ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

第2話 マントラババ     1     

2014-01-22 | 第2話 マントラババ


 マントラババは南インドから来ているらしい。そういえば北インドのサドゥの着衣はサフランカラーだが、彼の着衣は小豆色で服の形も違う。英語を話すサドゥの中には碌でもない奴がいる、外国人相手にたかり方を知っている。マントラババはラムジュラ(吊り橋)を渡ったガンガの対岸にあるアシュラムに住んでいる。今日はここから2kmぐらい上流にあるリシケシで最初に開かれたという古い聖地へ彼の案内でチャラスを買いに行った。そこに着いてまず目についたのは高さ2m程もある真っ黒いリンガだ。ガンガの河岸に祭られていた。ここは小さな村で通りにある土産物屋の数も少ない。人の良さそうな親爺の店へぼく達は入っていく。ナマステバーイと挨拶をするとマントラババは店の親爺と話しをしている、がどうも上手くいっていないようだ。チャラスを売るほどの量は持っていない、吸うだけなら吸わせてやると店の親爺が言う。吸うのが好きそうな親爺だとは思ったが、商売をおっ放り出し真昼間から吸うのか。面白い、吸ってやろうじゃないかと親爺と2人で吸い始めた。2本目を吸っていると親爺の目はとろんとして何処かへ飛んでいる。シャンボー、親爺にお礼を言って店を出た。
 4月はちょうどチャラスの年度替わりの時期になっているのかもしれない。去年作ったチャラスは底をついたが、今年のガンジャ(大麻草)はまだ十分に成熟していない。親爺のチラムを2本も吸ってしまいぼくはふらふらになってラムジュラへ戻ってきた。帰りの道端にはぽちぽちと露店や蛇使いが並びぼくに声を掛ける。木に囲まれたヨギの小屋では瞑想に耽るヨギの姿があった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする