仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

続・深夜食堂

2020年10月14日 | ムービー
『続・深夜食堂』(2016年/松岡錠司監督)を観た。
物語は、「ある夜のめしや。忠さん(不破万作)以外の常連客は皆、喪服姿だった。小寿々(綾田俊樹)達は付き合いのあったママさんの通夜。竜(松重豊)とゲン(山中崇)は某大物の通夜。マリリン(安藤玉恵)も小道(宇野祥平)も別の場所での通夜の帰りだったが、赤塚範子(河井青葉)だけは事情が違う。出版社で編集の仕事をしている範子は、ストレスが溜まると喪服を着て街をぶらぶらし、最後にめしやでマスター(小林薫)が作った焼肉定食を食べて帰宅するのだという。その数日後、担当の作家宅で死体の第一発見者となってしまった彼女は、通夜の手伝いで石田(佐藤浩市)という男と出会ったのだが・・・」という内容。
石田は亡くなった作家の担当をしていたことがあるとかで、範子と妙に会話が弾み、通夜のあと一緒にご飯を食べに行く。
それから交際が始まったものの、この二人がうまくいかなかったと聞いた忠さんと小道は「バチが当たった」等とずいぶん手厳しかった。
前作のたまこさん(高岡早紀)もそうだったが、映画版にはめしやの常連客に受け入れられない女性キャラクターが登場するようだ。
(^_^;)
寒い季節になると妙に観たくなるし、映画版第3弾を期待してしまうのである。
是非!!
(^_^)


曲がれ! スプーン

2018年04月25日 | ムービー
『曲がれ! スプーン』(2009年/本広克行監督)を見た。
物語は、「湾岸テレビの超常現象バラエティー"あすなろサイキック"のAD・桜井米(よね/長澤まさみ)は、視聴者からの情報を頼りに超常現象やエスパーを探し出す企画"ADさんの全国フシギ行脚"の担当を任された。厳しい担当ディレクター(甲本雅裕)の指示で日本全国を旅して回るものの、インチキ情報に振り回されてばかりなのだった。そして、クリスマスイブの日。"カフェ de 念力"という店で神田(細男/岩井秀人)という男と待ち合わせをしたよねだったが、そこでは、本物のエスパー達によるパーティーが開かれていて・・・」という内容。
超常現象バラエティー番組の司会をしている男を演じているのは、ユースケ・サンタマリア
誰よりも胡散臭く見える最高の配役だ。
(^。^)
パーティーに集まってきたエスパー達は全員ではないけれども、意外と能力が高いし、実生活の中で活用しているようなのがいい。
透視能力を使って、餡が尻尾までぎっしり詰まっているたい焼きを買ったりするのは少しばかりショボいような気もするけれども、まぁ、許される範囲ではないだろうか。
(^_^;)
河岡(諏訪雅)のテレキネシスは本格的だ。
自らの意思で何でも動かせる。
ただ、制御不能になることもあるらしく、何メートルも飛ばされてしまって、すっかり首が曲がってしまった工場長(松重豊)は何だか可哀想だ。
マスターの早乙女(志賀廣太郎)はまだまだ修行中の身らしかったが、彼の長年の夢のおかげで、救われた人もいるのだから、どんな小さな夢でも世の中に何らかの影響を与えることがあるのかもしれないなぁと面白く思ったのだった。

SHINOBI / HEART UNDER BLADE

2018年04月04日 | ムービー
『SHINOBI / HEART UNDER BLADE』(2005年/下山天監督)を見た。
物語は、「徳川家康(北村和夫)が国を統一し、長い戦乱の世が終わった慶長19(1614)年。先代服部半蔵との約定で戦うことを禁じられ、ただただ憎しみを増幅しあってきた忍者の二大勢力・伊賀と甲賀。豊臣の残党がこれらを利用するのではないかと懸念した南光坊天海(石橋蓮司)は、家康に"伊賀鍔隠れ"と"甲賀卍谷"の根絶やしを具申。当代服部半蔵正就(松重豊)と柳生十兵衛(仁科克基)を使い・・・」という内容。
まず、代表者一人ずつを戦わせて実力を確認した後に、五人対五人の団体戦を仕組むだなんて手が込んでいる。
伊賀鍔隠れは党首・お幻(りりィ)の孫である朧(仲間由紀恵)を新党首とし、蛍火(沢尻エリカ)、夜叉丸(坂口拓)、蓑念鬼(伊藤俊)、薬師寺天膳(椎名桔平)を選抜した計五人。
甲賀卍谷は党首弾正(寺田稔)の跡継ぎ・弦之介(オダギリジョー)を新党首とし、陽炎(黒谷友香)、室賀豹馬(升毅)、筑摩小四郎(虎牙光揮)、如月左衛門(木下ほうか/三好健児)を選抜した計五人。
それぞれが忍術を駆使して殺し合うのだが、出てくる技は忍術というというより、まるで魔法だ。
(^。^)
厄介なのは、長い間戦うことを禁じられていた伊賀と甲賀は意外と近くで生活していて、こんな厄介な事態になる少し前に、朧と弦之介が出会ってしまっていたことだ。
「おじいが帰ってきたら我々のことを話そうと思っている」という結婚を意識した間柄から、殺し合う相手になってしまうのだから、これは切ない。
自分達が定めを作るのだと考える弦之介だが、忍びは武器にすぎないと言うおじいのほうが、全体像がきちんと見えていた。
ここで描かれている限りにおいて、封建社会というのはやはり実に厳しい社会だったようだ。

