9月23日(土曜日)
朝、6時いつものように、デリー中央第1刑務所、第5収監区、Cバラック、3房の鍵を開ける金属音がした。
ベッドから起き上がりネットを片付けた。扇風機を止め電線をスパークさせた熱から火を取りオイルランプに火を点けた。房内はまだ暑いがもう肌に白い塩の粒が残るような暑さはない。ピーターが入ってきて
「おはよう、火を貰うよ」
ミルク缶の中のオイルランプに火を点け彼は出て行った。彼が毎朝、火を貰いに来るようになったのはいつからだろう。ビリを吸いながら水の入ったペットボトルをぶら下げトイレへ向かった。グラウンドには薄い靄が立ちその中を朝のウオーキングをしている数名の収監者がいた。トイレは相変わらず汚れていたがもうぼくにはどうでも良い事だった。井戸水で身体を洗いチェーシングをやっているとダイクが入って来て新しいパイプと交換する。
「昨日のパイプ良かった」そう言って彼は開いた鉄格子から外へ出る。
1日使ったチェーシング用パイプの内側にはシルバーペーパーを巻き込んである、そこに付着したスタッフの滓なのだが開いたシルバーペーパーを下から火で焙ると1回分のチェーシングが出来る。それが欲しいダイクは毎朝パイプの交換にやって来た。
朝、売店に行くのも今日が最後になる、オマールといつものソヤビン入りカレーライスを食べた。第5収監区のゲートに入るとき顔馴染みになった刑務官に木の葉で包んだカレーライスを渡すと喜んでいた。
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