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仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

半世界

2021年11月13日 | ムービー
『半世界』(2019年/阪本順治監督)を観た。
物語は、「高村紘(稲垣吾郎)は39歳。父の炭焼き窯を引き継ぎ、備長炭の製造販売を生業としている。先代の下には数人の職人もいたのだが、事業は年々細り、現在は事務を担当する妻の初乃(池脇千鶴)と2人だ。先行きが不透明な仕事のことで頭が一杯な紘は、初乃にも、いじめの噂や進学のことなど何かと心配な一人息子・明(杉田雷麟)にも無関心。そんな時、中学時代の同級生・沖山瑛介(長谷川博己)が突然帰ってきたのだが・・・」という内容。
中学卒業後の約20年勤務した自衛隊を辞めて、仲が良かった紘や岩井光彦(渋川清彦)など誰にも連絡せずに田舎に帰ってきた瑛介だが、母の死後10年近くも空き家となっていた生家は、いわゆる廃屋。
偶然に紘が見かけて声を掛けたから良かったものの、誰とも会わなければ、その夜から水も電気も使えない、布団すらもあるか分からない所で寝泊まりすることになってしまっていたのだが、その程度のサバイバル的なことは、自衛隊で様々な訓練を受けた瑛介にとってはさほどのことではなかったのかもしれない。
ただ、その後もまったく家の修繕をしようとせず、紘がお節介で費用も負担して、義父で大工の大谷吉晴(小野武彦)に雨戸や屋根の修繕を依頼しても、何か迷惑そうにしている様子はやはり何か訳ありだ。
何の話もしようとしない瑛介と、反抗期真っ只中の紘の息子・明のぶっきらぼうな様子が何か似ている気がするものの、本質的な所は少し違うのか。
瑛介と紘が対峙する場面は、その画面の背景が2人の人生のバックボーンを表現しているような気がして素晴らしかった。

決算 ! 忠臣蔵

2021年11月06日 | ムービー
『決算 ! 忠臣蔵』(2019年/中村義洋監督)を観た。
物語は、「元禄14(1701)年3月14日、江戸城本丸大廊下(松の廊下)で吉良上野介に切りかかった浅野内匠頭(阿部サダヲ)は、幕府の命により即日切腹、赤穂藩は取り潰しとなった。その後、お家再興のため様々な努力を続けていた赤穂藩筆頭家老大石内蔵助(堤真一)だったが、祐海和尚(桂文珍)の裏切りもあり、いよいよ万策が尽きてしまう。しかし、藩士たちが熱望する仇討ちの決断もなかなかできずにいた。どんどん目減りしていく藩の残金で仇討ちは可能なのか。迷っているうちにさらに残金は減っていき・・・」という内容。
吉良上野介の屋敷に討ち入って主君の無念を晴らした赤穂浪士だが、その討ち入りに費やした資金は約七百両であり、現在の貨幣価値に換算すると約9,500万円なのだという。
当時、大石内蔵助は討ち入り決行までの準備期間に使用した費用のすべてを帳簿に記録していたそうで、その『預置候金銀請払帳』を元にした『忠臣蔵の決算書』(2012年/東京大学史料編纂所教授・山本博文著)がこの映画作品の原作。
大高源五(濱田岳)や堀部安兵衛(荒川良々)が江戸と京都を移動する度、画面にはその歩いている姿にデジタル処理で費用が重ねて映し出されるという演出が面白いし、矢頭長助(岡村隆史)や貝賀弥左衛門(小松利昌)といった勘定方が冷静に費用の計算をして、その報告の都度、内蔵助が愕然とし、仕舞いには、軍司ともいえる菅谷半之丞(妻夫木聡)が浪士を前に戦術の説明をする際、どんどん追加になる経費に「ちっ!!」と口を鳴らしてしまう内蔵助の様子には、これまでの忠臣蔵を題材とした作品で描かれていた姿とのギャップが大きくて笑ってしまう。
過去の"討ち入りもの"とはまったく視点が違っていること、また、浅野内匠頭が斬りかかる場面でも討ち入り決行の場面でも、吉良上野介が一切画面に出てこないのも斬新だった。
(^_^)

