goo blog サービス終了のお知らせ 

仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

アップサイドダウン 重力の恋人

2017年12月18日 | ムービー
『アップサイドダウン 重力の恋人(原題Upside Down)』(2012年/フアン・ソラナス監督/フランス・カナダ)を見た。
物語は、「数十メートルという驚くべき至近距離を保って存在している二つの惑星。この双子惑星のそれぞれの重力は相手側の物質には決して作用することはなかった。それぞれの世界の住人たちは交流を禁じられていたが、貧困層が住む下の世界の住人アダム・カーク(ジム・スタージェス)は、立入禁止とされている賢者の山に入り、上の世界の住人エデン・ムーア(キルスティン・ダンスト)と知り合った。ところが、強盗犯を探索していた警備隊に見つかり、事故が起きる。上の世界の重力に引かれ落下してしまったエデンは頭から血を流して倒れてしまったが、アダムは彼女を助けることもできず、警備隊から逃げることしかできないのだった。それから10年。アダムはテレビ放送により彼女が生きていることを知る。エデンとの再会を願うアダムは、二つの世界を繋ぐ唯一の巨大企業"トランスワールド社"の社員となり、上の世界への侵入を試みるのだったが・・・」という内容。
上を見ると、空ではなくもう一つの星の地面が見えるような状況なので、太陽の光は横からしか射しこまず、随分と薄暗い世界だ。
おまけに上の世界の繁栄は、彼らが下の世界に作った原油採掘&精製施設から生み出される利益の上に成り立っているので、上下の貧富の差は大きく、下の世界の住人からは明るい未来など感じられない。
アダムの両親は精製工場の爆発事故によって死亡してしまい、養護施設で育ったとのことで、下の世界の住人の犠牲の基に成り立っているのが上の世界のようだった。
また、"賢者の山"では、そこそこ長いロープ1本を使って互いの惑星を行き来することが可能だし、何だかものすごい設定の世界だ。
(^_^;)
トランスワールド社は随分と多くの社員を抱えているようだが、本社ビルには"0階"というフロアがある。
そのフロアには天井がなく、両方とも床だ。
(^_^)
"+側"と"-側"の床それぞれに事務機器が配置されていて、何百人にも見える社員たちが働いているのだが、アダムがここで知り合ったボブ・ボルショヴィッツ(ティモシー・スポール)はいい奴だった。
彼自体は本人もマッタク想像できていなかった"解雇"という憂き目にあい、すぐに舞台からは一時退場してしまったが、彼がいなければアダムの目的達成は随分と先のことになっていただろう。
これはアダムとエデンの恋の物語ではあるのだが、その特異な設定の世界のエピソードのほうが強烈過ぎて、中心であるはずの恋愛物語はすっかり霞んでしまっているような気がする。
いろいろな意味で不思議な物語なのだった。

八つ墓村

2017年12月08日 | ムービー
『八つ墓村(1977年/野村芳太郎監督)を見た。
物語は、「新聞の尋ね人広告で自分が探されていることを知った寺田辰弥(萩原健一)は、早速、大阪の弁護士事務所に連絡を取った。その依頼主は岡山県三田村在住の資産家で、辰弥の異母兄だという多治見久弥(山崎努)だったが、療養中のため、辰弥の母・鶴子(中野良子)の父親である井川丑松(加藤嘉)が事務所に迎えに来ていた。ところが丑松は、諏訪啓弁護士(大滝秀治)に紹介された直後に、突然苦しみもがき死んでしまう。辰弥は、父方の親戚筋の未亡人である森美也子(小川眞由美)の案内で、生れ故郷に向かうことになったのだが、彼女の説明によると、ここは町村合併するまで、"八つ墓村"という何とも恐ろしい名称だったという。その八つ墓村と多治見家にまつわる話は戦国時代にまでさかのぼり・・・」という内容。
1566(永禄9)年、毛利との戦に敗れ落ち武者となった武将・尼子義孝(夏八木勲)が同胞(田中邦衛)らと計8人で村外れに住みついたが、毛利からの褒美に目がくらんだ村人達の策略で惨殺されたという。
その際の首謀者、庄左衛門(橋本功)は莫大な山林の権利を与えられ、今の多治見家の財の基礎を築いたのだが、義孝に「末代まで祟ってやる」と呪われ、庄左衛門はその後に発狂、村人7人を斬殺し、自らも首を斬り飛ばし突然の死を迎えたのだという。
思いがけず多治見家の財産を相続することになった辰弥を、その落ち武者の祟りが放っておくはずがない。
(^_^;)
丑松、久弥をはじめ、金遣いの荒い医師の久野(藤岡琢也)、辰弥の出生の秘密を知るただ一人の人物である工藤校長(下條正巳)など、辰弥にまつわる村人が次々と死んでいくことになるのだから、探偵・金田一耕助(渥美清)雇い、調査に派遣した諏訪弁護士の見立ては正しかったわけだ。
ただ、残念ながら金田一耕助は次々に起きる事件を未然に防ぐことはできないというのが、横溝正史原作の同シリーズにおける共通点なので、これは誰が監督をしようと、誰が金田一耕助を演じようと変わらない展開だ。
(^。^)
ただ、石坂浩二古谷一行などの主演シリーズ作品と違ったのは、時代設定。
第2次世界大戦終了直後の昭和20年代ではなく、昭和52(1977)年という設定になっていた。
辰弥は、「母親が生まれた所を見てみたかった」、「父親がどんな人か知りたかった」という理由から見ず知らずの土地に赴いただけだったのに、とんだ災難に巻き込まれてしまうのだが、一連の事件は、まさに"八つ墓村の祟り"。
そして、事件の謎ときというより、まるで"オカルト映画"を彷彿とさせる内容も、他の作品とは趣が違っていて面白かった。

