仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

家族はつらいよ

2017年11月08日 | ムービー
『家族はつらいよ』(2016年/山田洋次監督)を見た。
物語は、「かつての新興住宅地で三世代同居をしている平田家。周造(橋爪功)は引退してゴルフ三昧、妻の富子(吉行和子)はカルチャースクール通い。家事は長男・幸之助(西村雅彦)の嫁・史枝(夏川結衣)がこなしていた。ある日のゴルフ帰り、お気に入りの美人女将・かよ(風吹ジュン)の小料理屋で一杯やって上機嫌で帰宅すると、自室の花瓶に綺麗なバラが飾られているのに気がついた。誕生日に花をプレゼントするのが仲間の決まりで、その日は富子の誕生日なのだという。すっかり忘れていた周造はたまにはプレゼントをしようと欲しいものを聞いてみると、この離婚届に押印してくださいと言われ・・・」という内容。
冒頭、史枝にオレオレ詐欺の電話と間違われ、憤慨している周造に対して、友人は「ざまあみろ。君はいつの電話だっていきなり俺!俺!だもの。感じ悪いんだ。いつかは意見をしてやろうと思ってたんだ」と言う。
長年、仕事一途のサラリーマン時代を過ごしてきたという周造は、結構言葉がキツイし、態度が横柄だったりもするのだろう。
富子が突然切り出した"熟年離婚"の危機は、家庭の中ででも積もり積もったそういうものが原因だったのか。
長女・成子(中嶋朋子)と夫の金井泰蔵(林家正蔵)の離婚騒動はこの騒ぎでうやむやになり、次男・庄太(妻夫木聡)が初めて家に連れてきた恋人・間宮憲子(蒼井優)との初顔合わせは気まずくなり、せっかく奮発した特上ウナギもすっかり無駄になってしまった。
実際、不思議なもので、平穏な中に起きる事件というのは、何故か次々重なって起きるものである。
(^_^;)
何だか淡々と展開するエピソードが多くて、少し物足りなく感じたし、物語中盤に泰蔵役の林家正蔵が、父・初代林家三平(1925年~1980年)の「どうもすいません」というギャグを使う演出があったのだが、あれはそういう場面ではなかったので、少し残念に思った。

私は貝になりたい

2017年04月13日 | ムービー
『私は貝になりたい』(2008年/福澤克雄監督)を見た。
物語は、「高知の小さな町で、清水理髪店を営む清水豊松(中居正広)と妻・房江(仲間由紀恵)は、かつて駆け落ち同然で新しい生活を始めた2人だった。太平洋戦争の戦局が激しさを増し、庶民の日常生活もいよいよ厳しくなってきた昭和19(1944)年、ついに豊松にも召集令状が届く。配属先は矢野中将(石坂浩二)率いる本土決戦を想定した部隊で、滝田二等兵(荒川良々)とともに立石上等兵(六平直政)に目をつけられた豊松は、撃墜されたB29から脱出したアメリカ兵の"処刑"に関与することになる。"一番たるんでいる奴にやらせろ!!"という上官の命令で立石上等兵は滝田二等兵と清水二等兵を指名したのだが・・・」という内容。
召集令状を配る竹内(武田鉄矢)という役場職員は、根本(西村雅彦)に「どうもあんたの顔を見ると赤紙を連想する・・・」(確かそのような台詞)と言われるのだが、こういう役目を担うことになった人にも相当な気苦労があったのだろう。
仁左衛門祖母に聞いたところによると、戦時中、仁左衛門伯父に赤紙が届いた時、近所に住んでいた役場の担当者は、「あとでお伺いしますが驚かないでください」と事前に電話をくれていたのだという。
そのおかげで覚悟する時間ができたと、感謝していた。
さて、上官から、捕虜としたアメリカ兵を銃刀で突き刺すという"処罰"を命令された豊松。
「捜索して適切な処置を」との指令本部・矢野中将の命令は、現場の日高大尉(片岡愛之助)の「2名を処罰する」との判断になり、「第3班より2名を選抜しろ」との命令で選ばれてしまった豊松らは、「立派な帝国軍人になったところをお見せしろ!!」、「突撃!!進め!!」と、息も絶え絶えのアメリカ兵に突撃する。
戦後、この"大北山事件"に関与した旧帝国軍人を裁く進駐軍のBC級戦犯の裁判で、豊松らが、「上官の命令は天皇陛下の命令である!!」と常々教え込まれていたと主張しても、アメリカ人は爆笑するだけで取り上げてくれない。
まぁ、リーダーである大統領が選挙で選ばれる"民主主義"を標榜するアメリカ人にとっては、絶対君主である天皇を頂点とした日本の組織の考え方は、理解の範囲を超えたものであったのだろう。
後半、巣鴨プリズンに収容されていた大西三郎(草彅剛)や西沢卓次(笑福亭鶴瓶)、矢野といった死刑囚の姿も描かれていたのだが、サンフランシスコ講和条約の発効が昭和27(1952)年4月28日よりも早ければ、処刑されなくても済む人達だったのだろう。
この物語は、あくまでもフィクション。
ちょっと救いのない物語だった。