ヒート

2021年10月30日 | ムービー
『ヒート(原題HEAT)』(1995年/マイケル・マン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ロサンゼルス。ニール・マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ)の強盗チームは現金輸送車を襲い、ロジャー・ヴァン・ザント(ウィリアム・フィクナー)所有の160万ドルの無記名債権を奪った。その周到な計画は無事に成功したかと思えたが、新入りのウェイングロー(ケヴィン・ゲイジ)が無意味に警備員を射殺してしまったことから、計3人を殺害するに至った。一方、捜査を担当することになったロス市警察のヴィンセント・ハナ警部補(アル・パチーノ)は、目撃者証言の "スリック" という言葉から一味のマイケル・チェリト(トム・サイズモア)を探し出し、ニールのグループのクリス・シヘリス(ヴァル・キルマー)、トレヨ(ダニー・トレホ)等の監視を始めた。"30秒フラットで高跳び出来るように面倒な関わりを持つな" が信条のニールだったが、よく行く書店の店員イーディ(エイミー・ブレネマン)に話しかけられたことをきっかけに・・・」という内容。
アンダーグラウンドの世界もしっかり分業制が敷かれているらしく、ニールはネイト(ジョン・ヴォイト)を通して仕事の企画を紹介されたり、偽の身分証明や逃走ルートの手配を発注しているのだが、長年の付き合いなのか、随分と信頼しあっているし、チームのメンバーも家族ぐるみでの付き合いがあるようで、プライベートがうまくいっていないヴィンセントとの対比が妙に面白い。
仕事以外に楽しみを見つけられないヴィンセントより、ニール達のほうが人生を楽しんでいる。
「こんな信条の俺を捕まえようというのに結婚しようなんて間違ってる」と言われてしまっては、警察官も可哀想だ。
(^_^;)
この作品の劇場公開時、どこかの映画館で見た時は、街中での銃撃戦の場面を長過ぎると感じたはずだったのだが、今回は、長過ぎるというほどでもないと思った。
それは、その前後の展開や登場人物達についての描写が深く理解できたからなのかもしれない。
170分もある随分と長い映画作品だけれども、退屈せずに見られるのが凄い。

ロッキー

2021年10月23日 | ムービー
『ロッキー(原題Rocky)』(1976年/ジョン・G・アヴィルドセン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「フィラデルフィア。試合で勝利しても65ドルのファイトマネー(手取り40ドル55セント)しか貰えないボクサーのロッキー・バルボア(ロバート・バルボア/シルヴェスター・スタローン)は、ボクシングだけでは生活ができず、高利貸ガッツオの取立ての仕事を請け負っている。スパイダーとの試合に2ラウンドKOで勝った翌日に、所属しているミッキー・ゴールドミル(バージェス・メレディス)のジムへ行くと、6年間使っている自分のロッカーの鍵を変えられ、用具をずだ袋に入れられていた。ろくに練習もせず、30歳を過ぎても芽が出ないロッキーは、ミッキーに愛想を尽かされ追い出されてしまったのだ。そんなロッキーだが、楽しみは親友ポーリー(バート・ヤング)の妹エイドリアン(タリア・シャイア)が働いているペットショップに通い、彼女に冗談を言うことくらいで・・・」という内容。
どうにもうまく行かないロッキーに運が回ってきたのは、世界ヘビー級チャンピオンのアポロ・クリード(カール・ウェザース)の対戦相手に選ばれたこと。
名前だけで選ばれるだなんて、運以外の何物でもないのだが、これは、アポロを実力で勝ち上がったチャンピオンだと以前からきちんとリスペクトしていたことや、引退をしても趣味として続けていくというほどにボクシングが好きだったからなのではないか。
きっとロッキーの深層心理がチャンスを引き寄せたと思うのだ。
(^_^)
しかし、エイドリアンとの初デートの時、二人で玄関を出た数秒後に花壇に唾を吐きかけたのはどうにもいただけなかった。
(^_^;)
エイドリアンがハッとしてそれを見ながらも、何も言わず一緒に出掛けたのは、普段まったくの無関心を装いながらも、実はロッキーのことを気に入っていたというわけだ。
これは第49回アカデミー賞(1977年3月28日)で作品賞を受賞している、なかなかに面白い物語なのだった。

