だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

【アンドリュー・スコット特集】「ワーニャ」と「リプリー」と「異人たち」と…

2024-06-02 | movie/劇場公開作品

ここ最近、「SHERLOCK」モリアーティこと、「フリーバッグ」ホット・プリーストこと
アンドリュー・スコットの作品が立て続けにリリースされていましたが、(それも名作ばかり!
ちゃんとチェックしていたにも関わらず、あまり言及出来ていなかったのでまとめておこうと思います。
ほとんど取り急ぎのメモ。ツイッターまとめみたいな感じ。

【映画「異人たち」】

まず映画「異人たち」。これは山田太一の小説「異人たちとの夏」を英国に置き換え、
主人公もゲイの脚本家に設定変更している映画。
山田太一の小説は10代の頃に読んでいて、「異人たちとの夏」は大好きな作品でした。
その主人公をアンスコが演じるなんて!願ったり叶ったり!

東京国際映画祭で上映されると知って、
いまだに悪名高いチケット購入システムで何度もエラーを喰らいながらなんとかゲット。
(ほんとどうにかならんのか…)

ロンドンの人気のないフラットに暮らす脚本家のアダムは同じ建物に住むハリーと知り合う。
その一方で、かつて住んでいた実家だった一軒家を訪れる。
そこにはもういないはずの若い両親がアダムを待っていて…

大好きだったとは言っても、最近は読み返していなかったので、
すっかり話の内容を忘れかけておりましたが、
本編を見てだんだん思い出してきた… ああ、なんて切ない…

Frankie Goes To Hollywood "The Power Of Love"を聴くたびにこの映画のことを思い出しそう。

 

山田太一 なぜファンタジー? 小説がイギリスで映画化 | NHK | WEB特集

【NHK】イギリス映画『異人たち』。原作は日本の名脚本家、山田太一さんが37年前に書いた小説。なぜ、いま映画化なのか。魅力に迫る。

NHKニュース

 
 

私たちは、互いにとって「異人たち」なのか? アンドリュー・ヘイ監督が語る、孤独と痛み、クィアな愛 | CINRA

山田太一の小説を映画化。同性愛嫌悪の激しい80年代英国に育った自身の痛みや孤独、そして愛への希望を込めた

 

↓「異人たち」の脚本

https://deadline.com/wp-content/uploads/2023/12/All-Of-Us-Strangers-Read-The-Screenplay_Redacted.pdf

 

【Netflixドラマシリーズ「リプリー」】

「見知らぬ乗客」や「キャロル」の作者パトリシア・ハイスミス「リプリー」
アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」(1960)やマット・デイモン主演の映画(1999)で知られていますが、
この度、全8話ドラマシリーズとしてアンドリュー主演でドラマ化されました。
アンドリュー主演のドラマって初じゃない??
(1999年の映画は当時劇場で見たことがあります。一番原作に忠実みたい。)

詐欺で生計を立てているトム・リプリーは、造船業を営む富豪グリーンリーフの息子の友人と間違われ?
イタリアで放蕩するその息子ディッキーに戻ってくるよう説得を依頼する。
金のためにグリーンリーフの依頼を承諾し、イタリアに渡ったリプリーは、
ディッキーと恋人マージと接触し、友好的な態度を見せながら、ディッキーの暮らす豪邸に居座ってしまう。
しかしマージは彼の本性を疑っていて…

モリアーティで世界一のコンサルタント犯罪者を演じていたアンドリューですが、
このドラマの中では行き当たりばったりの爪の甘い詐欺や犯罪を積み重ねていて、毎回ハラハラさせられます!

しかし映像はモノクロームでリプリーが巡るベネツィアやローマなどイタリア各地の風景が息を呑むほど美しい!!

アンドリュー演じるトム・リプリーがなりすます富豪の息子ディッキーは
舞台"The Motive and the Cue"でリチャード・バートンに扮していたジョニー・フリン
リプリーを訝しみながらも疑いきれない気の毒な富豪の息子を演じてます。

以下、当時の自分の感想。

「リプリー」第一話見たよ!モノクロームのどこを切り取っても美しいNYやイタリアの風景。
そして不穏な雰囲気を漂わせつつもどこか人間臭いアンスコのトム・リプリー。
はぁはぁ言いながら階段登ったり、言葉が通じない中ピチピチ水着試着して苦笑したり、
やっぱり闇があるのに憎めないキャラが似合う。

第二話。詐欺の手口に目敏く気づいて友人に指摘するのに、一方で誰が見ても明らかに犯罪絡みの旅行を持ちかけるリプリー。
より重い詐欺の方に全く悪気を感じてないのが面白い。
ジョニー・フリンとダコタ・ファニングの世間知らずでありつつもリプリーに対し警戒し距離を取る演技が上手い。

第三話。とうとうやっちゃったな。堂々とはしているけど、手口が全然鮮やかじゃないのが本当にハラハラする。

第四〜六話。! あまりに詰めの甘い犯行ですんごいヤキモキさせられるけど、警察出てくると俄然燃えてくるラビーニ警部、渋かっこいい。
警部!凶器はその灰皿ですよ!!

もったいぶってとっておいた「リプリー」の第7, 8話見終わった!はー面白かったー。
警部意外と仕事出来なくて助かったね。それにしてもやっぱりどこを切り取っても美しいドラマシリーズだった。
リプリーと逃避行してるような気分になったし、最終話のカラヴァッジョとの対比も刺激的だったわ。

ちなみに、リプリーを疑い続けるマージを演じたダコタ・ファニングとアンドリューのインタビュー動画は、
本編とは違ってどれも和気藹々としてて微笑ましいです。
ダコタの11歳の誕生日に初めての携帯電話を買ってあげたのは「宇宙戦争」で共演したトム・クルーズだとか。
彼は最近の30歳の誕生日まで毎年ダコタに誕生日プレゼントを送っているらしく、
アンドリューの「僕はもらったことない。トムー??(僕にもちょうだい顔)」が笑えます。

Dakota Fanning & Andrew Scott Quiz Each Other on Their Careers | All About Me | Harper's BAZAAR

 

【NT Live「ワーニャ」】

そして舞台「ワーニャ」

2023年8月28日〜9月2日にリッジモンドシアター、9月15日〜10月21日にデュークオブヨーク劇場で上演された、
言わずもがなアントン・チェーホフの代表作の一つですが、
全ての登場人物をアンドリュー一人で演じるという、挑戦的なプロダクション。

↓リハーサルの様子。

映画館上映作品としてNT Liveの一つとして組み込まれ、
日本でも2024年5月24日から全国の映画館で上映が始まりました。
私はその前の5月18日の先行上映で一足早く鑑賞。
上演後の評判として「今世紀最高の演技のひとつとして記憶に残るであろう」とまで言われていて、とても楽しみにしていました。

タイトルになっているワーニャおじさんアイヴァンといった風に、
この舞台では登場人物の名前を英語名に書き換えられています。
アイヴァンと姪のソニアは亡くなったソニアの母アナの土地で農業に勤しみ、
ソニアの父である映画監督のアレクサンダーを支えています。
アレクサンダーはアナの死後に若いヘレナと結婚。
アイヴァンや医者のマイケルはヘレナに惹かれていますが、
まだウブなソニアはそのマイケルに惹かれています。

Three Days in the Countryといい、
ロシア演劇ってこういう家族&出入りする地元民の報われない一方通行の恋(そして立ち去っていく)が多いよなー。
そして土地や相続問題…
あらすじの内容だけを考えると気が滅入りそうな物語ですが、
アンドリューの演技の巧みさで、とても楽しめる舞台になっています。

一人芝居で衣装も変えずに何人も演じるというと、
次々に役が切り替わって、瞬間的に誰が誰なのか把握するのが難しいそうですが、「動き回る落語」だと思うとわかりやすい!
ヘレナが座るブランコ家政婦の吸うタバコなど、小道具の使い方で誰を演じているのかがわかる。
それに、先に見ていた方から「ラブシーンも一人で演じてた」と聞いて
どゆこと??と思いましたが、本当に一人でやってました。
扉に背中を押しつけ、荒い息遣いの中、片方の手で争うもう片方の腕を掴む…
一人で演じてるのになんだか余計にドキドキしてしまいます。

アンドリューはこの「ワーニャ」でLondon theatre Critics Circle Awardsの最優秀男優賞を受賞。
実は同年に前述の「異人たち」の演技でLondon Film Critics Circle Awardsでも主演男優賞を受賞しており、
同年に映画・演劇の両方を受賞するのは史上初の快挙なんだそうです。すごい!!

そしてオリヴィエ賞でも演劇主演男優賞にノミネートされていて最有力かと思われていましたが、
結果的にはこれも前述の"The Motive and the Cue"のマーク・ゲイティスが受賞し、
「ワーニャ」はリバイバル演劇賞の方を受賞しました。
"The Motive and the Cue"もNT Liveで今夏上映予定です

先行上映前のトークイベントで、シェイクスピアを専門とされている英文学者の河合祥一郎先生が
「アンドリュー凄い!ってなりますけど、オリヴィエ賞を取ったマーク・ゲイティスの演技がどれだけ凄いか、今後の上映で見比べられるわけですね」
と仰ってて、ゲイティスオタクとして緊張しちゃう…
実際どちらのファンの私も、色々劇評や賞レースをチェックしてて、
アンドリューが有力なんだろうな…と思ってました。
でも二人の演技は遠泳と潜水の凄さを比べるようなものでどっちも素晴らしいのです。

 

 

Vanya review – Andrew Scott’s solo tour-de-force in the West End

Simon Stephens adapts Chekhov for the West End – with Andrew Scott taking on every role

WhatsOnStage.com –

 

 

 

Vanya at the Duke of York’s: an acting masterclass from Andrew Scott

This one-man take on Chekhov is no vanity project or gimmick: it’s a distillation of his compassion and humanity that creates something new.

