「すまん、すまん、俺が悪かった」
午前、別のアフリカンとランジャンからそれぞれ1パケ買った。短時間でどんな経路を通ってフィリップスの耳に入ったのか不思議でならない、しかし奴にしてみれば自分の客を他のプッシャーに取られるのは我慢ならない出来事に違いない。ぼくはただフィリップスが用意してくれる物よりもっと良いスタッフがワード内に流れてないか手を出しただけなのだが、その事も奴にとっては許し難いのだ。だが、だからと言ってぼくと喧嘩別れして大切な客を手放す訳にはいかないジレンマがある。奴とぼくの関係がはっきり切れたと分かれば他のプッシャーは必ずぼくに接触してくる。ぼくにとって奴は必要な存在だし長い付き合いだ。
「スタッフの事は俺に話してくれ、希望があれば何でもアレンジする。弁護士の件も手は打ってある、早ければ来年春にも出られるだろう」
少しお金は掛るだろうが奴と組んでここを出る、それが一番良い方法だろう。
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