靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

整理、過程にフォーカス

2012-11-25 02:18:52 | 今週の整理
1.今年は家族でひっそり感謝祭かなと思っていたのだけれど、一週間ほど前に数家族で集まることにとんとんと決まる。持ち寄られた数々の料理、はしゃいで走り回る子供達、ゲームあり大笑いあり、真夜中近くまで。家族ぐるみでお会いするのは1年ぶりの方々も。リズミカルな日常の繰り返しに、異空間のスパイス。思い出し笑いしたり、友人達の表情や様々なシーンが蘇ったり、祭の余韻を楽しみつつ。感謝を込めて。

2.これから年末年始に向け行事続き。はっとする大音響に、しっとりと耳を澄ます調べに、旋律の中心で、移り変わる音を楽しんで

3.「ママ、怒らないでよ。実は今日校長室に呼ばれてね・・・」と長男。こちらでは問題の大きさによって、先生からの注意、カウンセラーやプログラムの担当送り、校長室送りと、段階がある。「校長室送り」と言えば、最終的な段階。息を呑む私。
 何でも仲の良い友人二人がバインダーに車輪をくっつけ、スケートボード!と廊下を滑り、ガードマン(こちらの中学校には廊下にセキュリティーガードが何人か立っている)に激突したそう。スケートボードの友人二人は一日停学、横で大笑いした長男ともう一人の友人は校長室に呼ばれたよう。「トラブルに巻き込まれないよう注意しなさい。友達が間違った選択をしている場合は止めなさい」と校長からの話。親に何の連絡もないところ見ると、注意だけですんだよう。「時と場所を考えないとね」としみじみ話しながらも、「でもバインダーに車輪なんてクリエイティブね」とつい笑いもこぼれ。
 停学という処分に驚く。皆小学校からよく知った子達。こちらの公立小中学校の厳しさ。中学生になってすぐの頃の長男、オフィスでコンピュータスクリーンを眺めるセクレタリーに書類を渡そうと近づいたら、今度デスクの内側に足を踏み入れたら停学だと忠告を受けたこともある。その場のルールへの敏感さを養いつつ、限られた範囲内にも工夫して選択肢を見つけ、たくましく中学生活を楽しんでいってほしい、そう願いつつ。

4.算数の飛び級テストに向け、ここ二ヶ月ほどこつこつと勉強を続けてきた長女。毎晩宿題を済ませると算数の勉強に取り掛かり、傍から見ていてもよく頑張ってきたと思う。子供達の通うプログラムでは半数以上の生徒が算数を飛び級している。最近算数が面白くなってきた様子の長女、頑張ってみようかなと挑戦。二ヶ月ほどの間に六年生で習う範囲をカバーして。
 今週初めに二日がかりで受けたテスト、合格点には足りず。基礎的な概念を学んだものの、まだまだひねった問題に応用する力はついていなかったよう。手ごたえを感じていただけに、悔しさもひとしおの長女。
これだけ頑張ったことは絶対にこれからの力になっているから。今すぐどうこうといった結果はね、それほど大切じゃないのよ
「Life goes on(人生は続く)だね」
「まだまだこれから。こつこつと歩き続けていこうね」
結んだ口を緩め、笑顔を見せた長女が、何だか一回り大きく見えた。

5.聖書の「創世記」にレアとレイチェル姉妹の話がある。妹のレイチェルは美しく魅力的でカリスマがあり、出会う人々皆がため息をついて見上げる存在。一方姉のレアは疲れた様子で弱弱しい眼差し、周りの人々が特に目を留めるということもない存在。ヘブライ語でレイチェルは「and there was light(そして光があった)」、レアは「 one who is weary(疲れた人)」と同意義とされ、レイチェルは「完全」を、レアは「努力」を象徴しているとされる。そしてレイチェルとレアの両者とも、一人一人の内にいると
 「創世記」の中で、レアはレイチェルに先立ちジェイコブの先妻となり 十二部族の元となる六人を産み、死後ジェイコブの墓の隣に埋められ、レイチェルより恵まれることになる。思い通りにならない人生に何度も泣き、祈り、真摯に「神」に向き合い、誠実に努力し続けたレア。「神」の目には、出来上がった結果よりも、過程での努力こそが貴い、創世記二十九章には、そんな教えが込められている。

6.こうしたらうまくいった、ああしたらうまくいかなかった、そんな体験を集め、人々がアクセスできるようにしていけたら、そんな話を友人達と。多様なデータが集まれば、画一的な方法ではしっくりこない人々でも、これだと思う方法が見つかるかもしれない。もっと多種多様な方法があっていい。
 そしてこの目の前の葛藤も、どう越えたかの一つのフォーマットを作る機会と考える。他者が参考に出来るかもしれないデータを提供できるかもしれない機会ととらえる。すると瞬間瞬間の出来事を、また違った角度から眺められる。一つのデータ提供のためのそれぞれの人生、そんな話を。