Evening Standard

 

 

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実はケンの映画でもあった…映画『バービー』

2023-08-12 | movie/劇場公開作品

■8月12日(土)■

連休になったので、金曜日に日本公開されたばかりの
グレタ・ガーウィグ監督、マーゴット・ロビー出演の映画「バービー」を見てきました。

映画『バービー』日本版本予告 2023年8月11日(金)公開

7月13日にハリウッドで俳優労組と脚本家組合がストライキに突入した後、
クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」と同時期に公開されたため、
ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE」に主演するトム・クルーズの呼びかけで、
海外では「バービー」も「オッペンハイマー」も見に行こうという盛り上がりがありました。

そこから#バーベンハイマー というハッシュタグに派生して、二つの作品の合成アートがミーム化。
ノーランの方は“原爆の父”であるオッペンハイマーの映画であるため、
バービーの弾けるようなハッピーなヴィジュアルと、キノコ雲を使った配慮に欠けたミームが出回るようになり、
アメリカのWBツイッター(現X)公式アカウントがそれに便乗するようなリプライをしたことで
日本で「不謹慎である」と批判の声が高まり、日本の公式からお詫び文が発表されたのが記憶に新しいですね。

正直、私もバーベンハイマーは全く笑えないし、度が過ぎていると思っていましたが、
最近の「レディ・バード」「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」と同様、
グレタ・ガーウィグ監督は今回もリアルな女性の機微を描いてくれているであろうし、
製作者としてのマーゴット・ロビーの活躍も読んでいたので、映画自体は期待して公開を待っていました。

この映画でのバービーは、バービーランドという完璧な世界に暮らしています。
(一部の商品化されたキャラクターを除いて)みんな名前がバービーなので、
お互いをバービーと呼び合いながら、ピンク色で彩られたポップな街の中で幸せで完璧な生活を送っているのです。
大統領も最高裁判事も医者も弁護士も道路工事の作業員もみんなバービー。
バービーの相手役のケンもさまざまなタイプが存在しているけれど、彼らはバービーの添え物に過ぎません

マーゴット・ロビー演じる定番バービーも、この世界の中で何の疑いもなくハッピーに過ごしていましたが、
ある日突然「死」について考え始めたり、ハイヒールの似合わない「べた足」になってうまく歩けなくなってしまいます。

バービーのお直し担当のヘンテコバービーケイト・マッキノン)に相談すると、
人間のいる現実世界に行って、自分の持ち主に会い、問題を解決する糸口を探るしかないと助言を受けます。
困惑しながらも、現実社会の女性たちに希望を与えてきたと信じる定番バービーは
人間たちに歓迎されるに違いないと、気持ちを入れ替えて意気揚々と出発。
しかしそこにケンの一人(ライアン・ゴスリング)もついてきてしまい…

 

◇◇◇ここからネタバレを含みます◇◇◇

私はてっきりこの映画でバービーが女性の自立を体現してくれるのだと勝手に思っていたのですが、
蓋を開けてみたら、ケンの自立のための物語でもあったのでビックリしました。
バービーランドの中でのケンは、仕事もなくバービーに惹かれているだけでいいお飾りの存在。
つまり、現実社会において女性が求められてきたような立場

序盤のバービーランドは、女の子にとっての理想郷なのかと思いきや、
全てを女性が統べていて、ビーチにいるただのバービーの引き立て役でしかないケンにしたら、実はとても不平等な世界なんですよね。
だから人形の世界であるということとは別に、ものすごく違和感がある。
男性女性問わず、ここで違和感を感じるのが本来当然なんですよね。

定番バービーはケンの気持ちを蔑ろにして毎日ガールズパーティーに明け暮れていて、
毎日飲み会だからと家族をおいて家に帰らない夫ムーブのようにも見えたりします。

そんな、定番バービーについてきたケンは、現実世界で男たちが活躍している姿を見て当然感化され、
先に元の世界に戻って他のケンたちを鼓舞し、バービーランドをケンダムランドとして支配し始めます。

一方、定番バービーは持ち主である女の子を見つけ(彼女のバービー評は辛辣で小気味よく感じた)、
母親であるマテル社の秘書グロリアアメリカ・フェレーラ)が描いた普通の悩みを抱えるバービーの姿が、
定番バービーに変化を及ぼしたことがわかると、母娘をバービーランドに連れて行きます。
そこで直面するのが男性社会に目覚めたケンたち。
家をケンに奪われ、それぞれの仕事を持っていたバービーたちがただの給仕係に満足しているのを見た定番バービーは絶望し、
自分がもう完璧なバービーではないことにも打ちひしがられます。

しかし、定番バービーを立ち上がらせようと、グロリアがどれだけ女性たちが我慢を強いられてきたかを訴えると(ここが一番の名シーン)
理性的な言葉でケンたちに洗脳されていたバービーが正気に戻ることがわかり、
ヘンテコバービーたちと協力してケンダムランドを元のバービーランドに戻す計画を立てることに。

全てを取り戻した後、定番バービーはケンにこれまで蔑ろにしてきたことを謝り、
バービーの相手役ではなく、ケンはケン自身でいていいのだと語りかけます。

前評判からフェミニズム映画とか女性の自立映画とか言われてましたが、
この映画で大事なのは、「男社会」だとか「女性の自立」ということ以上に、
「自分も相手も軽視しない」ってことだと思うんですよね。

ケンがこれまでただのビーチの人に甘んじていたのも、
ケンたちに洗脳されて、ウェイトレスも楽しいじゃん?とバービーたちが思い始めたのも、
定番バービーが自分が完璧なバービーではないことを責めるのも、
本来の自分を認めない=自分を軽視している状態

同時に、バービーがケンの気持ちを受け入れないことや、
バービーランドにおいてバービーだけが有力者として活躍していることや、
ヘンテコバービーを他のバービーが貶していることは、他者を軽視している状態

最後にはこの隔たりを埋めようとし始める(でも完了した訳ではなくその途上である)のがこの映画の良さだと感じます。
つまり人権を守る最低限の基本を教えてくれていると言うことなんですよね。

そして、ひとりの女性として歩み始めた定番バービーの最後の一言
あの一言に、女性の喜びや痛みが苦しみが全て含まれていて、
劇場を出た後に思い出してちょっと涙が出たりしました。
そこまで感じ入るのは私だけかもしれないけれど…
私は母を病気で亡くしているのですが、そのことを否応もなく思い出してしまいます。

それにしても、基本的には表層がおもちゃの世界の軽いノリであるのに、
その根底に不平等や自他に対する蔑視という重いテーマも感じるという、
ちょっとアンバランスで落ち着かない映画でもありました。

 

…余談ですが、この映画を見ながら、
先日見終わって、今でも頭から離れないグッド・オーメンズ2との意外な親和性を感じて面白かったです。
いつも飲み物は飲んだふりだけしていたバービーが、現実世界で紅茶をうまく飲めなかったりするのは、
天使のムリエルがアジラフェルに薦められた紅茶を飲めなかったことを思い出すし、
ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」のドラマ版を何度も見直すバービー、なんて言及が出てきたのは笑ってしまいました。
わかる、辛い時には水に濡れたコリン・ファースが見たくもなるよね。
「神の世界/バービーの世界(理想?世界)」と「現実世界」の隔たりの話でもあるからでしょうかね。
それに「グッド・オーメンズ」の天国も、そんなに文字通りの天国でもない訳で、
もしかすると、次のシリーズでは定番バービーのように、アジラフェルが天国を改革してくれるのかもしれないです。

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意外にも、感動的家族ドラマ「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

2023-03-05 | movie/劇場公開作品

ミシェル・ヨーや俳優に復帰したキー・ホイ・クァンが出演しているという以外の前情報を入れずに
話題の映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(以下、EEAAO)」
土曜の仕事の後に見に行きました。

 

夫婦でコインランドリーを営むエヴリンは、国税局へ提出する領収書の確認で切羽詰まっている。
春節のパーティーも迫る中、陽気だが頼りない夫ウェイモンドとは落ち着いて会話する余裕はなく、
監査官との通訳のために呼び寄せた娘ジョイとは
ガールフレンドの存在を認めることが出来ないままギクシャクしており、
中国から呼び寄せた父親に娘の彼女のことをどう説明していいのか悩んでいた。
そして、夫と父を連れて国税局へと向かったエヴリンの前に、全く別の人格の夫ウェイモンドが現れる。
彼は別の宇宙からやってきた別の夫で、全宇宙を破滅に導く悪ジョブ・トゥパキから世界を守らねばならず、
それが出来るのはエヴリンだけだというのだ…

 

 

アクションが見られる映画であることは知っていたけど、
どんな展開になるのかは全く知らず、ワクワクしながら鑑賞していましたが、
途中から「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を観た時のスピード感を思い出し、
後半には「インタステラー」を観た時の感動を思い出す…
そう、EEAAOは、アクション映画と思いきや、マルチバースを激しく行き来するSF映画であり、
大事な人との繋がりを再確認する家族ドラマだったのです!!

 

ここからはネタバレあり。

 

マルチバースというと、マーベル映画ですっかり見慣れた感はありますが、
(別々の主人公を同一人物と説明することに成功した「スパイダーマン:ノーウェイホーム」は別としても)
「あの時こうしていれば…」とか、他の宇宙の自分を妬んだり羨んだりとか、
そういう展開はマーベルに限らずハッキリ言って食傷気味でした。

しかし!EEAAOのエヴリンは、他の宇宙の自分を知ることによって、
(多次元で自分自身が開発したシステムを利用して)その能力をダウンロード出来る!
他の宇宙の条件のいい自分を知ることでより強くなっていく設定が最高でした!
自分を妬むのではなく、自分にもその才能の可能性が秘められているんだと目覚めるとか、
なんて希望に溢れた設定なんだ!!

そして、自分の能力だけでなく、別宇宙の夫や国税局の監査官(!)の存在から得た
他者に対する慈愛が世界を救う力になっていたのも感動的。

他宇宙に移動するには、なるべくあり得ない行動を起こさなければならず、
例えば、スティック糊を食べるとか、国税局の監査官のトロフィーをケツの穴に突っ込むとか(笑)、

色々なパターンが出てきますが、イヴリンが最初にやるよう指示されるのは「監査官に愛の告白をする」こと。
エヴリンは嫌がりながらも何度もI love youを連呼しますが、何故か拒否されます。

その部分を見ている時は「なんでだろ」と思ってたんですが、
その後に別の宇宙でエヴリンと監査官がパートナー同士であることが判明し、
さらに、主人公のエヴリンの世界にいる監査官も、
エヴリンと同じような辛い時期を経験していたことがわかり、
そこでやっと本当の意味で愛情の籠った会話をすることができるようになるんですよね。
だから、実は、エヴリンと監査官にとってはありえないことではないから初めに拒否されたのかもしれないと思ったりしました。

そしてミシェル・ヨーの素晴らしい演技やアクションもさることながら
復帰したキー・ホイ・クァン演じる夫の可愛いこと!
「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を見た時は、
(自分も子供だけど)なんて可愛い少年なんだろ!と思ったもんですが、
40年経ってもその可愛さは健在。
しかも彼も武術助監だったこともあり、ウェストポーチを使ったアクションが見事!
父ゴンゴン役のベテラン、ジェームズ・ホン(御歳94!)や、
娘ジョイ役のステファニー・スー(衣装もメイクもよかった!)
そして監査官のジェイミー・リー・カーチスと、助演の存在感も圧倒的。

「ドクター・ストレンジ」どころではないカオスな他宇宙へのジャンプや、
ネットミームや映画の引用など、
振り返るともっとたくさん気になることが出てきそうですが、
とりあえず以上が私の気に入ったところ。

