
セインズベリー(スーパー:画像右)もここではいつもより高級に見えたりして。



最後に、ローマ浴場から東にあるエイボン川にかかる橋、プルトニー橋の周辺を散歩しました。
ここは映画「レ・ミセラブル」の撮影が行われた場所でもあります。



そう、ジャベール警部が身を投げるシーンが撮影されたポイント。
ダイヴ禁止のプレートが付いています。

Les Misérables - Javert's Suicide

↑ちょっと動画が暗いですが、このシーン。



橋の上にはお店が並んでいるので、この美しい堰を見ることは出来ません。
橋の雰囲気はヨーロッパっぽいですね。



橋を渡って反対側は公園になっていて、川沿いでは釣りをする人も。
ボートの停泊場にもなっていました。



この弧が重なったような堰が印象的なので、一度映像で見ると忘れられないですね。
実際に見ても、周りの風景も相まってなかなか立ち去るのが惜しい風景です。

さて、すっかり暗くなったのでロンドンに戻ります。一日ずいぶん歩いたなあ。



バースの駅構内に日本食の店があるのが気になりますが、やはりすでに営業時間外。
ウォータールーを経由してお馴染みのベイカーストリートへ。



慣れ親しんだジュビリーラインのホームにいるホームズ。
あーロンドンに戻ってきた感!



ちなみに、当時は「スペクター」の公開直前でした。
滞在と被ってたら見たのになあ。

次回はサウス・ケンジントンで友達と博物館巡りです。
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ローマ帝国時代の大浴場が残る街、バース〈1〉ローマン・バース

2016-07-09 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月19日 続き■

ストーンヘンジを見た後は、
ローマ支配下時代に温泉地として栄えた世界遺産の街、バースを訪れました。

私がバースを初めて知ったのは、NHK教育の英会話番組「100語でスタート!英会話」という番組でした。
スキットの中に出てくる主人公がバースを訪れる回があったのですが、
風呂の"Bath"の由来になった街が実際にあると知って、妙に印象に残っていました。
(実際にはゲルマン語由来で元々そういう言葉はあったようです。)

そして最近「シャーロック 忌まわしき花嫁」のロケも行われたということで、
この機会に行ってみよう!と思い立ったわけです。
時間があれば実際に入浴出来るスパにも入ってみたくて…(結局時間がありませんでしたが)
今回の旅ではとにかく癒されたかったんですよねー。(苦笑)



ストーンヘンジからのバスでソールズベリーに戻り、バース・スパ駅までは電車でだいたい一時間弱。
このまま真っ直ぐ行けばカーディフに行けます。
カーディフ行きたい(笑)!でも今日のところはその途中で下車です。



ホームにいたキュートな子を隠し撮り。一緒に乗っていいんですね?



車内ではウォールナッツフレーバーのラテと、定番のクリスプ=Walkersのソルト・アンド・ビネガー味を旅のお供に。
席の間にゴミ箱があっておやつの片付けも楽々ですね。



緑の木々が流れていく車窓の風景を眺めていると、遠くの丘が馬にかたどられてる!?
そのうちに教会の尖塔や屋根の街並みが見えてきます。



そして無事に到着、バース・スパ!
駅から出ると、今まで見てきた英国の街並みとは一風変わった風景を見ることが出来ました。




一見してもう雰囲気が違うんですよね。
ローマの名残が色濃く残っているのでしょうか。
一旦衰退した後、ジョージ王朝時代に復興された街なので、
その頃の影響もあるかもしれません。



ちょっとした小道もオシャレ。
あちこちの店先に花々が溢れ、街を歩くだけでも心が躍ります。



こんなクラシックなおもちゃ屋さんも。
後でまた寄ろうと思っているうちに買いそびれてしまいました。残念。



写真左は、街の中心部にあるバース寺院。広場は観光客で賑わっています。
周辺はロンドンで見るようなメジャーなブランドのショップも並んでいるので、
観光地でもありますが、ショッピングにも時間が潰せそう。

ところで、私がまず目指すのはローマン・バース、2世紀から残る浴場跡です。



入場料は大人:15ポンド。 (2016年現在。)
日本語のガイドは入口で借りることが出来ます。
入ってみるといきなり…



おおおー!写真や映像で見たままの浴場だ!まさにテルマエロマエ!
この施設自体は紀元後に作られたものですが、温泉は紀元前から湧いていたものだとか。
このGreat Bathの深さは160cmだそうですよ。結構深い…



テラスからバース寺院の美しく存在感のある姿も拝めます。



テラスには9体の彫像が並んでいます。
真ん中がご存知、ガイウス・ユリウス・カエサル。右は一番かっこよかった(笑)ブリタニア提督のオストリウス・スカプラ。
この彫像はヴィクトリア朝時代の彫像作家George Anderson Lawsonによるものだそう。



おや? 一階には提督がいるみたいですね…



大浴場の横にはSacred Bathと呼ばれる少し小さめの浴場があります。
ここは特別ないわゆるVIP用のものだったんでしょうか。
今でも毎日46℃の温泉が117万リットル湧いてくるんだとか。



屋内に入ると、浴場の歴史を説明する展示物が2階から1階に渡って展開されています。
↓これは4世紀初頭当時の浴場の人々と建物を様子を紹介した模型。




身分の高そうな客人もいれば、マッサージ中の人も。
当然のことながら、お風呂に入りに来た人だけではなくて、何百ものもてなす人たちもたくさんこの場で働いていたんですね。



また、当時は浴場と隣接した女神を祀る神殿がありました。
スリス・ミネルヴァ神殿というこの神殿は、
現地のケルト人が崇拝した女神スリスと、ローマ神話の女神ミネルヴァを
同時に崇めてしまおう、とひとりの女神として祀っていた場所のようです。
元々、この街はバースという名がつけられるまでは、アクア・スリスと呼ばれていたとか。
アクア・スリス… その呼び名の方がはるかにかっこいいのに。



これは神殿の破風の部分。
断片的に残っていますが、この上からプロジェクション・マッピングのように、
当時の破風が映し出されるようになっています。



1階に残っている神殿の敷地の一部。ちょっとおどろおどろしい雰囲気です。
そしてこれが…




女神ミネルヴァの像。
頭の上の方がなくなっていますが、その顔は今でも輝きを放っています。

途中、温泉が湧き出て流れ出ている場所があったので、
そちらは動画で。どうしても湯気が撮りたかった!



そして浴場といえばサウナ。
このローマ浴場にもサウナ室があり、マッサージを行われたりしていたようです。



かなり暗い部屋なので少し画像を明るくしました。
そして、サウナがあれば水風呂も。



ここでは、浴場の中で雑談する男性たちの姿もプロジェクターで時折映し出されて少し明るい場所でした。



一通り見終えて外に出ると、Great Bathが目の前に。
近くで見ると、ちゃんとここも湯気が出ています。
写真にはなかなかうまく写らないですね。そして湯加減を見ちゃいけないのが残念。



下から見るとテラスにいる人や彫像たちがよく見えます。



やはり人気の観光スポットだけあって、浴場の周りは世界各地からやってきた人が絶えません。
実際入ってみたら、どんな湯加減なのかなー。



最後は温泉をテイスティング?できるコーナーがありました。
ちょっと怖いので(笑)舐める程度しか味わなかったのですが、あまり覚えていません。
温度は42度なので、紙コップを手で持っていると心地よくなる暖かさでした。

最後はお土産やさんで絵葉書とラベンダーの石鹸を購入。
(絵葉書は現地で書いて、ストーンヘンジで買った国際切手を貼って父に送りました。)
レジの女性がまたしても冷たい接客で、やはり観光地のレジ係はストレスが接客に出るんだなと確信…

さて、バースは浴場だけではなく、街並みも美しいことで有名です。
次回はバース街歩き編です。
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ストーンヘンジを「遠くから」見る

2016-06-21 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月19日■

この日は今まで行ったことのなかった名所に行くことにしていました。
まずは、ストーンヘンジ。
今まで何度も英国に来ていた割には行ったことのない、スバリ観光名所。
それというのも、周りの人から「ただの石じゃん」と聞かされていたからなのですが、
この旅をしていた頃はパワースポット的なところに行ってみたい気分で
損するとしても、一度くらいはいいのではないか?と行くことにしたのです。



まずウォータールー駅からソールズベリーへ向かいます。
(右の本はウォータールーの本屋で見つけた今はやりの大人向けの塗り絵。
 日本柄と書かれてはいますが、中をめくってみるとどの辺が日本なのかよくわからず(笑)。)



ロンドンからは片道1時間半。乗り換えはありません。
写真の時計を見てもらうと、だいたい1時間半でしょ?



ソールズベリーからはバスでストーンヘンジに向かいます。
バスはストーンヘンジ・ツアーと言う巡回バス
ストーンヘンジの他にもう一つの遺跡、オールドセーラムも廻るようになっています。
私は時間がないので残念ですが今回はストーンヘンジだけのための利用。



バスだけの利用なら大人15ポンド。
ストーンヘンジとオールドセーラムの入場料付きは28ポンド、
ストーンヘンジとオールドセーラムとソールズベリー大聖堂まで入って34ポンド也。
ネットで購入も出来ますが、当日バスの運転手さんに支払って購入することも出来ます。
私はバスのみです。なんでも、入場券がなくても見られるらしいんですよ。



ソールズベリーも素敵な街ですが、とりあえず今回はバスからの眺めのみ。
ストーンヘンジまでは駅から30分くらいで少し時間がかかります。
都会より落ち着いた雰囲気の街並みから離れしばらくすると草原の景色になってきます。



そして着きました、ストーンヘンジのビジターセンターです。



このビジター・センターは3年前に建てられたまだ新しいもので
こんな自然の中にそぐわぬ近代的なデザインの建築物ですね。



ストーンヘンジ周辺には他にも遺跡があちこちにあるのですが、
全部見るのはとても無理。
ひとまずストーンヘンジに向かいます。



ストーンヘンジまでは約1マイルあるので、ビジター・センターからはシャトルバスが出ています。
が、私はエントリーチケットを買わなかったので歩きです。
入場料を払った人はもちろん利用出来ます。
まあ、なんとかなるだろうと思っていたものの…