超高速 ! 参勤交代

2016年04月26日 | ムービー
『超高速!参勤交代』(2014年/本木克英監督)を見た。
物語は、「享保20(1735)年。磐城国(いわきのくに)湯長谷藩の4代目藩主・内藤政醇(ないとうまさあつ/佐々木蔵之介)は、1年間の江戸での勤めを終えて帰国したばかりだったが、江戸幕府老中・松平信祝(まつだいらのぶとき/陣内孝則)により、"5日以内の再度の参勤交代"を命じられる。通常でも8日の日程を要するうえ、湯長谷藩は徳川将軍へ沢庵を献上するほどに逼迫した財政状況であったため、到底実行不可能な要求なのであったが政醇はこれを受入れざるを得ず、家老・相馬兼嗣(そうまかねつぐ/西村雅彦)に解決策を求めた。家臣随一の智恵者であるとされる兼嗣は、"少人数で山中を走り抜け、幕府の役人の監視がある宿場のみ日雇い中間(ちゅうげん)を揃えて大名行列を組む"という提案をし、政醇もこれを了承。かつては東国一と言われた抜け忍・雲隠段蔵(くもがくれだんぞう/伊原剛志)を山中の案内役に雇い、総勢8人で江戸に向けて出発したのだが・・・」という物語。
いかに無理難題であったとしても、一小藩が幕府の命令に逆らうことなど到底出来なかったのだろう。
相手は、豊臣家をも滅ぼしてしまった徳川家である。
決定前であれば何とかなったのかもしれないが、一度決定してしまった事項が覆るはずもなく、逆らえばお取り潰しの沙汰が待ってるだけだ。
湯長谷藩の藩主・内藤政醇は何ともざっくばらんな性格の持ち主なのか、馴染みのない人間ともすぐに打ち解けてしまうようで、それは、自国の百姓はもちろん、自ら売り込んできた胡散臭い抜け忍・段蔵には褒美として家宝の短刀を渡してしまったり、途中の宿場で出会った飯盛女・お咲(深田恭子)には幼少時の境遇を重ね合わせて助けたりもする。
どうやら、「情けは人のためならず」というのがこの物語のテーマのひとつなようで、分かりやすい物語なだけにそれなりに楽しめたのではあるが、何度か出てくる"ワイヤーアクション"を使った場面がショボ過ぎて、その辺りには幾分ガッカリしたのだった。
(^_^;)

マルタイの女

2008年01月18日 | ムービー
『マルタイの女』(1997年/伊丹十三監督)を見た。
伊丹十三(1933~1997年)氏は、全10作の監督作品を世に送り出しているが、この作品が遺作である。
俳優としては、テレビでも映画でも変わった役どころが多かったような気がするのだが、監督としては心に残る良い作品を生み出していたので、自ら命を絶ってしまったというのはとても残念だった。
氏の作品は、脱税や暴力団、カルト教団など、反社会的な事項を題材にしていたこともあって、死に至った背景については様々な憶測もよんでいたそうであるが、とにかく、残念としか表現しようがない。
(-_-;)
さて、この物語は、「弁護士殺害の現場に居合わせてしまった女優の磯野ビワコ(宮本信子)は、裁判での目撃証言を妨害しようとするカルト教団に狙われることになる。警察は刑事の立花(西村雅彦)と近松(村田雄浩)の2人に彼女の身辺警護をさせるのだが・・・」という内容。
タイトルにある"マルタイ"とは聞きなれない言葉なのだが、身辺保護の対象者を指す警察内部でのコードネームだそうだ。
これがハリウッドだったら、きっとマルタイと刑事の間に生まれる熱い恋物語も描いていくのだろうが、しかし、この作品はケビン・コスナー主演の『ボディガード』(1992年/ミック・ジャクソン監督/アメリカ)とは一線を画すのだった。
まぁ基本的にはコメディだということもあるのだろうが・・・。
ただ、コメディとはいえ、カルト教団側の二本松弁護士(江守徹)はとても恐ろしく描かれていて、「彼が無罪になった時のことを考えたことがありますか?こちらが勝てばアンタ、偽証罪ってことになるんだよ。当然、損害賠償も生じますよ・・・。名誉棄損で訴えられますよ。そりゃあ長い長い戦いになるでしょうなぁ。莫大な時間、莫大な費用・・・。おまけに相手はカルトだ。何をするか分からない連中です。私はあなたのためを思って心配してるんです。証言なんかやめなさい。あなたにとって得なことは何ひとつ無い。なぜ自分の人生を犠牲にしてまで証言台に立つんだ・・・」という言葉や、脅しで証言の妨害を図る。
こういうのはきっと現実社会でもあるのでは・・・と考えてしまうほどに見事な場面だ。
また、意外と(といっては失礼だが)CGの出来も素晴らしくて、これはなかなか良い作品だと思った。
(^_^)

笑の大学

2004年10月01日 | ムービー
三谷幸喜原作の舞台『笑の大学』が映画化され、2004(平成16)年10月30日から公開されるという。
仁左衛門は、1998(平成10)年7月に道新ホール(札幌市中央区)でこの舞台を見たのだが、この話は面白いぞ。
(^_^)
物語は、「太平洋戦争中、某劇団の座付き作家の喜劇脚本を警視庁が厳しく検閲しようとする、その取調室でのやりとり」という内容で、この物語の登場人物は2人だけ。
映画ではその他大勢の人達(エキストラ)の登場もあるのだろうが、やはり面白い展開になりそうだ。
舞台の時は西村雅彦近藤芳正の2人だったが、映画は役所広司稲垣吾郎だという。
なんにしても超おすすめである。