もっと若い頃に見ていたら、かなり衝撃を受けて、より大事な映画になったかも知れませんが、
多感な時期にエヴァンゲリオンの劇場版を目の当たりにし、
大人になりいくつかのSFを経た自分だからこそすんなりこの映画が受け入れられたような気もします。
そんな耐性がない人には訳のわからんことになる危険性はある映画ですね。


実はまだ購入したプログラムも読んでないので、これからじっくり読みたいと思っています。

 

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友好の分断と戦争のはじまり…映画「イニシェリン島の精霊」

2023-01-31 | movie/劇場公開作品

■1月29日(日)■

マーティン・マクドナー監督の映画「イニシェリン島の精霊」を見に行きました。

例によって仕事でいっぱいいっぱいで、ろくに前情報を入れずに鑑賞。
把握していたのは「弱っている時に観に行くべきではない」ってことと、
「鑑賞前にホットドックは食べないほうがいい」ってこと…

アイルランドの孤島に住むパードリック(コリン・ファレル)は、
いつものように親友コルム(ブレンダン・グリーソン)の家を訪れ、
窓の外からパブに誘うが、なぜかコルムは彼を無視する。
不思議に思ったパードリックは再度誘いに行くが、
コルムはすでにパブに向かったらしく家にはいない。
やっとパブで彼の姿を見つけるが、コルムから驚きの言葉を投げかけられる。

「今日から友達をやめる」

突然友人から別離を告げられたり距離を取られたりと言う経験は、
ある程度人生を生きて来た人なら心当たりがあるんじゃないでしょうか。
私はあります。距離を取られたことも、自分から距離を取ったことも…
そういう時は諦めるしかなかったり、なるべく自分からも距離を取るのが一番ですが、
この世間が狭いイニシェリン島では否応もなくパードリックとコルムは顔を合わせることになります。

知的な妹シボーン(ケリー・コンドン)やパードリックにちょっかいを出す青年ドミニク(バリー・コーガン)も
コルムに関わらないよう勧めますが、
パードリックは突然「退屈だから」と嫌われた理由が理解できず、
酔った勢いでコルムに当たり散らし、ついにコルムは最終手段に出ます。

その手段とは… 予告を見てくださいな↓

『イニシェリン島の精霊』予告編│2023年1月27日(金)公開!

 

ここからはネタバレありの感想。

 

この映画でまず面白かったところは、
パードリックとコルムが仲違いすることになった「その日」からを描いていて、
二人の仲が良かった時期は想像するしかないところ。

パードリックがどんなくだらない話をコルムに投げかけていたのか、
コルムはその話に耳を傾けながらも、だんだんと彼の話題に呆れてきたのか、
それとも実はちょっとした一言が彼の心境に変化をもたらしたのか…
その辺りは観客の想像で受け止められるのが面白いですね。

そしてコルムがパードリックを遠ざけるために取った行動の異常さ…
そこまでするかね?っていう驚きを超えて笑ってしまいます。
存在を拒否しながらも、パードリックが痛い目にあっている時は助けてあげたり、
意外と気持ちがブレてるコルムの都合の良さをズルく感じます。
見ている間「おお〜これは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』以来の胸○ソ映画になるかー?」
逆な意味でのワクワク感が発生(笑)。

そしてはじめは戸惑うしかなかったパードリックも、
この騒動の末に大事なものたちを失い、ついにコルムに対し反撃を開始…

この映画では、時折対岸の本当で起こっている(イングランドからの独立に対する)内戦の音が聞こえてきますが、
言うまでもなくこれは孤島で起こっている「内戦」と対比させているものだとわかります。
そう考えると、周りがわけのわからないままにぶち上げたコルムの対立や、
「お前のためを思って」と親切心のように理由付けする距離の取り方も、
戦いをふっかけてくる側の言い分にそっくりな気がしますね。

そして、自分の想定以上に相手(とその周辺)を傷つけた時の「そんなつもりじゃなかった」という言い分も、
まるで民間人に誤爆した側の言い分みたい。
大きな戦いを、個人レベルまで落とし込んだような作品。

でも、完全に対立するようになったパードリックとコルムは、
なんだかすっきりとしているように見えるのが不思議。
まるで、この狭い世界の中で本当に正しい関係性を見つけたような、
これでいいんだというような納得した表情が印象的でした。

結局、すごく単純な言い方をすると、
「とても人騒がせな親友同士の仲違い」だった、っていうのも呆れて笑ってしまいますね。

しかし、この映画の中でブレンダン・グリーソンがフィドルで聞かせるアイルランド音楽
(グリーソン自身が作曲し演奏している)は素晴らしいし、
とにかく荒涼としたアイルランドの風景は圧倒的な美しさです。
その美しさに引き寄せられた何も知らない観客が呆気にとられるところを想像するのも
この映画の面白さかもしれない…(苦笑)

 

ちなみに。

マーティン・マクドナーの作品は実は20年ほど前にパルコ劇場で
日本版「ピローマン」を見たのが初体験でした。
今感想を読み返してみると「イニシェリン島…」との共通点が多いです。

 

演劇『ピローマン』&映画『インファナル・アフェア~無間序曲』 - だから、ここに来た!

○11月10日(木)○仕事先の先着招待で、パルコ劇場で上演している『ピローマン』を見に行きました。3時間半ほどの長い舞台で、正直ウトウトしないで見続けられるか不安だったの...

goo blog

 

アカデミー賞にノミネートされた「スリー・ビルボード」
もちろんお気に入りの映画の一つ。
これも途中まで胸○ソ悪いながらも、最後は意外な爽快感を残す作品でしたね。

NT Liveの映画館中継で見た「ハングメン」も暗いのに愉快という面白い作品でした。

これは我らがリース・シェアスミスも出演していたこともあって大事な芝居の一つです。

 

 

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ありがとうござい魔貫光殺砲ー!! 映画「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」

2022-06-15 | movie/劇場公開作品

【2022年6月14日(火)】

6月11日にやっと公開された映画「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」を見に行きました!
ドラゴンボールシリーズのオリジナル映画、最新作です。
(東映アニメーションへのネットワーク不正アクセスが発生した関係で2022年4月22日から公開日が延期されていました)


(TOHOシネマズ新宿に見に行って、新宿バルト9で垂れ幕だけ撮影してきました)

 

今回はピッコロと悟飯が主役、
そしてレッドリボン軍が新たに開発した?人造人間ガンマ1号&2号が相手ということで、
これまでの映画のように悟空が主役の緊張感溢れる戦闘シーンをドキドキしながら期待して向かうというより、
師弟の活躍を楽しみに、いつもより軽い気持ちで劇場に向かいました。

ちなみに前作の「ドラゴンボール超 ブロリー」を見に行った時の思い出はこちら。

 

【2019年1月26日/29日】ロンドンの映画館に「ドラゴンボール超ブロリー」を見に行ったら… - ミウモのロンドン留学体験記

映画が好きで月3・4回ペースで映画館に通っていた私でも、日本にいる時に映画館で人と知り合って友達になるという機会はまずありませんが、ロンドンの映画館は面白い出会...

ミウモのロンドン留学体験記

 

劇場公開前に発表された、ビーデルにパンのお迎えをお願いされる本編からのPR映像が
なんだがほのぼのしてて、ピッコロさんがどんな日常生活を送っているのか垣間見るのも楽しみでした。

映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』PR映像30秒PART2

(このペネンコっていうぬいぐるみ、本編で何かRRと関係があるのかと思ってましたが、全然関係なかったです!)

 

ここからはネタバレ含む個人的に印象的だったポイントを、あらすじを追いながら残していきます。
(記憶が前後しているところがあるかも。)

 

妙なディテールにこだわりが…

RR軍レッド総帥の息子でレッド製薬の社長マゼンタは秘書?のカーマインから、
かつてRR軍に雇われていたDr.ゲロの孫で祖父を超える才能の持ち主であるDr.ヘドが刑務所にいることを知り、
出所直後のDr.ヘドと接触。組織再建のため?資金提供と組織のために人造人間を開発するよう持ちかけます。
カーマインは長いリーゼント頭のため、車の運転席が彼の頭のためにちょっと天井が出っ張ってたり、
前をチンタラ走っている車を運転している女性が後でパンちゃんの幼稚園の先生として登場したり、
妙なディテールがやたらしっかり描かれていて、すごく鳥山明っぽい。
Dr.ヘドの好物として、タイアップついてたオレオも出てきましたね。
それと、彼らが悟空たちを「カプセル・コープのブルマが組織する宇宙人一味」と捉えている設定なのも面白い。
長年、世の中の人たち(情報通)が彼らをどういう存在として捉えてるのか、気になってたんだよなー。
でもちょっと食い違うところもあるような… そのあたり、もう一回見ないと把握出来ないかも。

パンちゃん可愛い!

かつての悟飯のように、ピッコロさんに朝の修行をつけてもらっているオカッパ頭のパンちゃん(3歳)
すでに子供とは思えない戦闘力を身につけているものの、まだ飛ぶことは出来ない様子。
(あれ、赤ん坊の時に武空術使ってなかったっけ?)
修行の後はアラレちゃんダッシュで自ら保育園に向かいます。
前述のお迎えのお願いはこの後に登場しますが、ビーデルさんが武道教室の講師をしてると聞いて、
ちょっと同級生に柔道指導してる(声が同じの)YAWARA!を思い出しちゃいました。

潜入捜査官ピッコロさん

突然Dr.ヘドが作った正義のヒーロー=人造人間ガンマ2号に襲われたピッコロさんは、
正体を掴むため後を追ってRR軍の本部へ潜入。
ユニフォーム?軍服?姿のピッコロさん、意外と似合ってる。

 

ビルス×チライ!?

RR軍が「カプセルコープのブルマ周辺に集まる宇宙人たち」を敵とみなし、
攻撃を仕掛けようとしていることを知ったピッコロさんは、
ブルマを通じてビルス様&ウイスさんの星で修行中の悟空&ベジータを呼び戻そうとしますが、
対戦中の2人とアイスに夢中のビルス様たちは気付かず。
悟空に誘われたブロリーチライレモを連れて対戦を見学。
しかし、まさかビルスさまがチライに一目惚れするとは…そのカップリングの発想はなかった…

ブルマは今でもアップデート中

ピッコロさんは自ら戦う覚悟を決めて、カリン様から2つの仙豆を確保し、
デンデがアップデートを施し、ブルマが集めておいたドラゴンボールの力で潜在能力を引き出してもらいます。
神様の神殿からカリン塔まで降りてきてヤジロベーからヘルメットを受け取るピッコロさんがカッコよかった!
カリン塔の上でもスマホが通じるんだな、この世界
ブルマはフリーザのような悪人にドラゴンボールを使われないように、
神龍にちょっとシワを消してもらったりヒップアップしてもらったりしてるらしい。
(あんまりくだらない理由で繰り返し願いを叶えちゃいけないんじゃなかったっけ?GT設定だっけか?)