石見えねえ!どこにある!
1マイル先なので全く見えないですね。(実は方向も違うのですが。)
ちょっと大変な道のりですが、実はちょっと見てみたい遺跡があったので、
そちらに立ち寄ることにしました。



車道を横断し、草の上を歩いていくと、



林の真ん中を切り裂いたような不思議な空間が現れます。
ここがストーンヘンジ・カーサスです。
写真からでは何もなくて判りにくいですが、上から見ると縦長の細長いくぼみが3キロにわたって伸びているのです。



↑黄緑色の長く伸びたところがカーサス。
 その端の赤い"You are here"が、この写真を撮った私がいる場所ですね。
 ストーンヘンジはカーサスの右側にある青い丸。

ストーンヘンジの石列よりも以前、紀元前3600年〜3300年の間に作られたそうなのですが、
何故こんな長い溝を作ったのか未だわからないそうです。
儀式的な意味合いで作られたのではないかと分析する歴史家がいるそうで、
「世界ふしぎ発見」では葬儀に関連したものだったのでは?と紹介されてたと記憶しています。



くぼみの縁取りがはっきりと見えるわけではないので、
林がなければ、歩いていても全く気づかないですね。
上から見たらはっきり分かるんだろうなあ。
ちなみにカーサスは、英語の"コース"の語源になったそうです。



さらにストーンヘンジまで、カーサスの中を歩いていくと、牛たちが放牧されています。
あちこちに彼らの◯も…  踏んじゃいそう。でもどの子もフォトジェニックです。
牛は後でじっくり交流するとして、ストーンヘンジへと急ぎましょう。

牛たちの間をノシノシ進んでいくと、ついに遠くに石が並んでいるのが見えてきます。
シャトルバスも見えてきて、その止まっている場所の入り口から入ろうとしたら、
「チケット持ってる?」と係のおじさん。
「あ、持ってないと入れないですか?」と私。←知らないふり。
「入れないよ。でも心配しないで!柵の外を歩いていけば見られるから!」
そして、おじさんは入場客の進む柵の外側の見られる場所を教えてくれました。

まあ、知ってたから入場券なしでここまで来たんですけどね。
でもおじさんの言葉で、やっぱりなくても見られるんだなと自信がつきました!
おじさんが指差した方向に戻り、さらにバスの止まっている外側を柵に伝って進んでいくと…
ついに見られました、ストーンヘンジ!



ドラマチック・モードな写真。
ズームの効くデジカメで撮ってるのでそこそこ大きく映りますが、



まあ、やはり離れてはいます。
中の人たちは、並んで記念撮影してるみたいですね。
私が撮っている場所はこんな感じ。



でも写真を撮るだけなら十分な距離ではありますね。
ここから見る人も少なくないのか足元の草も生えてないし、
写真のカップルのように、私が写真を撮っている間にやってきて見てる人もちらほらいました。



よく見てみると、石の上にカラス?が止まってます。
結構フン害も浴びている石…



ストーンヘンジの方も、やはり神殿だったとか、教会だったとか、諸説あるようですね。
紀元前2500年〜2000年の間に立てられたとか。
私の位置からはわからないですが、巨石は直径100メートルの円形に建てられています。
巨石の間に入れるなら入場料払うんだけどなー。磁場を感じたい…
でもやはり言われていたように、見てみると石の集まりにしか見えないですね。
何度も来たい場所ではないかな。学者でもない限り。
夏至の時はこんなに盛り上がるみたいですよ。
円形の巨石から離れたヒール・ストーンと、スローター・ストーンを結んで、
日の光がまっすぐに円の中心にある祭壇石に差し込むらしい。
来るなら夏至に足を運ぶべきでしたねー。



入口にいたおじさん方向を見た様子。(右)
もう十分眺めたかなーというところで、また来た道を戻ります。




たくさんの牛写真を撮影しながら。
黙々と草を食んだり、座り込んだり、ぼーっとどこかを眺めてる彼ら。
日本でも牛を間近で見ることがないのでドキドキしてしまいます。
ストーンヘンジより牛を見に来たような状況に(笑)
どれもお気に入りの写真です。(家族には「虚ろな顔して可哀想」と言われたけど(^ ^; )



そして、再びビジターセンターへ。1マイルの徒歩移動は、なかなかの運動だ…
ところで、ビジターセンターのそばには、ストーンヘンジを建てて使っていた人たちが住んでいた家が再建されています。



住居跡はストーンヘンジからさらに北東にあるダーリントン・ウォールズで発掘され、
同じく紀元前2500頃のものと考えられるそうです。



そして、石を動かせるかな?ということで、ストーンヘンジに使われている巨大なサルセン石が置かれていて、
石から伸びた紐を引っ張ると何人力になるのかわかるようになっていました。



チャレンジする子供達。
実際のストーンヘンジのサルセン石は28トンあるとか。



最後にビジターセンターの中の売店で職場用のお土産のお菓子と、
日本へハガキを送るための国際切手を購入しました。
レジの女性がものすごく不機嫌そうでぶっきらぼうだった…
有名観光スポットのお土産屋のレジの人ってだいたいこんな感じ。
イラつくことが多いんでしょうね。同情します。



そして、巡回バスで再びソールズベリーの駅へ。
バスの車窓から移動遊園地が見えました。



クリスマスでもないのにこんなところに。楽しそうですね。
駅に戻ったら、今度はローマ浴場で知られる街、バースへと向かいます!

続く…
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"Ripley's Believe It or Not!"

2016-05-29 | 2015年秋、英国の旅
しばらく更新してなかったので、
ここらで去年の秋の旅で訪れた場所を改めて振り返りたいと思います。

■2015年10月18日■

ナショナルシアターで芝居を見た次の日は、イギリスにいるメル友・リサと会いました。
彼女とは1年くらい前から映画やコメディや音楽の話をする仲で、
前回の渡英時は彼女の仕事の都合が合わず、会うことが出来ませんでしたが、
今回は予定を合わせて会うことが出来ました。

私のお気に入りのマーケット、スピタルフィールズに行くためにリヴァプールストリート駅で待ち合わせ。



以前も何度か来ていますが、曜日によってストール(屋台)が変わるので、
また来たくなっちゃうんですよねー。
リサもスピタルフィールズは初めてとのことでしたが、ひとまずランチの場所を探すことに。
実は今まで一度も入ったことがなかったポピュラーな日本食レストランwagamamaに入ることにしました。

ロンドンに行ったことがある方なら一度は見かけたことがあるだろうwagamama。
店に入ってメニューをチェック。(リンクからメニューも見られますよ)
そしてリサがオススメの鶏ラーメンを注文。



正直味はあまり期待していなかったけど、美味しい!
日本では近年こってり味のラーメンが定番なイメージがありますが、
ロンドンで食べるラーメンはさっぱりしていて食べやすいです。
このチキンヌードルは沖縄そばにイメージが近いですかね。(鶏肉だけど。)

食事には箸がついていますが、もちろん現地の人は箸を使えない人もいるのでフォークもついてきます。
リサも箸使いをチャレンジしていましたが、やはり難しいので、途中でフォークにチェンジ。

食事をしながら、彼女にはスタジオジブリグッズや、神社のお守り型のキーホルダー等々、
日本から持ってきたお土産をプレゼントしました。
「(『幸せ』と言う字を見て)これなんて読むの?」と聞きながら、
早速目の前で喜んで鍵につけてくれて嬉しかったです。

お互いの仕事の話や旅の経過を話ながら、楽しい時間を過ごした後、
デザートのメニューを見てたら小さいおにぎりボールにココナッツをまぶしたスイートオニギリなるものが。
「日本にスイートオニギリないの?」
甘いおにぎりはないなー。強いて言えばおはぎかな?
と、ジャパンのトラディショナルなスイーツ、おはぎの説明をしたり。

結局頼んだのは、揚げバナナ。メニューにはバナナカツと表記が。
「これは日本にある?」
「いやぁ、あまり見かけないな… 揚げバナナって東南アジアっぽいね」
日本らしいかどうかは置いておいて、普通に美味しかったです。



お勘定の時に店員さんが「食事はどうでしたか?」と訊いてきました。
「美味しかったです!」と私。リサも親指を立てて答えていました。
「彼女は日本から来たんです」とリサが言うと「じゃあ、お店の名前の意味もわかりますよね?」と店員さん。
もちろんわかります(笑)。でもわがまま=selfishだと思ってたけど、現地の人はもっとお茶目な小洒落たイメージで捉えてるのかもしれませんね。

食後はマーケットを少し見て歩きましたが、めぼしい売り物はなかったので、
今度はリサのお気に入りのアトラクション"Ripley's Believe It or Not!"へ向かいました。

"Ripley's…"はピカデリーサーカスの、まさに交差点の真ん前にあります。
何度も通ってきたのに、今まで気づかなかったなんて!
それというのも、ここはあまりガイド本に載ってないんですよね。
世界各国にあるので、あえて紹介する必要もないのかもしれませんが、
英国にはロンドンとブラックプールにあるそうです。

もともとアメリカ人冒険家ロバート・リプリーと言う、
漫画やラジオなどを通じて世界中の不思議な信じられないものを紹介してきた人が始めた博物館で、
奇妙だったり、滑稽なアイテムが数々展示されています。
施設の名前の通り、信じるも信じないもあなた次第…?!な展示物ばかりです。




動くTレックスの手前には、双頭の牛&羊。背中がくっついたネズミ。
まあ、これはありえますよね。



鼻でハーモニカ吹くおじさんに、クシャおじさん。これも日本でもいそうな人たち。
でも…



おおこれは(笑)、確かに珍しい。
リサは小さい頃に連れてきてもらってからここが大好きになったと言っていました。
確かに、変わったものがいっぱいで、大人以上に子供はもっと楽しめるでしょうねー。



その他にもマッチ棒で作られたタワーブリッジや、ビートルのボンネットに書かれたビートルズの似顔絵があったり。
ニットで出来たフェラーリとか、巨人が座るような特大チェアーに座ることも出来ます。
画像右はドラキュラ退治キットです。

また、私たちが行った時は「不思議の国のアリス」特集だったのか、
帽子屋のお茶会のようなコーナーもありました。



向かい合わせになった鏡の通路や、顔をはめ込む撮影コーナー、
床が斜めになった部屋にカメラが仕込んであって、
モニターで見るとまっすぐの部屋に立っているように見える目の錯覚を楽しんだり。
実際にはかなり狭い空間だけど、モニターで見るとちょっと広く見えるのです。



フロアの所々にはピンボール台や占いマシーンもあったりします。
軽い気持ちでピンボールを試したら結構いいスコアを達成。



カメラマンのお兄さんが記念撮影してくれる一角があって、
せっかくなので、2人で撮影もしてもらいました。
「あの天井の隅にモンスターがいるよ!びっくりした顔をしてー!」
と言う指示を受けながら、びっくり演技をしたりして楽しかったです。

撮影した写真は後で出口近くで購入することができます。
撮影したのは何の変哲も無い廊下のようなところでしたが、
仕上がった写真は、私たちがジャングルの中にいるような背景に!
リサが入場料と一緒にこの写真も買ってくれました!
「悪いよー」と言ってたのですが「私の気持ちだから!」と。
そこまで言われたら断れませんよねー。
(なのに今そのデータと写真を探してるのに見当たらず。私ったら… 見つかったらUPしますね。)



吹き抜けになった下の階はカフェスタンドと、他にも展示が何かある様子。



降りてみると、堂々とした太っちょさんが目の前に!
顔がちょっとニック・フロストに似てるような。ジーンズもビッグサイズ!