神様はバリにいる

2017年11月30日 | ムービー
『神様はバリにいる』(2015年/李闘士男監督)を見た。
物語は、「照川祥子(尾野真千子)はビジネスの失敗で抱えた借金を苦にし、自殺するためにインドネシアのバリ島へとやって来たが、リュウ(玉木宏)に"自殺するなら他の場所を探してくれ"と言われる。その岬を含む地域一帯はリゾート開発予定地なので迷惑だというのだ。妙な邪魔が入って気が削がれた祥子は、連れていかれた場所のプールサイドで、やくざな風貌のとにかく破天荒な超大富豪、"アニキ"(堤真一)に出会わされる。ワインで泥酔し、ベッドで目覚めた朝、人生をやり直したいと願うに至った祥子は、アニキのもとで成功の秘訣をマスターするための人生哲学を学ぶことに決めたのだが・・・」という内容。
自殺を考えるに至った祥子の借金は、アニキのそのゲストハウスに置かれている盆栽や銅鑼よりも安いのだという。
将来への希望をまったく持てなくなったということが自殺を考えるに至った理由であるのだろうが、そもそもの原因は、やはりその借金の額なのだろうから、人によっては「何それ!?」ということなのだろう。
首からメモ帳とペンをぶら下げて、アニキと行動を共にさせてもらっている祥子は、その都度アニキの"金言格言"をメモしていく。
「悲壮感が縁を逃す」、「世間の常識を徹底的に疑え」、「ダジャレは新しい発想を生む」、「感謝の達人になれ」、「失敗した時こそ笑え」など、アニキの言葉はとにかく前向きで、疫病神を寄せ付けないようにというアニキのその思考にもなかなか馴染むことができない祥子。
「偉そうにウンチク語ってたって個人の会社は成り立たない」と、とにかくアニキの教えが理解できず、「会社を潰したのはまわりのせいだ」とまで言い切る。
キッカケを掴むにはそのための更なるキッカケも必要なのか。
「さわやかさがない」と何度も言われる祥子には長い道のりなのかもしれないが、アニキとの濃い人間関係の中で理解できるようになるのか。
実話を基にしているというナカナカに興味深い内容の作品だった。

ピンポン

2017年11月28日 | ムービー
『ピンポン』(2002年/曽利文彦監督)を見た。
物語は、「オババ(夏木マリ)が経営するタムラ卓球場で幼い頃から腕を磨いていた星野裕(ペコ/窪塚洋介)は、片瀬高校に進学して卓球部員となっていたが、将来ヨーロッパに行って卓球で頂点を目指すという夢を持っているわりには、練習態度が悪く、タムラ卓球場に入り浸って他の客相手に小銭を賭けていた。月本誠(スマイル/ARATA)はペコの影響で卓球を始め、卓球部顧問・小泉丈(竹中直人)にその才能を見出されながらも、"卓球は暇つぶし"と言い、小泉の練習メニューには無関心だった。そして始まったインターハイの県予選。彼等2人をライバル視する海王学園高校・風間竜一(中村獅童)、佐久間学(アクマ/大倉孝二)、辻堂学院高校・孔文革(サム・リー)らと対戦したペコとスマイルは・・・」という内容。
笑った顔を見たことがないから、あだ名が"スマイル"って、何だか面白い。
スマイルの卓球の実力は、卓球部の部長・大田(荒川良々)など周囲の誰もが認めるほどなのだが、性格に難ありだ。
そういうヤル気を出さない偏屈な子供相手に何とか練習をさせようとするのだから、コーチも大変だろうとは思うのだが、多くの部員をないがしろにして、スマイルだけをコーチしようとする姿勢は、そもそもどうなのだろうと思う。
良く出来た話ではあるのだろうが、それほど面白くはなかった。
残念。