フリーザとやってること変わらないピッコロさん

新RR軍が次の標的である悟飯をおびき寄せるため、パンの誘拐を企てていることを知ると、
潜入中のピッコロさんは実行係として名乗り出て、幼稚園にいるパンの元に向かいます。
研究に没頭して修行にも家族のことにもおろそかな悟飯の能力を再び目覚めさせるため、
パンの協力を得て、わざと誘拐された演技をさせて悟飯の怒りを誘発させます。
(これって「ブロリー」でフリーザがブロリーの父を使ってやってたことと似ているような…

魂の魔貫光殺砲!!

かつてのように潜在能力を解放した悟飯とパワーアップしたピッコロを相手にするガンマ1号&2号は
悪党だと聞かされていた悟飯たちが、実は自分たちと同じ平和を守る戦士であることに気づきます。
しかし、マゼンタが「最終兵器」である巨大化したセルそっくりのセルマックスを解放。
(セリフはなく、叫び声だけだったけど、ちゃんと若本規夫さんがあててた!!
悟飯&ピッコロはガンマ1号&2号、
そしてブルマが呼んできた助っ人であるトランクス&悟天、人造人間18号と共に立ち向かいますがビクともせず。
ガンマ2号が自らの残りのエネルギーを使って自爆行動に出ますが、それでもセルマックスは倒れません。
そして、ブルマとパンを守る役目のつもりだったクリリンも加わり、
ピッコロにかつて巨大化して戦ったことがあったことを思い出させます。(GJクリリン!!
そして、セルマックスと同じ大きさになったピッコロの肉弾戦。
ピッコロは、悟飯に気を集中させて、セルマックスの弱点である頭部を攻撃するよう指示します。
悟飯を待つ間、セルマックスによってボロボロにやられてしまうピッコロ。
その姿にショックを受け、さらなる進化を見せた悟飯は、
ピッコロの必殺技「魔貫光殺砲」で、セルマックスの頭部を吹き飛ばすのでした。(ここ、最高の演出!!
細胞を残さぬよう設定に組み込まれていたため、セルマックスは最後に大爆破を遂げ、
元の姿に戻ったピッコロと悟飯は無事にパンと再会。
ガンマ2号を失いながらも、自分たちの過ちを認めたDr.ヘドとガンマ1号はその後ブルマの元で世話になることに。

ついにベジータが勝利!!

結局、ビルスの星で対戦中の悟空とベジータの耳には今回の一件は届かず。
最後の力を振り絞ってベジータが突き出した拳で悟空が倒れたことで2人の対戦も決着がつくのでした。
ついにベジータがカカロットに勝利!今回の映画でこんなシーンが見られるとは!!

 

…といった感じで、気軽に見に行った割には、結局涙ほろりとしながら本編を楽しんだ私。
やはり無印〜Z世代、特にサイヤ人〜ナメック星編が好きなものとして、
悟飯とピッコロの師弟としての信頼関係を見ているとどうしても胸が熱くなります。
特に最後はかめはめ波でも魔閃光でもなく、初めての魔貫光殺砲で決めるとは!この点、最高でした。

同時にRR軍がらみの話なので、冒頭の無印時代の回想を現代の3GCDのバージョンで見られたのも嬉しかった。
前半ののんびりした雰囲気も無印やアラレちゃんっぽいノリを思い出しました。
屈託無くピッコロに頼り切ってる悟飯&ビーデル&パンは似た者家族ですね。

それに、元気溌剌とした悟空役の野沢雅子さんは言わずもがなですが、
古川登志夫さんのお声の若さにもびっくりします。むしろ昔より若返っているような気がする。すごい。

もちろん、物足りない部分もなくはないし、
(例えば、人造人間の話だから17号と18号がもっとフューチャーされてもよかった気がするし、
 「スーパーヒーロー」で悟飯が主役の一人なのにスーパーサイヤマンに全く言及しなかったのも寂しい…)
ピッコロさんの潜在能力解放の手段はドラゴンボール以外になかったのか?と思うし、
ガンマたちがピッコロさんたちが悪ではないと気づくターニングポイントも、
もうちょっと劇的に演出出来たんじゃないかと思うし、
他の作品との設定の整合性は取れているのかちょっと疑わしいところがありそうな気がしますが、
個人的には前述の魔貫光殺砲悟飯&ピッコロさんのパワーアップ(正式名称待たれる!)、
そして全く期待していなかったベジータの勝利だけでもチケット代払った価値がありました。
(「無駄に力を使わない」というセリフの通り、ベジータが戦闘中にあまり声を発していないのもよかったな)

今からすでに配信やソフト化が待ち遠しいです。
(公開されたばかりだっちゅうの!)


欲しかったグッズのストラップは売り切れてて買えませんでした。トホホ…

 

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DB芸人はラップも面白いっすよ。

DBSTAR VISION

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隣の芝生(宇宙)は青かった…映画「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」

2022-05-27 | movie/劇場公開作品

■2022年5月25日(水)■

今後のことで色々バタバタしていたことが落ち着いたので、
やっと『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(以下、MoM)』を見に行きました。
「死霊のはらわた」やソニピ版「スパイダーマン」シリーズなどのサム・ライミ監督らしいホラー全開の続編ということで、
第1作とはまた違った期待が高まっていた本作。

 

ちなみに、ストレンジ先生の1作目は2016年10月に旅行先のロンドンで見ました。

 

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■2016年10月25日■旅日記続きバラ・マーケットで腹ごしらえし、たっぷり街歩きをした後は、公開初日の映画「ドクター・ストレンジ」を見に行きました!日本ではちょうど2017...

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前回ストレンジ先生が登場した映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は
スパイダーマンの正体を世界中の人から消して欲しいというピーターの希望を先生が叶えようとするも、
集中を削がれて中断したことで、別宇宙のあちこちからヴィランが集まってくる、
というお話でした。

 

本作MoMを見るためには、さらにディズニープラスで配信されている
ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチが主役のドラマシリーズ「ワンダヴィジョン」
アニメシリーズ「ホワット・イフ…?」の第4話を見ておく必要がある、
なんて話を耳にはしていたのですが、
私はディズニープラスにはまだ加入していないので、鑑賞せずに臨みました。
(ドラマシリーズ「オビ=ワン・ケノービ」が始まったら加入するつもり…)

この予習問題について結論から言いますと、
「いずれ『ワンダヴィジョン』を見るつもりならネタバレになるから先に見といた方がいい」
が正解かと思います。
見ていなくても、なんとなく起こった出来事は示唆出来ますが、
それはつまり「ワンダヴィジョン」の致命的なネタバレになっちゃうのです。

 

ただでさえ鑑賞しているMCU作品は2/3程度の私なので、
(わからないところがあっても仕方ない、ベネさんのお姿を堪能出来れば満足だ)
と言い聞かせながら見に行きましたが、
実際見てみたら、基本的に「アベンジャーズ」シリーズの鑑賞は必須だし、
やっぱりキャプテン・アメリカやキャプテン・マーベルの知識も必要じゃん!
本当の意味で予習すべき幅が広すぎる!と感じました。

結局「これだけ見てればいい!」なんて簡単なもんじゃなくて、
幅広く見て知識のある人ほどより楽しめる映画なのです。

私は足りない知識を想像力で補うために、
アナキン・スカイウォーカー/ダース・ベイダーを思い出しつつ見ていました(笑)

 

※ここからはネタバレ※

 

ストレンジはクリスティーンの結婚式の最中に出現した一つ目の怪物ガルガントスに追われる少女を救出。
アメリカ・チャベスというその少女は、
ストレンジの夢の中にも現れたマルチバースの移動が出来る人物で、
その力を狙った何者かに追われていた。

ストレンジはガルガントスの体に現れたルーン文字や、
マルチバースに対する知識を持つと考えられるワンダ・マキシモフを訪れると、
実は彼女こそがアメリカの力を欲して怪物を送り込んだ張本人であることが判明。
自分の能力を使って作り出したものの失うことになった双子の子供との生活が忘れられず、
アメリカの力を利用して、別世界で双子と暮らす自分を乗っ取ろうと企んでいた。
ストレンジとウォンはアメリカをカーマ・タージに匿い、
他のマスターたちとともにスカーレット・ウィッチとなったワンダに立ち向かうのだが…

 

■自分という他人に魂を奪われたワンダ■

前述の通り、私は「ワンダヴィジョン」を見ていないせいか、
あまりワンダに共感出来なかったんですよね。
別世界の自分… つまりそれは他人も同然ですが、その自分に執着するのは他人への嫉妬も同じ。
ワンダのような心の痛みは誰にでも訪れうることです。
そして長年この「隣の芝生は青い」現象に苦しめられてきた人間としては、
そんな時間の無駄はやめて、自分(と自分の宇宙)を大切にしなよ…」と思うのでした。
そして、マルチバースなんて知らない方が身のためだよなーとも思ったり。

アナキン・スカイウォーカーを思い浮かべていたのは、
ワンダが闇の魔術書「ダークホールド」を使って闇堕ちしているからですが、
闇堕ちというのは、(主に身内を失うという)恐怖を抱いて
本来の自分の姿を見失っている状態なのだと、両者を見ていると理解出来ますね。

 

■噂のあの人がイルミナティのメンバーで登場■

SW世界で言うところのダークサイドに堕ちたスカーレット・ウィッチの力は強大で、
ストレンジは恐怖を感じると勝手に次元移動するアメリカの力で、
エンド・ゲームの一件でストレンジが命を落とした宇宙(838)に飛ばされ、(その宇宙の)モルドと再会。
彼に拘束されたストレンジはこの宇宙におけるアベンジャーズに当たるグループ「イルミナティ」と面会することに。
実はこの宇宙(838)のストレンジ(スプリーム・ストレンジ)はエンドゲームで名誉の死を遂げたのではなく、
「ダークホールド」の力を借りて解決法をさぐるべく
別宇宙の自分自身を乗っ取る「ドリームウォーク」を続けた結果、
宇宙の衝突「インカージョン」を招いてしまったため、イルミナティに消滅させられたのでした。

このイルミナティのメンバーとして、
出演の噂のあったパトリック・スチュアート演じるプロフェッサーXが登場!
さらにこの宇宙では、キャプテン・アメリカがスティーブ・ロジャースではなくペギー・カーターで、
キャプテン・マーベルがキャロル・ダンヴァースではなく親友のマリア・ランボーなのが面白いですね。

しかしイルミナティのメンバー弱すぎ!
いや、ドリームウォークで襲来したスカーレット・ウィッチが強すぎるのか…
個人的にはキャプテン・マーベルが好きなので、圧倒されちゃってて悲しかったです。

プロフェッサーXはスカーレット・ウィッチの心の中に入り、説得を試みますが失敗。
でも、プロフェッサーXが見た岩?の下敷きになっている状態が、
実際のワンダの状況なんだろうなーと思うんですよね。
彼の(セリフは忘れてしまったけれど)他の世界の自分に潰されるという説得も本当におっしゃる通りだと。

 

■ゾンビでポニテのストレンジ■

「ダークホールド」と対となる魔術書「ヴィシャンティの書」を燃やされたストレンジは、
コントロールが効かないアメリカの力によって開いたポータルで、
クリスティーンとともにまたまた別の宇宙へ。
アメリカはスカーレット・ウィッチに捕まり、ウォンが残されている元の宇宙(616)へ。

アメリカを追うために、またまた別の世界の自分自身(シニスター・ストレンジ)に会いに行くストレンジ。
この宇宙のストレンジも「ドリームウォーク」を続けて自分の宇宙を「インカージョン」で崩壊させていました。
どの宇宙のストレンジも避けて通れないらしい「ドリームウォーク」と「インカージョン」。
しかし、この主役のストレンジは一味違います。

自分自身との対決の末、(ここのベートーベンの「運命」を投げ飛ばしながら戦う2人はなんか笑っちゃった。)
この宇宙の「ダークホールド」を手に入れたストレンジは、
元の宇宙(616)で埋められた自分の死体、
つまり冒頭の夢の中でアメリカとともに戦って元の宇宙にやってきた
別宇宙の自分自身(ディフェンダー・ストレンジ)の死体を乗っ取って、
アメリカと共に「ダークホールド」の原本が刻まれたワンダコア山にいるスカーレット・ウィッチと対決。

しかし力足りず、冒頭のディフェンダー・ストレンジと同様にアメリカの力を奪うようウォンに促されます。
アメリカの力を奪えば、スカーレット・ウィッチの企みと同じことをすることになる…
そしてストレンジは力を奪うことはせずに、アメリカ自身が力を使うよう語りかけます。

…ディフェンダー・ストレンジは、冒頭の生きてた頃のポニーテール姿もかっこいいけど、
ゾンビ姿になってもかっこいい! ゾンビの中身は616のストレンジ先生だけどね。

 

■ワンダの残酷な一言…■

アメリカは自分の力をコントロールして別宇宙(838)のポータルを開き、
双子の子供たちの元へスカーレット・ウィッチを送り込みます。
突然現れた魔女の姿の彼女に怯え、母親のワンダを呼ぶ子供たち。
魔術を振りかざす自分は脅威でしかないと気づいたスカーレット・ウィッチは
「私は怪物じゃない」と涙を流しながら子供たちをなだめ、跪きます。

すると、ワンダ(838)がスカーレット・ウィッチ(616)に対して、
確か(字幕だと)「私が子供を愛します」と告げるのですが、
このセリフは随分残酷だなーと感じました。
(オリジナルは、"Know that they’ll be loved."

私としては、スカーレット・ウィッチを抱きしめてあげるくらいはして欲しかった。
彼女はとても傷ついているが故に闇堕ちしたのに、そんな突き放した言い方ないんじゃないの…
自分自身のことなんだから、その気持ちわかってやれよ…
「あなたの代わりにこの子達を愛します」とかさ… 言い方よ言い方…

そして元の宇宙に戻ったスカーレット・ウィッチはダークホールドのオリジナルを破壊し、
自らをその瓦礫の中に埋めてしまうのでした…

 

…そんなわけで、ドクター・ストレンジが主役の映画なのに
ワンダ/スカーレット・ウィッチの哀れさが辛すぎる映画でした。
アベンジャーズの一員のはずなのに、ここまで悪役に身を落とされて非業の死を遂げることになるなんて。
特別思い入れがあるキャラではないけれど、もっと最後に救いがあってもいいのにな。
あの双子の子供がいなくたって、この宇宙(616)で幸せになる方法はいくらでもあるでしょうに。

ストレンジ先生が力のコントロールに自信のないアメリカを勇気付けるところは良かったし、
ベネさんのいろんなストレンジ先生を見られたのは満足だけど、
スカーレット・ウィッチの扱いについては
「ワンダヴィジョン」に対して不勉強ながらもモヤモヤしております。

 

ところで、最後に出てきたスカーレット・ヨハンソンは
ドルマムゥの姪で、のちにストレンジ先生の弟子になるクレアというキャラクターだそうで。
原作では先生とも恋仲になるそうな。
スカーレット・ヨハンソンがベネさんの恋人役かぁ。むむーっ。

 

「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」特別映像【敵は邪悪な姿をした<もう一人の ドクター・ストレンジ >⁉️】

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作戦は小説よりも繊細なり…映画「オペレーション・ミンスミート」

2022-02-27 | movie/劇場公開作品

◆2月22日(火)◆

2月18日に公開された映画オペレーション・ミンスミートを見に行きました。
オミクロン株の影響で感染が拡大する中、引き続き劇場に行くのは出来るだけ控えていますが、
ファーザーに続き、待ちに待った敬愛するマーク・ゲイティスの出演作なので、劇場で見ないわけにはいきません。

 

英国での公開日は2021年1月7日から4月22日に延期されていたので、
状況によっては日本も延期になるかと覚悟していましたが、無事予定通りに公開されました。

『オペレーション・ミンスミート』本編映像解禁!作戦の全容は… 2.18公開

 

第二次世界大戦中の1943年。
イギリス連合国軍のシチリア上陸作戦を成功させるため、
諜報部員のユーエン・モンタギュー(コリン・ファース)と
MI5のチャールズ・チャムリー大尉(マシュー・マクファーデン)は
イアン・フレミング少佐(ジョニー・フリン)が提案した

「偽の作戦に関する文書を持たせた死体を海に放流し、ナチス・ドイツを欺く」作戦を支持する。
海軍情報部のゴドフリー提督(ジェイソン・アイザックス)に
「最も失敗しそうな作戦」と揶揄されながらも、

ユーエンの弁護士時代からの知り合いで有能な秘書官へスター(ペネロープ・ウィルトン)や
チャールズの誘いで参加することになった海軍省のジーン(ケリー・マクドナルド)らの協力を得ながら、
2人は作戦成功のため、入手した男性の遺体に「海兵隊員のウィリアム・マーティン少佐」と名付け、
詳細な個人情報や人となりを構築していく…


原作である『ナチを欺いた死体 英国の奇策・ミンスミート作戦の真実』は未読なのですが、
映画に登場するイアン・フレミング少佐(言わずもがな007シリーズの作者)や、
Mことジョン・ヘンリー・ゴドフリー提督は実際にはこの作戦に関わってないようなので、
脚色されているところも多いのだとなんとなくわかります。
この2人は英国の諜報部というイメージをわかりやすくするために登場させてるのかもしれませんね。

映画ではジーンに片思いするチャールズと、
彼女に急接近するユーエンの三角関係も描かれていて、
鑑賞された方の「恋愛要素いらない」という感想も見かけていたのですが、
原作ではどうだったのかなー。多分映画だけの演出なんだろうな。
(現実ではビル・マーティン少佐の恋人の写真を提供した女性はMI5の職員だったようです。)

嫉妬したチャールズがジーンを動揺させようと、
ダンスしながらユーエンの家族のことを吹き込む場面は「馬鹿だねぇ」と頭を抱えちゃったなー。
結果的には良かったのかもしれないけど。

それにしても、軍服着せて文書持たせてポイっと海に投げるのかー、
くらいの軽いイメージで見はじめましたが、
ユーエンたちが作り上げていくビル・マーティン少佐の人物像が、
まるで映画や小説の主人公の肉付けをしていく過程のようで、大変興味深かったです。
開封されたか確認するために、手紙の中にまつげを落としておくとか、
さらには死体がどこに漂着してドイツの諜報部員の誰に情報が渡り、
上官の誰に知らされるのか、特定の個人まで想定して計画が立てられていく様子に、
なんて緻密な作戦なんだ…と気が遠くなります。

事実は小説よりも奇なり、なんて言いますが、
現実の欺瞞作戦は物語よりも繊細ではるかに想像力を要するのが意外。
チャールズが自分の周りに本を執筆している軍人だらけで「作家に囲まれてる!」と文句を言っていて
劇場でもちょっと笑いが起こってましたが、
実はスパイは小説家以上に想像力とストーリーテリングの力を要する職業なんだなと納得しました。

この映画を見た当時は、ロシアがウクライナに進軍する前でしたが、
状況を注視しながら、現代の諜報活動でもあそこまでの繊細さが求められるかな…
むしろもっと派手なネット上の活動が求められたりするのかな…などと考えたりしていました。

 

ところで、私のお目当てのマーク・ゲイティスは、ユーエンの弟アイヴァーを演じています。
劇中では共産主義者としてゴドフリー提督に目をつけられているため、
ユーエンの立場を危うくする身内として、本人がいないところでもしばしば言及されている存在。
予告編では全然出てこなかったので心配でしたが、思ったより登場していてホッとしました。

実際のところ、アイヴァーは当時英国と同盟国だったソ連のスパイで、
う「インテリゲンチャ」のコードネームで英国の情報を流していたと見られています。
弟は弁護士としての活動をしていない兄が英国のスパイであることを知っていたようですが、
ユーエンの方は劇中のように共産党員ではあったが卓球と芸術を愛する変わり者だという認識だった様子。

さらにアイヴァーは国際卓球連盟会長として40年以上卓球の国際普及のために活動しています。
卓球というと強豪国として中国が有名ですが、
中華人民共和国が誕生して間もない1950年代には毛沢東と直接コンタクトをとって、
中国が世界的に活躍出来るスポーツとして紹介したのがこのアイヴァーだったのです!

