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米軍再編経費が大幅増 財源は借金と埋蔵金頼み 2009年12月26日(土)「しんぶん赤旗」から
鳩山内閣は25日、新政権発足後初の予算編成となった2010年度政府予算案を閣議決定しました。子ども手当や高校授業料の「実質無償化」など、民主党のマニフェスト(政権公約)施策を盛り込み、総額は92兆2992億円と過去最大規模に膨れ上がりました。
軍事費は09年度当初予算と比べ0・3%増の4兆7903億円となりました。自公政権時と変わらず5兆円規模を維持しています。
米軍再編関係経費が前年度比481億円増の1320億円と初めて1000億円を超え、このうち在沖縄米海兵隊のグアムへの移転事業に472億円も計上しています。
公共事業関係費はダム関係予算の抑制などで、対前年度当初予算比18・3%減の5兆7731億円となりました。港湾関係費全体も同24・6%減となりました。しかし中身は地方港湾にかかわる事業が縮減される一方、スーパー中枢港湾への「重点配分」が行われています。
歳入のうち税収は37兆3960億円となり、25年前に匹敵する水準となりました。92兆円規模の歳出を、過去最大の税外収入(=埋蔵金、10兆6002億円)と過去最大の国債発行(44兆3030億円)で支えます。
子ども手当や高校授業料の「実質無償化」の財源は、来年度税制「改正」に盛り込まれた所得税・住民税増税で賄います。政権の鳴り物入りで実施された行政刷新会議の「事業仕分け」では、3兆円削減を目標に実施されたものの、軍事費やスーパー中枢港湾整備などには大胆に切り込まず、「だいたい6000億円ぐらい」(財務省幹部)の歳出削減となりました。
一、本日、政府は来年度予算案を閣議決定した。わが党は、自公政権時代の反国民的な予算からの抜本的転換をはかるためには、軍事費と大企業・大資産家減税という「二つの聖域」に切り込むことが必要だと指摘してきたが、新政権がはじめて編成した予算案は、この聖域を温存した結果、雇用や社会保障、中小企業など国民生活向け予算の拡充は国民の願いから見ればきわめて不十分なものとなり、一方で巨額の国債と「埋蔵金」頼みの予算となった。
一、国民の審判を受けて、子ども手当や高校授業料無料化など、一定の改善もあるものの、厳しさを増す国民のくらしの要求に応えるものとはなっていない。後期高齢者医療制度の廃止は見送られ、来年度には保険料値上げが予定されるなど、国民の強い願いである社会保障の抜本的な拡充は「先送り」された。雇用対策も、中小企業対策も、深刻な状況に対応したものになっていない。民主党が主張していた「国民の生活が第一」とはとても言えない予算案である。
一、民主党は、「財源は無駄を削れば確保できる」といってきたが、現実には、44兆円という当初予算としては過去最高の国債発行にくわえて、1年限りの「埋蔵金」にますます多くを依存する予算となった。子ども手当などの新規施策も次年度以降の財源の保障はまったくなく、今回は先送りされた配偶者控除や成年扶養控除の廃止、消費税などの庶民増税への火種を残すものとなっている。
一、5兆円規模の軍事費はまったく手がつかず、ヘリ空母やミサイル防衛、「思いやり」予算なども温存された。とくに、グアム移転をはじめとした米軍再編経費は、500億円近くも増額された。公共事業予算は削減されたが、スーパー中枢港湾などの大型事業予算は拡充された。「租税特別措置の見直し」は小手先だけにとどまり、研究開発減税や証券優遇税制など大企業・大資産家減税も継続され、贈与税減税など資産家向けの優遇はさらに拡充された。結局、自公政権が「聖域」としてきた分野にはメスが入らないままとなっており、これを転換することが必要だということが、ますます明らかになっている。