フォレスト・ガンプ 一期一会

2017年11月26日 | ムービー
『フォレスト・ガンプ 一期一会(原題Forrest Gump)』(1994年/ロバート・ゼメキス監督/アメリカ)を見た。
物語は、「アメリカ合衆国アラバマ州。知能指数75だというフォレスト・ガンプ(マイケル・コナー・ハンフリーズ/少年期)は、最低80が必要だからと公立小学校の校長から入学を断られてしまう。また、背骨の歪みのために器具を装着しなければ歩けなかったのだが、母(サリー・フィールド)は、それでも彼を特別扱いせず普通に育てたいと考えていた。なんとか入学を果たすことはできたものの、初日から周囲の子供達には受け入れられないフォレスト。しかし、ジェニー・カラン(ハンナ・ホール/少女期)だけは彼を受け入れ、以後2人は"豆とニンジンのようにいつも一緒にいる"ことになるのだったが・・・」という内容。
ジェニー(ロビン・ライト)はいじめの対象になっているフォレスト(トム・ハンクス)を直接助けることはできなかったが、とても的確なアドバイスができるようだった。
成長しても足の器具を付けたままでいたフォレストが走り出したシーンは感動的だ。
当初は小学校への入学を許可されなかった彼が、その数年後、抜群の脚力を乞われてアメリカンフットボールの選手として大学にまで進学したのは、その時に走り出したことがキッカケだったのだから、ジェニーは一言でフォレストの人生を変えてしまったというわけだ。
これは、1960年代から1970年代のアメリカという国をフォレストの存在を通して描いてもいる作品だが、そうなると、"ベトナム"や"反戦"というエピソードから目を背けるわけにはいかない展開になる。
ところが、そこで面白いのが「僕は軍隊にぴったりはまった」というところ。
軍隊という場所は、ベッドを作って直立不動し、「はい、軍曹どの」と言っていれば務まるというのだ。
(^。^)
確かにヘタに自己主張し上官ににらまれたりしたもののなら、この上なく理不尽な扱いをされてしまうのだろう。
ここから先は、純粋な心のまま大人になったフォレストの勝利が続く。
「エビは海の果物だ」と言うベンジャミン・ブルー(バッバ/ミケルティ・ウィリアムソン)や、ダン・テイラー(ゲイリー・シニーズ)といった友人達と出会えたのも、フォレストにとって素晴らしいことだった。
「人生はチョコレートの箱。開けてみるまで分からない」とは、まさにその通りなのだろうが、仁左衛門のような不純な魂はフォレストのようなサクセスストーリーを手に入れることはできないのだろう。
(^_^;)

ビバリーヒルズ・コップ 3

2017年11月24日 | ムービー
『ビバリーヒルズ・コップ3(原題Beverly Hills Cop Ⅲ)』(1994年/ジョン・ランディス監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ミシガン州デトロイト。アクセル・フォーリー(エディ・マーフィ)は、自動車盗難事件の犯人グループのアジトを捜査しようとしていたが、上司ダグラス・トッド警部(ギル・ヒル)の指示を無視し、犯人たちは非武装だからとSWATを呼ばなかった。ところが運悪く、武装した別の犯罪グループが居合わせたことから銃撃戦となり、トッド警部は射殺されてしまった。犯人を追跡したアクセルだったものの、シークレットサービスのスティーヴ・フルブライト(スティーブン・マクハティ)により、別件の捜査妨害になるからと追跡を止められてしまうのだった。トッド警部が殺された現場から、テーマパーク"ワンダーワールド"のタオルを発見したアクセルは、葬儀後、その施設があるビバリーヒルズに向かったのだが・・・」という内容。
楽しいテーマパークだというのに、ワンダーワールドの警備員は皆、実弾を装着した拳銃を携帯しているし、これはどうにも怪しい。
ジョン・フリント刑事(ヘクター・エリゾンド)が警備主任のエリス・デワルド(ティモシー・カーハート)に連絡を取ってくれているはずなのにチケットを買わなければ入場させてくれなかったし、オーリン・サンダーソン警備部長(ジョン・サクソン)などは、警備員に銃撃されたというアクセルの言葉をマッタク信じず、銃撃場面が映っているはずのビデオ映像も加工処理されているのだから、これはもう怪しいというより真っ黒だ。
(^。^)
これは、前作『ビバリーヒルズ・コップ2(原題Beverly Hills Cop 2)』(1987年/トニー・スコット監督/アメリカ)の7年後に制作された続編だが、この頃にはすでにエディ・マーフィの人気が不動のものになっていたからか、アクセルがまともな人間に描かれてしまっていて、前作、前々作ほどの面白さがなくなっていたのが残念だった。
過去2作品が面白かったのは、アクセルの無茶苦茶さと、ビバリーヒルズ警察の真面目なのかボケているのかよく分からないビリー・ローズウッド(ジャッジ・ラインホルド)という登場人物の存在が大きかったと思うのだが、どちらにも"パワー"が感じられないのだった。
また、ジョン・ランディスは、『ブルース・ブラザース(原題The Blues Brothers)』(1980年)、『サボテン・ブラザーズ!(原題Three Amigos!)』(1986年)の監督だし、エディ・マーフィ主演の『大逆転(原題Trading Places)』(1983年)、『星の王子ニューヨークへ行く(原題Coming to America)』(1988年)でも監督をしていた。
とても面白い作品ばかりだったのだが、どれも1980年代の作品だ。
1990年代になって、この監督自身のパワーが落ちてしまったということだったのだろうか。
確かに『ブルース・ブラザース2000(原題Blues Brothers 2000)』(1998年)も、前作とは比較にならないほどの内容だったのだが、それは考え過ぎであって、続編というのは難しいということなのかもしれない。