荒野の1ドル銀貨

2021年10月16日 | ムービー
『荒野の1ドル銀貨(原題Un dollaro bucato)』(1965年/ジョルジオ・フェローニ監督/イタリア・フランス)を見た。
物語は、「1865年4月、ジョンストン将軍がノースカロライナ州で北軍に降伏し、アメリカの南北戦争は終結した。弟フィル(ニコラス・セントジョン)と共に南軍の兵士として出征していたゲイリー・オハラ(ジュリアーノ・ジェンマ)は捕虜となっていたが、解放後、妻ジュディ(イヴリン・スチュワート)が待っている故郷へ帰る。フィルは負け犬のまま故郷へ帰る気になれないと、西部の町イエローストーンへ旅立つ。帰郷したゲイリーは "南部の町に俺達の未来はない" と考えるに至り、ジュディに半年後の再会を約束し、フィルがいるイエローストーンへと向かうことにしたのだが・・・」という内容。
フィルから貯金箱を貰っていたゲイリーは、1ドル銀貨1枚だけを受け取り、後はジュディの生活費として渡した。
自分だってこれからの旅でどうなるか分からないというのに、「それじゃ二人で分けよう」と言って、ほぼすべてを奥さんに渡すのだから、出来る男だ。
しかし、たどり着いた町では「よそ者に回す仕事はない」と、南軍残党の略奪行為に悩まされている住民達には、そう簡単に受け入れてはもらえないのだった。
いくら「もう戦争は終わった」といっても、世の中あらゆる人の戦争が終わるまでには相当の時間を要するものなのだろう。
何とか町の実力者マッコリー(ピーター・クロス)から仕事を貰えることが出来たゲイリーだったものの、これがさらに人生を狂わせる大事件に繋がってしまうのだから、一寸先は闇だ。
これはマカロニウエスタンを代表する作品のひとつ。
よく出来た面白い話だ。

グッドナイト&グッドラック

2021年10月09日 | ムービー
『グッドナイト&グッドラック(原題Good Night, and Good Luck.)』(2005年/ジョージ・クルーニー監督/アメリカ・フランス・イギリス・日本)を見た。
物語は、「第二次世界戦争が終わり、東西冷戦の時代。アメリカでは、ジョセフ・マッカーシー上院議員が中心になって推し進める"マッカーシズム"(赤狩り)が市民の生活を脅かしていた。法的な手続きを無視して共産主義者の排除を推し進めようとするだけでなく、自分の意にそぐわない者も攻撃するマッカーシー上院議員。しかし、誰もが自分も標的にされることを恐れ、マッカーシーの手法を公式に批判することはないのだった。そのような風潮の中、CBSテレビのエドワード・R・マロー(デヴィッド・ストラザーン)、フレッド・フレンドリー(ジョージ・クルーニー)、ジョー・ワーシュバ(ロバート・ダウニー・Jr)、シャーリー・ワーシュバ(パトリシア・クラークソン)らのチームは、火曜夜のテレビ番組 "See it Now"で、マッカーシズムと対決していくのだが・・・」という内容。
議員との対決姿勢を鮮明にしたのは1953年、デトロイトの地元新聞の「ミシガン州空軍予備役マイロ・ラドゥロヴィッチ中尉が、父親と妹が共産主義者だという告発を元に除隊勧告を受けたことに対し異議を申し立てた」という小さな記事を取り上げたことと、1954年に放映された『See it Now / A Report on Senator Joseph McCarthy(ジョセフ・マッカーシー上院議員についてのレポート)』という特別番組で、放送前や放送後の局内における様々なやり取りが面白い。
本作品はドキュメンタリードラマなのだそうで、作品中に登場するマッカーシー上院議員や議会の様子は、1950年代の実際の映像が使われているのだが、古い画像ではあるものの、作品自体がモノクロ作品なので違和感なく見られてしまう。
登場人物達が手から煙草を離さず、室内を始終煙が漂っている様子も、時代を感じさせる雰囲気だ。
(^_^)
全体的にヘビーな展開の中で、ワーシュバ夫妻が登場する場面が幾分息抜き的なエピソードであるのだが、自由の国であるはずのアメリカの大手マスメディアが社内結婚を禁止し、人員削減の際には二人に自発的な退職を促すというのもなかなかに興味深い展開だった。