アドレナリンドライブ

2017年11月18日 | ムービー
『アドレナリンドライブ』(1999年/矢口史靖監督)を見た。
物語は、「クルマの運転中、上司の山本(徳井優)の悪ふざけで目をふさがれた鈴木悟(安藤政信)は、信号待ちで停車していた外車に追突してしまう。運転していた暴力団員の黒岩(松重豊)によって暴力団事務所へ連れて行かれた悟は、そこでガス爆発事故に遭遇した。一方、近くの病院に勤務している看護師の佐藤静子(石田ひかり)は買い物をしていたコンビニで爆発音を聞き、事務所に駆け付ける。救急隊員の指示で悟、黒岩と共に救急車に同乗したのだが、救急車は事故で川に転落。投げ出された悟と静子は、混乱のうちに黒岩の2億円が入ったアルミケースをまんまと手に入れた。ところが、水中に沈んだ救急車の中から黒岩が助け出され、静子の勤務先の病院に搬送されてきて・・・」という内容。
黒岩はなかなかに記憶力があるようで、確かちらっと見たままポケットにしまい込んだ運転免許証に書かれている悟の名前と住所をしっかりと覚えていた。
機械の能力のおかげで生かされているといってもいいような、ただベッドに横たわっているだけの状況でもスラスラとそれらが出てきたのだから驚きだ。
山田(マギー)、田中(坂田聡)ら黒岩の子分たちに追われることになってしまった悟と静子は、一転してとてつもないピンチに陥ってしまったのだが、少しばかり安心すると、散在したり別の事件に巻き込まれたり、随分と目立ってしまうことになる。
単調だった日常が一度大きく振れてしまうと、揺り戻しも大きくなるということなのだろう。
2億円という地下マネーをめぐる争いの中で一番変わっていったのは静子だろう。
見た目もそうだが、それまで日々抑圧されてきた自身の内面がすべて解き放たれたという感じ。
それに対して悟のほうは、山本に対しての怒りもほんの一瞬だけだったし、最初から最後まで被害者の立場から抜け出すことができなかったように思えた。
また、2億円をめぐる大騒動には直接係わることはなかったものの、婦長(角替和枝)も何かが変わりそうな気配だったのが良かった。
(^_^)
無意識のうちに大爆発させた悟と、自身が大爆発(!?)した静子。
2人の楽しい物語だった。

