■2025年3月28日(金)■
日本公開初日に映画「BETTER MAN/ベター・マン」を見に行きました。
何故なら私の愛する英国のコメディチーム、リーグ・オブ・ジェントルマンの一人、
スティーヴ・ペンバートンが出演しているからです。
スティーヴは日本で公開・配信されている作品だと、
「ミッシング・ユー」や「キリング・イヴ」、「ホワイト・チャペル」といった、
サスペンス系ドラマシリーズでの露出が多いのですが、
映画で姿を見る機会はなかなかなく、今作の劇場公開を楽しみにしていました。
ちなみに、この主人公のモデルで製作総指揮でもある、
ロビー・ウィリアムズについては全くと言っていいほど知識はありませんでした。
こんなに英国が好きで何度も行ってるのに興味を持つ機会がなかったのが不思議ですが、
彼が元々所属していたテイク・ザットについてもこれまであまり興味がなく、
これを機会に好きな曲が見つかればいいなと思っておりました。
映画『BETTER MAN/ベター・マン』本予告
英国中北部ストーク=オン=トレント生まれのロバートは
不器用さを地元の友達にバカにされながらも、
祖母ベティと母ジャネットの愛情と励ましを受けながら、
エンターテイナーを志す父親ピーターの影響で、
フランク・シナトラのような大スターに憧れる負けん気の強い少年だった。
ロバートは父親が自分を置いて家を出た喪失感を抱えながらも、
ボーイズバンドのオーディションで持ち前の度胸と茶目っ気を発揮し見事合格。
10代半ばにして絶大な人気を誇るスターとなるが、
常にプレッシャーと劣等感に苛まれ、アルコールやドラッグに溺れるようになり、
グループからも脱退を余儀なくされてしまう。
傷心の中、ガールズグループのメンバー、ニコール・アップルトンや
コラボレーターのガイ・チェンバーズと出会い、
徐々に復帰への意欲を取り戻した”ロビー”は
オアシスへの対抗意識からネブワースでの野外コンサートを目標に掲げ、
ソロアーティストとしての劇的な躍進を見せる。
そしてついに、ネブワースでのコンサートの開催が決定するのだが…
Discover an extraordinary journey that can’t be told in an ordinary way. From the director of The Greatest Showman, Michael Gracey, watch the new Official Teaser Trailer for #BetterManMovie - In select US theatres December 25. Everywhere in the US January 17. pic.twitter.com/RuzUkpCd4v
— Paramount Pictures (@ParamountPics) October 2, 2024
この作品でまず話題になるのは「何故ロビーが猿なのか?」という疑問なのですが、
私は自分がイグアナに見えてしまう女性の漫画を愛読してたりしたので、あまり気にならず、
他の人と違う自分…劣等感や自意識の強さの表現として、すんなり受け入れてました。
元々ロビー自身が自分を「パフォーミング・モンキー」と評していたため、
監督のマイケル・グレイシーが他の伝記映画との差別化も目的として
ロビーを猿としてCGIで描くことを打診したらしいです。
もっとも、監督に「君のSpirit Animal(自分を象徴する動物)は?」と訊かれたロビーは
「ライオン!」と答えてたらしいけど。監督は「あ〜ん、そうかな〜?」(笑)
Inside Robbie Williams's transformation into a chimp! | The Graham Norton Show - BBC
本編でスターになってステージに立つロビーの目の前に、
過去の自分(猿)が現れて「お前には実力がない」「相応しくない」と
彼の存在を否定するセリフを投げかけるのですが、
自分の胸のうちの自己否定との戦いを表していて、
(今は大分落ち着いたけれど)自己肯定感の低かった私には物凄くよく理解出来る場面でした。
うまく事が運んでいる時に油断すると、自分の心の声が防衛反応のように聞こえてくるんですよね…
ドラッグの影響と思われる混沌とした絶望の映像表現も刺激的でした。
ここまで自分の苦しんだ時期を赤裸々に描くというのは、
製作者として振り返ってもかなり辛い作業だと思うのですが、
そこをやってのけてしまうのも、ロビーの豪胆さなのかもしれませんね。
そして、私の最大の目的だったスティーヴはロビーの父ピーターを演じていたのですが、
私の想像の10倍以上の出演場面で、大大大満足でした!
しかも自分勝手で、息子が売れたと見るとしゃしゃり出てくるステージパパで、
ハマり役すぎる!というか、準主役みたいなもんじゃないですか!
海外のファンが「助演男優賞を!」と投稿してたのもよく分かります。
「私、このパパ(の中の人)に先月会ってきたんです!!」って自慢したくなっちゃう。
その舞台でもスティーヴは最後に少し歌ってはいたけれど、
本格的なミュージカル映画でこんなに歌う姿も見られるなんてファンとして大感激。
特に最後のロイヤル・アルバート・ホール公演のシーンはボロ泣きでした。
スティーヴ自身は音楽業界人とはあまり接点はなく、
マット・ルーカスを通じてチラリとロビー本人に会ったことがあったそうですが、
今回の映画でZoom会議等を通じて改めてロビーと話してすっかり人柄に惚れ込んだそうです。
そしてこの映画については以下のように語っていました。
「僕がロビーに感心するのはいかに彼がオープンだったかということ。
多分彼は自身が認めるように多くの人にとって嫌な奴だったのかもしれない。
彼の人生におけるあれこれ…父親やドラッグ、うつ病との関係をとても率直に語っている。
その全てがこの映画にあるんだ」
そもそもスティーヴがこの役を射止めたのは、
テイク・ザットのマネージャー、ナイジェル・マーティン・スミスを演じたデイモン・ハリマンが
監督に"Inside No.9"(邦題は「9から始まる奇妙な物語」)の名作エピソード
“Bernie Clifton’s Dressing Room”を見るように促したことがきっかけだったそう。
解散したお笑いコンビの再会を描いたこのエピソードで、
スティーヴは馬鹿馬鹿しいギャグを愛する酒にまみれた元芸人を悲哀を込めて演じていて、
今回の役に抜擢されたのも納得です。BAFTAの主演男優賞も取ってるしね!
「BETTER MAN/ベター・マン」で興味を持ってくれた観客が"Inside No.9"や
この“Bernie Clifton’s Dressing Room”も見てくれたら嬉しいんだけどな…
この映画を観た後、通勤中によくサントラやロビーの曲をシャッフルして聴いています。
公開前から目に入っていたリージェント・ストリートの「Rock DJ」のシーンは
劇場で見ても圧巻でしたが、オリジナルの曲も好きです。ピアノの音がいい味出してる。
描ききれない場面をミュージカルシーンに盛り込む演出が「グレイテスト・ショーマン」にあって、
その時はあまり好きではなかったのですが、
この映画の中での「She's the One」での同じような演出は効果的で好きでした。
Robbie Williams - Rock DJ (Regent Street) | Better Man | Official Movie Scene
ステージで生き生きと歌うロビー自身の姿が目に浮かぶ「Let Me Entertain You」はもちろん、
「Angels」「Something Beautiful」「Forbidden Road」もよく聴いています。
初めの目論見通り、新しいお気に入りのプレイリストが出来て嬉しい。
配信されて家のテレビ見直すのが今から待ち遠しいです。
でもその前にもう一回見に行ってもいいなー。
↓今回の記事のタイトルの元ネタ(笑)
永野が“オアシス”あるあるな作品プレゼン!?映画『BETTER MAN/ベター・マン』公開前日祭イベント