靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

「ギフテッド」教育について、その五

2013-03-03 01:44:04 | 「ギフテッド」教育について
違いと差別
 日本では、「ギフテッド」プログラムが取り入られるのは難しいと言われています。頑張れば皆が同じ道で同じレベルになれるはずだという「平等主義」が、行き渡っているためともされます。
 一方、異なる人種や文化背景を持った人々が隣り合わせで暮らす米国では、個々人は違って当たり前という前提から始まっています。そこでアカデミックや論理的思考に生まれつき優れた人々がいても、当たり前だと考えるのです。そしてそれぞれが違う道で、それぞれに合ったレベルに到達するのが理想とされることから、ハンディキャップを持つ人々と同じように、「ギフテッド」の人々のニーズに子供時代から答えるべきだということになるのです。個々人の「違い」は「違い」であって、それに上下優劣をつける「差別」とは同じではない、私自身もそう思っています。 
 同じような熱意ややる気のある子供達だけを集めて学習するのならば、それは確かにどんどん進んでいくでしょう。それでも同時に、今のシステムの中で萎えてしまっている「やる気」を引き出す教育も、必要だと思っています。やる気は、「できた!」の喜びの繰り返しで培われていきます。今はやる気がなえている子には、他と比べることなく一度ハードルを低くして何度も何度もその子に合った「できた!」を体験させていくのも一つの方法です。夢中になって気がつけば、周りとは全く違った能力を花開かせているかもしれません。
 プログラムの中にでも、優劣はあります。「上」を見れば限りないものです。周りから学べることは学び、それでも周りと比べてではない、その子自身の「できた!」を一つ一つ大切にしていきたい、そう日々思っています。


より多様なものさしを 
子供の得意分野を伸ばすためのプログラムがあることは、素晴らしいと思います。ただ「成績優秀者」や「言語能力や論理数学的能力に秀でた者」だけを対象とするのではなく、様々異なる分野を伸ばすプログラムがあるのが、理想だと思っています。
 勉強が得意な子もいれば、スポーツや音楽が得意な子や、人付き合いや人の気持ちを察するのに優れた力を発揮したり、想像力溢れて既存の枠からはみ出すような子もいます。机上の「勉強」だけでなく、多様な得意分野を捉えることのできる、「多様なものさし」が教育現場に導入されるのならば、より多くの子供達がもっと生き生きとし始めるでしょう。そしてこれからの学問も技術ももっと豊かになるはずです。
 子供達も、様々違った個々人の得意分野を伸ばすことで、より自信がつき、他の分野も向上していくということもあるでしょうし、何か一つのことに秀でていても、勉強が得意だけれど運動も楽しむ時間を持ってみる、人の気持ちを察するのは得意だけれど、言語面の勉強にも興味を持ってみようといったように、バランスを取る機会にもなるかもしれません。また何か一つのことに際立って秀でていなくとも、様々な分野の組み合わせによって、その子にしか歩くことのできない独自の道が築かれていくこともあるでしょう。
 カリフォルニア州などでは、ガードナー博士の研究に基づき、子供達の異なる個性を伸ばすため、成績優秀者や論理的思考に優れた者だけを対象とするのではない、様々な「ギフテッド」・プログラムの試みがあると聞いたことがあります。このカリフォルニアの試みのように、子供一人一人が持つ異なるギフトを伸ばし育てるために、多様な受け入れ場が整えられることを願っています。
 まずは、大人一人一人が「多様なものさし」でもって、子供達を見つめることから始めていきたいです。多様なギフトを合わせ創り出される未来の世界とは、画一的なものさしのみが評価される現代の世界とは比べ物にならないほど、豊かで魅力ある世界となるでしょう。ギフトはすべての子供に与えられていると信じています。




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2 コメント

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Unknown (旅人パンダ)
2013-04-15 21:57:01
その一から五までを拝見させていただきました!
どの言葉も重みを感じます。
子供の能力を最大限に引き出しすのは親の力だとパンダは感じております!
最後に記載していた「多様なものさし」を計れるような人間に成長せねばと感じております!
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旅人パンダさんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2013-04-21 05:13:42
読んでいただきありがとうございます。少しずつまた思うことなど書き足すなどし、整理していきたいです。

どうしたら能力を引き出していけるか、できることに限りもあり、私たちの力も足りませんが、私達なりにできる限りをし続けていきたい、そう思っています。

「多様なものさし」、私自身も、日常で様々な人々に出会いつつ、思い出していきたいです。

感謝を込めて。
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