妹の誘惑

2017年11月20日 | ムービー
『妹の誘惑(原題Gli sfiorati)』(2011年/マッテオ・ロヴェーレ監督/イタリア)を見た。
物語は、「イタリアの首都ローマ。親友のブルーノ(クラウディオ・サンタマリア)と2人で筆跡鑑定のビジネスを始めたばかりのメテ(アンドレア・ボスカ)は、かつて母と自分を捨てた父セルジオ(マッシモ・ポポリツィオ)の事実婚の相手ヴィルナ(アイタナ・サンチェス=ギヨン)名義の家に住んでいる。セルジオとヴィルナが正式に結婚することになり、妹ベリンダ(ミリアム・ジョヴァネッリ)と共に帰国したのだが、結婚式の準備等で何かと慌ただしいからと、2~3回しか会ったことがない妹を預けられたメテ。妹とはいえ、ほとんど会ったことがない美しく魅力的なベリンダを前にして戸惑うメテは、できるだけベリンダと顔を合わせないようするのだが・・・」という内容。
ベリンダは久しぶりに帰ってきたというローマに馴染みの麻薬の売人がいるし、代金のツケもたまっているという。
これは困った17歳だ。
(-_-;)
メテにはダミアーノ(ミケーレ・リオンディーノ)という不動産会社勤務の親友もいるのだが、このプレイボーイがベリンダに興味津々。
これにはメテも複雑だが、彼はダミアーノに連れて行かれたクラブで、"夜のローマの伝説の美女"と呼ばれるベアトリーチェ・プラーナ(アーシア・アルジェント)に誘いをかける。
もちろん、ベアトリーチェに惹かれたというのもあるのだが、ベリンダへの自分の気持ちを抑えるためというのが何とも怪しい物語の展開を想像させるのだった。
(^_^;)
今でも父を憎んでいると言いながら、その相手名義の広い家に一人で住まわせてもらい、家政婦さんまでいるメテ。
担当している物件をまるで自分の部屋であるかのように使い、女友達を連れ込むダミアーノ。
病院から逃げ出してきたのか!?と思えるほど、情緒不安定で激しい性格のベアトリーチェ。
そして、馴染みの売人がいる17歳のベリンダ。
もうどうしようもない登場人物ばかりの物語だ。
さて、ベリンダの設定は17歳なのだが、演じたミリアム・ジョヴァネッリという女優さんは当時22歳だったようで、高校生を演じるにはかなり無理があったように思える。
もう充分すぎるほどに大人だった。
(^。^)