ソイレント・グリーン

2021年10月02日 | ムービー
『ソイレント・グリーン(原題Soylent Green)』(1973年/リチャード・フライシャー監督/アメリカ)を観た。
物語は、「2022年。人口爆発により資源が枯渇し、世界の富は一握りの人間が独占していた。格差がとてつもなく大きくなり、人口4,000万人を超えたニューヨークでは、路上駐車のクルマの中や建物の階段にもホームレスが溢れているのだった。ある日、特権階級のサイモンソン(ジョゼフ・コットン)が高級マンションの自宅で殺害され、市警察殺人課のソーン刑事(チャールトン・ヘストン)が事件の捜査に当たることになったのだが・・・」という内容。
肉や野菜など本物の食料品は高価過ぎて一般市民はとても手に入れることが出来ない。
ほとんどの人間は高濃縮栄養素 "ソイレント・イエロー" や "ソイレント・レッド" という加工品の配給を受けて生き延びているのだが、この5センチ四方ほどのタイルのような形状のもの数百グラムを得るためには朝から何時間も列に並ばなければ手に入れることができないばかりか、手に入らないこともあるようだ。
供給体制をほぼ独占しているソイレント社の幹部だった男が殺害され、しかも家からは何も盗まれておらず、捜査中のソーンが何者かに尾行されるとなれば、大事件に発展する可能性もある事案のはずなのに、上司が捜査打ち切りを命令するという展開は、見ていて単純過ぎる構図なのだが、原作小説『人間がいっぱい(原題Make Room! Make Room!)』 (1966年/ハリイ・ハリスン著)が出版された時代を考えれば、分かりやすい展開というのも、まぁ仕方がない所かもしれない。
(^_^;)
地球が温暖化したために毎日が熱帯夜だとか、家具と呼ばれる美しい女性が特権階級の住む高級マンションに備え付けられているとか、白い紙すら貴重品で書籍の出版は途絶えたとか、ソル・ロス(エドワード・G・ロビンソン)のような本と呼ばれる人間が知識を交換する "交換所" という場所が存在するとか、妙な設定がいろいろあって面白い。
この物語を原案にして作り直してもそこそこ面白い作品になるのではないかと思うので、ぜひ日本映画界でこれをリブートしてほしいものである。
(^_^)

男はつらいよ フーテンの寅

2021年09月25日 | ムービー
シリーズ第3作『男はつらいよ フーテンの寅』(1970年/森崎東監督)を見た。
物語は、「久しぶりに故郷、葛飾柴又の実家・団子屋とらやに帰ってきた車寅次郎(寅/渥美清)を、梅太郎(タコ社長/太宰久雄)が口利きをした縁談が待っていた。見合い相手は料理屋の駒子(春川ますみ)という女中だったが、実は彼女は寅の知り合い。しかも駒子には夫がいたはずで、身ごもってもいるのだった。すっかり酒に酔って泣きまくる駒子と夫・為吉(晴乃ピーチク)のよりを戻させるために奮闘し、二人をとらやに連れて来た寅だったが・・・」という内容。
二人のために結婚祝賀会を開いた寅だったものの、宴会費用もハイヤー代もすべてとらや宛の請求。
縁も所縁もない二人のためにお金を使わされる羽目になった車竜造(おいちゃん/森川信)もつね(おばちゃん/三崎千恵子)も怒り心頭だが、それはもっともな話だ。
大騒ぎした挙げ句に、妹・さくら(倍賞千恵子)の夫・諏訪博(前田吟)と取っ組み合いの喧嘩をして家を後にした寅だったが、滞在先の三重県湯の山温泉で、おいちゃんとおばちゃんにバッタリ出くわしてしまうのだから笑える。
(^_^)
それにしても、さくらは優しい妹だ。
自分の見合い相手の結婚を祝う立場になってしまった寅の気持ちをおもんばかって慰めるなんてことは、さくらにしか出来ない芸当だ。
これにはいくらか寅も救われたことだろう。
(^_^)
冒頭の場面では、天涯孤独だという信州の旅館の仲居(悠木千帆 / 樹木希林)にさくらやおいちゃんの写真を見せ、女房だ親父だと嘘をつく寅が映し出されていたが、借金から芸者をしている娘・染奴(香山美子)を妾に出さざるを得なくなった同業・坂口清太郎(花沢徳衛)と同様、どうにも哀れに描かれていた。
シリーズ第5作『男はつらいよ 望郷篇』(1970年/山田洋次監督)もそうだが、男はつらいよシリーズの初期の作品は、恋愛云々と同じくらいにテキヤ稼業の儚さというものが描かれていたように思う。

