靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

長女の「ハンディーキャップ・プロジェクト」

2013-11-10 12:12:29 | 子育て風景
今週は長女の英語LAの課題、「ハンディーキャップ・プロジェクト」。

Hrrison Burgeron”( by Kurt Vonnegut Jr. 1961)という短編小説を基にした課題。小説の内容:

 2081年米国の憲法が改正され、全ての人々が「平等」であるよう定められる。賢さも見かけも身体的強さも、もし平均以上の能力であるならば、ハンディが与えられる。ハンディーキャッパー将軍が法の遵守の指揮をとり。
 知性容姿身体的能力全てにおいて突出した14歳の天才少年ハリソンは、その優秀さにより刑務所に入れられる。
父のジョージは、思考能力が高いので、常にヘッドギアをつけることが義務づけられ、思考が深まるとサイレンが鳴り、思考に集中できないようになっている。また強靭な身体を持つため、首回りに錘もつけている。母親のヘーゼルは優しく温厚だが知性が低いため、ジョージも経―ぜるも息子ハリソンに何が起こっているのかよく理解できない。
 ヘーゼルは重く苦しそうなジョージにたまには錘をとって休んだらと勧めるが、ジョージは「平等法」を支持しており、法が制定される以前の「競争社会」を悪しき時代と捉えているため、自ら錘をつけ続ける。
 ハリソンが刑務所から逃げたとTVのニュース。ハリソンの姿が流される、140キロの錘をつけ、大きなイヤフォンをかぶり、頭痛を起こさせる度の強いメガネ、鼻に赤・歯に黒のキャップ。革命を起こし政府を転覆させようとするハリソン、最後には将軍に処刑される。
 ハリソンが討たれる様子をニュースで見、悲しむ母ヘーゼル。部屋に入ってきた父ジョージが「なぜ泣いているのだい?」と聞くが、ヘーゼルは、なぜ泣いていたのかを思い出せない。


プロジェクトは、まず自分に与えられた「三つのギフト」を書き出し説明する、そしてそのギフトを平均以下にするための「ハンディーキャップ」を作る、最後に皆の前で発表、というもの。

こちら米国の社会は、私はこれもあれもできてね、この子はこういうことが上手でね、そう声高々に自分をアピールする人が多い。だからさぞかし、生徒たちも自分のギフトを易々と書き出せるだろうと思っていたのですが、「皆ね、ギフトを見つけるのに本当に苦労してるの。私は何をしても駄目だからって」という長女の言葉に少しびっくり。

あれもこれもできると傍から見て思う長女の友人達が、こんな風に自分を捉えているとは。年によっても、女の子と男の子ということでも、また違うのでしょうね。

長女が選んだギフト:
1.情報を素早く的確に処理できる。
2.指を動かすこと(書くこと、ピアノ)。
3.バランス感覚(ダンス)

ハンディーキャップ作り、

1を遮るヘッドフォン、2を妨げるガムテープを巻いた手袋、3の邪魔をする一枚板の下駄にガムテープをつけ肩から固定したもの。

こんな状態で皆の前でスピーチ(練習風景)。


スピーチの最後には、「私の自由へのスピリットは、どんなハンディを与えられても決して萎えることはない」という文句を発表者の皆が唱えることになっていたそう。


平等とは、秀でた能力を抑え付け、皆が同じになることではない。

個々に与えられたそれぞれ異なるギフトを最大限生かせる、それが平等であるということ。

ハンディを脱ぎ捨て、羽ばたけ! 


プロジェクトを通し、そんなメッセージを受け取ったようでした。


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4 コメント

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Unknown (Hiromi)
2013-11-11 00:47:02
マチカさん!凄い!!読んでて涙が止まらないです。私、思ったけど、ギフテッドの子でもみんながみんな自信があるわけじゃなくて、特に女の子は、反対に隠す傾向もあるような気がしているのね。だから、そのために私なんかもそうだけど、親が一生懸命、大丈夫だよ~、できているよ~ってうるさいほどに騒いでしまうのかも。私も子供の能力差の平等というのは、本来、抑えるものではなく、自由な平等だと思ってます。その一方でイギリスでは、ギフテッドの子は、あえてスコアを厳しく設け点数も最初から下げ、普通の子、できない子にはハンデをつけて競わせます。それも素敵だなと思いました。
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Hiromiさんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2013-11-16 00:52:07
Hiromiさんの涙、森ガールちゃんと本当にいくつもの山や谷を越えられてきたんだなあと改めて思います。

周りと比べるのならば、自信を持つのはなかなか難しいですね。それでも敏感な子というのは、どうしても周りにも敏感に目を向けてしまう。

家でも、周りと比べるような言葉を一切使わないようにしています。それはお友達もですが、兄弟姉妹間でも。言葉尻、雰囲気でさえ子ども達は察知しますね。

比較は、分析したり改善点を話し合ったりするためにとても有効な手段ですが、子ども達のいないところで、夫婦間や友人同士の会話でのみ用いるようにしてます。

子供達には、自分の昨日と比べてね、あなたの力を最大限発揮することを目指してね、と。

「平等」というのは、一人一人の最大限を発揮できる場が「平等」なのでしょうね。現実は、多くの人々が足かせ手かせですね。

イギリスにはそんなシステムがあるんですね!それでますますやる気になる子もいるでしょうね。

ありがとうございます。お仕事お忙しいでしょうが、無理し過ぎず、頑張ってくださいね。良い週末をお過ごしください!
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Unknown (ヨーキ)
2013-11-20 09:55:22
ハンデイキャップ作りに思わず声をあげて笑ってしまいました。練習の発表風景のにこやかな笑顔はとても愉しそうですね。  平等とは、秀でた能力を抑え付け、皆が同じになることではない。個々に与えられたそれぞれ異なるギフトを最大限生かせる。それが平等であるということ。ハンデイを脱ぎ捨て、羽ばたけ!!
 『私の自由へのスピリットは、どんなハンデイを与えられても決して萎えることはない』素晴らしいことを学んでいますね。感心させられてます。
老若問わず、自分に与えられたギフトを自分らしく最大限に伸ばして生きてほしいものです。何らかの形で人類に役立つものになると私は信じております。
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ヨーキさんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2013-11-23 09:14:13
先生方も、面白いプロジェクトを考えますね。本人、一生懸命で、とても楽しそうでした。プロジェクトに込められたメッセージを、これからも思い出して欲しいなと思っています。

本の中の字を追うだけでなく、こうして実際に演じることで、またより心に届き、思い出にもなりますね。こんな機会を与えていただいて、感謝してます。

何らかの形で役に立つように、本当ですね、彼女なりの精一杯で進んで欲しいです、たとえそれが小さな実りに見えたとしても。

ありがとうございます。来週は感謝祭ですね。その後はクリスマス!年の暮れをどうぞお楽しみくださいね。良い週末を!
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