そして反対にはのっぽさんが!250cm?!
後ろのマンモス?も気になりますが、手前にいる女の子との対比でその大きさがわかっていただけると想います。

その他のフロアには遊園地等でおなじみのミラーハウスも!
久しぶりに入ってみるとなかなか難しい!
両手を広げて、必死でウロウロしてたらなんとか出られました!

もちろん、施設の中はここでは載せていないもっとたくさんの展示物がありました。
一人だったらもっと写真も落ち着いて撮れたのですが、
おしゃべりしながらだとなかなか難しくて、紹介しきれなくて残念です。
もしロンドンのど真ん中で友達と過ごす場所に迷っていたら、ぜひ行ってみてくださいね。


"Ripley's"の後は、日本のアニメグッズが売ってる店を一緒に見たり、
2人とも大好きなコヴェント・ガーデンの店を見て回ったりして、
歩き疲れた後はお茶をしながら、日本語や英語についてやお互いのプライヴェートについて喋りました。

私が体力があって時差ぼけ気味じゃなかったら、もっとあちこち行けたのですが、
数日の疲れも溜まってたので暗くなり始めたころに帰ることに。
名残惜しかったですが、レスタースクエアでリサと別れました。

リサは初対面でしたが、とても優しくて思いやりがあって、年下だけどとても頼りになる子でした。
だからこそ私ともずっとやりとりしてくれてるんだろうなぁ。
彼女とは今でもLINEで近況を報告しあっています。
フェイスブックの「いいね!」のマークを見ると、会う人皆に笑顔でするリサを思い出します(笑)。
次に会うときはもっと英語でスムースにおしゃべりできるといいなぁ。頑張ろう。

旅行記は続く。
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マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その2「TLoGと一緒に!」

2016-02-28 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日 続き■

さて、"Three Days in the Country"上演後。
その1で書いた通り、席を立つとマークに再び会うために、再び楽屋口に向かいました。



向かいが駐車場入口になっているので、そこで寄りかかって待つ事に。
同じように待っているファンはお昼と同じくらいの人数だったでしょうか。
待ち始めると、すぐに先ほど会話を交わしたスティーヴが楽屋に入っていきました。
リース・シェアスミスと一緒に!!
(えっ、リースを知らない? 『ここ』をまだ読んでいないのかっ!)

リースが一緒に来ているとは思いませんでした!
いや、考えてみれば当然のことですが、
マークの誕生日に2人一緒に訪れるなんて、なんて仲良しなんだ!
今は一緒に活動していないとはいえ、
3人は単なる仕事仲間ではなく今でも学生時代からの友達なんだなと思うと胸熱です。

楽屋口の前からはキャストの控え室のバルコニーが見えるのですが、
マークの誕生日ということもあってか、関係者はお酒を飲んだりして楽しんでいるようでした。
皆部屋とバルコニーを行ったり来たりしている様子を眺めることが出来ました。

盛り上がっているのか、マークはなかなか出て来ず、
共演者のRoyce PierresonやAmanda Drewらが関係者と帰って行く様子を眺めながら、2時間経過。

終電の時間も過ぎた深夜0時頃、やっとマークが出てきました。
もちろんスティーヴリースも一緒です。

マークがファンのサインに応えてる間、スティーヴリースは横で待っていたので、
その隙に、もう一度スティーヴに話しかけました。
「あ、また会ったね!」
「先ほどはどうも。言い忘れていたんですが、"Inside No.9"の新シリーズ、楽しみにしてます!」
「ああ、ありがとう!」
「(リースに)一緒に写真を撮らせてもらってもいいですか?」
「いいよ、いいよ!全然構わないよ!」
リースはファンに厳しいイメージがあったのでビビってましたが、気楽なノリで安心しました。
そして大好きな2人と一緒にセルフィーを撮る事が出来たのです!!

その後、マークに挨拶しました。
「やあ、来たね」
ニヤリとするマーク

お昼に会った時には花束の配達の確認しか出来なかったので、
改めてありったけの元気な声で「誕生日おめでとう、マーク!」とプレゼントを渡しました。
花束は日本のファンのみんなからですが、このプレゼントは私から。
日本の幽霊・奇談を英語で紹介した本と、妖怪の絵本(これも英語)を選びました。
実はこのプレゼントの選択も散々悩んで悩んで悩んだ結果、ギリギリに注文して自分で包装したものでした。

マークは嬉しそうに「ありがとうー!!」と受け取ってくれました。
紙袋の中を覗く姿が、おもちゃの封を開けたい子供の様で微笑ましかったです。
その好奇心を制して、サインをおねだりする私(笑)。
写真も、近くにいたファンが撮ってくれました。
が、後で見てみたらブレブレ(苦笑)。やっぱりセルフィーすればよかった。

その後、前日のトークイベント"Masterclass"で話していた映画「おくりびと」について訊きました。
このイベントで、お父さんと「おくりびと」を一緒に見て感動したと語っていたのですが、
どこでどうやって見たのか知りたかったからです。(私が聞き漏らしていたのかもしれませんが。)

「『おくりびと』はどこで見たんですか?」
「あれは父の家で見たんだよ」
「DVDでですか?」
「テレビでやってたんだ」
「テレビで!私も好きなので、あなたが気に入っていると聞いて嬉しいです」
「うん、素晴らしい映画だよね!」

マークのサインが終わると、3人は共にその場を去ろうとしましたが、
他のファンが引き止めて、3人と写真を撮り始めたので、
どさくさに紛れて「私もいいですかっ!!」と忍び寄り、
マークリーススティーヴと共に写真を撮らせてもらいました!



ついに!リーグ・オブ・ジェントルマンの3人と!
もちろんもう一人のメンバー=ライターのジェレミーもいたら最高ですが、
こんな機会、そうそう巡り会えるものではありません。
もうこれ以上ない幸せです!!!



帰りは終電がなくなっていたので、徒歩でマーブルアーチまで歩いてナイトバスに乗る事になりましたが、
天にも登る気持ちで、全く苦にはなりませんでした。

次の日はクタクタで、いつの間にかベッドの上で寝落ちてましたが、
夢だったんじゃなかろうか?と不安になって、
4人で撮った写真が残っているのを何度も確認しました。

3人ともとても優しかった…
特にスティーヴは結局3回も一緒に写ってくれて、
しかもどれも最高に素敵な笑顔で泣けてきます。
マークは何度も話しかけているけれど、スティーヴリースも、
映像で聞いたままの声をしていて、今思い出しても震えそうです。
今になって、本当はあれも言いたかったこれも伝えたかったと思いつくこともありますが、
あの時の私にはこれが精一杯だったし、自分の持つありったけの勇気がなんとか実を結んだように思います。

その出待ちの後、
リースと共演者のRoyce Pierresonがそれぞれメンバーの画像を投稿していました。





3人は、リーグ・オブ・ジェントルマンはいずれ再結成するかも…?と語っているので、
その打ち合わせも兼ねていたのかもしれませんが、
この画像を見ると、本当に今でも仲が良さそうで嬉しくなってしまいます。
もちろん再結成のライヴでも発表された暁には、何があってもまた3人に会いに行きたい…!
それまで3人には(もちろん私自身も)元気でいてほしいものです。



そして、"Three Days in the Country"の舞台はもう少し続くのでした。
千秋楽の様子はまたのちほど。

旅行記は続く…。
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ナショナル・シアター"Three Days in the Country"を観る【祝・オリヴィエ賞受賞】

2016-02-24 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日 続き■

英国旅行記の続きですが、ここでおめでたいニュース。
2月21日にロンドンで行われた、ファンの投票によって決定する演劇賞"WhatsOnStage Awards"で、
マーク・ゲイティスが"Three Days in the Country"の演技で最優秀助演男優賞を受賞しました。



マークは前年にもドンマー・ウェアハウスで上演され日本でも映画館上映された「コリオレイナス」で受賞。
それまでも舞台版「オール・アバウト・マイ・マザー」やアラン・エイクボーンの喜劇"Season's Greeting"、
ジョージ・ファーカーの喜劇"The Recruiting Officer"等、何度もノミネートされては逃しており、
「コリオレイナス」の頃になるとあまり受賞を期待していなかったようですが、
今回で2年連続受賞の快挙となりました。



(2016年4月9日追記)
そしてさらに! 第60回オリヴィエ賞の、最優秀演劇助演男優賞も受賞しました!!


オリヴィエ賞は「コリオレイナス」以来2回目のノミネートで、今回初の受賞。
もしかしたらもしかして…と思っていましたが!
ファンとしてマークの熱演が評価されて、本当に嬉しい!



