靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

活用していきたい三つの動機付け

2014-02-23 09:29:41 | 子育てノート
でもさ、どうしてもやる気の出ない時っていうのがあるんだよね。目の前のこの課題をしないといけないんだけれどね、もう全然やる気になんない時、で、ちんたらちんたら普段の二倍くらい時間がかかったり、と長男。

終わったら、○○しようとか、自分に報酬を用意してみたら?

それだとね、報酬のためにざざっと済ませようと思って、何だかうまくいかないんだよね。

うん分かるなあ、「外発的動機」より「内発的動機」の方が力があるとママも思う。



そんなことを話していると、何年か前に目を通したことのある「モーティベーション」についてのリサーチを思い出し、少し調べてみた。

弁護士Dan Pink氏の理論で、世界でベストセラーになった「DRIVE」。

経済学では、「より報酬(外発的動機)が多ければ、よりモーティベーションが大きくなる」というのが定説。それでも、それは右から左へと何かを動かし続けるといった、よりシンプルで決まったことを繰り返すようなタスクにのみ有効。より複雑で、想像力や創造性を必要とするタスクにはあてはまらない。そして、現代のほとんどのタスクが後者といえる。

それでは、より複雑で想像力や創造力を必要とするタスクには、どんなことが「動機付け」となるのか?

それは、以下の三つの内発的動機付けだと氏は言う:

1.Autonomy 自主性 
2.Mastery  熟達
3.Purpose  目的


1は、自分が手綱を握っているという感覚。

2は、何かを習得し熟達させる喜び。

3は、自分を越えたより大きなものに貢献できるという気持ち。

1については、ドイツのソフトウェア会社での実験例などがあげられる。どこでいつどうやってでもいいから、二十四時間以内に結果を出すこと、という条件を与えた方が、場所時間方法を決められた場合よりも、生産率が伸びた。

2は、何ら外発的報酬に関係なく、何かができるようになっていくということ自体の喜びの大きさについて、例えば趣味でギターを少しずつマスターしていくなど。

3については、ある企業の雇用者に、「より高く売るため」という目的より、「地球環境に優しいプロダクトを無料で」という目的を与えたほうが、生産率があがったという研究結果などがある。



子供達に当てはめてみると、なるほどなあと思う。

1.「宿題しなさい!」という言うより、「今夜の計画は?」と聞いたほうが断然、本人やる気になる。

2.「できた!」という喜びの大きさ。

3.こんな暖かい家で勉強ができる環境にある子供達が、世の中にどれほどいるか。できる環境にある子が、少しでも技術を身につけて、少しでも世界をより良くしていくために何かしていけたらいいと思わない? そんな3に関わる問いは、大人が思う以上に、子供の透き通った心の奥底に響くと感じている。自分の技術を鍛えることが、これからの世の中に少しでも貢献できるかもしれない。目の前の受験やいい学校やいい就職先やといったことよりも、子供というのは本当は、こうした3のような目的を、心の底から欲しているのかもしれないなと思うことがある。目先の目的は、その先のより大きな目的に繋がっているのだと示していけたら。

これらを念頭に子供に接することで、確かに本人のやる気も高まる。



ピンク氏は、様々な実験から、「外発的動機付けは、創造性を潰すことにもなり得る」と言う。確かに一直線に走り抜けるようなタスクにはいいかもしれないけれど、途中様々なハプニングも起こりうる迷路のような道を行くには、より深く響く動機に支えられる必要がある、そうして歩き続ける過程に、創造やインスピレーションの瞬間もやってくる。

これら三つの「内発的動機付け」、活用していきたいです。




参考資料:

TEDスピーチ:Puzzle of motivation by Dan Pinkhttp://www.ted.com/talks/dan_pink_on_motivation.html
RSA Animate - Drive
http://www.youtube.com/watch?v=u6XAPnuFjJc#t=8
”DRIVE” by Dan Pink


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