劇中に登場する第20委員会のジョン・セシル・マスターマン委員長(アレックス・ジェニングス)は、
この彼の国際卓球普及への情熱が常軌を逸しているという点で行動を怪しんでいたそう。

さらに、アイヴァーは映画評論家でもあり、
(クレジットされていませんが)「下宿人」「暗殺者の家」「サボタージュ」「知りすぎていた男」「間諜最後の日」といった
初期ヒッチコック映画の製作補としても知られています。

本編の冒頭で、ユーエンが息子にジョン・バカンの小説「三十九階段」"The 39 Steps"を読んで聞かせ、
アイヴァーが人目を気にしながら外出する?姿が映し出されますが、
これを映画化したヒッチコックの「三十九夜」の製作にもアイヴァーは関わっているのです。

この他、映画テレビ技術者協会、世界平和協議会、動物保存協会と様々な肩書きを持った人物で、
アイヴァーひとりだけを取り上げても面白すぎて1本映画が作れそう!!
考えてみると、役者で製作者で脚本家でコメディアンでLGBT活動家でもあるマークにはぴったりの役かも。
キャスティングの妙だな。


そうだ最後に。第二次大戦中の暗号解読という点でエニグマ解読に挑むアラン・チューリングを描いた
「イミテーション・ゲーム」を思い出したりもしていたのですが、
ペネロープ・ウィルトンが暗号解読班として女性2人を連れてきたのが記憶に残りました
「イミテーション・ゲーム」の中でチューリングが仕掛けたテストを
「まさか女が解けるわけがない」と思ってたのを考えると、
あそこに連れてこられた彼女たちはそんな時代の社会環境で職を得てる相当優秀な人材なんだろうなー。
彼女たちの経歴も面白そうですよね。

 

参考:

The Incredible Story of Ivor Montagu: The Godfather of Chinese Table Tennis - Populous

Ivor Montagu - Wikipedia

Ivor Montagu - IMDb

ピンポン外交の陰にいたスパイ(柏書房株式会社)←読んでみたい

 

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20年の記憶が甦る…「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」【ネタバレあり】

2022-01-13 | movie/劇場公開作品

【1月12日(水)】

評判が良く早く見に行きたいと思っていた「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」を見てきました。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告1 1月7日(金)全国ロードショー

昨今MCU作品は映画・ドラマシリーズと数多く製作されていて
未鑑賞のものもありますが、スパイダーマンの実写映画については
2002年(20年前!)のコロンビア・ピクチャーズの一作目から映画館で見ています。
マーベル・スタジオ版のスパイダーマンももちろん見ていますが、
前作の「ファー・フロム・ホーム」は、留学から帰国する準備段階のため多忙で
映画館では見られなかったため、今作を観る直前にNetflixで鑑賞しました。
(アニメの「スパイダーマン:スパイダーバース」はロンドンの映画館で鑑賞。)

「ファー・フロム・ホーム」は修学旅行のノリが楽しかったのと、
ホログラムで現実か投影か区別がつかない世界に放り込まれる恐ろしさが印象に残りましたが、
「ノー・ウェイ・ホーム」は、ピーターがスパイダーマンであると世間に正体がバラされてしまった
危機的状況から始まり、事態の収拾のためにドクター・ストレンジの力を借りに行く…
というところまで予告編で明らかにされていました。

 

 

ここからはネタバレ。

 

 

私はてっきり、予告編を見てストレンジ先生の魔術で
誤って恋人MJや親友ネッド、メイおばさんの記憶が消えてしまうのかと思っていましたが、
実際には魔術の実行はピーターの注文に集中を削がれたストレンジ先生に中断され、
記憶の消去はこの時点では未遂に終わります。

ストレンジ先生に「(入学を断られて)大学に掛け合うこともしなかったのか!?」と呆れられるピーター。
でも先生もホイホイ魔術使う前にそのくらいの確認を本人にしておいたらどうなのよ!(笑)

しかしその中断の影響でマルチユニバース中のスパイダーマンの敵を地球に呼び寄せることになり、
グリーン・ゴブリンやドクター・オクトパスといった、
ピーターが戦ったことはない強敵達が集まりだす事態に。
ストレンジの指示でリザードの他、エレクトロやサンドマンらを捕獲したピーターでしたが、
元の世界に戻した後はその世界の自分に倒される運命にあると気づくと、
ストレンジを別空間に閉じ込めて、その実行装置を奪い、
MJ&ネッドとともに、ヴィランたちから邪悪な能力を取り除いた上で元の世界に安全に戻す計画を立て始めます

個人的には、この計画にはあまり好感が湧かなかったというか、
能力があるから邪悪なわけではなく、
元々その人が問題を抱えていたからこそ悪意が増幅してしまうのであって、
「邪悪な能力を取り除いただけでは根本的な解決にはならんだろう…」と思ってしまいました。
それに能力を奪われた彼らに社会復帰出来るチャンスはあるのかな…とも。
でもスパイダーマンに倒されるよりはマシなのかもな。

そんな本筋に対する煮えきれない気分を抱えながらも、
私はこの本編を鑑賞中に5回は涙が止まらなくなってしまいました。
何故なら…

泣きポイント1:
コロンビア・ピクチャーズ版の主役2人(トビー・マグワイア&アンドリュー・ガーフィールド)が登場!

と言っても、実は私はアンドリュー・ガーフィールドが出演していることは
海外のニュースサイトのネタバレ見出しを踏んで知っていたのですが、
トビー・マグワイアまで出ていることは確信がなかったので、本当に嬉しかったです。
「スパイダーバース」の成功があってこそ実現した共演じゃないでしょうか。
こんなに心強い味方はいないですよね!

泣きポイント2:
マーベル・ピーターに、他次元ピーターが過去の喪失感を吐露!

ピーターがメイおばさんを亡くしたタイミングで初対面する他次元ピーター2人。
すでに愛するものを失った経験のある2人は、ピーターに彼らの家族や恋人について語り始めます。
ずっと見てきた観客にとっては一緒に体験してきた全部知っているエピソードなので、
今作のメイおばさんの喪失だけでも悲しいのに、
さらに過去の喪失の記憶を一緒になぞらえて胸が締め付けられました。

泣きポイント3:
他次元ピーター同士の会話!

正直3人ピーターの共演が実現するなんてひと昔には夢にも思っていなかったので、
それぞれの能力の違いや「僕のMJ」について語り合ったり、お互いをねぎらう姿に涙涙。
ピーター本人同士だからこそ分かち合える悩みや痛みだよなー。
「自然に糸出せるのずるい!糸生成するの大変なのに!」とか(笑)。
ピーター(トビー)がピーター(アンドリュー)に
「君はアメージングだよ!」と何度も言って聞かせてるところも、
闘いきった後の3人の抱擁も、ピーター(アンドリュー)がピーター(トビー)に向けて
「痛いだろ…」って苦笑しながら話しかけるところも、何もかもが感動的だった…。

泣きポイント4:
MJを救出するアメージング・スパイダーマン!!

ここが一番やられたシーン…。
「アメージング・スパイダーマン2」のクライマックスで、
塔の上から突き落とされた恋人のグウェン(エマ・ストーン)を
ピーター(アンドリュー)が救おうとしますが、
糸で捕まえるタイミングが一歩遅く、彼女は死んでしまいます。

当時、映画館で見てかなり衝撃的だったのを覚えています。
スパイダーマンシリーズの中で一番印象に残っているシーンかも。
しかも当時交際していたアンドリューとエマはその後破局してしまうし、
3作目があると思ってたのに作られず、主役が変わってリブートされると知った時の寂しさも忘れられない。
(もちろんトムホのピーターも好きになったけど…)

そして今作でも、同じようにMJ(ゼンデイヤ)が足場から突き落とされるシーンが!
ピーター(トム)が助けようと飛び出すも、グリーン・ゴブリンが妨害。
アメージング・スパイダーマンことピーター(アンドリュー)が代わりに救出に向かうのです。
見事、この次元のピーターにとってのグウェンであるMJを掴み、
彼女を抱きかかえるアメージング・スパイダーマンの目には涙が…。
あの時救えなかった恋人をやっと救えた瞬間。
アメスパ2鑑賞直後から味わっていた寂しさがやっと救われたような気持ちになりました。
ここで泣かずにいられようか…!

泣きポイント5:
ピーター(トム)の決意、そして友との再会…

存在が確認されていた悪役たちについては悪の能力の解毒に成功したピーターでしたが、
その他の世界からも敵が押し寄せ、制御不能な状態に。
そこで彼らを引き寄せないために、ピーターは改めて自分に関する記憶を
MJやネッドを含む、全ての人々の記憶から消すようドクター・ストレンジに依頼します。
冒頭とは違うピーターの覚悟を感じ取り、敬意を持って受け入れるストレンジ先生。

2人のピーターやヴィランたちが元の世界に戻った後、誰も自分を知らない世界で、
ピーターは声をかけるセリフを準備してMJのバイト先を訪れます。
そこにはMJと同じく無事にMITへの入学が許されたネッドの姿も。
もちろん、二人ともピーターが同級生だったことなど知りません。
普通の客と同じように接するMJと話して、
日常を過ごす姿に安心したかのように、ピーターは用意してきたセリフを引っ込めます。

恋人と親友が自分のことを覚えていない世界…
それは耐えられないほど辛い体験のはずだけれど、
ピーターは彼らを守るための自分の決断と、彼らの幸せな日常を誇りに思っているようにすら見えました。
それゆえに見ている方も胸は痛いけれど、これからの彼を応援したくなる気持ちでいっぱいになるのです。

 

ところで、ピーターが新しい部屋に高卒認定の問題集を持ち込んでいるのを見て、
「あれ?もしかして、ピーター=スパイダーマンの記憶だけじゃなくて、
 ピーターの存在自体の記憶が消えちゃってるの??」と戸惑いました。
存在の記憶が消えるって、戸籍も在籍確認も取れなくなっちゃうってこと??
でもスパイダーマンの存在の記憶は残ってるってこと?? そんなのあり??

ということで、納得のいかん部分もありますが、
子供のままヒーローの重荷を背負わされたピーターの、大人としての再出発を応援しつつ、
記憶の中で宙ぶらりんになっていた過去のシリーズを、
別の世界のスパイダーマンということで成立させ、
彼らの人生も続いていると証明してくれた今作には感謝です。

 

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ダニエル・クレイグの有終の美?「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」【ネタバレあり】

2021-10-02 | movie/劇場公開作品

台風で足元をベチャベチャにさせながら、
ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる最後の作品、
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」を初日に見てきました。

緊急事態宣言解除の初日でもありましたが、
チケットの購入はギリギリまで待って、
なるべく入場者が少ない回を選んで見に行きました。

映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』最新予告

ちなみに007シリーズは学生の頃から機会があれば劇場で見ていて、
ダニエル・クレイグが主演した作品については
最初の2作はテレビで、後の3作は劇場で複数回鑑賞。

Q役ベン・ウィショーが出演するようになってからは
やる気を出して初日に見たり、劇場でも繰り返し見に行ったりしています。

 

前作の「スペクター」で犯罪組織スペクターの親玉ブロフェルドを捕らえた後、
スペクターの一員であったミスター・ホワイトの娘マドレーヌとともに姿を消し、
ジャマイカで実質引退生活を送るジェームズ・ボンド。

旧知の仲であるCIAのフェリックス・ライターが現れ、
誘拐された科学者の救い出すよう依頼される。

…というのが、今回明かされているあらすじ。

 

今回は私の大好きな「フリーバッグ」「キリング・イヴ」のクリエイター
フィービー・ウォーラー=ブリッジも脚本チームに参加していることもあって、
特に楽しみにしていました。
(もっとも彼女はストーリーが出来てからの参加で、サポートのような役回りだったらしい。)

クレイグ版ボンド作品の中では最も長い上映時間163分
鑑賞時にもさすがに長いと感じましたが、
ダニエル・クレイグを送り出すためにはこれだけの舞台が必要なんでしょう。
実際、もうしばらく007シリーズは作られないんじゃないかと思うほどの幕切れでした。
(もちろんJames Bond will returnの文字は出てきますのでご安心を。)

台風の低気圧で頭痛が酷い状態で見たので、
正直思考が低下してちゃんと理解できたように思えないですが、
記憶している範囲内で感想を残しておこうと思います。書きながら思い出せるかも。
(間違った認識をしているところがあったらすみません!)