彼の出演した"Three Days in the Country"は、ロシアの劇作家ツルゲーネフの「村でのひと月(A Month in the Country)」を元にした翻案で、
原作で描かれている一ヶ月を3日間に短縮しています。
(「村でのひと月」は、バレエとしても上演されていますが、こちらは登場人物が一部削られた物語になっています。)

ドラマ「ドクター・フー」のファンの間では、マスター役のジョン・シムと、
脚本家であり出演もしているマークの共演という点でも注目されていました。
私も昨年戯曲を予習してこの舞台を2度見に行ったので、その時の様子を含めて紹介しますね。



劇場に入ると真紅の幕が下りていました。
開演と同時に幕が開くと、舞台にはロシアの田園風景が背景にあり、
上手下手は舞台袖もなく、照明などが丸見えになっています。
舞台上で使われる小道具や演奏されるピアノなども脇に置かれているのが見て取れます。

田園の背景の前には椅子が並べてあり、
登場しないキャストは舞台脇に捌けず、この椅子に座って待機しています。
「コリオレイナス」の時みたいですね。

あとは舞台の上の方に真紅のドアが吊るしてあって、
第一幕は上の方に下がっているのですが、これが第二幕には舞台に下りていて貯蔵庫の入り口になります。



舞台は1800年代のロシアの田園地帯。
田舎の屋敷に住むナターリア(Amanda Drew)は、
村の地主で屋敷の主人である夫アルカーディ(John Light)との間に恵まれた幼い息子コーリャと、
養女のヴェーラ(Lily Sacofsky)、義母のアンナ(Lynn Farleigh)と彼女の友人リザヴェータ(Debra Gillett)
コーリャのドイツ語の老家庭教師シャーフ(Gawn Grainger)
そして、ナターリアとアルカーディの共通の友人である同居人ラキーチン(John Simm)に囲まれて
穏やかな日常を過ごしていました。

そこに、若い家庭教師のベリャーエフ(Royce Pierreson)がやってきたことで、波乱が起こります。

Three Days in the Country: Turgenev, unrequited love and comedy


同居人のラキーチンは夫妻の初対面の場にも立ち会っていた友人で、
彼はその頃からずっとナターリアに惹かれ続けているのですが、
当のナターリアが、新任の若く美しいベリャーエフへ密かに心焦がれていることに気付きます。

ところが、彼女の養女のヴェーラベリャーエフに惹かれていて、
その若さゆえか、お互いに思い合っていると信じ込んでいます。
ヴェーラベリャーエフと親し気にしている様子を見たナターリアは、
村医者のシュピゲルスキー先生が持ち込んだ、ヴェーラと近隣に住む中年の地主ボリシンツォーフ(Nigel Betts)の縁談を受け入れることにします。

マークが演じているのはこのシュピゲルスキー先生です。

Mark Gatiss | Three Days in the Country | National Theatre


筋書きだけ見ているとシリアスなラヴストーリーのように見えますが、
このシュピゲルスキー先生がいることで、特にコメディ色が強い舞台になっています。

自ら「誤診のマエストロ」と名乗るお調子者なシュピゲルスキー先生は、
新しい馬を買ってくれると約束したボリシンツォーフのために、
ヴェーラたちとの食事会の約束を取り付けますが、臆病なボリシンツォーフは腰が引けて帰ろうと言いだします。

そこで先生は石で出来たベンチを墓に例えて、杖で指しながら
「手入れされてない墓。苔むして、フンが落ちている。
 『ボリシンツォーフ、ここに眠る。彼は一人で生き、跡継ぎを残さず、財産は彼と共に死んだ』
 『どうしてそうなったの?』
 『ああ、ランチにいかなかったからじゃないか?』」

などと一人芝居をして励まします(笑)

そのシュピゲルスキー先生も、ボリシンツォーフに感化されたのか、
ナターリアの義母の友人であるリザヴェータに突然求婚したりします。
この第二幕はじめの演技が、最も笑えて最も注目された場面です。



散歩中に雨に降られたシュピゲルスキー先生とリザヴェータは、貯蔵庫で雨宿りします。
絶好の機会とばかりに彼女に跪き、プロポーズしようとする先生。
そこで、突如跪いた彼を襲う腰痛!
こののたうち回る演技に劇場中が爆笑!
木箱を使って、まるで蜘蛛が地面を這い回るように必死に立ち上がろうとする先生の姿に、
横っ腹が痛くなるほど笑ってしまいます。

「うおぁぁぁー」と悶絶しながら、それでも「私が跪いていると想像して聞いてくれ…」とプロポーズを試みるのですが、
そのプロポーズも独特で、まるで『シュピゲルスキー先生の関白宣言』といった感じ(笑)。
お前を嫁に貰う前に言っておきたいことがある…といった具合に自分の身の上を語りだす先生に、
リザヴェータ「メモ取っていい?」(笑)。
リザヴェータ役のデブラさん(翻案した劇作家パトリック・マーバーの奥さんでもあります)の表情も豊かで笑いを誘うんですよね。
そして先生も彼女に読み聞かせるために驚く程長い巻物のような走り書きを取り出します(笑)。

面白い内容とはいえあまりに自分勝手で且つ長いのでここでは省略しますが(笑)、
つまり、彼は気難しく人嫌いでも性格を変える気はさらさらないし、混沌とした家に暮らしているけれど、
定収入と倹約があればひとつ屋根の下で一緒に暮らして行けるだろうというものです。
「さあ、どうかな?」
巻物を読み終わると、見せ物が終わったサーカス団員のように、手を広げてアピールするシュピゲルスキー先生(笑)。
(観客はここで拍手していました・笑)



今まで何年も会話をしてきたのに、何故突然そんな事を"提案"するのかと訊くリザヴェータに、
やっと腰痛から解放された先生は言います。

「ああ… 夏の狂気とでも呼んでくれ」
「なるほど、日射病なのね…」
←(笑)
「許してくれ、真実を前に私は軽薄なんだ。
 今まで話さなかったのは… 言葉を知らなかったからだ。
 君は軽蔑すると思っていた。
 だが、ボリシンツォーフの後見に、死への恐れ…
 昨日君が言った『服(clothing)』の言い方… 今朝の君の深くて孤独な青い瞳…
 それらの真実、単純なことが私を奮い立たせた。
 何年も君を見てきた。君は素晴らしいと思う。
 私は誰も愛せなかった。だが君なら愛せると思うんだ」


彼女の手にキスをする先生。
始めは自分勝手な先生の求婚に呆れ気味だったリザヴェータも、
この先生の言葉に心を打たれます。
そして、先生は決して上手くはないと言いながら、彼女に歌を歌って聞かせるのでした。



一方、養女ヴェーラボリシンツォーフとの縁談の話をするナターリア
ところがヴェーラは家庭教師のベリャーエフとの縁談だと勘違いします。
ヴェーラから家庭教師と互いに思い合っていると聞かされたナターリアは狼狽し、
同居人のラキーチンに助けを求めます。
ナターリアに片思いしている彼にとっては辛い役割ですね…。

ラキーチンは、彼を解雇するようナターリアを説得しますが、
ベリャーエフと話したナターリアは、
彼が実際には養女ではなく、ナターリアの事を愛していると告白され、決意が鈍ります。
やはり彼を屋敷に置いておきたいというナターリア、それを責めるラキーチン
熱のこもった口論の末、2人は突発的にキスをしてしまい、その様子を夫であるアルカーディに目撃されてしまいます。
夫は2人が浮気していると勘違い… ここがややこしいところ。



ラキーチンは観念して、夫のアルカーディナターリアをずっと愛しつづけていたこと、
また、彼女が彼を愛することはないと説明し、屋敷を出ると告げます。
親友が妻に思いを寄せていたことに驚き、また別離に心を痛めるアルカーディ
そして、ラキーチンベリャーエフに彼が混乱をもたらした事を責め、
自分と共に屋敷を離れるよう言って聞かせます。

「お前は自分を、女を、人生を憎む!愛を必要とするどうしようもない心をな。
 聞け。愛するも愛されるもしない、ただそうすればお前は安全だ。
 信じないだろうがな、だが…お前はそうなるんだ」

そして、むせび泣くラキーチン。切ない…。



ベリャーエフナターリアが互いに思い合っていると知ったヴェーラは激怒。
浮気女と罵ったことでナターリアに平手打ちされたヴェーラは不本意なボリシンツォーフの縁談を受けて家を出ることを決意します。

そして、ベリャーエフは、ヴェーラナターリア宛の手紙を残し、黙って屋敷を去ります。
家庭教師がいなくなって悲しむ息子の様子を見たナターリアヴェーラに理由を訊き、
手紙を残した彼が黙って去った事を知り、打ち拉がれるのでした。



ちなみにボリシンツォーフの縁談がまとまりそうで喜んでいたシュピゲルスキー先生も、
リザヴェータからプロポーズを断られてしまいます…
「おーぅ…」という残念な声が上がる程、観客もこの結果に同情。
陽気な先生の意気消沈っぷりが可哀想でした。まあ、予想出来た結果なんですけどね。

ラキーチンも最後に屋敷を去ります。
残された息子のコーリャを慰めるように、老家庭教師シャーフがカードゲームに誘います。
コーリャの手札には3つの"ハート"。
「いいぞ。それは必要になる」

こんな感じで、笑える芝居だけど、最後には誰も幸せになってないという
ボリシンツォーフは別ですが、)
なんとも切ない英国製ロシア悲喜劇"Three Days in the Country"。

上演中にマーク・ゲイティス本人に質問が出来るという機会があったので、
この中で「誰に同情しますか?」と質問を投げかけたところ、運良く回答を頂けました。



曰く、
「彼ら全員に同情するよ!皆かなり絶望的で、めちゃくちゃにされた人たちだ。我々のようにね。」
とのこと。
でもあなたはめちゃめちゃどころかパーフェクトでしたよ!



各紙の批評を読んでみると、笑いが強調されすぎて社会的な側面が薄れ、
バランスが崩れているといった内容が目立ちました。
確かに(パトリック・マーバーは元々コメディアンということもあってか)笑わせるところは多かったですね。
その中心にいたのがシュピゲルスキー先生だったことは明らかですが、
彼の演技自体は高評価だったと記憶しています。

ワインを持って眠りこけるシャーフのグラスを勝手に取って飲んだり、
死んでるのか疑って脈を計ってみたり(笑)。
ラキーチンとラズベリーを取り合う場面なんかもありました。
とにかく本来の?コメディのフィールドで生き生きと演じているのが感じとれたのです。

「コリオレイナス」でのメニーニアス役もコミカルさと悲哀がいい対比になって素晴らしい演技でしたが、
シュピゲルスキー先生の言動で観客が笑い、それがさらにパワフルな演技への原動力になっている様子は、
見ているこちら側もエキサイトさせられました。
この舞台を見た観客なら誰もが納得の受賞なのではないでしょうか。
本当におめでとう、マーク!





次回は「マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その2」です。
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マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その1

2016-02-13 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日 続き■



モルトビー・ストリート・マーケットの後はいよいよナショナル・シアターへ。
今回の旅のメイン・イベント"Three Days in the Country(以下TDitC)"の観劇ですが、
その前に私にはひと仕事する必要がありました。



今回、この舞台のチケットを2日分購入していました。
一つは千秋楽、もう一つがこの17日の分です。
なぜ17日も買ったのか?それは出演者であるマーク・ゲイティス氏の誕生日だからです!




今まで彼へ誕生日に日本からカード等を贈ったことはありましたが、
大きなものは贈ったことがありませんでした。
でも、直接ならプレゼントらしい品物を渡せると思ったわけです。
舞台公演中と誕生日が重なったのはこの2、3年で初めてのはず。なかなかない機会です。

特に私が贈りたかったのは、ちゃんとした花束でした。
以前舞台を見に行った時に、一輪だけ花を渡した事はあったのですが、
持ち歩いて萎れ気味になって、とてもしょぼかったので、
今回は誕生日らしい豪華なお花を贈りたかったわけです。

それに、出来れば私だけじゃなくて、沢山の人が祝っていると分かってもらいたい。
(でも、誰かに声掛けする勇気なんてないわ…。
 それに劇場に送っていいのかどうかも分からないし…。)
しばらくウジウジ悩んでいたのですが、
上演しているナショナル・シアターから「送ってもらえれば関係者に渡しますよ」とメールで返事を貰った事で、
よし、やってみよう!と決意が固まりました。

1ヶ月前からTwitterで声掛けをすると、期待以上に賛同してくれた方が集まりました。
皆さんのメッセージをピックアップし、連名のカードを添えた花束を、
自分で持って行くのではなく、現地ロンドンのフローリストに配達の注文。
発送状況はそのお店からメールでその都度知らせてくれるとのことでした。

ただ、どんなに間違いなく注文したと思っても、本当に届いているのか不安を感じてしまうもの…。
不備があったら「一緒に贈りたい!」と参加してくれた皆さんにも申し訳ない…。
当日の朝、フローリストから発送されたとの連絡メールは貰いましたが、
思い切って、マーク本人に受け取ってもらえたか確認してみることにしました。



17日は土曜日なので昼と夜公演があります。
昼公演は16時半くらいに終わるはずだったので、それまでナショナル・シアターのラウンジで待機。
この間に、チケットの発券も完了。
劇場から観客が出て来たのを確認して、ステージ・ドアへ向かいました。

待っている間、アンドリュー・スコットが楽屋口に入っていくのが見えました。
アンドリューはマチネで見ていたんですね!
スタスタと早足で入っていったかと思うと、十数分か経つとまたスタスタと出て来て、
ファンのアンドリュー!という呼びかけに手だけ振って去って行きました。
マークの誕生日に合わせて見に来たんでしょうか?

その後、若手の共演者の皆さんが来客と談笑しながらドアの前を言ったり来たりしている様子を見ながら、
30分ほど経った頃、マークが3人程の連れの方々と一緒に楽屋から出てきました。
(また「スペクター」のバッチ付けてる!)



10人程のファンの一人一人にサインや写真撮影をしているのを見守りながら、
そろそろ終わりかなというところで、意を決してマークに話しかける私。

「日本からのお花は受け取られましたか?」
「うん! あれは君からのだったの?」
そう言うとマークは私の手をしっかり握り、満面の笑顔で
「どうもありがとう!ビューティフルだよ!」
と喜んでくれました。

そしてハッ、と何か思い出したように一歩退いて
「"キャプテン・ロック"からだね?」
とニコニコしながら言うのです。

私は一瞬、何の事か分からず
(あれ、そんな花屋さんの名前だったっけ? ちがうよな。連名っていうことか?)と勝手に考えて、
「あーそうですそうです(笑)」と適当に相づちを打っていたのですが、
後から考えると、あれはマークが出演していた、"Who Do You Think You Are?"という番組にヒントがありました。

"Who Do You Think〜"はNHKで放送されてる「ファミリー・ヒストリー」の元ネタだと思うのですが、
有名人が自分のルーツを自ら探って行く番組です。
マークはこの番組で、亡くなったお母様の先祖を辿って北アイルランドに渡っていました。

彼の祖先ジョージが、雇われ農場管理人として小作人に賃貸料の取立をしてた時代、
疫病が流行ったり、作物が不作だったりと農民の不満が溢れ、
ジョージのような所謂中間管理職が農民の領地を侵害しないよう、
小作人たちが匿名の集団を雇い、脅迫状を送って脅していたらしいのです。
そしてその匿名の集団が、キャプテン・ロックと名乗っていたそうなんですね。

だから、マークの「キャプテン・ロックからだね?」というのは、
集団で脅迫状を送ってきたんだろ?というマークのジョークだったのですが、
私はそのボケを殺してしまったと最近になってやっと気付いたのでした(笑)。

"Who Do You Think〜"はついこの数日前に放送されたばかりで、日本では当然放送されてないのに、
なんて難易度高いジョークをかましてくれるんだ!(笑)
「そうです、あなたを殺しにきました!」って言えばよかった!(笑)

しかしながら、この発言から私一人ではなく、
集団で贈られたと分かってもらえているということも、はっきりと確信出来たのであります!
連名という理解も、全く間違いというわけではありませんでした。

「あー、ヨカッタ…」
ひとまず安堵する私。
これで皆さんに無事に届いたと報告が出来ます。
「私は今夜の舞台を見るつもりです。それで…」
後でまた会いに来てもいいですか?と訊こうとすると、その前にマークは
「オーケー、わかった。君に会いに出て来るよ」と素早く返答。
そして、連れの方たちと去って行ったのでした。

会いに出てくるよ、というのは、「コリオレイナス」の時にも聞いたので、
(あの時はこの時以上にド緊張してて、何を言っているのか聞き取れないくらいだった…)
実際には出て来ても来なくてもこんな返答をしてくれるとは分かってるのですが、
ついつい嬉しくなってしまいます。



芝居が始まるまでは、ラウンジに戻って戯曲を読み返しました。
ナショナル・シアターのラウンジは落ち着きます。
ブックショップもリニューアルしていて、お土産にも喜ばれそうなロンドンについての絵本やステーショナリー、
ダブルデッカー型のバス等の木製おもちゃ、ナショナル・シアターオリジナルのマグやトートバック等のグッズもあります。
(TDitCにちなんで、凧も売っていました。劇中に凧が登場するんです。)
日中は人も少ないし、ゆっくりくつろげるので、もし近くに住んでいたら毎日でも時間を潰しに来たいくらいです。



この前日、ベネディクトの「ハムレット」も見ていたわけですが、
そのチケット代を一緒に見たフォロワーさんから受け取るのを忘れていたので、
ナショナル・シアターで待ち合せをして(私の都合に合わせて頂いて申し訳ない…)、
1階のエスプレッソ・カフェでお茶をご一緒しました。

その間に個人的なお話をしたり、「ハムレット」の事を思い出したり、先ほど確認したお花の件を話したり。
短いけれど楽しいひと時が過ぎ、上演時間が近づいた頃、
劇場となるLyttelton Theatreに向かいました。



※ナショナル・シアターの中にはOlivier TheatreとLyttelton Theatreの2つの劇場があります。

入場のために前もって発券しておいたチケットを係のお姉さんに見せると
「あちら側の入口です」と逆方向の入口を指されました。
あれ、間違えたか?と思い、もう一方の入口に行くと、
今度は「向こうの入口ですよ」と、先ほど行った入口に戻るよう案内するではないですか。
どうなってるんだ?と思ったら、17日と21日のチケットを両方見せていた事に気付いたのでしたw
今日のチケットは初めに行った方の入口で間違いなかったのですが、
もう一枚の21日はもう一方の入口だったんですね。

そんな感じでウロウロしていると、
見覚えのある男性がラウンジのソファーで上着を脱いでいるところを見つけました。

(あ! スティーヴだ!!)

そう、リーグ・オブ・ジェントルマンのスティーヴ・ペンバートンが来ていたのです!
(え?リーグ・オブ・ジェントルマンを知らない? それじゃあこちらを読んでくれ!)

私はすっかり舞い上がってしまい、普段なら絶対しないことですが、思わず彼に声を掛けてしまいました。
「すみません、スティーヴですか?」
「はい!」
「私、あなたのファンです!リーグが大好きで、Mapp and Luciaも大好きで…」
「おー!ありがとう!」

そして、一緒に写真を撮ってもいいですか?と聞くと、
いいよー!と快諾してくれました。
(咄嗟にお願いする事が写真以外に思いつかなかった…)



スティーヴは先日観劇中に倒れ、「リトル・ブリテン」でお馴染みのデヴィッド・ウォリアムズが運び出したとニュースになっていました。
だから、スティーヴに直接「体を大事にしてくださいね」と伝えたかったのです。
それに彼が脚色&出演したドラマ"Mapp and Lucia"もシリーズ2が製作されないらしいので、せめてファンがいるってことも伝えたかった…。

スティーヴは映像で見るままの愛らしい笑顔で、
あのキレイな青い瞳と優しい声で受け入れてくれて、天にも昇る気分でした。

"Mapp and Lucia"のロケ地であるライに行ったことや、
彼の舞台をまさにそのナショナル・シアターに見に行ったことがあるということも伝えたかったのですが、
開演が近いこともあって、とても悠長に言葉を見つける余裕はありませんでした。
お礼を言って、「楽しんでくださいね!」と声を掛けて立ち去るのが精一杯。
それでも、無事に席に辿り着けた私は、幸せな気分で胸が一杯でした。
リースとはなかなか縁がないなーと贅沢なことを思いつつ…。