アドレナリンドライブ

2017年11月18日 | ムービー
『アドレナリンドライブ』(1999年/矢口史靖監督)を見た。
物語は、「クルマの運転中、上司の山本(徳井優)の悪ふざけで目をふさがれた鈴木悟(安藤政信)は、信号待ちで停車していた外車に追突してしまう。運転していた暴力団員の黒岩(松重豊)によって暴力団事務所へ連れて行かれた悟は、そこでガス爆発事故に遭遇した。一方、近くの病院に勤務している看護師の佐藤静子(石田ひかり)は買い物をしていたコンビニで爆発音を聞き、事務所に駆け付ける。救急隊員の指示で悟、黒岩と共に救急車に同乗したのだが、救急車は事故で川に転落。投げ出された悟と静子は、混乱のうちに黒岩の2億円が入ったアルミケースをまんまと手に入れた。ところが、水中に沈んだ救急車の中から黒岩が助け出され、静子の勤務先の病院に搬送されてきて・・・」という内容。
黒岩はなかなかに記憶力があるようで、確かちらっと見たままポケットにしまい込んだ運転免許証に書かれている悟の名前と住所をしっかりと覚えていた。
機械の能力のおかげで生かされているといってもいいような、ただベッドに横たわっているだけの状況でもスラスラとそれらが出てきたのだから驚きだ。
山田(マギー)、田中(坂田聡)ら黒岩の子分たちに追われることになってしまった悟と静子は、一転してとてつもないピンチに陥ってしまったのだが、少しばかり安心すると、散在したり別の事件に巻き込まれたり、随分と目立ってしまうことになる。
単調だった日常が一度大きく振れてしまうと、揺り戻しも大きくなるということなのだろう。
2億円という地下マネーをめぐる争いの中で一番変わっていったのは静子だろう。
見た目もそうだが、それまで日々抑圧されてきた自身の内面がすべて解き放たれたという感じ。
それに対して悟のほうは、山本に対しての怒りもほんの一瞬だけだったし、最初から最後まで被害者の立場から抜け出すことができなかったように思えた。
また、2億円をめぐる大騒動には直接係わることはなかったものの、婦長(角替和枝)も何かが変わりそうな気配だったのが良かった。
(^_^)
無意識のうちに大爆発させた悟と、自身が大爆発(!?)した静子。
2人の楽しい物語だった。

ニキータ

2017年11月16日 | ムービー
『ニキータ(原題Nikita)』(1990年/リュック・ベッソン監督/フランス・イタリア)を見た。
物語は、「パリ。深夜の薬局に麻薬を狙った若者が押し入った。通報によって警察官が駆け付けたものの店内での銃撃戦となり、3人の警察官を含む6人が死亡。生き残った犯人グループの女性は、警察の取調べ時にニキータ(アンヌ・パリロー)と名乗った。裁判では最高刑の判決が下されたニキータだったが、刑務所に送られることはなく、政府の秘密警察官を名乗る男ボブ(チェッキー・カリョ)によって、フランス政府に雇われた暗殺者として訓練を受けるか、それとも死ぬかの選択を迫られるのだった」という内容。
銃撃戦が一段落して事件解決かと思ったところ、近くに落ちた拳銃を拾って無防備な警察官を殺害したニキータ。
フランスでは1981年に死刑(ギロチン)が廃止になっていることから、ニキータには終身刑が言い渡されたのだが、無意味な殺生をしたこういう人間がそのまま生き延びるだなんてと、このエピソードでは死刑制度の廃止について肯定的には考えられなかったのだった。
一切の外出が許されない秘密の施設内でアマンド(ジャンヌ・モロー)らによる数年間の訓練を受けたニキータは、23歳の誕生日の夜に、外のレストランに連れて行かれた。
ボブからプレゼントを受け取って喜んだのもつかの間、なんと箱の中身は拳銃と実弾。
そして、その場で「後ろの席の男を殺せ」と命令されるのだから、これはショックだ。
自分の立場を思い知らされたことだろう。
(^_^;)
それが"卒業試験"だったのか、翌日にはジョゼフィーヌというコードネームを与えられたニキータは、街で一人暮らしを始め、マルコ(ジャン=ユーグ・アングラード)と知り合う。
伯父さんということにしたボブから、今度は2人のためにとベニス旅行のプレゼントをもらうのだが、実はこれも仕事のうち。
彼女やヴィクトル(ジャン・レノ)のように、同様の立場の人間がたくさんいるのだろう。
生き延びるために選ばざるを得なかった辛い仕事とはいえ、やり直しすることが許されない悲しい人生だ。
これは随分と高評価を得た作品のようで、公開3年後に『アサシン(原題Point of No Return)』(1993年/ジョン・バダム監督/アメリカ)としてハリウッドリメイクされ、リュック・ベッソン監督も『レオン(原題The Professional)』(1994年)で、ハリウッド進出を果たしている。
もやもや感が残らない物語ということではなかったが、それなりに面白かった。