 
7.朝ごはんの時間になってもダイニングに来ない長女と次女。部屋をのぞくと、まだパジャマのまま、今日何を着ていこうかと相談中。
「あなたたち何時だと思ってるの! さっさと着替えて朝ごはんの準備手伝いなさい!」
 そう声を上げそうになるところ、深呼吸。
「今何時?」
「あっ、八時十分前! 急がないと」
慌てて着替え始め、顔を洗いに。台所に戻り弁当を詰めていると、食卓に慌しくつく長女と次女。目玉焼きとトーストをほおばり、フルーツをよそい。そこへ長女が勢いよくついだミルクがグラスからこぼれ、次女の服がびっしょり。
「せっかく今日着ていこうと思った服!」
泣きながら走って部屋へ着替えに行く次女。出かける時間! 食べかけのトーストを車で食べられるよう容器に入れ、皆で玄関へ。三女に、起きたばかりでぼおっとしている次男にスノーパンツをはかせるよう伝え、ジャケットを持って玄関に戻ると、長女が帽子が見つからないと探し回っている。ようやく皆でガレージの車に乗り込むと、次女が「弁当箱忘れた!」

その日、皆が帰宅した後、おやつを食べながら話し合い。
「今日の朝、どう思う?」
「むちゃくちゃだった」
顔を合わせ噴出す子供達。
「どうしたらもっと落ち着いて朝過ごせると思う?」
「朝もう少し早く起きる」「着ていく服を前日の夜に決めておく」「朝ごはんを食べ始める時間を早くする」「帽子と手袋とジャケットと、夜玄関において置く」「小さい子の準備は少し早くから始める」口々にアイデアを出し合い。
「じゃあ朝早く起きるにはどうしたらいい?」
「夜早く寝る」
「夜早く寝るには何時までに宿題や次の日の準備を終わらせておくといい?」
「八時頃かな」
「ほんとね、八時頃までに終わらせるといいね。じゃあもう少しゆったりと朝ごはんを食べるために、朝早く起きる以外にできることある?」
「早く台所に下りてきて準備を手伝う」「夜テーブルをセットアップしておく」
「そうしてくれるとママも助かるわ。ママもね、弁当五人分に、朝ごはん作りに片付け、自分の準備もしないといけないし目が回るような忙しさだからね。あなたたちができることを手伝ってくれると、本当に助かるのよ。自分が出発する準備ができたら、他に何か手伝えることある?」
「○○(弟)にスノーパンツやジャケット着せること」
「そうしてくれると、皆随分と余裕を持って出かけられるわね」

 子供は、自分の頭で考え自分の言葉で表したことを、主体的に実行しようとする。子供が自分のすることを整理できるような質問をしていきたい

8.完全と不完全、共に抱いて


マイナス15度近くな日々。雪の結晶、氷の輝き、今日は生姜たっぷり七面鳥スープで温まります! アンカレッジより。

Have a wonderful week!

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2 コメント

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mirumiruさんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2012-12-02 05:09:29
「納期までに仕上げよう」、本当によく分かります。効率よく合理的に手短にすませられるよう、「結果を先に出し、指示を出し」、私自身もそうしていることが多くあります。

「やり方を過程を学ばせる」ことは現実的に時間がかかりますよね。限られた時間の中で、あれもしてこれもしてとやるべきことが山積みになっていれば、なかなかそうは言ってられないことも。それでも臨機応変に、妥協もしつつ、心に留め接っしていれば、完全な形ではなくとも、少しはより良い形になるのだと信じています。

日々、「出来たものを与える」より、「やり方を教えること」が結局は長い目でみると、やがては一人で歩いていくことになる子供本人とっても、そしてやがては離れることになる親にとっても、最善なのだと、思い出すようにしつつ。

私も学び気づき実践の毎日です。少しずつでも、時に亀よりも遅く見える歩みだとしても、少しずつ少しずつ良くなっていけるのだと自身を励ましつつ。

インドの大らかに流れる時を想いつつ。シェアしてくださってありがとうございます。いよいよ師走ですね、よい週をお過ごしください!感謝を込めて。
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Unknown (mirumiru)
2012-11-30 14:29:22
子育てや子供の世話は、仕事ではないのだとわかっているのに、どうしても時間がこれに関係するといつの間にか「仕事」と化し、納期までに仕上げようとする自分に変わります。子供に結果を先に出し、指示を出し、仕事完了と。ここインドでは、ビジネスの世界でもさほど時間を気にする様子もなく、納期もないようなものですが、私が生まれ育った環境により、私の中に培われた時間厳守が、自分や子供をも苦しめているように感じます。
マチカさんが、どれだけ自分をコントロールし子供主体で日ごろ子育てをされているか、本当に脱帽です。
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