そして、舞台の幕は上がったのでした。


…次回に続く。
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モルトビー・ストリート・マーケット

2016-02-01 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日■

この日は待ちに待った"Three Days in the Country"観劇の日!
でもその前に、今(少なくとも2015年時点では)話題のマーケットに行って参りました。
モルトビー・ストリート・マーケットです!
2015年の秋に発売された雑誌のロンドン特集で必ずと言っていいほど取り上げられていたこのマーケット。
ロンドンの"食のマーケット"といえば、バラ・マーケットが有名ですが、
その東に位置するこのモルトビー・ストリート・マーケットが今熱い!というのです、



最寄りのバーモンジー駅で下車。
本当は近くという事もあるし、金曜日のバーモンジー・アンティーク・マーケットに寄った後にきたかったんですが、
モルトビー・ストリート・マーケットは土曜日のみ開かれている市なので、翌日に行く事になりました。



駅前のジャマイカ・ロードをまっすぐ西へ進んで、アビーストリートという道に入ると、
モルトビー・ストリート・マーケットの反対側、ドルイド・ストリートに出ます。



元々高架下に集まっていたベーカリーやコーヒー店の工場が集まっていたらしいのですが、
そこから屋台を出してみたら繁盛するようになり、毎週人の絶えない人気のマーケットになったとか。
ここもカフェや食事処になっていますが、今回は時間の関係上先に進みます。
さらに先、高架下をくぐると、活気のある小道があります。



モルトビー・ストリート・マーケットと呼ばれていますが、店が出ているのはロープ・ウォークという高架に沿った道。
この道の左右にレストランやストールが立ち並んでいます。



辿り着いたのはちょうど正午頃でしたが、細い道にあちらからこちらから人の流れが!
かなりの混雑っぷりです。
日本やアジアからの観光客も見かけました。



入ってすぐのスモークサーモンの店。さっそく美味しそう。
バケット?の上にサーモンとチーズが乗ってます。



ワッフルのストール。これも美味しそう!
もうちょっと経って、午後のデザートに食べたいですね。



食べ物だけじゃなくて、石鹸やルームフレグランスを売っているストールも。





スコッチエッグにチョコレート、サンドウィッチにホットドックと、
どれもこれも美味しそう。お昼に何を食べるべきか、なかなか決められません。
私はひとりだったので気が引けましたが、高架下のレストランに入っても良さそうですね。

どれを食べようか悩みながらロープ・ウォークの最後まで辿り付くと、
近くに中古家具屋さんがあったので覗いてみました。



外まで家具が並べられていますが、中もぎっしり。
店を突っ切って、反対側のドルイド・ストリートに出ることも出来ます。



時代を感じる可愛いポットや貯金箱。右側はブタ特集ですね(笑)。
割れ物だから持ち帰るのが大変そうだけど、どれか買っておけばよかったかも。



なんだかよく分からないスイッチの付いた機材。
見る人が見れば分かるものなんでしょうか。
こういう用途が分からない代物、無意味に欲しくなっちゃう。



古いミシンにタイプライター。インテリアとしてもお洒落かもしれませんね。
そして…



ぎゃー!生首!…もちろん作りものですが。
ホラー映画に使われた小道具でしょうかね?

さて、再度マーケットに戻り、迷いに迷って、
結局、昼食はステーキラップを買いました。
ビーフです。日本でもあまり食べないのに、なんだか急に牛を欲してしまった…。




肉です。この重量感。ずっしり。
始めはお腹が空いてたのでガツガツ食べていましたが、だんだんスピードが鈍ってくる…。
結局最後は残してしまいました。牛さんごめんなさい。でも美味しかったですよ。

そしてデザートはマーケット名物の人気ベーカリー、セント・ジョンのカスタード・ドーナッツ。
ドルイド・ストリートにベーカリーがありますが、こちらのレストランにも置いてあります。
2ポンドくらいだったかな。お腹いっぱいで食べきれなかったので、ナショナル・シアターまで持ち帰りました。
英国のデザートは吐き気がするほど甘いイメージですが(笑)、このドーナツは甘さ控えめ。
さっぱりしていて食べやすい。美味しいです!
入手するには並ばないといけないと聞いていましたが、なんで並ばないですぐ買えたんだろう。謎。



混んでいてお店の前の写真が上手く撮れなかったけど、
セント・ジョンの看板は見えるでしょ?

ストールで買ったものは座るところはあまり用意されてないので、基本立ち食い。
まあ、どこのマーケットも"立ち食い座り食い"で仲間と喋りながら食べるのがオツって雰囲気はありますよね。

バラ・マーケットは広すぎて一日で探索するには時間が足りないけれど、
(それに教会の脇は鳩がたくさんいて汚かったりするし、)
このくらいの規模なら疲れない程度に迷って自分の食べたい一品を見つけられそうですね。

さてさて、腹ごしらえの後は、ツーリーストリートに出て、バスに乗りナショナル・シアターへ!
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バービカンでベネディクト・カンバーバッチ主演の「ハムレット」を見る

2016-01-31 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月16日 続き■

マーク・ゲイティス出演のトークイベントが終わった後は、
バービカン・センターで上演される「ハムレット」へ向かいました。

日本でも1月に映画館上映され、私ももう一度映画館で見直したので、
この機会に振り返っておきたいと思います。

元々、この旅はマークの""Three Days in the Country"目当てで、
チケット発売後に即完売した「ハムレット」は見られないだろうと完全に諦めていました。
バービカンがチケット発売後に(確かsky arts提供の)10ポンドチケットを抽選でリリースすることになっていたので、
それだけイチかバチか応募しておいたのですが、これも応募が殺到するだろうし、まず無理だろうと思っていたのです。

ところが!


当たった!
何件の応募があったのか忘れてしまったのですが、
(確か何万かあったような…そのうちの60枚分だったか…)
一生分の運を使い果たした感。




ロンドン博物館の前を通ってバービカンへ。
セント・ポール駅からだと少し歩くので迷いそうになります。
当時ロンドン博物館では犯罪史に関する特別展をやっていたので
本当は近くに来たついでに見てみたかったんですが、今回は時間の都合で無理でした。
劇場のあるバービカン・センターの中も、温室があったり、ゆっくり滞在出来るスペースがあると聞いていたのですが、
そこまで回る余裕はなく…

Box Officeでチケットを発券した後、
ご一緒するフォロワーさんとカフェの前で再会。
前回の渡英時に「ハムレット」を見に行きたかったと聞いていたので、
今回取ったチケットのうち一枚をお譲りしたのですが、
それをきっかけに無理に渡英を調整させてしまったようで若干罪悪感…(苦笑)

バービカン・センターの中はフロア構造が初めて訪問する人間には分かりにくく、
「トイレはどこだ?」「さっきいたカフェにはどう戻れば?」という状態でした。
(しかもトイレの洗面台のスイッチが足踏みボタン式だった!)



劇場の外には大きな垂れ幕が。
入口前には撮影禁止、携帯の電源はOFFの注意書きが置かれていますね。
プレビュー時に撮影をする観客がいたとか、客席のマナーの悪さが話題になっていて、
ベネディクト本人がステージ・ドアでファンに観劇に当たってのお願いをするなんていう一幕もあったこの作品。
演者に作品以外の心配をさせてしまうというのは残念なことです。



グッズ売り場ではパンフレットとマグネットを購入。
マグカップやノート、シェイクスピア関連の作品も置いてありました。

当選した権利で入手出来た席は、Upper Circle下手端一番前の席。
照明のすぐ横で、完全に舞台の下手は見えない位置でした(苦笑)。
まあ10ポンドだから仕方ありません。
でもこのエリアの席は1人分の椅子がワイドでその点はいいかも。

バービカン・シアターに来たのはこれが初めてでしたが、
席の列ごとに入口が分かれているのが面白かったですね。
席が途中で通路によって分断されていない。その分、休憩後に戻るのが大変ですが。

私のすぐ横に丸椅子が置いてあったので、気になっていると、
開演前の隣に劇場の女性がやってきて
「上演中、私がここに座りますけどいいですか?」
と訊かれました。スタッフ用の椅子だったんですね。

いいですよ、と返すと、その彼女からさらに
「見るのは何度目?」と話しかけられました。
(即完売のチケットなのに、そんなにリピーターがいるのか?!)
内心驚きながら、
「いや、これが初めてで」というと、
「べネディクトのファンで見に来たの?」
「そのー… はい///」
「じゃあ興奮してるでしょう!? 私、観客が笑ってるの見るの好きなの」
楽しそうに彼女は言うのでした。
(笑う? 「ハムレット」って一応悲劇だよね?)
その時は疑問に思ったのですが、
実際に舞台を見てみてみると、彼女の観客の笑いという意味が分かったのでした。



日本から観劇しにいった方も多いでしょうし、
日本でNT Liveを見た方もいるでしょうから、舞台の様子を説明するまでもないと思います。
私が見たのはNT Liveの収録の次の日なので、演技も演出も雰囲気は全く同じです。

前述した通り、私の席は左端だったので、
下手の大階段は全く見えず、ハムレットが父の亡霊に会いに行く時にいた2階の様子も全く見えません。
しかし、冒頭にハムレットがレコードを聴いている場面は
「ベネディクトがすぐそこにいる!」と近くに感じられました。

プレビュー時はあの有名な「生きるべきか死ぬべきか」がいきなり冒頭に出て来たと話題になっていましたね。
これはさすがに不自然ということか途中で変更になり、私が見に行った上演後半も、冒頭はホレーシオとの再会場面から始まりました。
いつもなら亡霊とホレーシオたち3人の場面から始まりますが、そのシーンはばっさりカット。
ハムレットの部屋から、後ろの幕が上がって、大広間のセットが見えて来たところは興奮しました。

問題の「生きるべきか」の台詞は、気が触れたフリをしてポローニアスを魚屋と呼ぶ場面の後に挿入されています。
これも、実際の戯曲とは違い、通常であれば、これもまた有名なオフィーリアへ言う「尼寺へ行け」の前に入るはずです。

NT Liveで見直した記憶では、ローゼンクランツとギルデンスターンが初登場してから
すぐに2人ハムレットに面会していますが、これも本来はポローニアスと王&王妃のシーンがあったはず。