マジック・マイク

2017年11月14日 | ムービー
『マジック・マイク(原題Magic Mike)』(2012年/スティーブン・ソダーバーグ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「オーダーメイド家具店開業の資金作りのため、数多くの仕事を掛け持ちしているマイケル・レーン(マジック・マイク/チャニング・テイタム)は、屋根の瓦葺きの仕事で19歳のアダム(アレックス・ペティファー)と知り合った。ボスとの些細な口論から1日限りで仕事を辞めてしまったアダムだったが、その夜、仕事の世話をしてくれる姉のブルック(コディ・ホーン)との夕食をすっぽかし、出掛けたクラブ、アンフィシアターの前で偶然マイクと鉢合わせ。みすぼらしい身なりだったものの、マイクの口利きで店内に入ることができた。マイクは、ポルシェ(ミカエラ・ジョンソン)とルビー(デニース・バシ)に自分が働いている男性ストリップクラブ、エクスクイジット"新入りのキッド"としてアダムを紹介。2人の反応が良かったことから、ストリップクラブでのバイトを勧め、アダムはオーナーのダラス(マシュー・マコノヒー)に一夜限りのアルバイトとして雇われたのだが・・・」という内容。
エクスクイジットは、木・金・土曜の夜だけの営業で、前売り15ドル、当日20ドルとのことだが、開店前はものすごい行列。
店内にはバーカウンターがあり、DJ・トバイアス(ガブリエル・イグレシアス)の選曲でノリノリだ。
(^。^)
昼も夜もリーダー格として働くし、新車の状態をキープして高く売却したいからと車内の保護シールを剥がさないままクルマに乗り続けるマイクだが、そこまでして資金を作る努力をしても、開業のための銀行ローンを組むことができないのは少しばかり可哀想に思えた。
ブギーナイツ(原題Boogie Nights)』(1997年/ポール・トーマス・アンダーソン監督/アメリカ)では、ポルノ男優バック・スウォープ(ドン・チードル)が、その職業を理由に銀行融資を断られてしまうエピソードがあったが、ビジネスとはいえポルノ産業に関わる人というのはやはり信用力が低いのだろうか。
さて、マイクはアダムの姉のブルックに惹かれていったものの、彼女のほうはマイクのことをどうにも好きにはなれないようだった。
ただ、マイクとブルックの恋のエピソードは、男性ストリップにまつわる一連のエピソードが強烈過ぎて、すっかり霞んでしまっている。
(^_^;)
まぁ、いろいろと興味深い作品ではあった。

アウターマン

2017年11月10日 | ムービー
『アウターマン』(2015年/河崎実監督)を見た。
物語は、「シリーズ化され、50年にわたって放送され続けているという特撮テレビ番組"アウターマン"。しかし、シリーズの大人気と裏腹に、かつて"アウターマンゼータ"で主役を演じた足立春夫(塩谷瞬)、"アウターマンシグマ" の吉野秀樹(古原靖久)、"アウターマンオメガ"の森脇幸一(戸塚純貴)ら主演俳優は、アウターマンのイメージが強くなりすぎて、その後の仕事依頼がなく、俳優として成功しているとはいえなかった。アウターマングッズの販売店や、いつもファンが訪れるバーを経営しながら時折サイン会を開催し、ようやく俳優と認知される程度だ。そんな時、各地を群発地震が襲い、立入禁止区域が拡大する事態に陥った日本に、テレビ番組とそっくりの巨大なアウターマンが出現する。しかも、防衛省はタルバという名前のシルビー星人(Ger)を拘束していることを極秘事項としていたのだが・・・」という内容。
タルバは、テレビ番組とは正反対にアウターマンこそが侵略を目的とした宇宙人であり、地球をアウター星の環境にテラフォーミングするため、番組で50年間地球人を洗脳していたのだというのだが、仮のその通りだとしても誰もアウターマンの強さには敵わないというのが大問題だ。
(^_^;)
しかも、テラフォーミング完了を見越して、20億3,000万人のアウターマンが地球に向かっているというのだから、残された時間も少ない。
まさに絶体絶命という状況の中、地球の危機を救う役目を任されることになるのが、かつてアウターマン役を演じた俳優たちなのだけれども、実は彼らはアウターマンに何の思い入れも持っていなかったというのが面白い。
昭和や平成という世代を超えた大勢のファンを抱えながらも、俳優たちにとってはひとつの仕事に過ぎなかったというわけで、なかなかに皮肉を込めた展開だった。
(^_^)