日本一のホラ吹き男

2021年09月18日 | ムービー
『日本一のホラ吹き男』(1964年/古澤憲吾監督)を観た。
物語は、「西北大学の初等(はじめひとし/植木等)は、三段跳びの東京オリンピック出場候補選手だったが、強化合宿の練習中に両足のアキレス腱を切断してしまう。故郷で祖母つね(飯田蝶子)と同居し療養していたが、工事現場から掘り出された先祖・初等之助(植木等/二役)の自伝 "初等之助一代記" を読んで感銘を受けて、オリンピック出場を諦め、卒業後は出世の三段跳びをすると宣言するのだが・・・」という内容。
世間から "ホラ吹き等之助" と呼ばれていた等之助は、浪人→師範→旗本と三段出世を果たした結果、"予言者等之助" と呼ばれるようになったという。
「我が予言が必ず実現しえたるは、日夜をおかず目標に向かって前進する努力研さんの裏付けにより神仏の加護に恵まれ、偶然の幸運を得たるなり。そのこと努々疑うべからず」などと書かれていた一代記に感銘を受けた等は、増益電機株式会社の臨時守衛から正社員として採用され、配属先の営業部調査課資料係では人の20倍働き、まず1ヶ月で係長になる。
作品名は "ホラ吹き男" だが、実は感銘を受けたご先祖様の一代記の通りに "有言実行" の成就を目指して無茶苦茶努力している人だったりするのだった。
はじめのうちはほとんど相手にしていなかった増益電機社長の増田益左衛門(曽我廼家明蝶)も、ミス増益電機の南部可那子(浜美枝)もやがて等の実力を認めざる得なくなっていく様が面白い。
これは東京オリンピックの開催を4カ月後に控えた昭和39(1964)年6月の劇場公開作品だったようだが、この当時は日本経済も植木等主演の映画作品も絶好調だったのだろう。
(^_^)

ビューティフル・マインド

2021年09月11日 | ムービー
ビューティフル・マインド(原題A Beautiful Mind)』(2001年/ロン・ハワード監督/アメリカ)を見た。
物語は、「1947年9月。ジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)はプリンストン大学院の数学科に入学した。カーネギー奨学金を折半したマーティン・ハンセン(ジョシュ・ルーカス)とは互いにライバル視する関係で、二人共、採用枠が一人だというMITのウィーラー軍事研究所への就職を目指している。いつもリチャード・ソル(アダム・ゴールドバーグ)やベンダー(アンソニー・ラップ)、ニールソンら友人達と一緒の社交的なハンセンに対し、人との付き合いが苦手なナッシュは・・・」という内容。
入学の際のパーティーで、ハンセンは「これと同じカクテルをくれ」とナッシュをわざとウェーター扱いするし、ナッシュはハンセンが書いた二つの論文を「読んだけど、独創的な着想は一つも無かったな」とけなす。
初対面だというのに火花がバチバチで、同じテーブルの人達を凍りつかせるのだが、さすが「小学校では先生に"頭は100点。心は0点" と言われた」というだけのことはある。
ナッシュの頭脳は明晰でも、人を思いやる心はマッタク成長しなかったのだろう。
(^_^;)
「この世の全てを支配する独自の法則を見つけたい」と考えるナッシュは、授業に出ることもなく、フットボールの動きや餌を取り合う鳩の動き、果てには、引ったくりを追う女の動き等も研究するのだが、閃いたのは、ハンセンやソルと一緒に女のコを口説こうとしていた時だったというのは何とも皮肉で、答はナッシュが最も嫌う "時間の浪費" の中にあったわけだ。
(^。^)
これは、1994年にノーベル経済学賞を受賞したという実在の数学者、ジョン・ナッシュ(1928年~2015年)の実話を元に創られた作品。
アリシア夫人(ジェニファー・コネリー)も実名で登場するのだが、夜空の星を4,348個まで数えたことがあるというのは、実際にあったエピソードなのだろうかと多少気になっているのだった。