そんな感じで、有名なシーンがあちこち入れ違っているため、
なんとなくハムレットのストーリーの流れを把握している人間には違和感が残りました。
地元英国の演劇ファンにしてみれば、毎回同じハムレットを見るのは退屈かもしれませんが、
今回のハムレットはおそらく演劇自体が初心者の観客も多かったはずなので、
順を追って、オーソドックスにやってもよかったのではないでしょうか。

肝心のベネディクトは、とてもエネルギッシュで、思い悩みながらも端々でユーモアを感じさせる、
チャーミングで誠実なハムレットに見えました。
狂人のフリをする時の兵隊ハムレットも可愛らしかったし、
ローゼンクランツや役者たちと話しているときの身振りやダンス等、
なんでもないシーンの中にも彼の茶目っ気演技が見えて、スタッフが言ってた「笑い」はこの部分だなと納得。
彼の観客を惹き付ける力を強烈に感じました。

ただ、私がこのバービカンの「ハムレット」以前に見ていた「ハムレット」はロリー・キニアの映像で、
それを見た時の面白かった!という爽快感は、残念ながらあまり感じなかったというのが正直な感想です。

演出上の疑問点もいくつかありました。
一幕最後の大量の粉塵の意味や、やたらスローモーションが多用されていた意味も気になりました。
(あんなにスローモーションを使った舞台をロンドンで見たのは初めてだった…日本ではよく見るけど)
もっと掘り起こしたら説明しているレビューがあったりするのかな…

他には、オフィーリアの存在が印象に残っていました。
私がハムレットを知る前に思い描いていたオフィーリアのイメージってあんな感じ。
最期にとぼとぼと部屋を去るオフィーリアにこれから起こることを察知したガートルードが、
慌てて彼女の後を追いかけるシーンは目に焼き付いて、今でもすぐに思い出せます。

NT Liveで気付いた点は、ハムレットがデヴィッド・ボウイのTシャツをきていたこと。
あと、すっかり忘れていた国王の絵皿のことを思い出しました!
イギリスではよく見ますが、デンマークでも王室の絵皿とかあるのかな。

観劇後は、フォロワーさんと一緒にSDに行ってみました。



噂通りの人だかり!
出入口の前だけじゃなくて、少し離れた柵の方にもベネディクトが来てくれるらしいという情報から、
道を隔てた向こう側の柵の後ろで待ってみました。

共演者の方々が次々出てくる中、一際(髪型がw)目立ったのが、
ローゼンクランツ役のマシュー・スティア(Matthew Steer)。



日本でも放送された「トミーとタペンス」にも出ていましたね。
ファンに自分からドンドンサービスしていく彼を見ていて、
こういう場所は他の俳優が自分を売り込むのにもいいスペースだな、と思ったり(笑)
私もサインしてもらいました。素敵な髪ですね☆っていいたかった(笑)。

そしてガートルード役のアナスタシア・ヒル(Anastasia Hille)。



この方はポワロの「三幕の殺人」に出ています。
近くで見るととても存在感のある方でした。
サインも貰いましたが、ペンのインクが滲んでしまうという残念な結果に(泣)。

結局、ベネさんは楽屋口から出て来たようではありましたが、
私たちのいる場所まではやってきませんでした。

NT Liveのインタビューで、毎日その日の公演を振り返り反省をして、
「今日はここまでにしよう…」と途中で切り上げると言っていましたが、
あれだけのエネルギーを使う舞台の後でファンサービスをした上で
その日の振り返りをしなければいけないなんて、大変ですよね…。



次の日はナショナル・シアターで"Three Days in the Counrty"!
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マーク・ゲイティス マスタークラス at ヘイマーケット王立劇場

2015-11-04 | 2015年秋、英国の旅
■10月16日 続き■



バーモンジー・マーケットで買い物の後は、ロンドンのど真ん中、チャリング・クロスまで戻り、
ヘイマーケット劇場へ向かいました。
未来ある若者に演劇・映像作品で活躍する俳優・製作者から学ぶ機会を与えるために行われる
マーク・ゲイティス出演のトークイベント"Masterclass"を見るためです。
14:30開始で、30歳未満はなんと入場料無料。
私は残念ながら無料ではない年頃なので、 12ポンドのチケットを購入。

ボックス・オフィスでいつ頃来ればいいか確認したところ、15分前で大丈夫とのことだったので、
近くのPret a Mangerで腹ごしらえをしてから向かいました。
ただ姿を見て、トークを聞くだけなのに、この時既に緊張感マックス!
そして教えてもらった通り15分前に行って、下手側の前から2列目の席に座ることが出来ました。


↑ここがTheatre Royal Haymarket。マイクロフトのディオゲネス・クラブのあるペルメル街のすぐ傍です。

若者向けの企画なので、正直学生に囲まれて浮かないか心配でした。
確かに私のいる前方は業界志望の若い男女が多かったように見受けられたのですが、
後ろは年配の方のグループや私より年上の男性も多かったです。



ソワソワと時計を見ながら待っていると、舞台上のスタッフの女性がマークを招き入れ、
チェックのシャツにグレーの三揃えスーツ、紫の縦縞ソックスに茶色い革靴、
そしてジャケットのフラワーホールには「スペクター」のバッチを付けたマークが、颯爽と現れました!

出演中の"Three Days in the Country"で見せているままの長めの顎髭を蓄えて、
足を組んで座り、ライトを背にするマークの姿はあまりに至近距離すぎて、
しばらくは直視出来ませんでした(笑)。(/ω\)

登場後は早速、Q&Aから始まりました。
マーク自身がひとりひとり挙手したファンを指名し、質問に答えていきます。
時々手を上げずに投げかけるファンの声を拾ったりすることもあるし、
鼻をグズグズさせててくしゃみしている人には、壇上から'Bless you!'を声を掛けることも。
(私ったら、日本にいたらクシャミ鼻水出まくりなのに、何故こういう時にくしゃみが出ないのかな??)

ここからは書き留めたトークの内容をまとめていきます。
今までに聞いた事のある内容もありますが、読みやすいように少しずつ分けて書いていきますね。


【劇場の大きさ】
今年はドンマー・ウェアハウスやナショナル・シアターと、大小問わず舞台に出演しているマーク。
例えば小さなリハーサルスタジオから、オールド・ヴィックのような大きな劇場で本番をする時は、
叫ぶように台詞を話すようになってしまうので調整が必要になるそう。
ドンマーで"The Recruiting Officer"に出演した時は、劇場が小さいから観客にも絡んだりしたけど、
ナショナル・シアターで上演中の"Three Days in the Country"は
「ココとココくらいの距離で会話している」と実際に立ち上がって説明していました。
とはいえ、大小どちらの劇場も好きだとか。
8月に「イーリアス」のマラソン朗読があった時、
ナショナル・シアターから会場のアルメイダ劇場は川を挟んで向かいにありますが、
わざわざ一度家に戻ってから劇場に向かうことになり、忙しかったという話も。
アルメイダ劇場の大きさの印象は、こんなに小さかったんだ?と感じたそうです。

【オリヴィエに憧れて】
ドンマーの"The Recruiting Officer"で共演したGawn Graingerさんは"Three Days in the Country"でも共演していて、
ローレンス・オリヴィエの友人としても知られていますが、
マークが"The Recruiting Officer"で演じたCaptain Brazenをオリヴィエが生前演じており、
Grainger氏によれば、オリヴィエは登場の際、
毎回帽子を舞台の袖から舞台上の帽子掛けに放り投げて、毎回成功させていたんだそう。
マークはこれを真似してドンマーの二階席に向かって帽子を投げていましたが、
毎回届かず観客の上に落ちてしまい、毎回観客に頼んで回収していたとw
(どうやら客の頭にすっぽり収まるように投げたかったようです。)
「オリヴィエはこれを毎回やってたのか?」と悪戦苦闘し、結局上手くいったことはなかったとのこと。
(私が初めてマークを生で見たのがまさにこの瞬間だったので、
 帽子を投げていたことも非常に鮮明に覚えているし、この話題が出て個人的に嬉しかったです。)



【劇場中継】
NT Liveのような劇場生中継は「コリオレイナス」が初体験だったそうで、
その後、総選挙と同時進行のテレビ生中継"The Vote"があり、18台のカメラを使って上演されたそうです。
"The Vote"のような夜10時きっかりに終わらせないといけない中継は奇妙な体験だったと。
予測しないことが起こったら頭が真っ白になると言って(ΦдΦ)←こんな顔をしてたw
無事に10時に終了した時は選挙の結果の事などすっかり忘れてたらしい。

【シェークスピア作品に出演すること】
舞台役者にとって、シェイクスピア劇に初めて挑戦することは勇気がいることですが、
ジョシー・ロークに食事に誘われ、「コリオレイナス」の戯曲を読んだか訊かれたマークは、
「どうやったらこの話題から逃げられるかな…」と考えていたそう。
というのも今まで2回「コリオレイナス」は見た事があったけれど楽しめなかったため、興味はないと断るつもりであったと。
しかし、彼女と分かれて、戯曲を読んだら気が変わったそう。
プロとしての演技でシェークスピア劇に初めて出演するのは相当な重圧がある、
それはオリジナルのままを保とうとするからであって、
コリオレイナスは、ジョシー・ロークがしたように、速いテンポで描くスリラーとして編集した方がうまくいくと語っていました。

【上映中の迷惑音】
舞台上演中にある観客の上演を妨げかねない態度(咳や携帯電話)に対する意見として一言、
'Kill them!'(笑)
彼は今まで携帯電話の着信音で芝居を妨げられた経験はないそうですが、
「"Three Days in the Country"の初日は夏でよかったけれど、今は寒くなってきて、
 こうやって喋ってる間にも…"ンッンー!!"…こういう音が…"ゲホゲホ!"
 …響いたりするよね…"エヘンエヘン!"」と最近の劇場の様子を実際にやってみせてくれました(笑)。

【お蔵入りのロシアンダンス】
この時上演中の"Three Days in the Country"で、マークはロシアの田舎医師を演じていましたが、
リハーサルでロシアのダンスを踊ることになり、試すことになったけれどあまりにヒドかったそう(笑)。
子供時代に体育教師が宿敵でダンスは苦手な彼にとって「体を動かすなんてホラー」。
結局、本番で披露することはなかったそう。
(その代わり、ロシア語で歌を披露しています。とても素敵でした。)