 

 

【ここからはネタバレ注意!!】

 

●突然の別れ…!

過去を清算し、マドレーヌとの新しい人生を歩むためヴェスパーの墓を訪れたボンド。
しかし墓が爆破され、命を狙われたジェームズはマドレーヌがスペクターに自分の位置を教えたと思い込み、
激しく非難するだけでなく、列車に乗らせて、別れを告げてしまいます。

…ちょっと待って、いくら人を信用出来ない諜報部員だからといって、
連れ添った恋人をすぐに疑うなんてひどくない? ちょっと短絡過ぎでは…?
第一、ヴェスパーの墓の位置なんてスペクターならすぐに調べがつくのでは…?
そして「5年後」の字幕にびっくり(笑)
しかし見終わってから考えると、のちに登場する娘の存在を彼に伏せておくには
この別れと5年間が必要だったんでしょうね。

●気分が上がるちょい役チェック

科学者の一人として「フリーバッグ」の銀行員のおじさんことヒュー・デニスが端役で出てて興奮。
普段から主役級俳優よりバイプレーヤーが好きだから、
大作に知ってるor興味のある英国俳優が出ていると小さい役でも嬉しくなっちゃう。

●新007、ノーミ登場

CIAのフェリックスやローガン・アッシュと立ち寄ったジャマイカのクラブで
「キャプテン・マーベル」のマリアことラシャーナ・リンチが演じるノーミと出会うジェームズ。
実は彼女は死んだと思われているジェームズの後釜として007を割り振られたMI6だとわかります。
(ジェームズはMと電話ごしで久々の会話)

MI6内でも私たちの世界と同じく007=ボンドで定着しているらしく、
職場でボンドを引き連れたノーミを「007」と呼ぼうとした同僚たちが
困惑の表情を浮かべているのがなんともおかしい。

●新人エージェント、パロマ!

科学者ヴァルド・オブルチェフはMが極秘裏に進めていた「フェニックス計画」という
DNA兵器開発に携わっていたため何者かに誘拐されますが、
MI6とCIAは情報交換を行っておらず、
MI6はノーミが、CIAはジェームズとサポート役のパロマがそれぞれオブルチェフを追うことに。

「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」アナ・デ・アルマス演じるパロマは、
今回の作品の中でもっとも輝いていたエージェントだと言えるかも。
やる気に満ちているパロマは、経験が浅い故にちょっと空回り気味で、
合言葉の確認を忘れたり、
タキシードを着せるためにジェームズの服を自分から脱がせようとしたり。
現場に乗り込んだらまず酒を一杯ひっかける余裕を見せる、
ジェームズのベテランぶりが頼もしい。

しかしいざオブルチェフの追跡となるとパロマも本領発揮。
敵をなぎ倒し、素早く車両を調達した上で作戦を成功させ、
ジェームズも彼女の手腕を認めます。

後でプログラムを見たら監督のキャリー・ジョージ・フクナガがキャラクターを考え、
フィービーと共に台詞を練ったとか。やっぱりフィービーは期待を裏切らないっ!!
パロマには今後も機会があれば登場してほしいくらいだなー。勿体ない。

●オブルチェフは、一体何者?

科学者オブルチェフを追ってきたはずが、
MI6の監視下にあるはずのブロフェルドの声が響く中、
スペクターのメンバーに囲まれてしまうジェームズ。
しかし、オブルチェフがターゲットの対象となるDNA情報をすり替えたために、
ジェームズではなく、スペクターのメンバー全員がDNA兵器をばら撒かれて即死してしまう。

ジェームズはパロマの協力を得て、なんとかオブルチェフを捕らえ、
フェリックスたちの前でスペクターのメンバー殺害の首謀者を問いただすが、
実はCIAのローガン・アッシュがオブルチェフと同じ組織の一味であり、
ジェームズとフェリックスを船に監禁し、オブルチェフを連れ去る。
重傷を負ったフェリックスは浸水し沈みゆく船の中で亡くなってしまう。

つまり、

スペクターがオブルチェフを誘拐、ジェームズの暗殺を要求
   ↓
実はオブルチェフはスペクターの壊滅を企む全く別の組織の一員のため、
ジェームズではなく、その場にいたスペクターのメンバー全員を殺すための兵器にすり替える
   ↓

ジェームズではなく、スペクターのメンバー全員死亡
   ↓
ジェームズがオブルチェフを確保

   ↓
ローガン・アッシュがオブルチェフを元の組織に連れ帰る

ということだと思うのですが、
見ている間はややこしくてなかなか関係性が頭に入ってきませんでした。

●Qのディナーデート!!

英国へ戻り、古巣のMI6へ「来客」として戻ったジェームズは、
マネーペニー(ナオミ・ハリス)の誘いで夕食を準備中のQの家へ。

ベン・ウィショーがインタビュー等で今作は
「Qの私生活が垣間見える」と語っていたので楽しみにしていたのですが、
「スペクター」で語っていた猫たちや、気になる男性とのディナーを用意するQの姿が見られるとは!
エプロン代わりの日本製の前掛けも、公開前から話題になってましたよね。
ベン本人の個性が反映されているのか、
Qのセクシュアリティが明言されて嬉しかったです。

その後、Mのオフィスでジェームズと出くわしたQが、再会済であることを悟られまいと、
「ボンド久しぶり〜(汗)」とごまかすシーンが最高に可愛かったです(笑)。
嘘が下手くそすぎる!(逆に言うとベンの芝居がうまい!

そしてMは、Qがジェームズを家に泊めているのは分かっている、と言っていた気がするのですが、
ジェームズが家に泊まってて、彼氏候補の男性にはバレないんだろうか!?
と勝手に心配してみたり。
でも00Qシッパーは絶対ここで喜んでいるはず(笑)

ずっとジェームズに振り回されてばかりだから、Qには幸せな私生活を送ってほしいな(笑)。

●能面サフィンとマドレーヌの過去

ジェームズと別れた後、なななんとブロフェルドのカウンセラーになっていたマドレーヌ
(父に殺しをさせてた男にカウンセリングを施すなんてまともじゃないぜ!)
普段はロンドンのクリニックで診療しているらしく、彼女の元に一人の男がやってくる。
その男こそ、かつてスペクターに家族を殺された復讐のために
マドレーヌの母親を殺したリュートシファー・サフィン(ラミ・マレック)であり、
科学者オブルチェフやローガン・アッシュのボスだった。
サフィンはマドレーヌを殺さずに生かしてやった見返りを求めて、
ブロフェルドを殺害するよう、DNA兵器である香水を差し出す。

一方、ジェームズはもはやブロフェルドのみとなった
スペクターの壊滅を狙う存在(つまりサフィン)を追うため、
Mからブロフェルドとの面会を許されます。
面会を前に、香水をつけたマドレーヌと再会するジェームズ。
ところが、いざブロフェルドと面会する段になり、
うろたえて外に出てしまうマドレーヌ。
DNA兵器の香水をつけていることを知らないジェームズは、
彼女の手首を掴んだ手でブロフェルドにつかみかかってしまい、ブロフェルドは死んでしまう。

香水が出てきたあたりでこうなることが予想出来ちゃった!

サフィンが何者なのかは一番最初に描かれているので、
今回の敵はサフィンであることは観客にはわかっていますが、
過去の悪役よりもインパクトが薄かった気がします。
何故、彼に多くの人がついていくのか…
それほど牽引する力量があるのかちょっと分かり難い。
おそらく、スペクターに恨みを持つ、同じような境遇の部下なんだろうけど…。
例えばブロフェルドは「スペクター」の会議のシーンでその威厳が一見してわかるのですがねー。
そういう描写が足りないですよね

●マドレーヌの秘密

マドレーヌはサフィンに母親を殺された現場であるノルウェーの旧自宅へ身を隠し、
5年前の彼女にスペクターとの間に繋がりはなかったと知ったジェームズはマドレーヌと和解。
そして、彼女にマチルドという幼い娘がいることを知ります。
マドレーヌはジェームズの子ではないと言いますが…
いやいや、娘に決まってるだろっ!

●戦場でもお茶を欠かさない英国魂

マドレーヌとマチルドはサフィン一味に誘拐され、ノーミと合流するジェームズ。
ノーミはサフィンを追跡してたはずなのに、ジェームズが散々銃撃戦した後に現れて
そりゃジェームズも「何してたんだ?」と言いたくなりますよね。

2人はマドレーヌの旧自宅に隠されていた情報を元に、
Qが手配したグラインダーで、サフィンのアジトでありDNA兵器工場…
Qいわく、特定のDNAに反応するナノボットを製造する工場の島へと乗り込むことに。
(日露の近海の島らしい。)

ガジェットを取り出すQの引き出しの中にティーセットが入っているのが、
非常に英国的で笑いました。

●ボンド、土下座する

ノーミと共に島に乗り込んだジェームズを、
日本風の畳を敷いた空間で、マチルドを手元に置いたサフィンが待ち構えている。

どういう会話の流れだったのか、記憶が曖昧になってしまったのですが、
ジェームズがサフィンにジワジワ土下座をしながら謝るシーンで、
畳の上だから様式に合わせて土下座なのかと思ったら、失礼ながらちょっと笑いそうに。

●うさちゃん…

うまく逃げ出したマドレーヌと娘マチルドを、ノーミに頼んで島の外へと送り出した後は、
Mが命令を下したミサイルが着弾と共に、島にあるミサイルが誘爆するように
アジトのミサイル発射サイロの扉を開放。
しかし、サフィンとの格闘となり、マドレーヌと娘をターゲットとしたナノボットに感染
サフィンはジェームズに倒されますが、
二度とマドレーヌとマチルドに触れることの出来なくなったジェームズは死を選び、
マドレーヌとの最後の会話を交わしながら、ミサイルの着弾を待つのでした…