家族はつらいよ

2017年11月08日 | ムービー
『家族はつらいよ』(2016年/山田洋次監督)を見た。
物語は、「かつての新興住宅地で三世代同居をしている平田家。周造(橋爪功)は引退してゴルフ三昧、妻の富子(吉行和子)はカルチャースクール通い。家事は長男・幸之助(西村雅彦)の嫁・史枝(夏川結衣)がこなしていた。ある日のゴルフ帰り、お気に入りの美人女将・かよ(風吹ジュン)の小料理屋で一杯やって上機嫌で帰宅すると、自室の花瓶に綺麗なバラが飾られているのに気がついた。誕生日に花をプレゼントするのが仲間の決まりで、その日は富子の誕生日なのだという。すっかり忘れていた周造はたまにはプレゼントをしようと欲しいものを聞いてみると、この離婚届に押印してくださいと言われ・・・」という内容。
冒頭、史枝にオレオレ詐欺の電話と間違われ、憤慨している周造に対して、友人は「ざまあみろ。君はいつの電話だっていきなり俺!俺!だもの。感じ悪いんだ。いつかは意見をしてやろうと思ってたんだ」と言う。
長年、仕事一途のサラリーマン時代を過ごしてきたという周造は、結構言葉がキツイし、態度が横柄だったりもするのだろう。
富子が突然切り出した"熟年離婚"の危機は、家庭の中ででも積もり積もったそういうものが原因だったのか。
長女・成子(中嶋朋子)と夫の金井泰蔵(林家正蔵)の離婚騒動はこの騒ぎでうやむやになり、次男・庄太(妻夫木聡)が初めて家に連れてきた恋人・間宮憲子(蒼井優)との初顔合わせは気まずくなり、せっかく奮発した特上ウナギもすっかり無駄になってしまった。
実際、不思議なもので、平穏な中に起きる事件というのは、何故か次々重なって起きるものである。
(^_^;)
何だか淡々と展開するエピソードが多くて、少し物足りなく感じたし、物語中盤に泰蔵役の林家正蔵が、父・初代林家三平(1925年~1980年)の「どうもすいません」というギャグを使う演出があったのだが、あれはそういう場面ではなかったので、少し残念に思った。

レオン オリジナル版

2017年11月06日 | ムービー
『レオン(原題Léon The Professional)』(1994年/リュック・ベッソン監督/アメリカ・フランス)を見た。
物語は、「ニューヨークで孤独に生きるイタリア系移民のレオン・モンタナ(ジャン・レノ)は殺し屋を生業としていた。仕事は、表向きレストラン経営者であるマフィアのボス、トニー(ダニー・アイエロ)から回ってくる。ある日、アパートの隣室に家族と一緒に住んでいる少女マチルダ・ランドー(ナタリー・ポートマン)に話しかけられた所、顔にあざを見つけたのだが、彼女は"転んだ"と言う。どうやら父親ジョセフ(マイケル・バダルコ)から日常的に暴行を受けているらしい。麻薬を密売しているジョセフは組織の純度100%の商品を横領したことが原因で、翌日、ボスのノーマン・スタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)率いる連中に襲撃され、妻マージ(エレン・グリーン)も4歳になるマチルダの弟も殺された。ちょうどそこへ帰ってきてしまったマチルダは他人のふりをして現場を横目に通り過ぎ、レオンに助けを求めるべく、彼の部屋のチャイムを鳴らすのだが・・・」という内容。
その日の朝、これから一日が始まる時間だというのに、「大人になっても人生はつらい?」とレオンに聞くマチルダ。
彼女が通っているはずのスペンサー学園から家にかかってきた電話には、「彼女は死んだわ」と母親のふりをして答え、切ってしまう。
まだぬいぐるみを抱えている年齢なのに、絶望感しか感じとれないこれら一連のエピソードは、どうにも切ないのだった。
麻薬密売のボス、スタンスフィールドという男はマトモな人間には見えない。
ピルケースから取り出したドギツイ色のカプセルを飲む際の仕草は異常だ。
そして、何人もの人間を銃殺したあと、弾丸がかすめた自分の上着を見て「上着がパーだ・・・」とつぶやく。
そんなスタンスフィードに対して、レオンはとても優しい男のようだ。
豚を描いたデザインの鍋つかみを手にはめて、豚の鳴き真似をしながらマチルダを笑わせようとする。
とても殺し屋とは思えないエピソードだが、観葉植物しか愛せず刹那的に生きるレオンにとって、マチルダという存在は人生の転機へ導いてくれ可能性がある存在だったのかもしれない。
しかし、マチルダはあまりにも子供で、自由奔放過ぎたようだ。
この"オリジナル版"の他に、後年になって22分の未公開シーンを追加した"完全版"というのも公開されたようだが、それはまた少し感じが違っているのかもしれないとも想像する。
何とも悲しい物語だった。