【実在の人物を演じる】
歴史上の有名人を演じることが割と多く「僕は貧弱なマイケル・シーンだから」とよく語っているマークですが、
遥か昔の王を演じる方がピーター・マンデルセンのような誰もが知っている人物を演じるより気が楽だとか。
マンデルセンについては、何度も映像を見返して、まずは声から似せるように努力をしたけれど、
もちろん、真似るだけではなくて、物語のためにキャラクターを特徴付けることも重要だと語っていました。
自身がドクター・フーでチャーチル首相を書いたときは、実際の彼というよりは、彼の象徴的な部分を生かして執筆したとも。
また、マーク自身は王様をまた演じたいと思っているようで、シェークスピアなら「リチャード二世」に挑戦したいそうです。

【お気に入りのプロデュース作品】
そんな実在の人物を演じていて、一番気に入っている自身の作品は"The Worst Journey in the World"。
絶望的で希望のない苦しみに直面した男達の物語で、非常に英国的な話、誇りに思っていると言っていました。
マークはドラマが作りたかったのですが、BBC FOURはドキュメンタリーの製作を希望していたため、
ドラマ用ではなくドキュメンタリー用の予算しかもらえなかったそうな。

【シャーロック】
コアなファンの集まりだったのか、意外にも「シャーロック」の話題は少なかったです。
S2でどの作品を元に書くか悩んだ時、スティーヴン・モファットから
「『バスカヴィルの犬』が書きたいっていつも言ってたじゃない」と言われた話や、
マンデルソンのオーディションを受ける時、
「君がマイクロフトをやれば観客がモリアーティと勘違いするから演じたら?」と言われた既出の話は出てきました。
チームで作品を作ると、そういう自分では思いもよらない案が出てくるから面白いという話だったはず。
マイクロフトになれたことでホームズ作品の一部になるという目標が達成されたと語ってました。

【映画版"Dad's Army"】
初映画化され、マークも出演している国民的テレビ番組"Dad's Army"。
リメイクと聞いた時、愛されてる作品だけに賛成出来なかったけれど、
脚本を読んで考えが変わって、出演を決めたそう(確か脚本家は友人と言っていた)。
実現はしなかったそうですが、役作りのために足を引きずる仕草を思いついて、
実際に立ち上がって見せてくれました。

【ドクター・フーの新作 "Sleep No More"】
11月14日放送予定のドクター・フー"Sleep No More"は、彼にとって初めて未来を舞台にしたエピソード。
時代物のエピソードを得意としているマークは未来のエピソードも常々書きたかったそう。
このエピソードは4代目ドクター、トム・ベイカー時代の作品、
"The Talons of Weng-Chiang"(脚本はロバート・ホームズ)を参考にしており、
元になった物語には中国人ギャングが登場しますが、"Sleep No More"は中国を日本に置き換えているとのこと!
どんな話になっているのか、楽しみです!

【ゲーム・オブ・スローンズ】
HBOのファンタジー・ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」にIron Bankの頭取役として参加するのは、
大きな機械の小さな歯車の一つのようなもので、
番組自体の行く末を心配をする必要がないことが楽だったようす。
ベルファストの巨大な製作現場にいるのは楽しかったけれど、メイクとヘアメイクの間にセットの中で迷ってしまったとか。
「あ、ジョン・スノウだ!」とかメインキャストを見物しながらだったそうですが(笑)。
よく記者にストーリーの行く末を訊かれることも多く、何も知らないので話しようがないけれど、
「誰が鉄の玉座に座るべきだと思いますか?」と訊かれたら「僕」と答える準備はしているそう(笑)。

【いつか演じてみたい役】
演じたい役は、以前から発言している「クリスマス・キャロル」のジェイコブ・マーリー。
子供の頃から鏡の前で演じる練習をしてきたとのこと。
何度も話しているのでファンにはお馴染みですが、未だに誰からも話は来ないとか。
誰か声を掛けてあげてください!

【最近見た舞台・映画】
マーク・ライランス出演の舞台と(何だったか聞き取れなかった…"Farinelli and the King"ではなかった)
イメルダ・スタウントンやララ・パルバーが出演している"Gypsy"を挙げました。
彼は米国版を2度見ていたらしく(「僕はゲイだからね」)、米国版のままでは英国で上演するのは難しかっただろうと。
映画「クリムゾン・ピーク」は見たのか訊かれたマークは
「もう見たよ。フフフ…トム(・ヒドルストン)がスペシャルな試写を用意してくれたんでね…」
と自慢げにニヤニヤしてました(笑)。
マーク曰く「1940年代風メロドラマ」らしいです。
あとは、70年代のアメリカ映画、例えば「フレンチ・コネクション」や「スティング」等を見直しているそう。

【まさしく「フランケンシュタイン」】
英国では11月に公開の映画"Victor Frankenstein"について話せることは
「モンスターについての映画だよ」と冗談めかしていましたが、
「ポップカルチャー版フランケンシュタイン」と説明していました。
マークの出演場面の撮影は3日間、ロングクロス・スタジオで行われたとか。
大きなレバーを使ってリフトを引き上げるという撮影を雨が激しく打ち付ける中で演じたマークは、
「これじゃ(撮影じゃなくて)フランケンシュタインそのものだ!」と悲鳴を上げたとか(笑)。

【感銘を受けた「おくりびと」】
今回特に驚いたのが、マークが耳の不自由なお父さんと「おくりびと」を見たという話です。
見るだけで物語が追えるため、字幕で映画を見ていたお父さんが発掘したそう。
マークの口から「おくりびと」のあらすじを聞くなんて!
最後のシーンまでしっかりと語ってくれました。
「とても美しい物語だよ。ネタバレしちゃったけど(笑)」

【実は苦難の道だった、テレビ版リーグ・オブ・ジェントルマン】
マークはTLoGのテレビでの再結成はBBCには求められていないと感じているようです。
実際、テレビ・シリーズが始まるまでも7回も企画を却下されていたそう。
そして、なんと最終的に番組のスタートを許可したのは、
現ニューヨーク・タイムズ社の社長兼CEOのマーク・トンプソンだったとか!
これらの事実はマーク自身もつい最近知ったそうです。

【子供の頃の将来の夢】
演技と執筆しか出来ないから役者と作家をやっていると普段から語っているマークですが、
その他になりたかったのは、古生物学者だそうです。
学者になれるほど学校の成績がいいわけではなかったけれど、
今でも化石収集を楽しんでいるとのこと。

【俳優に必要なもの】
執筆は忍耐が必要だか、俳優は努力と実力にあわせて多くの運が必要。
才能があるのに全く認識されていない役者を沢山知っている、業界はますます入り込みにくくなっていると意見を述べていました。
(客席にいた役者志望の子によると、オーディションに参加するために費用を払わさせたというエピソードを語っていました。
 結局それはゆすりだったらしく、マークも「それ本当?」と驚きながら耳を傾けていました)

【好きな作家】
ディケンズ、ナイジェル・ニール(「…S.F.月世界探険」)、ブライアン・クレメンス(「おしゃれ(秘)探偵」)、
ビリー・ワイルダー、プレストン・スタージェス(「パームビーチ・ストーリー」)、デヴィッド・リーン(「オリバー・ツイスト」)…
また、アガサ・クリスティーについては、ビリー・ワイルダーが
「(クリスティーの作品は)キャラクターがヒドいがプロットは最高だ!」
と語ったエピソードを引用していました。今までも何度かこの話を引用しています。

【小説Lucifer Boxシリーズ】
スパイもの三部作"Lucifer Box"シリーズの続編を期待するファンからの質問に、
企画はなく、テレビ化も2回試みたけれど、実現しなかったことを明かしました。
今はテレビ化の可能性を訊かれても即座に否定しているそうです。

【断った企画】
小説の映像化ではないですが、刑事ものの番組の企画があって誘われたことがあったけれど、
気乗りがしなくて断ったこともあったとか。
心から製作したいと思えて、情熱を注げる企画を手がけるというのが彼にとって重要だと。
でも会合にはいい食事が出て、そこだけは満足だったらしいw

【マークの好きな○○は…】
「好きな作家は?」「好きなホラー作品は?」と質問が続くものだから「次は好きな色を聞かれるのかと思った」と冗談を言ったマーク。
終盤ついに「好きな色は?」の質問も出て一同爆笑。
回答は「オレンジ!」でした!(私も好き!)

【誕生日おめでとう!】
次の日が誕生日だったマーク。おめでとうと言われ、お礼をいいつつ、
ツイッターで50歳になるとファンに勘違いされたことに触れ、
「49だからね!」と改めてしっかり訂正していました(笑)。




予定時間時間は90分でしたが、予定をオーバーして、
マークは出来るだけギリギリまで質問に答えてくれました。

始めのうちは直視出来なかったその姿も、
時間が経つと少し慣れて、最後は表情をまじまじと見られるようになってました(笑)。
マークは質問に答える間、場を和ませるような笑顔を絶やさないので、
ずっと見ていると、こちらまでその笑顔が移ってしまうほどです。

普段、ちょっとしたことでイライラしてしまう私が、
終わった後に立ち寄ったカフェで、注文したハーブティーがなかなか出て来なくても、
笑顔で「気にしないで☆」と返せる優しさが復活するほど(笑)。
マークの笑顔はきっと世界を平和にします(笑)!



さて、トークの後は、ベネディクト・カンバーバッチ主演の「ハムレット」を観劇予定!
一日でマークとベネディクトを見られるなんて、なんて贅沢なんだろう!
笑顔とお茶で温まったら、バービカンへ向かいます。

続く…。


【おまけ】


トラファルガー広場のチャールズ一世像の後ろに、指と指が向かい合っている謎のオブジェが。



アドミラルティ・アーチ、こんなに旗が多かったっけ…



ザ・マルには中国の国旗が並んでます。
(後から習近平国家主席が訪英したことを知ったのでした。)



この日のランチ、マカロニグラタン(のようなもの)とチャイ。



ディオゲネス・クラブ(外観)を毎度のように撮影。
レンタル自転車のスポンサーがBarclaysからいつのまにかSantanderになってたんですね。青から赤へ…。
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