…マチルドと血の繋がっているジェームズは、
感染した時点で死んでしまうんじゃないの?
あ、マドレーヌ由来だからジェームズは感染しても平気なのか…
と、頭の中が混乱した状態でこのエンディングを迎えました(苦笑)。

私はてっきり、ジェームズがうさちゃん人形をマチルドに渡して大団円!だと思っていたのに。

マドレーヌとマチルドだけがターゲットだとすれば、
今後2人に会わずに逃げて生存するという選択肢もあったかも。
(イーサン・ハントならありえそう。)
今回のジェームズはとりあえず生き延びようと足掻く事すらしない。
ダニエル・クレイグにとって最後の作品なので当然でしょうが、
それを選ばなかったのは、2人を守るというより、
会えないくらいなら死んだ方がマシだという結論なんでしょうね。

いやいや、でもあんたマドレーヌを5年以上も放っておいたくせに…。

ちょいと勝手じゃないですかね。
まあ、愛情なんていつも自分勝手なものか。

 

振り返ってみると、演出上の説明やメリハリが足りないような気もします。
オブルチェフを巡ってはスペクター&サフィン&MI6&CIAの4者がそれぞれ
保護しようと追っているわけですが、
MI6のジェームズはCIAのために働いて、CIAのローガン・アッシュが実はサフィンの手下で…と、
組織が入り混じっていてわかりにくいし、
そこに加えて、ナノボット兵器が「本人だけでなく血縁者も被害にあう」という複雑さ…
さらに言うと、サフィンはもっと「満を持して」、印象的にマドレーヌの前に再登場して欲しかった。
前述しましたが、彼のリーダーとしての描写も足りないし。

サフィンの組織も、スペクターみたいに組織のロゴを作るべきだったと思う!

キューバでのパロマの活躍はすごく魅力的だったけど、
それ故に、取ってつけたような存在になってしまってるし、
せっかくの新007、ノーミがちょっと霞んでしまうのも勿体無い。
本当なら「スカイフォール」のマネーペニーくらいフューチャーされてしかるべきなのに。
マドレーヌ以外の新しいボンドガールが必要だったんだろうけど、
そもそもジェームズとノーミがオブルチェフをバチバチ奪い合うだけじゃいけなかったんかい?

そして何より、突然マドレーヌを一方的に振っておいて、
5年後に自分の勘違いだったとわかると簡単によりを戻すジェームズの身勝手さ…。
もうちょっと苦渋の決断で別れるなり、深く許しを乞うなりしてたら、
彼の心の動きも見えてくるのに、これじゃーただの軽薄な男じゃん…

サフィンも自分が家族で生き残った存在ゆえに、マドレーヌやマチルドを見逃してしまうのはわかるけど、
マドレーヌを助ける場面はなかったし、マチルドの見逃し方もやけにそっけない。
これだけ尺が長いんだから、生き残った子供としてのサフィンの回想くらいあってもよかったんじゃないか。
そしてスペクターへの復讐のはずなのに、何故か潰滅後も世界中の人間をターゲットにしている点。
どういう基準でターゲットを選んでいるのか…(頭痛くて聞き逃してたかな…)
なんだか、ジェームズもサフィンも、やっていることが一貫していない感じがするんですよね。

 

…思い出しながら書いていたら、思いもよらず辛口で不満たっぷりになってしまいました。
冷たい足のまま、頭痛を抱えて見ていた一観客としての感想記録として受け止めてもらえたら幸いです。

改めて6代目ジェームズ・ボンド、お疲れ様でした。

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プライムビデオ「Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~」【ネタバレ注意】

2021-09-19 | movie/劇場公開作品

先日紹介したミュージカル"Everybody’s Talking About Jamie"を映画化した、
「Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~」をやっと見ました!

作品紹介とウエストエンド版についての記事はこちら↓

OGPイメージ

ミュージカル「ジェイミー!」 Everybody's Talking About Jamie ウエストエンド版 - だから、ここに来た!

ロンドン留学中は節約のために観劇はなるべく控えめにしていたのですが、それでも2回見に行ってしまったミュージカルがあります。それが"...

ミュージカル「ジェイミー!」 Everybody's Talking About Jamie ウエストエンド版 - だから、ここに来た!

 

'And You Don't Even Know It' - Full Song From Everybody's Talking About Jamie

舞台と違って映画でがっかりしたらどうしよう…と、
ちょっとだけ心配していたんですが、
映画版には舞台上で表現出来ない演出やシーンもあって、
その心配も何処へやら、涙を流しながらティッシュ片手に見終えました。
最高の映画化でしたよ!

■■■映画版に追加されたシーン■■■

映画版には秀逸な追加シーンが幾つかあります。

舞台は将来を話し合う11年生の教室のシーンで幕が開きますが、
映画はジェイミーが朝起きて新聞配達するシーンから始まります。

ハイヒールを買うために地道にコツコツ小遣い稼ぎをしている
ジェイミーの夢へ向けた努力が見えるシーンですね!
(ちなみに元になったドキュメンタリーが放送された2011年当時、
 11年生は、中学高校にあたるセカンダリースクールの最高学年。)

個人的に特に好きだった映画版のシーンは
プリティがジェイミーにドレス姿でプロムに参加することを促す"Spotlight"のシーン。
舞台では、同級生(アンサンブル)が机を叩きながらコーラスで参加していますが、
映画版ではカフェテリアの掃除をする女性3人
ドリームガールズのように煌びやかなドレスに変身して
プリティの歌に華を添えています。

Everybody's Talking About Jamie - Spotlight

 

一番異なる部分は、ジェレミーのドラァグの師匠であるヒューゴの歌。
舞台では、ヒューゴが女装した姿であるロコ・シャネルの人生と
赤いドレスにまつわる話を語って聞かせる
"Legend Of Loco Chanel"という歌があるのですが、映画ではこれをカット。
そして、代わりに"This Was Me"という新曲が、
ヒューゴの大事にしているビデオテープの映像とともに流れます。
ジェイミーはヒューゴのドラァグ・クイーンとしての戦いの歴史を知って、
単に有名になりたいという憧れが浅はかな考えだったと反省します。

舞台ではヒューゴが作り上げたロコ・シャネルの伝説を披露するのに対して、
映画はプライド・パレードやエイズで亡くなった恋人や友人たちの思い出を通して
ヒューゴ自身の歴史を辿る演出になっているんですね。
現在のヒューゴとジェイミーがビデオの映像の中に入り込んで、
昔のヒューゴを眺めているような演出も素敵でした。

(舞台版ジェイミーのオリジナル・キャスト、
 ジョン・マクリーが演じる若き日のヒューゴの美しいこと!!
 もちろんリチャード・E・グラントの女装もゴージャスだけど!
 リチャード・E・グラントは「ある女流作家の罪と罰」のゲイ役も印象的でした)

映画のヒューゴがダイアナ妃のマグカップを使っていたのも
当時触れただけで感染するのではないかと恐れられていた
エイズ患者の病棟を訪れて恐れることなく触れ合っていた
ダイアナ妃への敬意を表しているんでしょうね。

OGPイメージ

How 'Everybody's Talking About Jamie' honors the AIDS generation

The cast and creatives explain why 'This Was Me' has Section...

Los Angeles Times

 

 

Everybody’s Talking About Jamie - Legend Of Loco Chanel

This Was Me (From ''Everybody's Talking About Jamie'' / Alternative Version)

 

ジェイミーのドラァグ・デビューのシーンは、
舞台では幕が開いて、ヒューゴから譲られたドレス姿のジェイミーの後ろ姿が
シルエットとして浮かび上がって第一幕が終わりますが、
映画ではパフォーマンスのシーンやディーンの野次のシーンも追加されています。

父親に会いに行って真実を知ったジェイミーが
嘘をついていた母と喧嘩して飛び出し、ユニフォームをホルターネックにして
父の観戦するフットボールの試合に乱入する場面も映画独自。

舞台では路上で男たちに突然絡まれる
泣きっ面に蜂のようなシーンで気の毒だったので、
映画の乱入→追い出される流れの方が自然に思えますね。

 

■■■映画版にない曲■■■

前回の記事で「映画ではカットされた曲もあるらしい」と書いた通り、
上記の”Legend Of Loco Chanel”の他にも、
何曲か映画版には出てこない曲がありました。

元夫に会いに行き、ジェイミーとはもう関係ないと言われた母マーガレットが
過去を振り返り、あの頃の自分にあったらなんて言うだろう?と歌う
"If I Met Myself Again"

Everybody’s Talking About Jamie - If I Met Myself Again

映画ではつけまつげで登校したジェイミーが親の呼び出しを受けますが、
舞台では、一度帰宅し、母とレイにプロム用に電球付きで改良?したドレスを披露するシーンがあります。
それが"Limited Edition Prom Night Special"
レイとジェイミーがノリノリで歌うこの曲、結構好きです。

(HD) Everybody's talking about Jamie || prom night special - (song + full scene)

カードも花束も母から送られたものだと知り、
父親から改めて突き放されたジェイミーが
「この醜い世界で一番醜い僕」と歌う"Ugly in this ugly world"

(HD) Everybody's talking about Jamie || Ugly in this ugly world + He's my boy (full scene + songs)

そしてプロム会場に集まる11年生が歌う"Prom song"

(HD) Everybody's talking about Jamie | Prom song + Full scene ( + Jamie and Dean talk )

 

■■■「自分らしさ」に悩む若者に響くはず■■■

冒頭の'And You Don't Even Know It'を歌うジェイミーを見ていて、
高校時代の自分を思い出してしまいました。
若い頃は状況に関係なく自分の可能性を無限に感じて
よりよい自分を妄想したりするもんです。

そして大人になると挫折も知るから、
ヘッジ先生のように、人生なんて思うようにいかないんだから、
夢なんて抱かない方がいいって言う気持ちもわからないでもない…。

ジェイミーが母や先生に「僕はあなたより未来がある」
「可能性がある」と言い放つ場面は、かなりグサッときます(苦笑)。
ジェイミー、大人にそれは言っちゃいかんよ…。
誰もが望んで大人になるんじゃないんだからね。

以前この作品がセクシュアリティに悩む子達の助けにもなればいいね!と書きましたが、
自分の将来に悩む若者みんなに響く物語ですよね。
プリティのように勉強が好きなことを後ろめたく思う子もあるだろうし、
ディーンのように「俺には無理」と柄ではないから勉強を諦めてしまう子もいる。
自分を否定しないで進んでいこうと頑張るジェイミーに、
自分らしさに迷いながら学生生活を送っている子は共感できるのではないでしょうか。

大人になった私のような人間でも、ジェイミーを見ていると、
昔の高校生の頃の自分の気持ちに応えてあげたいと思わされます。
If I Met Myself Again, I'd make her see the future's me. ですね。
つまり、全世代に響くのかも。

 

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