背徳の囁き

2017年11月04日 | ムービー
『背徳の囁き(原題Internal Affairs)』(1990年/マイク・フィギス監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ロサンゼルス市警察内務調査IADに調査官としてやってきた新人レイモンド・アヴィラ(アンディ・ガルシア)。相棒であり指導係でもあるエイミー・ウォーレス(ローリー・メトカーフ)との初仕事は、警察学校で一緒だったヴァン・ストレッチ(ウィリアム・ボールドウィン)の調査となった。警備員のアルバイトもしている年収3万8,000ドル(1ドル110円だと418万円)のヴァンと、年収2万5,000ドル(同275万円)の奥さんペニー(フェイ・グラント)が40万2,000ドル(同4,422万円)の家を購入し、他に30万ドル(同3,300万円)も使っているが、彼等の収入源は何なのかという資産調査だったが、調査の過程で、デニス・ペック(リチャード・ギア)という警察官の関与が浮かび上がってきた。表向きは優秀な警察官ではあるものの、裏でかなりの悪事を働いている可能性があるとにらんだレイモンドは・・・」という内容。
デニスは同僚の警察官にバイトを斡旋したり、ストリートガールのヒモから賄賂を受け取って摘発から守ってやったりと、本業以外のことで相当に稼いでいるようだった。
内務調査の対象はヴァンからデニスに移っていきそうだったものの、警察署長や内務調査の上司がその捜査に否定的。
これはどうにも不思議なことだったが、そのような組織の体質がデニスのような悪徳警察官の裏家業を増長させてきたのだろう。
ほぼ事前情報がないまま見始めたのだが、"背徳の囁き"という邦題からは警察が舞台の物語だと想像できなかった。
(^。^)
倫理観が欠落していたり、道徳観のかけらもないような人間というのは世界中どこにでも存在してるのだろうから、こういった物語はどこの国を舞台にしても成り立つのだろうが、この作品がとてもアメリカ的だと思うのは、やはり銃撃戦の場面が多くて、結果的に犯人逮捕に至らないところだ。
悪い奴らは裁判を受けることなく、現場で死んでしまう。
(^_^;)
まぁ、そういう衝撃的な展開を描いているからこそ、エンターテインメント作品として成り立っているのだろうけど。

ニューヨーク 冬物語

2017年10月30日 | ムービー
『ニューヨーク 冬物語(原題Winter's Tale)』(2014年/アキヴァ・ゴールズマン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「1895年のニューヨーク。アメリカ移住をめざしたものの、結核のために入国を拒否された夫(マット・ボマー)と妻(ルーシー・グリフィス)は、子供だけでも入国させたいと願ったが、それも拒否されたことから、展示品のガラスケースを割って模型の帆船を取り出し、それに赤ん坊を寝かせて船上から港に流した。陸地に流れ着いた赤ん坊は、人間の姿で生きている悪魔パーリー・ソームズ(ラッセル・クロウ)に育てられ、ピーター・レイク(コリン・ファレル)と名乗っていたが、1916年、ギャングを抜けようとしたピーターはそれ以降、パーリーに命を狙われることになる。守護天使である白馬に救われ、盗みに入った屋敷でベバリー・ペン(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)という結核で死期の近い赤毛の令嬢に出会ったピーターは・・・」という内容。
赤ん坊を模型の船に載せて海に流すだなんてまともじゃない。
しかし、この物語はファンタジーなので、最初からその辺りにこだわっていては、あとから出てくる空飛ぶ白馬や、判事と呼ばれているルシファー(ウィル・スミス)、ベバリーの妹ウィラ(マッケイラ・トウィッグス)が作ったカエルの王子様のベッド、100年経っても生き続けているピーターといった登場人物達が作り出す展開にはまったくついていけなくなるので、そこはまず受け止めなくてはいけないところだ。
(^。^)
それにしても、飾っていた帆船の説明文が、"City of justice"だったのには笑ってしまった。
犯罪大国とも呼ばれるアメリカの中でも、最も凶悪犯罪がひしめく街というイメージが強いニューヨークにそう書かれた船で流れ着くのだから。
まぁそれも狙いの一つなんだろうけども。
(^_^)
あくまで作り物である映画作品の中でも、殊に"ファンタジー"というジャンルは、"極めて荒唐無稽な物語"であると認識しているので、どうしても冷めた目で見てしまうのだが、そのような話の所々に名言めいた台詞が出てきたりするのが厄介だ。
「確かにそうかもしれないなぁ・・・」と思わせる言葉ではあるのだが、所詮、基本は"荒唐無稽"な物語なのだ。
(^_^;)