仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

神様はバリにいる

2017年11月30日 | ムービー
『神様はバリにいる』(2015年/李闘士男監督)を見た。
物語は、「照川祥子(尾野真千子)はビジネスの失敗で抱えた借金を苦にし、自殺するためにインドネシアのバリ島へとやって来たが、リュウ(玉木宏)に"自殺するなら他の場所を探してくれ"と言われる。その岬を含む地域一帯はリゾート開発予定地なので迷惑だというのだ。妙な邪魔が入って気が削がれた祥子は、連れていかれた場所のプールサイドで、やくざな風貌のとにかく破天荒な超大富豪、"アニキ"(堤真一)に出会わされる。ワインで泥酔し、ベッドで目覚めた朝、人生をやり直したいと願うに至った祥子は、アニキのもとで成功の秘訣をマスターするための人生哲学を学ぶことに決めたのだが・・・」という内容。
自殺を考えるに至った祥子の借金は、アニキのそのゲストハウスに置かれている盆栽や銅鑼よりも安いのだという。
将来への希望をまったく持てなくなったということが自殺を考えるに至った理由であるのだろうが、そもそもの原因は、やはりその借金の額なのだろうから、人によっては「何それ!?」ということなのだろう。
首からメモ帳とペンをぶら下げて、アニキと行動を共にさせてもらっている祥子は、その都度アニキの"金言格言"をメモしていく。
「悲壮感が縁を逃す」、「世間の常識を徹底的に疑え」、「ダジャレは新しい発想を生む」、「感謝の達人になれ」、「失敗した時こそ笑え」など、アニキの言葉はとにかく前向きで、疫病神を寄せ付けないようにというアニキのその思考にもなかなか馴染むことができない祥子。
「偉そうにウンチク語ってたって個人の会社は成り立たない」と、とにかくアニキの教えが理解できず、「会社を潰したのはまわりのせいだ」とまで言い切る。
キッカケを掴むにはそのための更なるキッカケも必要なのか。
「さわやかさがない」と何度も言われる祥子には長い道のりなのかもしれないが、アニキとの濃い人間関係の中で理解できるようになるのか。
実話を基にしているというナカナカに興味深い内容の作品だった。

聯合艦隊司令長官 山本五十六

2017年07月24日 | ムービー
『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』(2011年/成島出監督)を見た。
物語は、「陸軍が2年前に起こした支那事変が泥沼化していた昭和14(1939)年。日本は不況のどん底にいた。新聞の煽動もあって、国民は景気が浮揚するからと戦争を望み、陸軍が主張する日独伊三国同盟を拒み続ける海軍を非難する世論も巻き起こっていた。米内光政海軍大臣(柄本明)、山本五十六海軍次官(役所広司)、井上成美軍務局長(柳葉敏郎)らは、日本がナチスドイツと手を組めば、日本の10倍の国力を持つアメリカとの戦争が避けられなくなると主張。その後、ドイツが日本の仮想敵国であるソビエトと不可侵条約を締結したことから、同盟締結は一時棚上げとなった。8月、山本は連合艦隊司令長官として旗艦"長門"に着任するが、ドイツがポーランドに進攻し、第2次世界大戦が勃発すると、日本国内では再び三国同盟締結を求める声が沸きあがり、次の海軍大臣・及川古志郎(佐々木勝彦)は、従来の方針を改め、同盟締結に賛成しようとする。あくまでも日米開戦を防ぐため、三国同盟締結に反対した山本長官だったが・・・」という内容。
国民を煽り続ける"東京日報"主幹・宗像景清(香川照之)と一緒に良く取材に訪れる真藤利一記者(玉木宏)に対し、「世界を良く見ることだ」と助言する山本長官。
日米開戦後は「世論がどうあろうと、この国を滅ぼしてはいけない」と言い、「戦闘の目的はあくまでも"講和"を目指すためだ」と信念を曲げない。
しかし、首都空襲の後、「どんなことがあっても、もう二度と日本の空に敵機を飛ばせてはならん」との強い思いは部下・南雲忠一第一航空艦隊司令長官兼第一航空戦隊司令官(中原丈雄)には伝わらなかったようで、南雲は山本長官を飛び越して、永野修身軍令部総長(伊武雅刀)の指示に従い、ミッドウェイ海戦での大敗を招いてしまったのは残念だ。
黒島亀人聯合艦隊先任参謀(椎名桔平)がいくら良い作戦を立てても、現場の司令官がこのようでは組織が成り立たない。
この作品は、あくまでも"史実を基にしたフィクション"であり、宗像や真藤、三宅義勇連合艦隊作戦参謀(吉田栄作)といった架空の人物も多く登場しているし、描かれているエピソードもすべてが真実ということでもなさそうだ。
ただ、日本海軍が使用していた暗号は、昭和18(1943)年4月当時、すでにアメリカ軍によって解読されていたというのは事実のようで、いかにフィクションとはいえ史実を基に展開させている以上、主要登場人物の生死を変更するわけにはいかないのだから、やはり最後は残念な結末を迎えざるを得ない物語。
山本家の質素な食事など生活ぶりの描写はとても興味深かったし、良くできた作品だったと思う。