ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No2 Ward・・・・・83

2014-09-26 | 3章 デリー中央第一刑務所No2Ward

この粉には参ってしまった。1パケ入れたのにうんともすんとも効かない、馬鹿みたいだ。昼、ショッカンがちょっと良い粉があると言うので買って吸ったがたいした事はなかった。面白い事はない、ジョイントでも作ろうか、その時押し殺した声で
「誰から買ったトミー」
奴はいつ隣のベッドに来たのか
「話せトミー」
誰から買ったか言え、と命令してきた。奴の手はぼくから取り上げたパケを持っている。最も気を付けなくてはならないヘビ目だ。ぼくは見張られていたのだ。最悪の事態になった。周りが一瞬、静かになり皆の視線、神経がこちらに向いている。背中が痛いほど感じた。
「トミー話せ」
「話せないのか」
何度も命令してきた。小さな静かな声で、ぼくを見ている目はヘビのようだった。
「今、話せば全部お前に返してやる」
「もし話さないなら、明日戻してやる」
明日、戻すという事は刑務官に報告した後という事か、万事休す。恐れていた最悪の事態を招いてしまった。何か良い手はないのか、このまま時間が過ぎて明日になってしまえば終りだ。どうすれば良いのか、ディクソンに相談してみようか、奴に没収されたのは小パケのみだが残りのスタッフも早く処分した方が良いだろう。ディクソンが他のリーダーに相談して何か穏便に解決する方法を考えてくれるかもしれない。だがスリランカ人の彼はこの問題に関わりたくないだろう。彼を含めたスリランカ人・グループもマークされているのだから。誰から買ったのか、と追及されても誰の名前を言えば良いのか。ヘビ目は誰の名前を欲しがっているのか。


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