シコふんじゃった。

2021年09月04日 | ムービー
『シコふんじゃった。』(1992年/周防正行監督)を観た。
物語は、「数か月後に卒業を控えた教立大学4年生・山本秋平(本木雅弘)は、卒論の指導教員である穴山冬吉教授(柄本明)の研究室に呼び出されたものの教授の顔さえ知らず、川村夏子(清水美砂)の姿に見入るばかり。相撲部の顧問をしている穴山から、卒業に必要な単位がほしかったら大会が開催される1日だけ相撲部員になって試合に出ろと言われた秋平は、伯父のコネで就職も決まっていることから、背に腹は代えられないと、しぶしぶ了承するのだが・・・」という内容。
かつては強豪だったという教立大相撲部も、現在の部員は8年生の青木富夫(竹中直人)ただ1人で、5人制の3部リーグ戦に出場するために、最低3人を確保しなければならないという情けない状況だったが、全くの無経験者とはいえ田中豊作(田口浩正)、秋平の弟・春雄(宝井誠明)があっという間に入部する。
普段から部員の勧誘をしていれば何とかなってたのではないか・・・。
そう思える展開でもあったのだが、お調子者の秋平が加入したことで、どんよりとした相撲部の運が少し変わったのかもしれない。
青木はさすがに相撲のことには詳しいものの、極度の緊張から、試合になると下痢をしてしまい、入部以来一度も勝ったことがないという情けなさなのだが、4年間稽古部屋に住み込んでいる相撲大好き人間。
相撲での勝利もそうだが、彼の人生には何か足りないものがあったのだろう。
そして、それは秋平も一緒で、相撲部での経験の中でようやく知ることができたようだ。
少しばかり遅かったような気もするのだが、知らないままその後の人生を送るより価値がある回り道のようにも思える。
なかなか面白い作品だった。

フューリー

2021年08月28日 | ムービー
『フューリー(原題FURY)』(2014年/デビッド・エアー監督/アメリカ・イギリス)を見た。
物語は、「1945年4月。ヒトラーは総力戦を宣言。男・女・子供を問わず全国民を兵として動員し、ナチス・ドイツ国内に進行した連合軍に激しく抵抗していた。アメリカ軍のドン・コリアー軍曹(ウォーダディー/ブラッド・ピット)が指揮するM4(?)戦車フューリーでは、戦闘の最中にレッドが戦死。所属していた第3小隊はフューリーしか生き残らなかった。新副操縦手としてノーマン・エリソン2等兵(ローガン・ラーマン)が転属してきて、第1小隊長となったコリアー軍曹には休む暇もなく新しい任務が課せられたのだが・・・」という内容。
ノーマンに、まずコリアーが言ったのは「命令に従え」、「誰とも親しくなるな」の二つ。
戦車を指差して「あれが家だ」と言うだけあって、ボイド・スワン(バイブル/シャイア・ラブーフ)、トリニ・ガルシア(ゴルド/マイケル・ペーニャ)、グレイディ・トラビス(クーンアス/ジョン・バーンサル)ら、小隊の意思の疎通はバッチリだし、皆、コリアー軍曹の命令には絶対服従だ。
そんな所に、8週間前に入隊したばかりで、戦車の中など見たこともなく、1分間に60文字をタイプする訓練を受けただけのタイピストが入ってきても、すんなりと受け入れられるわけがないのだろう。
"総力戦" というドイツ軍は、そこかしこにナチスの軍服を着た子供を潜ませているようで、コリアー軍曹は「武器を持つドイツ人はぶっ殺せ!!おっぱい掴む赤ん坊も撃ち殺せ!!」と言う。
そして、「奴らは何故降伏しない!!」と言うワゴナー大尉(ジェイソン・アイザックス)に「大尉なら?」と聞く。
戦争というのはなかなか終わらせることができないものなのだろう。
戦勝国側から描いた第二次世界大戦だが、残念なエピソードの連続だった。

ダウン・バイ・ロー

2021年08月21日 | ムービー
『ダウン・バイ・ロー(原題Down by law)』(1986年/ジム・ジャームッシュ監督/アメリカ・西ドイツ)を見た。
物語は、「ニューオリンズ。恋人に追い出されたDJのザック(トム・ウェイツ)は、1,000ドルで仕事を引き受けた。クルマ1台を運転して指定の場所に移動させるという簡単なことだったが、トランクに死体が積まれていたことからザックは逮捕され、収監されてしまう。同房になったジャック(ジョン・ルーリー)も、同じように商売敵のポン引きにはめられて収監された男だったが、2人はソリが合わないのだった。そこへ英語をあまり話せないイタリア人、ロベルト(ロベルト・ベニーニ)が入ってきて・・・」という内容。
ロベルトは被害者のはずだったものの、投げたビリヤードの玉が頭に命中して、相手は死んでしまったのだと言う。
本当に残念な男がやって来て、悶々としている男達の間に入り、3人の妙に和やかな関係が生まれたのだが、"スクリーム" と "アイスクリーム" の言葉遊びが、刑務所内の大合唱にまで発展していく展開は面白かった。
榊原郁恵の歌を思い出して笑ってしまった。
(^。^)
この3人の関係は友情と呼べるものではなかったのかもしれないが、互いの共通体験を通して、何かそれに似たようなフワフワしたものが作られていったのだろう。
30年以上も前の作品なのに、それほど古くさく感じなかったのは不思議だ。