みんなのいえ

2017年08月26日 | ムービー
『みんなのいえ』(2001年/三谷幸喜監督)を見た。
物語は、「家を建てることにした放送作家の飯島直介(田中直樹)は、妻・民子(八木亜希子)の大学の後輩であるデザイナー・柳沢英寿(唐沢寿明)に設計を依頼し、施工を妻の父親・大工の棟梁の岩田長一郎(田中邦衛)に依頼した。ところが、内装しかしたことがない柳沢と経験豊富な長一郎が対立し、なかなか建築作業が進まない。ドアを内開きにするのか外開きにするのか。和室を作るのか作らないのか。トイレの位置は。壁の色は。照明器具は。すべてにおいて対立する2人だが・・・」という内容。
直介「どんな家になるのかな?」
民子「お洒落な家にしようね」
という会話から始まるドラマだが、最初から雲行きが怪しい。
そもそも、柳沢は一級建築士ではないので設計はできないし、法律や条例による規制のことをマッタク知らないので、面倒を見ることになる設計会社の須賀(白井晃)も大変だ。
(^_^;)
風水に凝っている直介の母・セツ子(野際陽子)が「あなたたちの良いように設計すればいいのよ」と言いながらも、いろいろとアイディアを出してくることもあって、計画は遅れに遅れていくのだが、優柔不断な直介の性格も災いして、どうにも決定することができない。
挙句の果てには、6畳のはずだった和室が20畳に造られてしまうのだから困ったものだ。
20畳って、どこの宴会場だよ・・・。
(^。^)
「職人である前にアーティストでありたい」と言う柳沢はすっかりヤル気を削がれてしまったのだが、「職人とアーティストは相反するものじゃない。どこで折り合いをつけるかだ」と柳沢をいさめる直介。
大体の場面においては、直介が問題を大きくしているのであるが、ここは彼の唯一の見せ場だ。
直介は自身の仕事でいつもそれを実感しているのだろう。
バーの客(千本のっこ/戸田恵子)に出すソルティードッグの塩の量に妙なこだわりを見せ、「自分の問題ですから」と言っては何度もカクテルを作り直すバーテンダー(真田広之)が登場する場面のあとの柳沢の行動はマッタク予想外だった。
それは、"妥協を許さない"とはいえば聞こえはいいが、彼の姿は、客のことは二の次、なんとも面倒な独りよがりなバーテンダーにしか見えなかったからで、ここのところは直介の意見に賛成だ。
(^_^)
十数年ぶりに再度見た作品だったが、小日向文世(マスター役)、松重豊(喫茶店の客役)、香取慎吾(神主役)といった役者さん達が出演していたことに改めて気がついて「おー!!」と思ったのだった。

深夜食堂

2017年03月12日 | ムービー
『深夜食堂』(2015年/松岡錠司監督)を見た。
物語は、「新宿。のれんに"めしや"とだけ書かれている食堂。営業時間が夜12時から朝7時頃までなことから、客は皆、"深夜食堂"と言っている。マスター(小林薫)が用意しているメニューは、豚汁定食、ビール、日本酒、焼酎のみ。"あとは勝手に注文してくれりゃあ、出来るものなら作るよ"という営業方針だ。ある日、いつものように常連の忠さん(不破万作)、竜(松重豊)、ゲン(山中崇)、小寿々(綾田俊樹)らがいる時、マリリン(安藤玉恵)が、誰かが置き忘れていった骨壺を見つける。意外な忘れ物に困ったマスターは・・・」という内容。
これは、2009年から不定期に放送されている同名のテレビドラマが映画化されたもの。
常連客達はほぼ全員がそのまま登場していたが、第20話で姿を消した片桐(オダギリジョー)は登場せず、代わって近所の交番に詰める警察官の小暮(オダギリジョー)が登場した。
どちらも少しばかり風変わりなキャラクターで、面白い。
(^_^)
また、柄本時生(西田はじめ役)、多部未華子(栗山みちる役)、余貴美子(塙千恵子役)、筒井道隆(大石謙三役)、菊池亜希子(杉田あけみ役)、田中裕子(塚口街子役)、向井理(客)などの俳優さん達がゲストとして出演されていたが、「ナポリタン」に登場したたまこさん(高岡早紀)は、多くの常連客達とは異質な、初のひねくれキャラだったかもしれない。
(^_^;)
家で洗濯物を取り込むマスターの姿や、買い出しの様子も描かれていたりして、映画になってほんのすこし店から飛び出したようだが、約25分で完結する短い物語であるテレビドラマ版のスタイルを踏襲して、映画作品でも基本的にはそのように展開していた。
テーマ曲の♪思ひ出♪(鈴木常吉/歌)がそのまま使用されているのも良かった。

深夜食堂

2016年11月20日 | エンタメ
『深夜食堂』というテレビドラマが面白い。
2006年から雑誌『ビッグコミックオリジナル』等に掲載されている同名の漫画(安倍夜郎/作)が原作とのことで、物語は、「新宿。料理人のマスター(小林薫)が1人で営業している食堂。暖簾(のれん)には"めしや"としか書かれていないが、夜12時から朝7時頃までの営業時間なことから、皆、"深夜食堂"と言っている。メニューは豚汁定食、ビール、日本酒、焼酎だけ。10人も座れば満席になってしまうような小さな店に、いろいろな客がやってくるのだが、皆、何だか訳ありで、注文する料理と共に妙に切ない人間ドラマが展開される」という内容だ。
マスターの「勝手に注文してくれりゃあ、出来るものなら作るよってのが俺の営業方針さ。客が来るかって?それが結構来るんだよ」という台詞が格好良く、オープニングに流れる♪思ひ出♪(鈴木常吉/歌)という楽曲がすーっと物語に入り込ませてくれる。
調べてみると、
「第1部」(第1話~第10話)=2009年10月~12月、
「第2部」(第11話~第20話)=2011年10月~12月、
「第3部」(第21話~第30話)=2014年10月~12月というような不定期の放送にもかかわらず、随分と人気が出たようで、香港、台湾でも放送されたほか、韓国では独自にテレビドラマ化されたようである。
赤いタコさんウインナーが好きなヤクザの幹部・剣崎竜(松重豊)、その弟分の林ゲン(山中崇)、甘い玉子焼きが好きな新宿2丁目のゲイ歴48年のママ・小寿々(綾田俊樹)、ストリップダンサー・マリリン松嶋(安藤玉恵)、いつもデニム地のキャップをかぶっている忠さん(不破万作)、フリーカメラマンの小道(宇野祥平)、かつて新聞奨学生だったという金本(金子清文)、"お茶漬けシスターズ"の梅・ミキ(須藤理彩)、たらこ・ルミ(小林麻子)、鮭・カナ(吉本菜穂子)、から揚げが大好きな足立さや(平田薫)、結婚詐欺にあったことがあるという八郎(中山祐一朗)、剣崎と因縁がある刑事・野口(光石研)、「人生、なめんなよ」が口癖でいつも和服の片桐(オダギリジョー)、といった常連客達が、肘がぶつかるんじゃないかと思えるような狭い店のカウンターで食べたり飲んだり、話をしている。
とても良い感じだ。
第3部までの全30話はどれも良い物語だったが、あえて自分なりの"トップ5"を選ぶとすれば、
1.第28話「きんぴらごぼう」つみきみほ(市川千鶴役)、芹澤名人(篠崎役)
2.第20話「ギョーザ」黒谷友香(村田桃子役)、リリー・フランキー(村田役)
3.第6話「カツ丼」音尾琢真(川田勝利役)、霧島れいか(アケミ役)
4.第14話「煮こごり」伊藤歩(イクミ役)、清水優(将司役)
5.第22話「豚バラトマト巻き」石田法嗣(橋本ワタル役)、ダンカン(宇野役)、椎名琴音(山田のりこ役)、山本浩司(手塚オサミ役)
といった感じだろうか。
常連客の中では、ゲンが一番好きなキャラクターかな。
(^_^)
深夜食堂』(2015年/松岡錠司監督)、『続・深夜食堂』(2016年/松岡錠司監督)と映画化もされ、第4部も始まったようだが、これはいつまでも続いてほしいと思う物語だ。

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

2016年08月20日 | ムービー
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013年/橋本一監督)を見た。
物語は、「アジア最北の大歓楽街・札幌ススキノ。探偵の俺(大泉洋)が行きつけのショーパブ・トムボーイズパーティー従業員マサコちゃん(常田鉄之輔/ゴリ)はオカマジックショーで人気を博すようになり、マジックコンテスト出場を促されたが、"もし優勝してしまって有名になると迷惑をかけてしまう人がいるから"と躊躇する。しかし、探偵に"そんなことは優勝してから考えろよ。俺が何とかしてやる"と言われもしたことから出場してみた所、みごと全国優勝を果たしてしまう。その2日後、マサコちゃんはススキノで殺されてしまった。探偵はすぐに犯人は捕まるだろうと予想して遊び呆けていたが、警察の捜査は3か月近く経っても何ら進展していない。それなら自分達の手で犯人を捕まえようと、相棒の高田(松田龍平)に連絡を取る。フローラ(篠井英介)、ヒロミ(佐藤かよ)、源ちゃん(マギー)、モツ(徳井優)らに呼びかける探偵だったが、事件には政治家が関与していて圧力がかかっているらしく、皆に協力を断られてしまい・・・」という内容。
命の危険を感じざるを得ない生活というのはヘビーだ。
心の休まる暇がないだろう。
探偵という職業柄、相田(松重豊)のようなその筋の方々にも拘わる機会が多いのだろうし、望みもしないスキージャンプなどはご免だろう。
(^_^;)
ただ、この作品中で恐怖の存在として描かれているのは、2世代議士・橡脇孝一郎(渡部篤郎)を勝手連として支援する"左寄りの市民"だ。
正義感なのか自己満足心なのかは判然としないが、木製バット等を振り回しての営業妨害や器物破損、傷害事件もいとわない。
肝心なところでは逃げ出そうとするものの、かなり異常な存在だ。
政治家の秘書が既得権益を守るためにマネーの力で極秘裏に問題を闇に葬るというやり方ではなく、あくまでも暴力的に障害物と認定したものを排除しようとする。
法律を作る政治家を支援するために、違法行為をして力を示すだなんてマッタクもって迷惑な存在だ。
基本的にはコミカルな演出になっているので、泥酔した男(池内万作)がピストルを20発以上連射したり、顔面を殴られて気を失った河島弓子(尾野真千子)の顔が綺麗なままだったりというこだわりを捨てたのだろうと思える場面もあるのだが、基本的には面白い。
前作同様、ススキノのバーで酒を飲みつつ依頼の電話を待つというのがこの探偵の方針なのだが、残念ながら原作の内容がすでに時代遅れになっているのか、携帯電話を借りて誰かと連絡を取る場面が結構出てくる。
台詞にもなっていたが、「ケータイ買えよ」と何度も思ったのだった。
(^。^)