ブレードランナー / ファイナル・カット

2021年08月14日 | ムービー
『ブレードランナー / ファイナル・カット(原題Blade Runner)』(2007年/リドリー・スコット監督/アメリカ)を見た。
物語は、「2019年。エルドン・タイレル博士(ジョー・ターケル)が社長のタイレル社が開発・製造したアンドロイドの"レプリカント"は、遺伝子技術者と同等の知能を持っていたが、地球外の過酷な環境での奴隷労働に従事していた。誕生から数年後に自我が目覚め、大規模な反乱も起こったことから、ネクサス6型の寿命は4年に設定され、地球上で発見した場合は直ちに解任(処分)されていた。シャトルを奪い、乗員乗客23人を殺害して地球へと侵入した6体のうち、タイレル社に潜入した2体を処分したが、何としてもすべてを処分したいロサンゼルス市警察のハリー・ブライアント警部(M・エメット・ウォルシュ)は・・・」という内容。
特別捜査班ブレード・ランナーは、レプリカントを探し出して処分する"殺し屋"と呼ばれる警察官で、仕事に疲れ引退していたリック・デッカード(ハリソン・フォード)は警部によって強制的に復職させられ、市内に入り込んだレプリカント、ロイ・バッティ(ルトガー・ハウアー)、プリス・ストラットン(ダリル・ハンナ)、リオン・コワルスキー(ブライオン・ジェームズ)、ゾーラ・サロメ(ジョアンナ・キャシディ)らと命を賭けて "戦う" ことになる。
せっかく引退したデッカードにとってはどうにも有り難くない展開の連続で、レイチェル(ショーン・ヤング)と知り合えたことだけが、唯一救いのようなものだ。
(^_^)
『ブレードランナー(原題Blade Runner)』(1982年/リドリー・スコット監督/アメリカ)には、なんと七つのバージョンが存在するとのこと。
1982年の劇場公開当時は何とも評価が低かったようだが、テレビ放送やビデオレンタルで人気が出て、幾つものバージョンが作られたようだ。
これはとても好きな映画作品で、ビデオテープの時代の数少ないコレクションの一つだった。

殺したい女

2021年08月07日 | ムービー
『殺したい女(原題Ruthless People)』(1986年/ジェリー・ザッカー、ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー監督/アメリカ)を観た。
物語は、「レストランで不倫相手のキャロル・ドッズワース(アニタ・モリス)に妻バーバラ(ベット・ミドラー)の殺害計画を打ち明けたサム・ストーン(ダニー・デヴィート)。ところがバーバラは何者かに誘拐され、"50万ドル払わなければ夫人を殺す" と犯人からの電話が入る。自分が手をかけなくてもバーバラを殺せると考えたサムは、警察やマスコミに通報し、あえて騒ぎを大きくしたのだが・・・」という内容。
計画を打ち明けられたキャロルは、彼氏のアール・モット(ビル・プルマン)に殺人の現場を録画させ、そのビデオをネタにサムを揺すろうとするのだが、悪巧みというのはそうそううまくは行かないようだ。
一方、バーバラを誘拐したケン・ケスラー(ジャッジ・ラインホルド)とサンディ・ケスラー(ヘレン・スレイター)は、サンディのデザインを盗用して大儲けしたストーン夫妻が許せないことから犯行に及んだのだが、二人とも根が善人なので、身代金の交渉はうまく行かない。
犯人よりも被害者のほうが悪人というのがどうにも皮肉で、どんどん身代金を値切られていく展開は情けなくて笑えてくるのだった。
「立ち入ったことを聞くようだが、夫婦仲は円満なのか?」と犯人ケンに聞かれる被害者バーバリが少し可哀想に思えてもくる。
そこそこ面白いコメディだった。