ディア・ドクター

2013年02月06日 | ムービー
『ディア・ドクター』(2009年/西川美和監督)を見た。
物語は、「四方を山に囲まれた神和田村。コンビニも無いその小さな村に研修医・相馬啓介(瑛太)がやって来た。かつて無医村だったその村には曽根村長(笹野高史)自慢の医師・伊野治(笑福亭鶴瓶)がおり、診療所に付帯する公宅に住みつつ、日夜その重責を担っていた。あらゆることを引き受ける献身的な姿に医師としての本分を見出した相馬だったが、ある日突然伊野が姿を消してしまう。失踪事件として届出が出され、波多野刑事(松重豊)と岡安刑事(岩松了)の捜査が始まったのだが・・・」という内容。
村長が「神様や仏様より頼りになる先生」と最大の賛辞を贈る通り、伊野先生は日々の診療はもとより患者さんの弱った心のケアまでしている様子だった。
それは、その有様を間近で見ていた研修医が研修期間終了後またこの診療所に戻って来たいと言い出すほどだったが、実はこの伊野という医者は(年老いて現役の医者を引退したと思われる)父親への自分なりの抵抗として、そのように生きているらしかった。
決して自分が志していたことではなく、"親への抵抗"という何とも子供じみた感情が出発点であるらしいことが描かれている。
ただ、村長すら伊野の素性を知らなかったし誰も知ろうともしていなかったという点から、そのような理由やきっかけはこの地域の住民達にとってどうでもよい類いのことだったと推測できる。
うすうすと伊野の"うそ"を感じながらも一緒に地域医療に従事していた看護師の大竹朱美(余貴美子)以外は・・・。
例えば、『巨人の星』(梶原一騎作)の主人公・星飛雄馬は父・一徹が思い描いた人生を歩むこととなり苦悩したが、この物語の主人公・伊野は残念ながらプロにはなれなかった。
そういう別の種類の苦悩が、彼を小さな村での"医療行為"に走らせたのだろうか。
ちょっと面白い不思議な話だった。

しゃべれどもしゃべれども

2010年01月14日 | ムービー
『しゃべれどもしゃべれども』(2007年/平山秀幸監督)を見た。
物語は、「落語家(二つ目)の今昔亭三つ葉(国分太一)は、思うように腕前が上がらず悩んでいたが、そんな三つ葉の所に、美人だけれど無愛想な十河五月(香里奈)、上手な説明が出来ないプロ野球解説者・湯河原太一(松重豊)、転校先の小学校になじめない村林優(森永悠希)が通って来るようになった。話し方教室として落語を教えることになったのだ。通っては来るもののなかなか落語を覚えようとしない3人だったが・・・」という内容。
小生意気な優に落語を教えることになったのは、三つ葉が思いを寄せる郁子(占部房子)の甥だからだが、その郁子が婚約したと聞いてしまっては、三つ葉もがっかりだ。
しかし、郁子手作りの腐った弁当を食べて腹痛を起こしても、「最初で最後の弁当だったんで」と言い切る三つ葉は一本気で憎めない男である。
(^_^)
登場人物は少ないものの、兄の小さな居酒屋を手伝う湯河原や、これぞ"ツンデレ"という感じの五月等、決して順風満帆ではない人生を歩む人達の"不器用で上手くいっていないけれど心の奥底は熱いぜ"という様子が上手に描かれていて良い話だった。
「好きなものから逃げると一生後悔する」
湯河原のこの台詞が印象的だ。
しかし、やはり一番印象に残ったのは、「最初で最後の弁当だったんで」と言いながらベッドで苦しむ三つ葉だな。
この何とも切ない感じは、解り過ぎるほどに解るのだ。
(^^ゞ